冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

文字の大きさ
125 / 173
聖国と帝国と金色の勇者

冥王、知名度の魔物と臨戦求むが。

しおりを挟む
 このグランウェスのダンジョンを進み続けて数日。
 日数を数える事すら億劫になりそれ以降気にする事を止めているが、最近休憩する度に思う。

――――食料や水分。コベソとトンドから大量に渡されたけど、俺たちみたいに空間収納持ってないとダンジョンなんてそんなに長く滞在し進む事出来ないんじゃないか?

 ユカリ達は、休憩や睡眠をしっかりと取り慎重に奥へ奥へと足を進める。
 俺とペルセポネも合わせて休んでいる。
 階を降りる毎に冒険者や武装した者の遭遇率が減り、代わって魔物の遭遇率が増えてくる。

「この階になると魔物強い」
「ええ、でも比較的倒しやすくなりましたわ」

 ユカリ達は、猿の魔物ブラウンエテコウと戦っていた姿よりも今現在、レベルも戦闘に対する神経や技術も格段に上がっている。

――――今となってはもしかしたら、あの魔王ノライフを簡単に倒せるのでは。

 俺とペルセポネは、ユカリ達と交互に魔物と戦って進みこの階に到達する。

「ついに着いた、三十階層ですわ」
「ここのボスが、ベヒーモス。 あなた倒せるの?」
「……ええ、サクッと倒して、死骸の一部を持って帰えれば依頼達成だからね」
「ベヒーモス?」
「むー、ユカリ。 ベヒーモス知らない?」
「ええ」
「ベビーモスは、陸の魔獣の中で強い部類に入る魔物。 牛のような顔に鋭利な角、そして巨大な体に動きも素早いって聞いた事あるわ」
「ユカリ、そんな感じ」

 フェルトもリフィーナにミミンは、言い伝えや噂だけしか耳にしていなく、その言葉に信ぴょう性は無い。
 そして、幾つかの魔物を倒し沢山の広がる空間や部屋を通過して、巨大で装飾された二枚扉の前に辿り着く。

「遂に目の前にいるのね」
「まさか、冒険者となってベヒーモスと対峙できるなんて、思いも知りませんでしたわ」
「む、魔法効くか心配ぃ」
「倒せるのでしょうか? 私たちのレベル、このダンジョンに入ってからかなり上がってますが……」

 不安視するユカリだが、笑顔でその不安を消すかのように扉の前で準備運動をするリフィーナ。

「やる事やる、私達なら勝てる」
「そうですわ。 倒してこのままこのダンジョンを踏破しちゃいましょう」
「むぅ! ん、おねぇさま?」

 大きな扉を押して開けているペルセポネ。
 扉が開く音が、壁や天井全て反響していそうな程に大きく鳴り響き、向こう側から部屋の光が漏れ出してくる。
 すると光を受け後光のように輝くペルセポネは、やる気を見せているユカリ達に振り向き告げる。
「ねぇ、ベヒーモス倒すのは、私の受けた依頼だからね」
「おい」

 部屋に入るペルセポネを追って、俺は追い掛ける。
 ユカリ達は、少しだけ困惑した顔をしながら俺とペルセポネに続き部屋に入ると、壮大な音を立て勢い良く閉まる扉。
 奥からこの広い部屋を振動させてしまう大きな唸り声を発する方へ俺達は視線を向ける。
 その声の主は、猛牛のような姿形と鋭い角をし、体はゴリラのように筋骨隆々で俺たちが見上げる位の四足歩行の獣、それに産毛なのか肌なのか紫色をしている。
 その雄叫びに耳を塞ぐユカリ達。

「う、うるさいっ」
「むぅ、キーンって」
「あ、あれがベヒーモス」

 ベヒーモスが、地面を蹴りながら俺達いる場所に向け、駆け寄ってくる。
 フェルトは、大盾を構えるとユカリとリフィーナにミミンは、武器をかまえ臨戦態勢を取りベヒーモスに対峙する。

――――ベヒーモス。たしか、象やカバもしくはサイの形した怪獣ではなかったか?

 凝視しながら近づいてくるベヒーモスに、ユカリ達は武器を構え、大盾を構え前に立つフェルト。
 大きな肩に太い脚のベヒーモスは、上半身を起こし見下げながら俺たちに咆哮を上げ震撼させる。

「これがベヒーモス」
「身体が、震えますわ」
「中々、野生のベヒーモスって出会いもの。だからダンジョンに頼っちゃうのよね」

 鞘から抜いた剣を両手に持ち、ユカリ達を脇にベヒーモスへ近づくペルセポネ。

――――野生って……。

 俺もハルバードを片手にペルセポネの隣に立つ。

「ベヒーモスといえば、強い魔物だろう。腕がなる」
「ハーデス。 あれは私の」
「俺はな、この世界に来て名の知れた魔物と戦った記憶が……。全く無い!!」
「ここまで来る時、戦ってたじゃない」
「確かに魔物と戦ってたけどな、誰もが知って驚く魔物では無いはず」
「いやぁ、つい前のポヨンとしたゼリー状のあの魔物。驚くわよあれなら」
「もしかして……あれで気が収まると言うのか?」
「スライムなら、粘液の魔物なんて超有名じゃん。だからベヒーモスは、私の」

 再び、部屋全体が震撼する咆哮を上げるベヒーモス。
 二本の剣を持ち身構えるペルセポネ。
 俺はため息を吐く。

――――スライムは、魔物モンスターとして有名だ。まさか軽く突き刺し倒したスライムで、ベヒーモスと対峙させない理由になるとは……。

「でも、俺もやるぞ」
「うーん、無理っぽくない?」

 ユカリ達が、更に前に出てくる。

「ペルセポネさん。 ペルセポネさんがなんと言おうと私戦います」
「ベヒーモスなんて、滅多に遭遇しないし戦えないからね」
「お邪魔するかもしれませんが、目の前の大きな壁を超えなくてはなりませんわ」
「むぅー。 おねぇさまと戦う」

 ベヒーモスの咆哮に負けない気迫を現すユカリ達は、俺を押し退けてやってきた。

「分かったわ。 私が援護するわ」

 頷くユカリ達は、真剣な眼差しをベヒーモスに向ける。
 立ち向かってくるユカリ達の姿勢にベヒーモスは、前脚を床に着き鼻息を荒くなる。
 既に蚊帳の外状態の俺。

――――俺もユカリ達に危機が訪れた時は手を出させて貰うとするか。

 ベヒーモスが、前脚で地団駄を踏む。
 部屋全体が、震える。
 体勢が崩れるリフィーナとミミン。
 大盾で防御姿勢を崩さないフェルトに、ユカリは、剣を持つ腕を広げベヒーモスの脇に回り込むように駆け寄る。
 ユカリの存在に気づくベヒーモスは、素早い反応でユカリから離れる。
 ベヒーモスに剣を入れようと追い掛けるユカリ。
 たがベヒーモスは、前脚を上げそのまま勢い良くユカリに向け振り下ろす。
 後退し避けるユカリ。
 その隙に、素早くリフィーナがベヒーモスの左脇へ斬撃を入れると、直ぐに距離を取る。
 そして、ミミンの放つ紅蓮の槍クリムゾンスピアが、五発命中し低い唸り声を上げ体勢を崩すベヒーモス。

「ちぃっ、硬ったぃぃっ」
「むぅぅ。 全弾入ったのにダメージ、アレだけ?」

 リフィーナの斬撃を与えた箇所には薄らと血が滲み、ミミンの魔法が当たった所も少しだけ皮膚が爛れている。
 しかし、ベヒーモスの表情は変わらずかすり傷を負った程度と捉えられる。
 再びベヒーモスが上半身を起こし振動させる程の大きな咆哮を轟かせる。
 そこにベヒーモスの右脇へユカリの斬撃が、放たれ幾つもの剣筋が描かれる。
 体を悶え上げていた前脚を下ろすベヒーモス。
 ベヒーモスは、ユカリの斬撃跡から血が流れ出す。
 鼻を鳴らすベヒーモスは、鼻の先をフェルトへ向け床を駆け出す。

「「「フェルト!!」」」

 腰を落とし大盾を突き出して構えるフェルト。
 ベヒーモスの額は、大盾に激突。
 咆哮と同様の大きな衝撃音が響く。
 だが、ベヒーモスの突進の勢いが止まりフェルトの大盾で妨げられる。

――――あの突進を一人の人間が抑える事が出来るなんて……。やはり異世界なのだと言う事か。

 突進を抑えられたベヒーモスは、フェルトから離れていく。
 ユカリとリフィーナで、ベヒーモスの隙を付いて斬撃を浴びせ、ミミンの魔法でベヒーモスの追撃を阻止をするが、阻止出来ない時はフェルトがスキルを使ってベヒーモスの攻撃を引き付けるという連携を取る。
 少しずつ軽傷から深い傷になっていくベヒーモス。
 強力な一手がないユカリ達は、次第に疲労を増し動きが鈍くなりつつあった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...