とある学者の魔法に関する考察

本編

資料内容④

5，魔力と生物
5.1，概要
本章では，人間を始めとする生物が魔力を扱うための能力について考察する．
そこで，魔力を扱うために必要な以下の能力について考察する．
  (能力1) 魔力を体内に蓄える能力
  (能力2) 魔力を生成する能力
  (能力3) 魔力を操作する能力
それぞれの能力について考察し，能力の優劣を測る基準を定義する．

5.2，(能力1)の考察
魔力を体内に蓄える能力，つまり体内に保有できる魔力の最大量について考察する．
考察の結果，この能力を測るために2つの基準を定義した．
まず，魔力は体内に蓄えられるため，当然，体の大きいものほど魔力を蓄えられる量は多いと考えられる．
そこで，これを身体魔力限界量とする．
身体魔力限界量は体の大きさに比例し，体積が大きいほど多い．
また，体を構成する物質の違いから，種族によって，単位体積あたりの限界量が異なると考えられる．
さらに，同種であっても，筋肉量や体脂肪率などの要因から差が生まれると考えられる．

しかし，ファンタジー作品において，必ずしも体の大きい生物が多くの魔力を持つとは限らない．
そこで，生物は魔力を圧縮し，体内に蓄えているのではないかと考える．
これにより，体の小さな生物も多くの魔力を蓄えることができる．
これを魔力圧縮力とする．
魔力圧縮力は個体によって異なり，高いほどより小さく魔力を圧縮できる．．
また，多くのファンタジー作品において，成長や修行によって，魔力の保有量が増える．
このため，魔力圧縮力は意図的に伸ばすことができると考える．

5.3，(能力2)の考察
魔力を生成する能力，つまり単位時間あたりに生成できる魔力の量について考察する．
考察の結果，この能力を測るために2つの基準を定義した．
まず，多くの魔力を生成するには，より多くの魔素が必要となる．
つまり，消費する魔素の量が多いほど，生成する魔力の量も多い．
そこで，単位時間あたりに消費する魔素の量を消費魔素量とする．
また，は魔素を大量に吸収し，魔素が体内に溜まりやすい．
このため，それを防ぐため，魔素の濃い場所に生息する生物は消費魔素量が多いと考える．

また，消費した魔素から同量の魔力が生成できるとは考えにくい．
当然，魔素を魔力に変換する際に多少のロスが出るはずである．
そこで，吸収した魔素に対する生成された魔力の割合を魔素変換効率とする．
魔素の薄い場所に生息する生物は少ない魔素からできるだけ多くの魔力を生成する必要がある．
このため，魔素の薄い場所に生息する生物は魔素変換効率が良いと考える．

5.4，(能力3)の考察
魔法を使うために必要な魔力を操作する能力ついて考察する．
考察の結果，この能力を測るために3つの基準を定義した．
まず，より強力な魔法を使うには一度により多くの魔力を操作する必要がある．
そして，魔法を使うには，体内で加工した魔力を放出する必要がある．
このため，魔法を使うために同時に操作できる魔力の量は一度に放出できる魔力の最大量である．
そこで，これを最大魔力放出量とする．
最大魔力放出量は一度に放出できる魔力の限界量であり，魔力の肺活量ともいえる．
この量が多いほど，高威力の魔法を使える．

また，魔法を使用する場合，魔力を操作し，加工することが重要になる．
そこで，魔力を正確に速く加工する力を基準とする．
そして，まず，魔力を正確に加工するということはより確実に魔法の発動が成功することだと考える．
このため，魔法を使用した際，魔法が正しく発動する割合を魔力操作精度とする．
魔力操作精度が高いほど，複雑な効果の魔法を使える．

一方，魔力を速く加工するということは魔力がより加工しやすいということである．
そして，魔力が加工しやすいということは魔力が柔軟であるということである．
そこで，この度合いを魔力柔軟性とする．
魔力柔軟性が高いほど，魔力を速く加工することができる．
このため，呪文を速く，または短縮して唱えることができる．

5.5，まとめ
本章では，生物が魔力を扱うための能力を測るため，以下の基準を定義した．
  (1) 身体魔力限界量
  (2) 魔力圧縮力
  (3) 消費魔素量
  (4) 魔素変換効率
  (5) 最大魔力放出量
  (6) 魔力操作精度
  (7) 魔力柔軟性
最後に，これらの基準の総称を魔力運用基準とする．
そして，魔力運用基準を基に個々の生物の魔力を扱う力を設定する．