冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

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聖国と帝国と金色の勇者

冥王、勇者ユカリの危機を知る。

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 聖国の中心都市グランドセント。
 ここに到着するの間、アテルレナスとの国境にある街を抜け数日経つ。
 平原を通り大きな都市に入る馬車。
 西洋風の建物や街路の街並みだが、白色が目に飛び込む。 
 多くの建物は白塗りが多く、その中でも目立っていたのがこな街の中央に聳える大聖堂と、その奥に繋がっているであろう高い塔がある城だ。
 そんな街並みを、俺は今ヒロックアクツ商事の店舗二階から景色を眺めている。

「ユカリ達は行ったの?」
「ええ、行きましたわ」
「むーっ、リフィーナとコベソが、ついて行ってるから安心」
「あなた達は、行かなくてもいいの? 勇者のパーティーなんだし」
「私は、遠慮しましたわ」
「むっ、ミミンも止めたの」

 装備を外しラフな格好をしくつろぐペルセポネとフェルトにミミンが、ソファに座りながらお茶をしている。
 窓の察しに肘を掛け椅子に座りながら、三人の会話が耳に入る。
 ユカリとリフィーナ、そしてコベソが、この国を統治する聖国の王、聖王メイガザス=レイダイとの面会をする為、グランドセントの大聖堂に向かっていた。

「ハーデス。 街はどうなの?」
「人が多いな。 今までの街と比べても多いんじゃないか」
「それは、ここが神エウラロノース様を崇める大聖堂に参拝にやってくる人が集まりますわ」
「むー。 エウラロノース様に最も近いこの街で、お祈りしにくるんです」

――――あの大聖堂に行き交う人と出店も多く活気が溢れているのは、そういう事か。

 俺は、冒険者のような武装をした人々も目に入りながら、横で話す会話を流しながら人々の生活を眺めている。

 大きな音を立てながら階段を上り俺たちがいる部屋の扉が、勢いよく開くとノックもせず血相な顔をするトンド、目を見開いで叫び出す。

「とんでもない事がぁぁぁっ!!」
「ちょっとぉっ、なによいきなり」
「そうです。 失礼ですわ」
「ムーッ」
「すすすみません。 ですが、今コベソが帰ってきて……」

 呼吸を落ち着かせて話すトンドに、フェルトが首を傾げる。

「ユカリは?」
「それが……」
「ここは、俺が話そう」

 吃るトンドに、冷静な表情を見せるコベソ。

◆◆◆◆

 本日朝、コベソに連れらるユカリとリフィーナは、グランドセント大聖堂内を通り城に向かって行った。
 そのまま聖王メイガザス=レイダイと謁見の間にて面会を果したユカリ達。
 玉座が、二つ。
 一つの玉座には、二重アゴのコベソよりも丸い聖王メイガザス=レイダイが座り、片方は大きなかぼちゃに見える髪型に顔がシワだらけの高齢の聖女アルダーが、座っている。

「これは、これは旅の者よ。 良くぞこの街にやっきた。ゆっくりするが良い」
「聖王メイガザス様。 この者は、勇者ユカリでございます」
「勇者……ユカリ?」
「メイガザス。 エウラロノース様の話であったあの勇者じゃよ」
「おお、さすが母ちゃ……では無く聖女よ。 まさか、あの偽りの勇者だな」
「偽り?」
「そうじゃて。 魔王を倒した魔王を倒したとエウラロノース様に訴えかけてたそうじゃが。 実はそれは真っ赤な嘘」
「私は、確かに魔王をっ!!」

 目を見開くユカリだが、その横にいるリフィーナは困惑している。

「うんうんそうだ。 魔王バスダト、魔王ノライフを倒したと……」
「そう。 私は魔王を二体倒したのっ」
「聖王メイガザス様このコベソ。 確かに勇者ユカリが、魔王を倒したのをハッキリと見ました」
「魔王、魔王と。魔王を語る魔族は多いのじゃ。 しっかりとその目で見たんじゃけ?」

 聖女アルダーは、シワシワの顔を突き出し目を見開くと目を青く光らせてユカリ達を見渡す。

「鑑識眼使ったのかえ?」
「そちよ。 勇者なら、聖女のように鑑識眼つかえるだろ?」
「ええ。 使えます」
「なら、本来魔の神によって人族を攻める魔王を鑑識眼で見ると『真・魔王』と見えるはずじゃ」

 黙るユカリの横でコベソとリフィーナも戸惑っている。
 聖王メイガザスが、重い腰を上げ席を立つと出っ張ったお腹と二重アゴが波打つように揺らしながら、ゆっくりとユカリ達の目の前に近づきユカリの姿を周りだし舐めますように歩く。

「くっくくぅっ。 黒髪に幼さが残るが整った顔立ちだなぁ。 それに華奢だが、勇者としてか凛として……。 うむうむ、疼くのぉ」
「それに、横のエルフか。 しかも青銀の髪に白い肌。 シルフ種……いやアーク種かなぁ」
「なっ……」

 ジロジロとリフィーナの姿を見る聖王メイガザスは、思いにふけったまま玉座に戻ろうとする。

「おぉ、エルフのが私のスキルに抵抗するとは……やはりアーク種か。 その睨んだ顔がこの私を求める顔に変わるのが……楽しみで」

 聖王メイガザスの発言に呆れる聖女アルダー。
 玉座に戻ろうとするメイガザスは、再び振り向き一拍の手を叩く。

「エウラロノース様に虚言を吐き、この世界を混乱に貶めようとした罪。 その身を私の手で清めてやる。 お前ら、この偽勇者とエルフ。 丁重にあの部屋に連れてけ」

 この謁見の間にいる兵士数名が、抵抗出来ないユカリとリフィーナの手首を拘束し部屋を出ようよする。
 すると、扉が勢いよく開く。

「何事じゃ?」
「勇者殿が戻ってきます」
「何?」
「ほぉ、成果はどうじゃ?」
「成果は、レベル五十は超えたと伝令で……」

 頷く聖女アルダーだが、聖王メイガザスは、眉間に皺を寄せて焦りをみせながら兵士に「お前ら、早くその二人を連れてけ。絶対に勇者に見つかるなよ」と部屋に響かせる。

 そしてメイガザスは、ゆっくりと玉座に戻りながらブツブツと「もぅ玩具取らせんぞ。あのシルフ種のエルフも取られたんだ。異世界の女にアーク種だ」と顔を緩めている。

「メイガザス。 ほどほどにしな」
「なんだよ。母ちゃぁ……。 おい貴様いつまで……あぁ、そうだった私のスキルで動けんかったんだな」

 急に何か解放された感覚を覚えるコベソ。

「ありがたいお土産だコベソよ。 大事に使わせて貰うとする。 そのお礼にコベソ貴様の命は奪わないようにしてやるぞ……。この私、男に用は無い。 さっさと帰るがいいぞ」

 手でコベソを払う仕草をする聖王メイガザス。

 何も抵抗出来ないコベソは、急いで俺達の元に駆けユカリとリフィーナが、捕まった事伝えに来た。

◆◆◆◆

「早くしなくては、ユカリ嬢ちゃんとリフィーナが、あの聖王……色魔に……」
「ユカリもリフィーナも何も出来なかったのなんて、何かあるわ」
「むっ、聖王メイガザスのスキル」
「そのスキルが、なんなのか分からない事には迂闊には手が出ないのね」

 深刻な顔をするフェルト達。
 すると、外から拍手喝采と激励の声が、はいってくる。
 俺は、窓の外を道の脇にいる大勢の人々が、大聖堂へ向かう武装した五人に激励を送っている。
 その五人のうち一人だけ、明らかに異質な特徴を振りまき四人を引連れ先頭を歩いている。
 その特徴の人物は黒い短髪に、眩い程の金色の甲冑を身につけた男が、激励する人々に手を振っている。
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