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連載
107話 結婚してくれる?
「……そんなに重い病気なの?」
「え?あ、いえ……そういう訳では……」
目から勝手に、涙が溢れ出た。
どうしても、止まらない。貴方と離れる想像をしただけで、こんなにも悲しい。
私の涙と突然の離婚宣言に、メトは私が、重い病気の所為で、自分から離れようとしている。と解釈したようだ。
「ルエル。俺は……君と離婚しない。合意の無い離婚は認めない。絶対に」
「メト…!」
私の頬に、優しく触れるメトの顔は、まるで、泣いているように、悲しそうに見えた。
「ルエル、全て、正直に話して欲しい」
「……っ」
子供のことを隠して、離婚は出来ない……ちゃんと……言わなきゃ……!
「………子供…が……子供が、出来たんです…」
怖くて、メトの顔が見れない。
「ーーは?子供?」
「……っ」
騙されたと言って、怒る?子供を堕ろせーーとーー言いますか?
「メトに絶対に迷惑をかけないようにします!結婚して得たお金は、全て慰謝料としてお支払いしますし、すぐに、帝国から出て行きます!もう二度と、メトの前に姿を見せません……!子供も……!絶対に、貴方の子供だと口外しないからーーー!」
だから、子供を産ませて下さい。
私と、大好きな貴方との、大切な子供ーーー。
「子供……そうか、子供か……」
次にメトの口から出る言葉が、怖い。もし、堕ろせ。と言われたらーーー!!
「ーーそう言えば、義姉も悪阻で思うように食事がとれなかったと言っていたね……唯一、南の国にしか売っていない、貴重でレアな果物なら食べられたと聞いた。すぐに手配しよう」
「え?」
「栄養価も高く、お腹の子供にも良く、貧血にも効果があるらしい。すぐにラットに用意させるから、明日まで待ってーー」
「明日?!」
南の国まで、ここからどれだけ急いでも1週間はかかる距離ですけど?!
「市場に流通している物を見つけさせる。金に糸目はつけない」
とっっても貴重でレアなんですよ?!見つけるだけでも大変ですよ……!?しかも今日はもう夜ですよ?!
「寝ずに探せば何とかなる」
ラット、徹夜確定ごめんなさいーー!!!って、いやいやいやいや、違います!そうじゃなくてーーー
「わ、私、妊娠したんです!貴方との子供が出来たんです!」
「さっき聞いたけど?」
「いいんですか?メトのーールーフェス公爵家の血を引く子供ですよ?」
メトは子供を望んでいないハズなのに、まるで、私を労るような……子供のことを……思うような……
「……産んでも……いいの?私と……メトの、子供…」
「……ああ、あの契約書か」
私の悩みの種にやっと気付いたのか、メトは魔法で契約書の紙を出すと、指をパチンっと鳴らし、一瞬で燃やし尽くした。
「これで問題無いね」
契約結婚を結んだ時に交わした契約書ーー。
跡形もなく燃える契約書を前に、私は、メトの目を見つめた。
「……いいんですか?本当に?」
「……そうだね、これで、契約結婚では無くなったね」
メトはそう言うと、私の手を取り、指輪に口付けを落とした。
「だから、ルエル。今度こそ、俺と本当に結婚してくれる?」
私は家族の誰にも愛されない子だった。
愛されていると信じた1度目の結婚では、酷い裏切りを受けた。
もう、誰も好きになりたくなかった。誰も好きになれないと思っていたのに、また、メトを好きになれた。
また、一緒に生きていきたいとーーー心から、そう思えた。
「……はい!勿論です……!」
契約結婚では無く、本物の夫婦になって、大好きな人との間に宿った子供もいてーーー私は、昔の自分では考えられないくらい、幸せです。
手と手を取り合ったまま、私とメトは、唇を交わしたーーー。
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