世界を救いし聖女は、聖女を止め、普通の村娘になり、普通の生活をし、普通の恋愛をし、普通に生きていく事を望みます!

光子

文字の大きさ
82 / 82

82

しおりを挟む


 広場に最後、残ったリーシャとイマルは、手を振りながら、サクヤとゲンを見送った。

「では、私もこれで失礼しますね」
 サクヤ達の姿が見えなくなった後、リーシャは隣にいたイマルにも、挨拶し、家に戻ろうとする。
「送るで」
「え?」
 イマルの言葉に、足が止まり、驚いて彼の顔を見た。
「?そんなに驚く事か?もー何回も家まで送ってるやん」

 確かに。これまで何度も、家まで送って貰った事はある。あるけれどーーー

「最近は……その、避けられていると、思っていたので」
 お誘いは断られるし、集まりにも声をかけて貰えなくて、道端で会っても、何だかんだ、直ぐに立ち去ってしまう。

「それは……ほんま、ごめん」
「!いえ!きっと、私が、態度に出過ぎていた事が問題なんですよね?」
「態度?」
「イマルが好きって、態度に出てしまい過ぎるのが良く無いのですよね?執拗い女は嫌われますもんね!」

 もう、付き合えないのは仕方無いにしても、嫌われたくは有りません!仲良くしてくれれば、それで満足です!

 反省しているが、最早既に、先程の発言で、イマルが好き!と断言しているようなもの。だが、リーシャは全く気付いていない。

「……相変わらずグイグイ来んな」
「へ?ま、また駄目ですか?」
「もーええよ。俺はリーシャはんを嫌いになったりせーへんから、そこまで気にせんといてーーって、酷い事言ったんは俺か。ごめんな」
 イマルはそのまま、リーシャの家の方に向かって歩き出した。

 (送ってくれるんですね…!嬉しい!)
 避けられていたから、顔も中々見れなくて、話も出来なかったから、傍にいれるだけで嬉しい。

「あの、何度も謝っていますが、イマルには初めからお世話になりっぱなしだったのに、聖女である事を隠していて、本当にごめんなさい…」
 最後まで隠し通す気だったのに、次から次へと、私が聖女だと知る人達が来て、最終的に王子が大々的に皆さんにバラすという暴挙に出た。

「えーよ。てか、スッキリしたわ。リーシャはんがただ者じゃ無いのは気付いてたし」
「嘘ですよね?どこら辺で?」
「いや、ノルゼスはん来た時点で、もう色々不思議やったで。あんな強い戦士が、リーシャはんを過保護過ぎるくらい守って、昔の仲間やーゆーのに、話した事無くて、リーシャはんの涙に死にそーなくらい落ち込んで」

 全く上手く隠し切れて無かったんですね…。薄々気付いていましたけど、私はもしかして、あまり嘘が得意では無いのでしょうか?皆さんにバレバレなのでは?
 聖女時代の感情・表情管理はどうしたと、自分に問いただしたい。

「家事とか何も出来へんかったんも、あー、聖女やったからかーって納得やわ。聖女が何も出来へんなんてイメージ無かったけど」
「……イマルも、私が元・聖女でも、お友達でいてくれますか?」

 大分迷惑をかけてしまっていますけど、これからも、未だに家事スキルとかまだまだなので迷惑かけますし、執拗い女は嫌われると言われながらも、しつこくイマルの事好きでしたし……今も好きで、これからももっと好きになると思いますし……あ、でも、これからは嫌いになったりしない。ってさっき言ってくれましたけど。あれ?なら、好きでいるのは大丈夫って事でしょうか?

「……」
「だ、駄目ですか?」

 返事が返って来ないのが不安になる。

「……ああ、もう!いーに決まってるやろ!嫌いにならへん!サクヤはんも言っとったけど、リーシャはんはリーシャはんやろ!」
「!良かった…!ありがとうございます!」


 世界を救った今、この平和な世界に、聖女は必要有りません。


 だから私はーーー聖女をやめて、普通の村娘として、ここで、最後まで暮らして行くーーー
 私は私らしく。


「イマル、これからもよろしくお願いしますね」
「ーーええよ」


 私は、ただの村娘になったのですからーーー。






 完


しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!

近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。 「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」 声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。 ※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です! ※「カクヨム」にも掲載しています。

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。 離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。 王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。 アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。 断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。 毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。 ※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。 ※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。

元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?

冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界にお助けキャラとして転生したリリアン。 無事ヒロインを王太子とくっつけ、自身も幼馴染と結婚。子供や孫にも恵まれて幸せな生涯を閉じた……はずなのに。 目覚めると、何故か孫娘マリアンヌの中にいた。 マリアンヌは続編ゲームの悪役令嬢で第二王子の婚約者。 婚約者と仲の悪かったマリアンヌは、学園の階段から落ちたという。 その婚約者は中身がリリアンに変わった事に大喜びで……?!

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

【完結】この地獄のような楽園に祝福を

おもち。
恋愛
いらないわたしは、決して物語に出てくるようなお姫様にはなれない。 だって知っているから。わたしは生まれるべき存在ではなかったのだと…… 「必ず迎えに来るよ」 そんなわたしに、唯一親切にしてくれた彼が紡いだ……たった一つの幸せな嘘。 でもその幸せな夢さえあれば、どんな辛い事にも耐えられると思ってた。 ねぇ、フィル……わたし貴方に会いたい。 フィル、貴方と共に生きたいの。 ※子どもに手を上げる大人が出てきます。読まれる際はご注意下さい、無理な方はブラウザバックでお願いします。 ※この作品は作者独自の設定が出てきますので何卒ご了承ください。 ※本編+おまけ数話。

地味令嬢は結婚を諦め、薬師として生きることにしました。口の悪い女性陣のお世話をしていたら、イケメン婚約者ができたのですがどういうことですか?

石河 翠
恋愛
美形家族の中で唯一、地味顔で存在感のないアイリーン。婚約者を探そうとしても、失敗ばかり。お見合いをしたところで、しょせん相手の狙いはイケメンで有名な兄弟を紹介してもらうことだと思い知った彼女は、結婚を諦め薬師として生きることを決める。 働き始めた彼女は、職場の同僚からアプローチを受けていた。イケメンのお世辞を本気にしてはいけないと思いつつ、彼に惹かれていく。しかし彼がとある貴族令嬢に想いを寄せ、あまつさえ求婚していたことを知り……。 初恋から逃げ出そうとする自信のないヒロインと、大好きな彼女の側にいるためなら王子の地位など喜んで捨ててしまう一途なヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。 扉絵はあっきコタロウさまに描いていただきました。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

処理中です...