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五話
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ずり上がったブラウスにスカート。足首まで落ちたパンツに短パンという格好で背中を弓なりに反らすカヤを膝で抱き、対称的に一糸乱れぬ服装でありながら、やはりナナコも感じ、自身の奥からタラタラと流れ出た液で下着を汚す熱くいやらしいぬめりに気付いていたのだった。
「死んじゃなさい」
呟いた言葉は、狂い泣くカヤには届かない。
「イッタことないって言ってたでしょ? カヤ……私がイカせてあげる。イクってね、死ぬのに似てるんだって……ちっちゃな死って言うんだって……」
「ナナコォ! ぃ……ぁ……ほんとに、ほんとに……しんじゃうぅ……」
「いいよ。カヤを殺したいの……私!」
そして、3本目の指を一気に深く深くねじこみ中で握り締めた。
指はカヤの子宮に届かんばかりに突き刺さり、親指は無毛の恥丘に、小指は白い尻の割れ目に、紅い爪痕を刻み。残りの3本は肉壁を掻き乱した。
ピクン、ピクンと痙攣する少女の中で強く締めつけられながら、ナナコは恍惚の表情を浮かべながら、無骨なコンクリートの天上を見上げていた。
「……ぁ……ぁ」
2人が同時に熱い息を吐いて脱力したとき、少女達の繋がりはほどけ、腫れ上がった恥裂からは、タラタラと桜色の愛液が流れ落ちて、乾いたスノコに吸い込まれ暗色のシミを作る。
夏を待つコンクリートの箱は、少女2人の汗の匂いと荒い息遣いを包み込み……あと数分で、いつものチャイムの音を聞く。
☆
「はいっ」
教室に向かうため体育館の脇を急ぎながら、ナナコはカヤの手にデオドラントスプレーを手渡した。
「ありがと……待ってよ、走れないよォ」
「じゃあ先行っちゃうよ? うちの担任アレだし」
「あいつでしょ。最悪」
「ホントに最悪なんだから。いそがなきゃ」
「でも……脚がカクカクして……」
「……もう」
差し出された手のひらを、カヤはぎゅっと握った……途端に強く引かれ、バランスを崩してナナコの胸の中へ。
「ぅあっ、ゴメン」
「……」
「ぇ? なに?」
小声で囁かれた言葉を聞き取ろうと、顔を寄せると頬に優しい口づけをされる。
「……っ!? ぁあ……っ!」
慌てて四方に視線を走らせ身体を離そうとするカヤを、ナナコは両腕でぎゅっと抱きしめた。
「見られても、べつにいいじゃない」
「だって……」
「さっきはイッタ?」
「……」
「ねぇ?」
「わかんない……でも、ほんとに死ぬかと思ったもん。死んだかと思った。ナナコ、『殺したい』とか言ったでしょ? 聞こえたんだから……」
「あれは……嘘」
じっと見詰め合い、やがて頬を染めてうつむいたのはカヤのほう。
「ナナコになら……殺されてもいいけどね……」
そんな言葉も、ナナコはいつもの微笑みであっさりと受けとめてしまう。
「ありがと」
「ほんとだよ?」
「わかってる。でも殺さない……私、友達いなくなっちゃうし」
友達。その微笑みを、カヤはじっと見た。
噂で聞いていた人形のような女の子はそこにはいない。
大人っぽいけれど……でも、おんなじ子供っぽい笑顔。
「……」
無言で微笑み返した。
2人とも、笑っていた。
ちらちらと桜の花びらが舞い、2人してにこやかにそっちを振り向いたら、花びらの向こうに校舎の時計が見えた。
「……!」
青冷めた2人は走り出す。
足元で花びらが踊る。
手をつなごう。
2人ならば、向かっていける。
あの退屈な……教室にも。
「死んじゃなさい」
呟いた言葉は、狂い泣くカヤには届かない。
「イッタことないって言ってたでしょ? カヤ……私がイカせてあげる。イクってね、死ぬのに似てるんだって……ちっちゃな死って言うんだって……」
「ナナコォ! ぃ……ぁ……ほんとに、ほんとに……しんじゃうぅ……」
「いいよ。カヤを殺したいの……私!」
そして、3本目の指を一気に深く深くねじこみ中で握り締めた。
指はカヤの子宮に届かんばかりに突き刺さり、親指は無毛の恥丘に、小指は白い尻の割れ目に、紅い爪痕を刻み。残りの3本は肉壁を掻き乱した。
ピクン、ピクンと痙攣する少女の中で強く締めつけられながら、ナナコは恍惚の表情を浮かべながら、無骨なコンクリートの天上を見上げていた。
「……ぁ……ぁ」
2人が同時に熱い息を吐いて脱力したとき、少女達の繋がりはほどけ、腫れ上がった恥裂からは、タラタラと桜色の愛液が流れ落ちて、乾いたスノコに吸い込まれ暗色のシミを作る。
夏を待つコンクリートの箱は、少女2人の汗の匂いと荒い息遣いを包み込み……あと数分で、いつものチャイムの音を聞く。
☆
「はいっ」
教室に向かうため体育館の脇を急ぎながら、ナナコはカヤの手にデオドラントスプレーを手渡した。
「ありがと……待ってよ、走れないよォ」
「じゃあ先行っちゃうよ? うちの担任アレだし」
「あいつでしょ。最悪」
「ホントに最悪なんだから。いそがなきゃ」
「でも……脚がカクカクして……」
「……もう」
差し出された手のひらを、カヤはぎゅっと握った……途端に強く引かれ、バランスを崩してナナコの胸の中へ。
「ぅあっ、ゴメン」
「……」
「ぇ? なに?」
小声で囁かれた言葉を聞き取ろうと、顔を寄せると頬に優しい口づけをされる。
「……っ!? ぁあ……っ!」
慌てて四方に視線を走らせ身体を離そうとするカヤを、ナナコは両腕でぎゅっと抱きしめた。
「見られても、べつにいいじゃない」
「だって……」
「さっきはイッタ?」
「……」
「ねぇ?」
「わかんない……でも、ほんとに死ぬかと思ったもん。死んだかと思った。ナナコ、『殺したい』とか言ったでしょ? 聞こえたんだから……」
「あれは……嘘」
じっと見詰め合い、やがて頬を染めてうつむいたのはカヤのほう。
「ナナコになら……殺されてもいいけどね……」
そんな言葉も、ナナコはいつもの微笑みであっさりと受けとめてしまう。
「ありがと」
「ほんとだよ?」
「わかってる。でも殺さない……私、友達いなくなっちゃうし」
友達。その微笑みを、カヤはじっと見た。
噂で聞いていた人形のような女の子はそこにはいない。
大人っぽいけれど……でも、おんなじ子供っぽい笑顔。
「……」
無言で微笑み返した。
2人とも、笑っていた。
ちらちらと桜の花びらが舞い、2人してにこやかにそっちを振り向いたら、花びらの向こうに校舎の時計が見えた。
「……!」
青冷めた2人は走り出す。
足元で花びらが踊る。
手をつなごう。
2人ならば、向かっていける。
あの退屈な……教室にも。
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