ハーレムお零れに預れるかもって、違うからね! チートに言われて仕方なくやってるだけ! だけなんだからね!

気合いで脳内完結する

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ハーレムお零れに預れるかもって、違うからね! チートに言われて仕方なくやってるだけ! だけなんだからね!

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「おい! 大丈夫か1年! 怪我の程度は!」

 「あ……あ……」

  も~ヤバイ! 何がヤバイって? 本格的におうち帰りた~いってレベル!

 「状況! この学校で入学して学ばなかったわけじゃねぇだろ! 状況!」

 「ま、街は敵勢魔生物の襲撃を受けて……私は、怖くて立ち向かえなくて! 一緒に学校に逃げてきた友達も飲み込まれて! 私は、アレと立ち向かうためにこの学校に入ったのに!」

  マジかぁぁぁぁぁ!! 完全アウトオブ予想じゃあないかぁぁぁぁ。

 「本職はっ!」

 「私が逃げてきたときには見ませ……」

 「邪魔だぁぁぁぁぁ」

  もうねぇ。マジ辞めて! 必死になってコミュニケーションとってんのこちとら!

 「私が気づかなかった魔生物、それも中型! 一撃!」

  いや、あのね? メッチャビックリしてるのは構わないんだけど……やばいよ。今の一撃で大量にかかった魔物の血を浴びながらドス黒い格好で俺を見てる君の方が怖いよ。

 「こんなんで驚くな! 生徒会の奴らは本当にスゲェ。一年生に経験がないなんてわかってる。来年で構わねぇ。お前はきっと強くなれ。そん時後輩守ってやれればそれでいい。行けっ!」

 「でも先輩達っ、そんな数人でこの襲撃を!」

 「黙れクソガキ! 行きやがれ!」

  いいよいいよ分かってんだよぉそんな事。今ぁ情けなさと絶望で涙流して校舎内に逃げてく君の背中に謝ります!

  上級生達だってぶっちゃけあまり経験ないんです! 皆やっぱり怖いんです! だからほぼ全員校舎内に隠れちゃう結果になっちゃったんです!

   俺が代表していいのかわかんないんだけど、最上級生として君にとっての2年生と3年生がふがいなくて、ゴメンねぇ!




 「副会長状況……」

 「ハァッハァッ! 見ての、通り、生徒会残り4人と、彼が何とか」

  校舎前、下駄箱のある建物の入り口前では秀麗な顔立ちの生徒会長を務める男子生徒、そしてやはり誰もが振り返る美少女の生徒副会長が、疲れ切っている他の生徒会執行委員たちの中心部で玉のような汗をかき、息を切らしていた。

 「最初の襲撃時に全員力を使いすぎました」

 「まさか後続がここまでの規模になるなんて!この頭痛、これ以上の戦闘は、正直きついぜ!」

  副生徒会長の苦々しげな言葉に対して吐き捨てるようにそういうのはおおよそ高校生徒とは思えないほどに色香を放つ褐色の肌が映えるギャル。彼女は風紀委員長だ。

 「やべぇ、やられた! 生徒会残り三……」

 「いえ……二人よ。張りつめた空気、一人がやられて、揺れてしまった。彼が残したあの天才彼女達二人も私たちと同じ。もう限界で戦えない。本職は……まだ来ないの?」

  圧倒的な無力感、虚無感。目の前の魔生物の黒い波は、戦っている3人の生徒たちを今にも飲み込んでしまいそうだった。

  だが、一人だけそんな周りと違う、別の意味で打ちのめされた男がいた。

 「魔生物の外殻は硬く。並みの武器を寄せ付けない。戦向け、乱戦向け。戦斧術……だったかな。入学時、その戦い方を笑った私を、そしてそんな私と呼応するように君を侮った学校を、生徒たちを、君が守ろうとしているのか……どうして?」

  命を賭して戦い続ける、かつて入学してからずっと嘲りの対象だった同級生。苦悶と後悔に顔をゆがめながら、今はもう何もする事もできない生徒会長。ただただ自分の胸に自己嫌悪が渦巻いていることを感じるしかなかった。

   


 「オイ! 応答しろ! どうしたんだ一体!……駄目だ。回答がない」

 「最悪。アイツで勝てない化け物なら私たちが行ってもどうにもならなかったかもしれない。でも、この状況は……もっと、最悪……残り、二人?」

   戦況を見守っているのは生徒会の者だけではなかった。今、別の場所で戦っているとある生徒と、いつも共に行動をしている女子生徒二人だ。一人は人形のような人間離れした美しさ、もう一人は活発そうで、かつ健康的な肉感ある肢体を持つこの学校では特に人気の美少女二人組。

  そしてこの魔装武官養成学校でも鳴り物入りで入学してきた天才でもあった。

 「今……一人になった。アイツに託された戦場だというのに、途中で私たちは使い物にならなくなって……さっき私たちが見限ったあの男に守られているというのか? なんて情けない!」

  入学以来絶対的な自信を引っ提げてここまで過ごしてきた彼女達、目の前で歯を食いしばっている男など歯牙にもかけないことさえあった。

 それが今はどうだろう?

  あまりの自分の浅はかさに、そして最後の最後まで一切引こうとしないその戦場最後の上級生をバカにしていたことへの愚かさを思い知った彼女達、図らずも自然と涙を流していた。




  もう無理! もう無理なのよ! 俺一人じゃあどだい校舎防衛なんて出来るわけないでしょうがぁぁぁ!
  あぁ、失敗したなぁ。なんでラスト俺なんだよ! 注目浴びまくって引くに引けないんですけど!戦闘持久力なんて能力、皆からもバカにされてたけど俺にとっても要らなかったぁぁぁ。無駄に頑張っちゃったぁぁぁ!
   
  さっきの最後の生徒会員が吹っ飛んだの。俺が 吹っ飛ばされとけば良かったぁぁぁ。気絶した振りでスキ見て全力で逃げんだよ。そんでもって……

 『人が真剣に考え事してる間に勝手に校舎向かってんじゃねぇぞテメェ!」

  うっし! 全力ダッシュの背後からの一撃は……

 「お、お前ら……」

  やっちったぁぁぁ魔生物もう窓のところまできてたぁぁぁ。ってか、その窓俺のクラスのだったぁぁぁ! やべぇ! クラスメート全員信じられないものを見たような目で……ハッ!魔生物の血がどっさり俺に……。

  違うんだって。ゾンビじゃねぇよ! 俺はまだ生きて……。あぁやる気もっとなくなっちまった。クラスの可愛いあの子、カッコ彼氏がいるかいないかわからないカッコトジ、瞳が小刻みに揺れてるぅぅぅ。完全にもうヤバイ存在として見られてるぅぅぅ。

  ってらめぇぇぇ、そんな幽霊がやってきて怖がるような顔しないでぇぇぇ!そんな指ささない……

 「って後ろかコラ! 中大型種……力、ガツンと使っちまうことになるが……四の五の言ってられねぇか!オラァァァァ!」

  ハイハーイ、一撃両断モーゼの十戒、あともう一回この技使ったら種切れアウトォォォ!……じゃなくて感謝しなきゃ、教えてもらったんだから。

 「サンキュな。マジ今の助かったわ。んでもってよ今の、ちゃんとお礼するわ。ちゃんと……俺がぁぁぁぁ守ってやるからぁぁぁぁ、安心しろよぉぉぉ!」

  最悪可愛い君だけ守っちゃう! もう出血大サービス。あぁぁきつかった。恥ずかしすぎて大声で叫ばないと無理げーだわコレ。はぁ、まだまだ校門から魔生物溢れてきてるが……やれるとこまではやっちまうか!?




 「ねぇ、彼さ。今、守るって言った。私たち……全員を」

  絞り出したような啖呵を受け取った女子は解釈した。間違った解釈だ。彼は彼女を守ろうという意味で言ったのに、それを彼一人がこの学校全員を守ると理解してしまったのだった。

 「クラスで、いっつも寒いギャグかまして、バカなこと言って私たち笑わしてくれている彼だよ?」
  
  そうして彼女はクラスメート全員を見回した。

 「いっつもイジラれてすっごい盛り上げてくれる彼だよ」

  彼女がそういえば、彼と仲が良くいつもつるんでいる男子生徒たちは気まずそうな顔を浮かべた。

 「筆記も戦闘訓練や対人戦成績もほとんどオールアベレージな彼が!」

  次に俯くのはそのクラスの成績優秀者達

 「彼? ないかなぁ~なんて笑い話で持ち上がった彼!」

  クラスの男子で恋バナに話割かせる女子生徒達は申し訳なさそうに表情を曇らせた。

 「そんな彼が! 今一人で戦ってる。私たちの命を守るために! あの、いっつも私たちの隣をあるいていた彼が!」

  啖呵を受け取った彼女の周りの雰囲気は暗い。だが、次の瞬間の事だった。彼女が吠えたのだ。

 「ここを逃すと、私たちは二度と彼の隣には立てない。みんなはそれでいいの?」

  その一言は、クラスの空気を一変させた。

  だが、彼は知らない。彼のその啖呵が揺らしたのは一クラスのみではなかった。彼も予想だにしていなかったのだ。あの口上が、この状況を一変させるにつながることを……




 「馬鹿野郎!どうして出てきた!」

  なーんでやねぇぇぇん!状況、最悪やねぇぇん!

 「この期に及んで、足手纏いはいらねえんだよ!言ったろ!お前は、来年にでも強くなれと!」

  言ったのに、何で俺の隣に戻ってきちゃったぁぁぁ?1年女子ぃぃぃ!

 「スミマセン。先輩、でも私……ック!」

 「シッカリしろ反応が遅い!」

  いやもうヤダ、彼女、彼女の武官武器、二丁拳銃で俺の背後護ろうとしたけど……どうあったって俺の方が対応早く排除しちゃったし……

 「狙われてるのはお前もなんだよ!」

  瞬間の出来事、自分の後ろを狙った奴を片づけて、んでもって1年女子に飛びかかった数体も蹴散らして、あぁ、もう疲れた!

  お願い!いい加減に帰って!君いると防護対象広がるじゃん……て、

 「何、泣いてやがる! ふざけてるのか! わざわざ死地までやってきて!」

 「ゴメンなさい!怖くて……怖くて、でも!」

  ヒィィィ!手放しで泣かないでぇぇ、無防備な君と、学校はさすがに手が回らないよぉぉぉ!

 「クソ!良いか!何とかスキを作る!お前はもう一度校舎へ!」

 「出来ません!」

 「馬鹿野郎、困らせるな。緊急事態な……」

 「出来ません!来年にでも強くなれ? 無理です!来年になっても、再来年になっても!死ぬのが怖ければ動くことなんて出来ません!」

 「な!」

 「今、動けなかったら、ここで経験しなかったら……武官候補として大切な物を捨てることになってしまうから」

  何言ってんだこの子。実力差判らないのかよ! ……なのに、俺も喜んじゃ駄目だろ!

 「排除は期待しねえ! 俺の背後守れ!」

 「ハ、ハイ!」

 「死んでも恨むんじゃ……」

  って言ってるそばからぁぁぁぁ! やべぇ完全死角からの一年女子への攻撃。間に合わないって! のわぁぁぁぁ!

 「あぁ、ゴメンね。はじめての戦闘で、力の加減が分からなかった」

 「ゴメンじゃあねぇよ! なんだってお前まできてんだよ!」

  ひぃぃぃ、なんか増えてるぅぅ! クラスの可愛いあの子、ここまで来ちゃってるぅぅぅ。能力を弾丸にするショットガン。知らないわけじゃねぇけど1年女子の銃声よりもでかいんだからびっくりさせないでぇぇぇ。

 「守るかぁ。卒業3か月前にして、そんなかっこいい事言っちゃえる奴だったんだ。ダークホースだなぁ……」

 「なんか言ったか!」

 「聞こえないに越したことはない! んでもって一年!」

  不確定要素ふえちゃたぁぁぁ! しかもなんだよ。やめてくれよ状況見て! そんな戦場のガールズトークなんておっぱじめないで!

 「ゴメン! がっかりしたよね。正直言うとね私たち3年も、君の上の2年もね怖くてしょうがなかった。でも、有難う。君の言う通りだよ。もし、あのまま彼がひとりで戦っているのを陰から見てるだけじゃあ。私が私を許せない」

 「せ、先輩……」

  勝手にいい雰囲気出してんじゃねぇぇ。このムード守ってるさなかに俺が四方八方から襲ってくる魔生物全力で撃墜させてるの、視界に入ってますかぁぁぁぁ!

 「それじゃ、指示を!」

 「ちっ!俺を筆頭にΔフォーメーションで行く!一年、俺の後方右翼にポジショニング」

 「ハイ!」

 「んでもってお前は後方左翼。俺は右利き、左が死角になりがちだ。頼んでいいか?」

 「今更!」

 「本格的な敵排除は俺が行う! お前等はサポートを念頭。いいか!助けが必要なら遠慮なく互いを頼れ!行くぞ!」

  もうどうにでもなれ!もう知りません! あぁ、女の子二人が俺の後ろにいるとあっちゃあもう逃げる事なんてできないじゃないかぁ。



  
  って……あれ? なんだぁ、なんか…どんどん楽になってない? この戦闘……、いやまだ魔生物は次から次と校門から塀から押し寄せてはいるんだけど……

 ”ちげぇだろうが! 2年! お前授業で何学んでやがった!”

 ”すみません! ありがとうございます先輩!”

  あれ?アイツら……どうして、こんなところにいるんだ!

 ”ちっ!ミスった弾切れだ!”

 ”私が前に出るから!”

  学校に避難してるはずじゃ……って、のぉぉぉぉ!

 「ハイハーイ、気ぃ抜きすぎ」

  って今のは危なかったぁ。マジ食らってたら死ぬレベル。どなたかは存じませんが助かりましたって……えぇぇぇぇ!

 「お前ら! どうして!」

 「いんやぁ、いじられキャラのお前が頑張ってくれちゃうからさぁ。俺たちが出ないわけにはいかねぇじゃん。いじってた側の俺たちが怖くてお前が死ぬのを黙ってみてましたぁなんてあっちゃさぁメンツにかかっちゃうのよ。っておい!そっち!」

 「まかせてください!」

  はぁぁぁ、クラスの友達出てきちゃったぁぁしかも、今の一声に反応して魔生物倒したのって……

 「まったく、君がしっぽ巻いて逃げていたら僕たちだって出なくて済んだっていうのに。なにんですか? 所詮成績なんて実践の前に比べたらって言いたいんですか?」

  クラス成績優秀者ぁぁぁ!いや、ほんの少し、思ってたけど!

 「先輩! ごめんなさい!サポー……」

  しかも、1年の悲鳴に振り返ればそこには、

 「イケナイねぇ。こんな可愛い1年生に危ない事させちゃさ」

 「お前らも何で……」

  一年襲った魔生物退けたのって可愛子ちゃんといっつもだべってるクラス女子ぃぃぃ?

 「いやぁ、無いわぁなんて言ってたあたし達が見る目なかったってのを認めたくなかったから。これに勝って大したことがない事が分かれば、アンタが大したことなかった奴って思えるでしょ?」

  何言ってるか、全然わからないんですけどぉぉぉ!

 「それに……」

 ”ただ出て敵倒せばいいってわけじゃないわよ! しっかり周り見て!”

 ”わかってるって! オイ、そっち、下級生のサポートに回れ!”

 ”おいおいおい、やべぇよ。あの2年女子やべぇぞ!”

 ”あっちの一年の彼もなかなかやる!ちょっと、あたし達三年が下級生に情けないところ見せられないでしょうが”

 「ア、イツラ……」

  俺も余裕なかったぁぁ。知らなかったぁぁいつの間にか結構な人数が腹決めて戦いに加わってくれるようになったのか。

 「先輩……、先輩の力です」

 「はぁ、オレ?」

 「入学して、もう一年が終ろうとして初めて話した全然親しくない先輩が、こんな中で笑って私を励まして守ってくれました。ずっとあの後も戦っていて……だから私は、私も戦いたくなったんです」

 「えっと……」

  次から次へと、意味わからねぇぇぇぇ!

 「私は違う。なんて自意識過剰って思った。たった一人で、学校全員守るって啖呵きって。何言っちゃってんの?って、でも、一人になっても一歩も引かないで。あぁ背中で語るってこういう事って感じて……そしたら一年の彼女が出てきてそうしたらもう自分が恥ずかしくって」

  全員を守る?どういうことぉ? だって俺が言ったのって……

 「それで……君は……」

 「先輩は……」

 「「これからどうする?/んですか?」」

  あぁ、バカん俺。今そんなこと考えてる余裕なんてねぇぇぇ。考えよう!結構な人数が出てきてくれて力押し! いや、戦闘成績でトップなやつを前線に据えて……って、駄目だぁぁぁ。成績中の中の俺がこんな修羅場で何考えようが意味ねぇ! もっと俺が頭のいい奴なら何考える、考えろ考えろ考えろ!

 「あった。ナイス名案俺! 餅は餅屋……だけど、俺嫌われて……」

 「先輩、また魔生物来ます!」

 「なんで、本職が来ないの!」

  やばいな、こいつらもいつまで精神が続くかわからねぇ。くそ、迷うな俺!

 「おい!お前がこの場を支配しろ!」

  恥なんざ捨てろ。今は、今俺のやれることをするんだ!




 「指揮権を……私に委ねるだと……?」

  生徒会長は驚愕に開いた口が塞がらない。先ほどとは打って変わって好転した状況、これを生み出したのは間違いなく眼前で一人戦い続けていた、いままで彼がずっとバカにしていた同級生だった。彼の奮闘は校舎に避難していた学生の心に覚悟の炎を灯し奮戦させるに至った。

 「わ、私に、君を侮っていた私に、君が動かした生徒たちの指揮を託すというのか? 」

  屈辱的、というわけではなかった。寧ろ心が痛んだのだ。指揮を託すというのは兵の命を預けるという事。それは疑いを持っていてはできない事だ。

 「君は、私を疎んだだろう、憎んだだろうに」

  それでも自分を頼ろうとする彼、それはつまり自分が彼に対してしてきたことを、彼が加味していないことを意味していた。

 「そんな資格私には……」

 「いつまでうろたえてんだバカ野郎! お前は生徒会長! 俺は生徒、お前がこの学校の将だろうが!」

 「ッッッツ!」

 「俺たち、兵を……束ねろ!使え!」

  だが一層大きな一喝に生徒会長は目を覚ました。

 「アイツ! 会長に何て言い草!」

 「ただの凡人の癖に!」

  その言葉に激昂するのはこれまで生徒会長に心酔しついてきた副会長、風紀委員長、そして周囲の人間だった。

  しかし……

 「今はそんなことを言っている場合ではない。執行委員全員へオーダー! まずは戦場の戦力均等を目標に生徒を分散の上彼らと行動を共に、私が指示を出す。君たちは戦闘に不参加。長期戦の構え。指示は私が無線で出す!」

 「「「了解」」」

  ひとつ大きく気合いを入れた生徒会長は、その声と共に弾けたように解散していく生徒会員の背中を見つめる。

 「卒業まで……あと三か月か。この三年間につまらない見落としがあったようだ。これが終って、これまでの事を謝らせてくれ。そうしたら、君は許してくれるだろうか?」

  生徒会長は、少し寂しそうにつぶやきながら、この戦いにおける生徒たちの精神的支柱に目をむけた。 




「アイツから通信きた!生きてるの!あんた心配させて!」
「こちらにも来た!おい、今どこにいる無事なのか!」

 好転した状況、少し疲労も言えて戦場に戻った美少女は常に彼女達が行動を共にしている一人の少年の声に緊張も綻ばせた、だが次の瞬間だった。その少年の意識の向けた先だ。それが、自分たちでないことに、深い落胆を覚えてしまった。

”生きてるよ。大丈夫。ごめん、今は、先輩と話がしたいんだ”

 彼が意識を向けた先は彼女達ではなく、彼女たちに同行を頼んだ先の3年生の男子生徒だったのだから。

”先輩、生きてますか?”

”はっ! 随分余裕そうな声じゃねぇか! こちとら必死に戦ってるっつのにノンキなもんだ”

 離れた先にいる先ほど一人で戦っていた男の通信の声が入る。

”先輩も、ずいぶん楽しそうですよ。案外楽な状況なんじゃないですか?ちょっと今回の僕の相手の超大型、好きにさせてくれませんでしたから、フラストレーション溜まって。そっちに行って無双でもしようかなぁ”

”バーカ、お呼びじゃねぇ。それに、チャンスなんだよ”

”わかってますよ。だから僕は先輩にお願いしたんです”

 話が見えない彼らの通信を聞いていた美少女二人、だが次に彼らが発した言葉に、彼女たちは息を飲んだ。




「誰かと通信!? ここは私たちに任せて後退する?」

「先輩、戦いすぎです! 今の状況なら!」

「分ってる心配すんな!それにハンズフリーだから手ぇ空いてるし、ッシャァァ!」

 こうやって話しながら敵だって倒すことできるんだからね! いや、皆が戦ってくれるようになったからできることだけど!

”やっぱ楽しそうですよ先輩!”

「んなわけねぇだろうが!過大評価されて、完全罰ゲームじゃねぇか!」

”でも、こんなこと頼めるのって先輩しかいなかったんですよ。凡人の英雄という姿をこの学校の生徒に見せ、皆にもなれるはずだと思ってもらう為には”

「強者、才能頼りの魔生物の駆逐、か?」

”僕は、化け物ですからね。生徒会は今回の事もそう、何かにつけて彼らは頼ってきました。小規模の物は生徒会で対応して貰っていましたけど……”

「それが仇となった。生徒会の連中は魔生物との戦闘経験がなまじあるから、ない奴を見下し、戦場に出すことをさせない」

”戦闘訓練をいくら積もうが実戦経験がなければ役に立たない。そういう事です”

 そういうことですじゃねぇよそういうことじゃ!俺がどんな思いして……

「あぶねぇ! 一年坊、そろそろお前の方が限界だろうが!そろそろ下がれ!」

「いやです!」

  とはいってもぉ!今俺が何とか襲ってきた敵を叩っ斬れたからいいものの、話しながらも気がそぞろになるんだからさ! 1年の女の子が最初に出張ってきたのは良いけど、そろそろ俺だって気が回らなくなってきたんだからさぁ。

「いやです! じゃねぇんだよ!戦場は好転した。お前は一度休め!体力戻ったら……」

「あぁ、それ。失言ってやつだから。君が最初から戦っていて引かないのに、彼女が引けるわけないでしょ」

「んなこと言ったってなぁ!」

”あ、やりますね先輩ハーレムってやつですか?”

「お前は通信きってほしいのかどっちなんだ」

 何度目かの無理です! 敵倒して、女子たちと連携して、通信して、マルチタスクにもほどがあるってのぉぉぉ!

「で、何でお前はいつもの女子二人を連れて行かなかった?」

”……彼女たちは天才であって化け物じゃない。”

「はぁ?」

”僕は友達があまりいません。僕が化け物だってことで生徒会が他の生徒に遠回しに忠告して交友を取らせないって事もそうだったんですけど……彼女たちが僕に友達をあまり作らせようとはしてくれませんでした。他が僕と釣り合わないって”

「そいつぁ」

”それって、たぶん彼女達も無意識的に僕を化け物として認識していた事、ですよね?”

 あぁもうヤダ! 悩みが増えた! この通信、美少女二人と共有しちゃってるのぉぉ。そして俺もなんて回答していいかわからないのぉぉぉ。

”そして、たぶん彼女達は僕の化け物じみた力に釣り合わせようと思ったからだと思うんです。でも本当は違う。本来の正しい戦い方を見せたかったんです。化け物として無茶し続けて一寸先は闇なんて戦い方じゃあない。一般的に将兵がいて、その下に優れたリーダーがいて、効率的に安全に、有効的に敵を排除する。今、先輩がやってるみたいに”

「今ぁっ……ってお前、どこかで見てやがったのかよ!」

「といっても、到着はたった今ですけどね!」

「のわぁぁぁぁ!」

 いつの間に、俺の隣に来やがったぁぁぁぁぁ!!

「大丈夫です。流しますよ先輩の功績を奪うわけにはいきませんから」

 あぁ、もういいや。もうどうにでもなれ。

「じゃあ、もう通信は切るぞ。二人とも!一人増えた!フォーマンセルだがフォーメーションは変わらない2トップΔ」

「「了解」」

 もう多分あれだよね、俺が何もしなくても君が適当にやってくれちゃうよねぇ。

「で、なんで凡人英雄のモデルが俺なんだ。他に俺なんかよりも強ーい奴はいっぱい居ただろう?」

「居ましたよ。でも、僕は先輩に英雄になってもらいたかったんです。先輩は僕が3回前の出動で深手を負って動けず、彼女達も気を失っている時に他の上級生が逃げる中、僕たちを守りながらも襲われている町の人々を救っていった。この時点で力だけ強くて緊急時に腰がひけるような上級生は、先輩の足元にも及びませんよ」

「おまえ、それは……」

「それに覚えていますか?2回前の騒ぎが収まった後、当たり前のようにあの力を行使した僕をあなたは叱った。どうして普通でいられるって。どうしてただの武器のように扱われて平然とできるのかって。」

「それはお前が兵器として扱われるなんてのはよぉ。お前は力を使って皆を守った。ならその評価は正当にだなぁ」

「それですよ。僕を人として扱ってくれたじゃないですか。本当、度胸ありますよね。あの時僕は先輩に殴られた。皆怖がって誰もしないのに」

 いんやぁ、すっごくいい話なのは分かる。だけどなんか目の前の光景が恐ろしすぎ。気楽に彼は話してるけど、目の前に現れた魔生物がことごとくシュレッダーかけられたように細切れにされていくぅぅぅ!!

「超大型は倒しました。本職は街にあふれる魔生物の駆除に当たっていますが、そろそろ学校にも到着するでしょう。そうすればこの騒ぎも落ち着きます。この事件で3年生から1年生までが戦闘経験を得た。この学校はもう大丈夫でしょう。守られるだけの存在じゃあもうない。そして、それを実現させたのは間違いなく先輩です。僕は、僕を人として認めてくれ先輩に、卒業前に偉大な英雄になって欲しかった」

「あぁ、もう本っ当に大変だったんだがな。クソッ! 無茶させやがったからお前にスタービングジャガーのハンバーグステーキ5皿はおごってもらおうと思ったのに……、やめだ!先輩に気ぃ使いやがって! 一人前おごってやる。それでチャラにしろ!」

「ハハッ、やっぱり僕は先輩が好きですよ。……先輩、僕は卒業して、貴方の下でなら働いてもいい」

「ハハッ! チート級が俺にくだるかよ。そんな戦力持った俺がチートになっちまうじゃねぇか。 るっせぇ! まだ俺は他人頼みするほどに歳食っちゃいねぇ。少なくとも後20年は自分の力でやっていくつもりなんだからな。学業も、仕事も全部俺のもんだ。ひとしきりは俺に頑張らせろ。んで、いつか俺が出世したら、その時お前に興味があったら声かけてやる」

「全く、先輩は素直じゃないなぁ。」

 ……じゃあ、もうそろそろ温存も必要ないよな。

 最後くらい、カッコ良く締めて行きたいじゃねぇか!

「全校生徒! テメェラ、気合い入れやがれ! この学校は俺たちが守るんだぁぁぁ」

 オォォォォォォ!

 あぁ、俺の一言に皆の気合が大気を震わせてる。気ん持ち良い~。ここまで大変な目にあったんだ。それくらいやったって、罰当たらないっしょ!
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