冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

文字の大きさ
32 / 173
異世界の人族の神

冥王、異世界にて初の合戦に望む。

しおりを挟む
 高く分厚い壁が街を囲む城塞都市ローフェン。そこから離れた拡がる大平原。
 そこには五つ天幕があり、その一つ中心に大きな天幕が建っているその中、膝まつき頭を下げる一人の兵士が、向かいにいる者に発言を許される。

「王よ。 面会を求める者が。 どう致しますか?」
「こんな緊急事態に面会だと? なんだそいつらは!まぁ通せ」
「はっ」

 縁取りを金色で装飾され、左腕には緑色の布が巻かれ、ランドベルクの国旗が胸当て全体的に描かれた汚れのない銀色の鎧を纏ったランドベルク王は、金髪の頭部を掻きながら現状に苛ついているのか、肘掛に指を打ち付け足を組んで豪華な椅子に座っている。

「王よ。 久しぶりという日数は経ってないが、久しぶりだな」
「おお、ヒロックアクツのコベソとトンド。 何故ココに?」
「何故とは知っておるのだろ?」
「これはすまん。 カツオフィレに捕まったと聞いたぞ。 よくぞ無事だったな。 まさか我らが勇者ユカリを筆頭に世界を統一するだとか、エウラロノース様の許しも無く魔王を討伐する勇者を戦争の道具にしたとか、こちらに全く意も無い文面が送り付けられ、直ぐに攻めて来たと思いきや対峙する寸前で逃走を計るしからな」
「だが、魔族が攻めてきた」
「そうだ。 奴らが逃げなかったらカツオフィレ軍と魔族の挟み撃ちに合っていた。 これは運が良かったのか……。 いや良くないな。 戦争はしない方が良いからな。 ――――で、どうしてこの場所にきた? アテルレナスに向かうのがお主らへ話たさずだ」
「それが……」

 立って話しているコベソとトンドの後ろから中に入るユカリが、一礼して膝をつく。

「立ってくれ。 勇者ユカリよ」
「いえ、コベソさんとトンドさん。 戦争を止めようと私の無理を聞いてくださって、そして近くで魔族と戦争をするランドベルク軍の話を耳に入れ、協力しようとしに参りました」
「――――勇者は魔王討伐するのが最終目的な筈、そして魔王誕生によって活性化した魔族から人族を守るの勇者。 だが……」
「それも私の、だからこの場所に駆けつけました」
「うむ、――――だがなぁ」

 足を広げ肘掛に少しもたれるランドベルク王は、ユカリを凝視した後コベソに尋ねる。

「武器や防具は変わったと分かるが――――レベルは上がったという事だなコベソよ?」
「ええ、多少なりとも」
「多少? 我ら軍が対峙する魔族、その軍の奥にいるあの禍々しいオーラを発するアイツが魔王なら、勇者はあるべきレベルを達した事になるが、どうなのだ?」
「伝承とは違い、勇者ユカリのレベルはまだそこまでには……」
「この場所に【鑑識眼】を使える者は今、戦場にいる我が国の聖女のみ。 ――――もしレベルが達してなかったら引き返しアテルレナスに向かって貰うぞ」
「ですが!!」
「勇者ユカリっ!! 我々人族は、勇者を失う訳にはいかないのだ。 ここで奴らを食い止めたとしても君が死ねば多くの人族が亡くなるのだ」

 ランドベルクは、席を立ち上がり仁王立ちにてユカリに真剣な眼差しを向ける。

「そして、いつどこで勇者召喚されるか分からない。 その時はこのランドベルクは無くなっているかもしれないのだ、その命を粗末にするな! そして強くなってより多くの人族を救え。 それが我らの本望であり、神エウラロノース様の教えでもある」

 そう残しランドベルク王は、この天幕から出てると、日を浴びて少し背伸びをしその後コベソとトンドにユカリも出て日差しを遮るように手をかざしている。
 ふとランドベルク王と目が合う俺は、ペルセポネと一緒に乗っ来ていた馬車に寄りかかって休んでいると、ランドベルク王は俺らを見た後、コベソを呼ぶ。

「コベソ、あの者は誰だ?」
「あの二人は、我らの護衛の者です」
「所でだ、四人はどうした?」
「あの四人は、捕まった時カツオフィレに寝返り、勇者ユカリを殺害を目論見それをあの二人が食い止めました」
「……あの四人、人族を仇する者だったと言う訳だな。 カツオフィレも」
「そうです」
「それより、あの四人。 我が軍でも少々腕の立つ者だったがそれを食い止めたと言うとなると……。 あの二人も連れて来い」

 マントを翻し歩み進めるランドベルク王の先には、四輪の荷車に祭壇の様な装飾が施されソコに一人の白い服を着た女性が、腕を広げたり前にかざしたりし、言葉を発しているが俺には聞こえなかったが、トンドがそれを見て口を漏らす。

「ありゃ山車だな」
「トンド、あれこっちで『フロート』と言うらしいぞ」
「『フロート』それ英語じゃないか?」
「もしかしたら、昔やってきた俺らと同じ者が作ったのか……とかな」
「えっ?」
「どうした、ユカリ?」

 ユカリは、コベソとトンドの会話を聞いていたがその内容に驚き、大きな声を出してしまう。
 そして、その声に先頭を進むランドベルク王も驚き振り返るとコベソとトンドも、慌てふためいて小刻みに指をフロートと呼ばれる山車を指し、ユカリは口を塞ぐ。

「そうか、フロートが珍しいのか」

 納得するランドベルク王に、ほっと一息つく三人は、その会話を止め黙々とランドベルク王に付き進んでいく。
 目と鼻の先に山車はある為、王を守る舞台も同時に進行し、聖女を囲む騎兵隊及び歩兵隊と合流すると、少し額から汗をかくも清々しいそうな笑顔と空のような青色の髪を靡かせて、近づく俺らに気づいくと少し深呼吸をした後落ち着き、ゆっくりとフロートに付いた階段を降りこちらにやってくる。
 俺とペルセポネは、コベソ達から少し離れて現状を眺めているが、如何にも中世的な戦争を見て異世界なのに普通だなぁと俺は、口を手で塞ぎ声を出さずに欠伸をする。だが、目を凝らし見ていると聖女の周りとは違う所に、魔法使いと分かる格好をした部隊が火の矢を放っているのが見え、関心を持っていると、聖女とランドベルク王の声が耳に入る。

「戦況はどうだ?」
「前衛に五千の兵は、魔族とぶつかり均衡状態。 こちらの重装歩兵と軽装歩兵で魔族を倒してはいるけど、魔族もそれなりの武器や防具を持っていて中々倒せず、中衛の弓兵隊の攻撃も、魔法部隊も動いてはいるけど、このままでは長期戦になるわ」
「それは不味いな」
「ええ、あら勇者ユカリじゃない?」
「聖女様、久しぶ……」

 聖女の目が微かに青く光ると、数回瞬きをした後ギョッとし目を見張る。

「貴女、そのレベル……。 えっ? 魔族が攻める。 魔王……って、ユカリのレベル……」
「おい、そんなになのか?」
「もしかして……高いと思ってる?」

 聖女の顔色を見たランドベルク王は、そのままコベソの両肩を鷲掴みし揺らしながら問いただしている。

「まさか、まさか!!」

 王の凝視しから、背けるコベソだが逃がすまいと更に力強く両肩を掴むと、再び聖女に顔を合わせる。

「で、勇者のレベルは幾つだ?」
「……19」
「じゅ……きぃゅう……だと? 魔王の出現30半ばだと言うのに……19だと。 どういうつもりだ」
「うっ、どういう……つもりだ……と言われても」
「アテルレナスに向かえと言って於いただろ」
「向かっ……てもこの……状況は」

 怒りが収まらないランドベルク王は、八つ当たりをコベソに向けいるのはここに居る全員分かるが、ランドベルク王とコベソの間にユカリが、身を呈して入り込む。

「私が、ここに来たいと、わがまま言って」
「……」
「勇者を、ユカリを入れたら変わるかも……」
「どういう事だ、聖女よ?」
「勇者としてのスキル【神意を授かる者】は対魔族にも有効。 それが我が軍に有利に働くかも」
「うむ、それも一理あるが……。 勇者を死なせてしまっては人族に損害与えるのでは?」
「そうですが、この均衡状態を打破し、我が軍の勝利か魔族の撤退すれば、より人族の為になるのかと」

 いつの間にかコベソから手を離し、聖女からの言葉に頭を悩ませているランドベルク王だが、今まで掴まされ揺らされていたコベソは、少し離れた所で様子を見している。

「なら、勇者ユカリよ、我が軍の数名を同行させる。 前衛部隊で指揮をしているガランツの元に向かってくれ」

 手を上げると、数名の文官が動き出し同行させる者を連れてくる様子だ。
 しかし、王の背後から一人の騎士が馬から降りて、膝まつく。

「どうした?」
「だ、ガランツ様率いる中央前衛部隊!」
「ガランツが、どうしたのだ?」
「全滅です!!」
「はっ? 我が軍……隊長……ガランツだぞ」

 ランドベルク王と聖女は、一人の騎士の言葉を聞き入れられず目を見開き固まっている。
 すると、聖女は血相を変えてフロートの階段を駆け登り前衛のいる前方へ手をかざすが、直ぐに両手を手摺に置くと溜息を漏らし膝を床に下ろししまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...