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第248話 ゆったりと進む作業。お手伝いをするクマちゃん。
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こちらの防災頭巾ちゃんに紐を付けて下さいとお願いしたクマちゃんは、現在リオちゃんのお膝で彼のお手伝いをしている。
◇
『お兄さんここにつけるいい感じの紐が欲しいんだけど』
終わらない防災頭巾ちゃん作りに追われるリオは、高貴な雰囲気のお兄さんにお願いした。
彼の膝にお座りしている子猫のようなクマちゃんが、愛らしい声で「クマちゃ、クマちゃ……」と彼のあとに続く。
『お兄ちゃ、リオちゃ……』
お兄ちゃん、リオちゃんはいい紐が欲しいそうですよ……、という意味のようだ。
一緒にお願いをしてくれているのだろう。
「可愛いねークマちゃん」
リオは待っているあいだにもこもこを撫でまくった。
愛らしい我が子は「クマちゃ、クマちゃ」と喜んでいる。
横になったまま瞬きをしたお兄さんが闇色の球体を動かし、リオのもとに何かを落とす。
ヒラリ――と真っ白なものが、音を立てずにベッドの上のテーブルに舞い降りた。
きらめく糸で編まれた繊細な作り。
豪華で美しいレースのリボン――。贈り物にぴったり――。
「いやお兄さん確かにめっちゃ良い感じだけどそういうんじゃなくて」
『可愛いけど……』贈り物が気に入らない彼女のようなことを思った彼は、すぐに空気を読むのが苦手な高位な存在へそれを返そうとした。
『違うのがいいんだけど』と。
膝のうえのクマちゃんが「クマちゃ、クマちゃ……」と彼のあとに続く。
『お兄ちゃ、めちゃ……』
お兄ちゃ、めちゃなの……、という意味のようだ。
早くて聞き取れなかったのだろう。
可愛い――。
新米ママリオちゃんの胸に熱いものが込み上げた。
「クマちゃんめっちゃ可愛いねー。何言ってんのか分かんないけど」
リオは可愛い我が子をつい撫でまくってしまった。
もこもこが「クマちゃ、クマちゃ」と喜んでいる。
彼は幸せな気持ちで「可愛い」と笑い、気付く。
お兄さんから返事が無い。
円形祭壇風魔法陣ベッドの上。
赤いシーツの広がるベッドに横たわる美麗なお兄さんは、みぞおちのあたりでゆるく両手を組み、瞳を閉じている。
よろず屋お兄さんの営業は終了したようだ。
「寝るの早いんだけど」
リオは少しだけ寂しそうに呟いた。
まさかこのリボンでやれというのか――。
お兄さんは彼にレースのリボンを渡してすぐに寝てしまったらしい。
いつも寝ているように見えるが、ゴリラちゃんのほうで動いてるのだろうか。
これをクッションに括りつけるのは非常にもったいないような気がする。
だが他に紐があるわけでもない。
リオは自身の作品にそれを当て「え、これ穴あいてんじゃん」レース界にも波紋を投じた。
「レースやべー。全部あな」針を刺しつつ失礼な発言を繰り返し、クッションとレースをまとめて駄目にしていく。
クマちゃんはテーブルから垂れさがる綺麗なレースのリボンをハッと見た。
揺れている。
なんだかとても気になる。
気になってしまったクマちゃんはシュッ! と肉球を出した。
「すげー縫いにくい。つーか俺なんでクッションにレースつけてんだっけ」
リオが現実から逃げ、クッション、クッション、豪華なレース――と己が針と糸でつなげてしまった軌跡を見つめていると、テーブルにのせられている作品がシュッ! と手前にずれた。
「なに?! なんで動いたの?!」
素早く押さえたリオは、大事な手芸作品をけだものに奪われかけたひとのような声で叫んだ。
――刺さっていた針は、けだものが怪我をしないようすぐに抜いた。
彼が魂に刻み込まれた動きで自身の膝を見ると、リオの連結作品から垂れさがる美しいレースに、白いけだものがぶら下がっている。
けものは興奮しているらしい。
ふんふんふんふんふんふん――。
聞き覚えのある音だ。
リオはもこもこ付きの豪華なレースからもこもこを外し『メッ!』と叱った。
「もークマちゃん引っ張ったら付けれないじゃん」
「穴広がったんじゃね?」細かいことを気にしつつ、作業を再開する。
「クマちゃ……」
「いやヒモ透けてんのはクマちゃんのせいじゃなくてレースのせいだから」
子猫のようなクマちゃんが肉球でシュッ! と揺れるレースを叩き、リオがふたたび「俺なんでクッションにレースつけてんだっけ……」心と記憶の扉を閉める。
記憶を失いやすいリオが魔王の祭壇から垂れ下がるバナナの葉を「俺なんでここにいるんだっけ……」と無意味に見つめる時間をはさみつつ、穴広がりレース付き連結クッションは完成した。
◇
『お兄さんここにつけるいい感じの紐が欲しいんだけど』
終わらない防災頭巾ちゃん作りに追われるリオは、高貴な雰囲気のお兄さんにお願いした。
彼の膝にお座りしている子猫のようなクマちゃんが、愛らしい声で「クマちゃ、クマちゃ……」と彼のあとに続く。
『お兄ちゃ、リオちゃ……』
お兄ちゃん、リオちゃんはいい紐が欲しいそうですよ……、という意味のようだ。
一緒にお願いをしてくれているのだろう。
「可愛いねークマちゃん」
リオは待っているあいだにもこもこを撫でまくった。
愛らしい我が子は「クマちゃ、クマちゃ」と喜んでいる。
横になったまま瞬きをしたお兄さんが闇色の球体を動かし、リオのもとに何かを落とす。
ヒラリ――と真っ白なものが、音を立てずにベッドの上のテーブルに舞い降りた。
きらめく糸で編まれた繊細な作り。
豪華で美しいレースのリボン――。贈り物にぴったり――。
「いやお兄さん確かにめっちゃ良い感じだけどそういうんじゃなくて」
『可愛いけど……』贈り物が気に入らない彼女のようなことを思った彼は、すぐに空気を読むのが苦手な高位な存在へそれを返そうとした。
『違うのがいいんだけど』と。
膝のうえのクマちゃんが「クマちゃ、クマちゃ……」と彼のあとに続く。
『お兄ちゃ、めちゃ……』
お兄ちゃ、めちゃなの……、という意味のようだ。
早くて聞き取れなかったのだろう。
可愛い――。
新米ママリオちゃんの胸に熱いものが込み上げた。
「クマちゃんめっちゃ可愛いねー。何言ってんのか分かんないけど」
リオは可愛い我が子をつい撫でまくってしまった。
もこもこが「クマちゃ、クマちゃ」と喜んでいる。
彼は幸せな気持ちで「可愛い」と笑い、気付く。
お兄さんから返事が無い。
円形祭壇風魔法陣ベッドの上。
赤いシーツの広がるベッドに横たわる美麗なお兄さんは、みぞおちのあたりでゆるく両手を組み、瞳を閉じている。
よろず屋お兄さんの営業は終了したようだ。
「寝るの早いんだけど」
リオは少しだけ寂しそうに呟いた。
まさかこのリボンでやれというのか――。
お兄さんは彼にレースのリボンを渡してすぐに寝てしまったらしい。
いつも寝ているように見えるが、ゴリラちゃんのほうで動いてるのだろうか。
これをクッションに括りつけるのは非常にもったいないような気がする。
だが他に紐があるわけでもない。
リオは自身の作品にそれを当て「え、これ穴あいてんじゃん」レース界にも波紋を投じた。
「レースやべー。全部あな」針を刺しつつ失礼な発言を繰り返し、クッションとレースをまとめて駄目にしていく。
クマちゃんはテーブルから垂れさがる綺麗なレースのリボンをハッと見た。
揺れている。
なんだかとても気になる。
気になってしまったクマちゃんはシュッ! と肉球を出した。
「すげー縫いにくい。つーか俺なんでクッションにレースつけてんだっけ」
リオが現実から逃げ、クッション、クッション、豪華なレース――と己が針と糸でつなげてしまった軌跡を見つめていると、テーブルにのせられている作品がシュッ! と手前にずれた。
「なに?! なんで動いたの?!」
素早く押さえたリオは、大事な手芸作品をけだものに奪われかけたひとのような声で叫んだ。
――刺さっていた針は、けだものが怪我をしないようすぐに抜いた。
彼が魂に刻み込まれた動きで自身の膝を見ると、リオの連結作品から垂れさがる美しいレースに、白いけだものがぶら下がっている。
けものは興奮しているらしい。
ふんふんふんふんふんふん――。
聞き覚えのある音だ。
リオはもこもこ付きの豪華なレースからもこもこを外し『メッ!』と叱った。
「もークマちゃん引っ張ったら付けれないじゃん」
「穴広がったんじゃね?」細かいことを気にしつつ、作業を再開する。
「クマちゃ……」
「いやヒモ透けてんのはクマちゃんのせいじゃなくてレースのせいだから」
子猫のようなクマちゃんが肉球でシュッ! と揺れるレースを叩き、リオがふたたび「俺なんでクッションにレースつけてんだっけ……」心と記憶の扉を閉める。
記憶を失いやすいリオが魔王の祭壇から垂れ下がるバナナの葉を「俺なんでここにいるんだっけ……」と無意味に見つめる時間をはさみつつ、穴広がりレース付き連結クッションは完成した。
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