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異世界の人族の神
冥王、異世界の魔族と出会い殺す。
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ランドベルク軍隊長ガランツの死と、前衛中央の崩壊を聞かされ、祭壇のような山車であるフロートの上で手を動かし状況を確認する聖女も悟ったのか手で顔を隠す。
それを見たランドベルク王も頭を抱え悩みにふける。
「ど、兎に角。 左右の兵を割って中央に向かわせるんだ」
その前衛の中央に一つだけ黒いオーラが立ち上り、それがゆっくりと近づいて来ているのが、見てわかる。
黒いオーラに焦点を合わせ目を青く光らせ【鑑識眼】を使う聖女と俺達と共にいるコベソやトンドは、目を見張り同時に口にする。
「「「魔王……」」」
「おい、それは本当か?」
「いっ、痛い……」
「すまん」
「それよりも、早めの判断を」
「……撤退だ!!」
聖女の肩を掴んだ手を離すランドベルク王は、振り返りコベソの方をチラッと見た後、すぐに側近にいた兵を呼び各部隊に指示をだしている。
――――聖女が伝令役も担ってたかと。
魔王の存在に焦りランドベルク王は、再び辺りを見渡すしながらコベソに迫る。
「勇者ユカリは? どこだ?」
「王よ。 ユカリは、あそこで……」
コベソの指を指す方向を見つめるランドベルク王は、戦場の中を駆け抜け魔王に向かうユカリをただ眺めもどかしそうな顔をしているのが見えた。
――――その少し前、服は破れ、甲冑は壊れ、顔も真っ青な騎士が馬から降り早々にランドベルク王に近づき話し始める最中、俺とペルセポネは、その騎士を見て戦況の悪さを理解し、騎士からの話を聞き愕然とするランドベルク王と聖女。その近くにいたコベソを呼ぶとユカリも着いてくる。
「聞きたい事がある。 魔族を倒してもレベル上がるのか?」
「ハーデスさん?」
「コベソ早くして」
「姉さん。 やった事なんてないが上がるらしい。 確証は無し」
「……そうか。 それなら、ユカリ行くぞ」
「えっ?」
「――――私とハーデスが、魔族を瀕死にしちゃうから。 そこでユカリは、転がる魔族に止めを刺す」
ペルセポネの言葉に頷き拳を握るユカリ。
「俺は、ここで突っ立っているよりもだ。 ――――魔族ってどんなのか見てみたい」
「め、ハーデス。 本音漏れてる……。 けど私も魔族もだけど魔族の魔石欲しい……。 それにユカリもレベル上がれば、私の魔石と一石二鳥じゃん」
「でもだ。 ハーデスさん、姉さん。 あの神に見られたら、目付けられてしまうんでは? しかも、よし魔王倒したりして、あの女の神が現れたら、それこそどうするんですか?」
コベソの言葉に手を腰に当て胸を張るペルセポネは、トンドを呼ぶと、そのトンドの手には一つの巾着を軽々しく持ち、それをペルセポネの手に納める。
「それね。 トンドが、まだ、あの女の臭い対策の薬出来てないから。 これ作って貰った」
「それは、ガスマスク?」
鼻から顎まで包み吸気口が左右にある黒いタイプのマスクを手で自慢する様にペルセポネは、コベソに見せている。
あっけらかんとするコベソを横にトンドが、ユカリに茶色のポーチを渡していた。
「傷や体力など回復するポーションだ。 少ないから大事に使えよ」
「ありがとうございます」
頭を抱えるランドベルク王を横に、俺とペルセポネは、武器を持ち黒いオーラが発生している中央の前衛部隊が後退する中、後衛を守備する弓兵や魔術部隊脇に駆け抜けていく、その俺らに着いてくるユカリも距離を離れず駆けている。
弓兵の部隊を横目に通り過ぎる俺達は、ランドベルク王に似た甲冑を着け、マントを翻し馬に跨りながら指示をだしている騎士と目が合う。
前衛部隊が後退援護をしているが、この弓兵部隊も矢を放って魔族を牽制しつつ後退しているようだ。
そして、見えてくる多くの人族の群れ。
ゴツゴツした全身覆った西洋甲冑の者は大きな盾を持ち敵を引寄せ剣や槍で攻撃をする重装歩兵。鎖帷子の上に布を着て頭部だけ覆った兜を被り、重装歩兵が引き寄せた魔族を囲んで攻撃する軽装歩兵、連携を活かして魔族を倒しているんだが、それでも人族の兵士の死体が、沢山転がっている。
――――第一村人、もとい第一魔族発見。俺が見たかった異世界の一つである魔族という種族の人。
魔族は、見た目は褐色肌で瞳の色が赤や黄に、少し耳がとんがっていて髪の色も様々である。そして、魔族と同じくらいの人族が重装備もしている者も入れば胸当てなど軽い装備をし参戦している。
――――魔族、人族とは違う形容だが、そんなに殺し合いが好きなのか、魔王の影響で凶暴化していたりしてな。
ユカリの叫んでいる声で、俺とペルセポネは振り向く。
「ハーデスさん、ペルセポネさんっ! そっちじゃ!?」
「魔族を殺るんだ。 左側のヤツらから崩す」
「そう。ユカリ! じゃんじゃんトドメ刺しちゃって」
このざわめく戦争の中、大きな声で叫ぶ俺とペルセポネの後を、少し躊躇し遅くなるユカリだが、そんな状況でも魔族は待ってくれないし、既に目の前に魔族が三体、ニヤニヤしながら俺たちに武器を向ける。
魔族三体の脇を俺とペルセポネは、走り去って行くが、倒されるはずの魔族が立っている事に驚くユカリは、急に足を止めよろけながら剣をとる、魔族達は、不気味な笑みを含み、ユカリの行く手を遮る。
「キィエッエッエェ。 取り残されたなぁ人族の女ァ」
「オイ! なんだこりゃぁ」
「うっ嘘だろぉっ。 じ、地面がぁぁ……。 ナナメってるゾ」
「バカ言えぇ! えっ? お、急に真っ暗……ぁ?」
「喉元ズバッと、トドメ! ユカリ!」
「……」
ユカリの目の前にいた魔族は、ユカリに近づこうとすると次々に四肢に亀裂が入り切断されていく。
ペルセポネの手には二本の剣を、俺はハルバードを持ち走り抜けている。
――――練習がてら斬って見たのだが、上手く行ったな。
魔族は、首から少しづつ赤い血が止まらず流れ、地面が赤く染る。
「ナ、なんじゃァ!!」
状況を判断したのか、俺たちの攻撃を既に受けていたにも関わらずそれに気付かない愚かな魔族三体は、苦痛を叫び唄いかけてくる。転がる魔族を見下ろすユカリは、魔族の首の中心をずらすこと無く正確に剣を突き刺し次々に息の根を確実に止めていた。
最初の三体を刺し終える頃には、既にペルセポネやハーデスの姿はユカリより遠くに、魔族の死体が、所狭しと倒れユカリは、目を見開き少し溜息を吐いている。
――――やたらとくるな。魔族はそんなに戦闘狂なのか?
餌に飛びつくハイエナの表情に見える魔族は、武器を振り回し、意気揚々と俺の存在に気付くと武器を持ち直して攻めてくる。
「キャッギャア」
「ギャァッギャァ」
魔族の狂気の声が響き渡るこの戦場で、俺達が潜り込んだ左側のエリア、多くの兵士が馬に跨った一人のランドベルク王が着ている甲冑に似た鎧を纏い、そして左側に緑色の布が巻かれている騎士を身を呈して庇いつつ魔族の追撃を防いでいる。
取り囲んでいた魔族を倒すと、緑色の布を巻いている者は、目をキリッとさせ口髭を生やしていて「すまぬ」と言い残しこの場を去っていく。
――――あれは貴族なのか、中央にいた前衛部隊の方に向かっているな。
魔族と争っていたランドベルク軍の重装歩兵や軽装歩兵は、目の前に魔族かいなくなると倒れた魔族を無視し、時には踏みつけながら中央の部隊の援護に向かっている。
「これなら一層殺した方が手っ取り早いんだが」
「私だってそっちが楽だけどダメでしょ。 勇者が魔王倒さないとアイツが出てこないんじゃない?」
「でも、何体か殺してしまったけど」
「私だって……」
俺は、ハルバードを大振りせずに上手く動かし魔族の手足を切り落とすが、時々首を落としたり、相手が動く為か、誤って胴体を真っ二つにしてしまう時があった、その時は少し――――ユカリの経験値がぁっと焦るが、すぐに気にも掛けずにやってくる魔族がを瀕死状態の身動き取れない魔族へ量産し地面に転がしている。そして背中の方から呻く声が聞こえていた。
ペルセポネも、やたらと二本の剣をまるで白鳥が翼を自在に翻すように鮮やかな動きをして、地面に転がり出す魔族。
「人間がァ!! オレサマの手で死ねぇぇっ! えっ!?」
その大声と共にやってくる一人の魔族が大剣を肩に担ぎこの俺を舐め腐ってくる目と顔をし威圧してくる。その大剣の魔族は、俺の後ろにある多数の苦しむ掠れた声を出す胴体と頭しか繋がっていない瀕死状態の魔族を見て青ざめている。しかしそれを見ても憤慨し怒りを顕にする。
「おっオぉ。 そこいらのヤツと一緒にするなよ!!」
大剣を両手で持ち構えながら俺との間合いを保つ魔族が額に汗を浮かび上がらせ、威勢の良い声が次第に枯れてむせている。
「ちっ、ちくしょぉぉぉ」
おおきく振りかぶって振り回す大剣とそれを持つ腕が、空高く舞い上がり地面に突き刺さり腕が落ちると絶叫の声を上げる魔族。
俺はハルバードの鋭い刃を魔族の脇を狙い腕を切り落とした後脚を落とし、胴体を蹴り倒し、目の前に現れたこの魔族もまた地面に転がる瀕死の魔族の仲間入りになった。
そんな魔族が、数える事さえ面倒くさくなるほど転がってそれにトドメ刺すユカリは、額の汗を腕で脱ぐながら地面に向かって、魔族の首元を通して剣を突き刺す動きをしている。
あらかた立っている魔族の姿は、俺の目から見るとしたらかなり遠くにいる魔族だ。
俺とペルセポネにユカリは、少し休憩をとっているが、直ぐに武器を振るえるように武器から手を離して無い。
「ユカリ。体力とか大丈夫か?」
「あっ、はい……これ飲んでいるんで大丈夫だと」
「トンドから貰った回復の」
「ふぅ、はー。 はい」
疲れが目立っているように見えるユカリは、ひたすら魔族の首元にトドメ刺しては近くの魔族にまたトドメさす、その作業に少しやつれていそうだ。
ランドベルクの重装歩兵や軽装歩兵の人は、ここには居なく既に後退もしくは中央前衛に合流しいる。
ペルセポネは、空を何度も何度も見上げては、首を傾げている。
「ペルセポネ。 どうした? 空見て」
「あぁ、ええ。 なんか視線が感じて……」
「うん? 何も無いじゃないか。 雲もない快晴だ
し気の所為だろ?」
「だけど……よっ」
ペルセポネは、瀕死になって地面に転がる魔族の剣を手に取るとそのまま振りかぶって見詰めていた空に向け投げるが、その剣の軌道は、山のような弧を描き、勢いよくそのまま地面に突き刺さる。
「なにしてる?」
「あの辺りから気になる」
「何も無いだろ?」
「……」
だが、中央部隊の方は、黒いオーラとともに砂埃が立ち込めていた。
それを見たランドベルク王も頭を抱え悩みにふける。
「ど、兎に角。 左右の兵を割って中央に向かわせるんだ」
その前衛の中央に一つだけ黒いオーラが立ち上り、それがゆっくりと近づいて来ているのが、見てわかる。
黒いオーラに焦点を合わせ目を青く光らせ【鑑識眼】を使う聖女と俺達と共にいるコベソやトンドは、目を見張り同時に口にする。
「「「魔王……」」」
「おい、それは本当か?」
「いっ、痛い……」
「すまん」
「それよりも、早めの判断を」
「……撤退だ!!」
聖女の肩を掴んだ手を離すランドベルク王は、振り返りコベソの方をチラッと見た後、すぐに側近にいた兵を呼び各部隊に指示をだしている。
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魔王の存在に焦りランドベルク王は、再び辺りを見渡すしながらコベソに迫る。
「勇者ユカリは? どこだ?」
「王よ。 ユカリは、あそこで……」
コベソの指を指す方向を見つめるランドベルク王は、戦場の中を駆け抜け魔王に向かうユカリをただ眺めもどかしそうな顔をしているのが見えた。
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「聞きたい事がある。 魔族を倒してもレベル上がるのか?」
「ハーデスさん?」
「コベソ早くして」
「姉さん。 やった事なんてないが上がるらしい。 確証は無し」
「……そうか。 それなら、ユカリ行くぞ」
「えっ?」
「――――私とハーデスが、魔族を瀕死にしちゃうから。 そこでユカリは、転がる魔族に止めを刺す」
ペルセポネの言葉に頷き拳を握るユカリ。
「俺は、ここで突っ立っているよりもだ。 ――――魔族ってどんなのか見てみたい」
「め、ハーデス。 本音漏れてる……。 けど私も魔族もだけど魔族の魔石欲しい……。 それにユカリもレベル上がれば、私の魔石と一石二鳥じゃん」
「でもだ。 ハーデスさん、姉さん。 あの神に見られたら、目付けられてしまうんでは? しかも、よし魔王倒したりして、あの女の神が現れたら、それこそどうするんですか?」
コベソの言葉に手を腰に当て胸を張るペルセポネは、トンドを呼ぶと、そのトンドの手には一つの巾着を軽々しく持ち、それをペルセポネの手に納める。
「それね。 トンドが、まだ、あの女の臭い対策の薬出来てないから。 これ作って貰った」
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鼻から顎まで包み吸気口が左右にある黒いタイプのマスクを手で自慢する様にペルセポネは、コベソに見せている。
あっけらかんとするコベソを横にトンドが、ユカリに茶色のポーチを渡していた。
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「ありがとうございます」
頭を抱えるランドベルク王を横に、俺とペルセポネは、武器を持ち黒いオーラが発生している中央の前衛部隊が後退する中、後衛を守備する弓兵や魔術部隊脇に駆け抜けていく、その俺らに着いてくるユカリも距離を離れず駆けている。
弓兵の部隊を横目に通り過ぎる俺達は、ランドベルク王に似た甲冑を着け、マントを翻し馬に跨りながら指示をだしている騎士と目が合う。
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そして、見えてくる多くの人族の群れ。
ゴツゴツした全身覆った西洋甲冑の者は大きな盾を持ち敵を引寄せ剣や槍で攻撃をする重装歩兵。鎖帷子の上に布を着て頭部だけ覆った兜を被り、重装歩兵が引き寄せた魔族を囲んで攻撃する軽装歩兵、連携を活かして魔族を倒しているんだが、それでも人族の兵士の死体が、沢山転がっている。
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魔族三体の脇を俺とペルセポネは、走り去って行くが、倒されるはずの魔族が立っている事に驚くユカリは、急に足を止めよろけながら剣をとる、魔族達は、不気味な笑みを含み、ユカリの行く手を遮る。
「キィエッエッエェ。 取り残されたなぁ人族の女ァ」
「オイ! なんだこりゃぁ」
「うっ嘘だろぉっ。 じ、地面がぁぁ……。 ナナメってるゾ」
「バカ言えぇ! えっ? お、急に真っ暗……ぁ?」
「喉元ズバッと、トドメ! ユカリ!」
「……」
ユカリの目の前にいた魔族は、ユカリに近づこうとすると次々に四肢に亀裂が入り切断されていく。
ペルセポネの手には二本の剣を、俺はハルバードを持ち走り抜けている。
――――練習がてら斬って見たのだが、上手く行ったな。
魔族は、首から少しづつ赤い血が止まらず流れ、地面が赤く染る。
「ナ、なんじゃァ!!」
状況を判断したのか、俺たちの攻撃を既に受けていたにも関わらずそれに気付かない愚かな魔族三体は、苦痛を叫び唄いかけてくる。転がる魔族を見下ろすユカリは、魔族の首の中心をずらすこと無く正確に剣を突き刺し次々に息の根を確実に止めていた。
最初の三体を刺し終える頃には、既にペルセポネやハーデスの姿はユカリより遠くに、魔族の死体が、所狭しと倒れユカリは、目を見開き少し溜息を吐いている。
――――やたらとくるな。魔族はそんなに戦闘狂なのか?
餌に飛びつくハイエナの表情に見える魔族は、武器を振り回し、意気揚々と俺の存在に気付くと武器を持ち直して攻めてくる。
「キャッギャア」
「ギャァッギャァ」
魔族の狂気の声が響き渡るこの戦場で、俺達が潜り込んだ左側のエリア、多くの兵士が馬に跨った一人のランドベルク王が着ている甲冑に似た鎧を纏い、そして左側に緑色の布が巻かれている騎士を身を呈して庇いつつ魔族の追撃を防いでいる。
取り囲んでいた魔族を倒すと、緑色の布を巻いている者は、目をキリッとさせ口髭を生やしていて「すまぬ」と言い残しこの場を去っていく。
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「これなら一層殺した方が手っ取り早いんだが」
「私だってそっちが楽だけどダメでしょ。 勇者が魔王倒さないとアイツが出てこないんじゃない?」
「でも、何体か殺してしまったけど」
「私だって……」
俺は、ハルバードを大振りせずに上手く動かし魔族の手足を切り落とすが、時々首を落としたり、相手が動く為か、誤って胴体を真っ二つにしてしまう時があった、その時は少し――――ユカリの経験値がぁっと焦るが、すぐに気にも掛けずにやってくる魔族がを瀕死状態の身動き取れない魔族へ量産し地面に転がしている。そして背中の方から呻く声が聞こえていた。
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あらかた立っている魔族の姿は、俺の目から見るとしたらかなり遠くにいる魔族だ。
俺とペルセポネにユカリは、少し休憩をとっているが、直ぐに武器を振るえるように武器から手を離して無い。
「ユカリ。体力とか大丈夫か?」
「あっ、はい……これ飲んでいるんで大丈夫だと」
「トンドから貰った回復の」
「ふぅ、はー。 はい」
疲れが目立っているように見えるユカリは、ひたすら魔族の首元にトドメ刺しては近くの魔族にまたトドメさす、その作業に少しやつれていそうだ。
ランドベルクの重装歩兵や軽装歩兵の人は、ここには居なく既に後退もしくは中央前衛に合流しいる。
ペルセポネは、空を何度も何度も見上げては、首を傾げている。
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「うん? 何も無いじゃないか。 雲もない快晴だ
し気の所為だろ?」
「だけど……よっ」
ペルセポネは、瀕死になって地面に転がる魔族の剣を手に取るとそのまま振りかぶって見詰めていた空に向け投げるが、その剣の軌道は、山のような弧を描き、勢いよくそのまま地面に突き刺さる。
「なにしてる?」
「あの辺りから気になる」
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「……」
だが、中央部隊の方は、黒いオーラとともに砂埃が立ち込めていた。
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