冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

文字の大きさ
110 / 173
聖国と帝国と金色の勇者

冥王、異世界へ来訪の目的と知名度。

しおりを挟む
 アイスクォールの国から南下しカツオフィレを突き抜けそのままアテルレナスをも通りその次の国聖国へと入る。
 聖国は、人族が暮らす世界の中心に位置をしその国は神エウラロノースが住んでいるもしくは、近いと言われている。
 だが、その前にカツオフィレで俺とペルセポネは、コベソ達の帰りをまっている。
 コベソは、ユカリ達と共に謁見の間へ行き、王がいなくなり事実上亡国となったカツオフィレの王に変わってランドベルク王が、この国を治める事となりカツオフィレは、ランドベルクと統一される事だと言う。
 話が終わったのか、コベソは、明らか様に困惑した顔で俺達が待つ馬車に向かってくる。
 リフィーナやフェルトもそんな顔をしているが、ユカリは、更に深刻な表情をしている。
 ため息を吐きながら御者に「出してくれっ」と伝えるコベソは、重い空気を漂わせゆっくりと席に座る。
 その重くのしかかってくる空気にトンドが、押しのけるように発言する。

「何が、あったんだ。 そんな感じするなら何が言えよ」
「あぁ、すまん。 だが、何から話して……いや、言葉にするのに少し落ち着かせようとしてな」
「もしかして……アイスクォールとのか?」
「いや、それはヒロックアクツ商事が、全面的に行商することになった」
「なんだよ。 何処かの貴族や競合が割って入って来たかと思ったんだ。 アイスクォールまで言って魔王に危険な状況になって。 見返りがないなんてな」
「それよりも深刻な事が、起きているんだ」

 胸を撫で下ろすトンドだが、コベソの鋭い目付きにトンドも息を飲む。
 すると、そこにリフィーナが、奇声を吐き出した。

「キィーーーッ!! なんなのっ、なんなのよぉっ。 こんなの酷じゃないっ」
「リフィーナ!! いきなりなんて声を」
「だってだって、おっかしいじゃないっ!!」

 怒り心頭のリフィーナを宥めるようにするフェルトも同じような気持ちの表情にみえる。

「何が、あった?」
「私、元のあの……日本に帰れないみたい」

 俯いて膝にやる手は力強く握られ大粒の涙を流しだすユカリ。
 リフィーナの怒りは鎮まると、ユカリの鼻をすする音が馬車の中で響く。
 そして、ミミンがペルセポネの目を見つめながら口を開く。

「おねぇさま。 実は、魔王を率いる軍勢が、帝国と争っているんです」
「それが、ユカリが泣くのと、何かあるの?」
「あるのです。おねぇさま。 確か……。 聖国に、勇者が、何とか……」
「ミミン私が話すわ。 神エウラロノース様が、勇者召喚の指示を聖国にしたのよ。 『勇者ユカリが死んだ』と各国に神託して……」

 そこにフェルトが、冷静に話し始める。

「カツオフィレ、ランドベルクが、一時的に魔界同等になり、その地にユカリと仲間の私たちはが、入ったが中々空から魔素が消えなかった――――」

――――魔王ノライフに占領されたのは人族の神は知っているそうだが、それで何故ユカリは死んだ事になっている?

 話を食いるようにするペルセポネと俺は、フェルトの言葉の続きを耳を澄まして聞いている。

「――――消えたと分かった時には、私たち勇者一行が、どちらの国にもいなかったのと、死者の悲しみにくれる人々とユカリの姿が見えない事で、『勇者ユカリは、死んだ』と、エウラロノース様は判断したと……。聖女様は仰ってましたわ」
「なにそれ、自分が召喚に携わった神なのに勇者をユカリを信頼してないなんて」
「つまりだ。 その人族の神は、魔素が空に広がった世界、魔界を見る事が出来ないということか?」
「ハーデスさん、そう思いますね。 なんせ人族の国が魔界に変わったのが、今まで無いと」

――――召喚された聖国の勇者は、地球の人間なのか?

「もぅ、私……魔王を倒すのなんて。 勇者やるのは……」
「何言ってるのユカリ?」
「魔王ノライフを倒したのですから、次の魔王も倒して目的を果たすのですわ」
「むっ、着いていくのです」
「私は向こうでも死んだ事になり、こっちでも死んだ事になった。 これから何をやっても結果なんて……」
「バッカじゃないの。 死んで『はい』終わり何て本当に死んだ人が、言う事よ。 まだ死んでもいないのにやる事諦めているなんて、だれも同情しないよ」
「ですが、私が死んだ扱いとなった今、魔王を倒した所で神エウラロノース様が、目的を果たしてくれるとは考えられません」

 励ましたリフィーナ達たが、それでも涙をあふれさせるユカリ。そして呆れるペルセポネと女性同士の言い合いに黙る男性陣。

「ユカリあんたが、魔王を倒してくれなければあのクサ女に会えないのよ」
「クサ女って……」
「エウラロノース様の事ですか?」
「むっ、神に悪口ダメ」

 リフィーナ達が、険しい顔をしながらペルセポネに突っかかっているが、ミミンだけは、可愛らしさアピールなのか口の前に両手の人差し指でバッテンしている。

「そうね。 あの神に合わなければならないのよ」
「なんで?」

 ペルセポネが、俺の顔を見て視線を合わせる。

――――ユカリが、意気消沈か。聖国に行ってエウラロノースの住処がわかった所で会えるとは限らん。会うとなるとユカリが魔王を倒したという実績か……。

 そして、俺は口を開く。

「ユカリ、いや……鈴木ゆかり。 魔王を倒す事を嘆願し、もし人族の神と俺が、会合し俺の目的も果たす」
「何で、ハーデスさんが、私の……名前を?」

「俺は、冥王だ……」

「めいおう?」
「そう、重要な事は二回言っておくとする。 俺は、冥王だ……」
「私が、その妻ペルセポネよ」
「……」
「はぁっ? 二人とも何言ってるの?」
「ペルセポネさんが、ハーデスさんの妻なのは分かってますわ。 ですが『めいおう』とは」
「むっ……」

 困惑するユカリ達に、コベソが割って入る。

「この流れ、俺から説明するぞ。 こちらはユカリ嬢ちゃんの世界の神、冥王ハデス様にそのお妃ペルセポネ様だ――――」

 固まるユカリ達をそのままにコベソは、話を続ける。

「――――俺は、この方達の名を聞いた時。 遂にと……」
「遂に、何?」

 リフィーナの言葉に何故かわからないが、コベソは黙り込んでしまう。その話を続けるかのように俺は、視線をコベソに一瞬動かし、またユカリ達に向ける。

「コベソの止めた言葉通り。 この二人にも言ったが、俺は地球に存在する数多の神の一人たが、この世界の神に、地球からの転移を阻止する為に来たのだ」

 頷くコベソとトンドに、沈黙するリフィーナ達だが、そこに涙で目を真っ赤にするユカリが、俺の顔を直視する。

「どこの神様か知らないですが、私が魔王を倒したら帰してくれますか?」
「え? どこの神か……知らない?」
「ええ、めいおう様は知りません。 学問の神様の菅原道真公と、あと古事記に出てくるイザナミとイザナギに、西洋の神様ゼウスぐらい」

――――イザナミとゼウス知っているのに何故?ゼウス知ってたら必然的に俺とポセイドンは知ってると思うが……。

「ユカリ。 冥王様は、あなたを帰す事を約束するわ」
「ほんとですか? あぁ、良かった。これで第三の魔王も倒しに……。みんな頑張ろう」
「「「おぅっ!」」」
「ユカリは、こうでなくてはね」

 リフィーナ達は笑顔でユカリに話しかけると、ユカリが俺とペルセポネに話しかけてくる。

「やはりエウラロノース様は、約束を守っていてくれました」
「えっ?」

 エウラロノースの威厳に納得のリフィーナ達は、頷いているがユカリの発言にコベソとトンドは、目を丸くしている。

―――ユカリ、少し抜けているような気もするが。やはり確認するしかない。

「ユカリよ。 ちなみに……ポセイドンは知っているか?」
「……あぁっ、知ってますよ。 三叉の矛をもっている海の神様ですよね」
「あぁ、そ、そうだ。 ちなみに冥王ハデスは?」
「すみません、本当に存じ上げないです」
「あっ、そう……」

 肩が落ちる俺を見るペルセポネは、頬を膨らませながら肩を上下に動かなさように必死に笑いを抑えている。

――――それにしても、そんなに知名度ないのか?

 先程まで涙目のユカリは、今では外からの風に髪を靡かせ明るい笑顔で外の景色を眺めている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...