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聖国と帝国と金色の勇者
冥王、誰かと間違われてしまう。
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ユカリは、聖剣クラウ・ソラスを勇者キンジョウに向けながらゆっくりとフェルトやリフィーナ達の所へ合流をしている中、勇者キンジョウ達も体制を整える為、大盾を構えるモジャサの後ろへと集まる。
フェルトも大盾で牽制をし、二組が緊張の息を飲む。
「それにしても、あのまま殺してくれれば」
「そうと言いたいところですわ。 でも、賢者を殺したとなれば聖国が何を言うか、分かりませんわ」
「ムッ、アイツの魔法強い」
「魔石を抜かれて生きているなんて」
ユカリの言葉に、目を見開くフェルト達。
空間隔離とやらの宝具の力を抜け出した俺とペルセポネは、ユカリ達を挟んで少し離れた所に立っている。
「そりゃぁねぇ。 魔石入れて直ぐにエリクサー掛けたんだから」
リフィーナの視線が気になったのかペルセポネが呟く言葉にリフィーナもだが、フェルトとミミンは驚きを隠せない表情だ。
――――エリクサー、神薬や霊薬など言われる薬だが、簡単に使うとは。
「エエェ、エリクサーァァッ?」
「秘薬をまるでポーションのよう使うなんて……」
「むむっ、おねぇさま勿体ない」
三人の驚きに、戸惑っているユカリの表情。
「エリクサーなんて、使う事なんてほぼ無いからねぇ。 物は試しって」
呆れるリフィーナは、数回頭を横に振って真剣な目でフェルトに声をかける。
「エリクサーよりも前の敵」
「そそそうですわ。 あの金色の勇者を退けませんと」
「ムム、魔法を使うぅっ」
「エリクサーって? まぁいいかっ。 あの勇者と賢者には気を付けて」
臨戦態勢になるユカリ達に対し、勇者キンジョウ達も少しづつ間合いを詰めている。
「アオヤギィッ、一発かましてくれぇっ」
「ういっ、先輩いくッス」
モジャサが大盾を前に出し、どっしりと構える。賢者アオヤギは、腕を上げる。
「アオヤギ。 どうした? どデカいの一発放て」
「アオヤギさん?」
「アオヤギ殿?」
「……」
勇者キンジョウ達三人は、沈黙する賢者アオヤギに不可解な視線を送ると、当人賢者アオヤギの顔色が徐々に青ざめていく。
「どうした?」
「どうしたんすか? アオヤギさん」
「アオヤギ殿?」
「……」
何も起きない事に苛立ち始めた勇者キンジョウは、賢者アオヤギに睨みつける。
「なぁにぃしてぇるぅっ!! 遊びじゃぁねぇんだよォっ」
「使えねぇんッスよぉっ」
「はぁぁっ、つかえねぇっだど?」
広げていた手のひらを見つめ、慌てふためく賢者アオヤギの胸ぐらを掴み、勇者キンジョウは険しい顔をしながら怒鳴る。
「く、苦しいっす……。 先輩……」
「キンジョウさん」
「キンジョウ殿」
モジャサとオザールの声に我に返る勇者キンジョウは、払い除けるように賢者アオヤギの胸ぐらから手を離す。
「アオヤギ。 使える魔法だけでも使え」
「う、あっ、ハイっす」
小さく舌打ちをする勇者キンジョウは、その睨みつけていた目のまま、今度はユカリ達に向けられる。
「悪ぃなっ。 今度こそアイツらを倒す」
剣を握りしめ構える勇者キンジョウ。
対するユカリ達も、賢者アオヤギの状態の変化を感じている様子。
「もしかして、あの賢者……」
「魔法が使えなくなったかも、知れませんわ」
「ムムムッ。 そんな様子」
「あの男。 魔法なんて……」
ユカリの目が青く光り鑑識眼を用いて賢者アオヤギを見ていると、賢者アオヤギの手のひらに火球が、現れ徐々に大きくなっていく。
「ヨォッシィッ!! 女ども喰らえっ!!」
「なんだ、できる……じゃぁ……んかぁ」
「なんじゃぁっあれはっ」
「アオヤギ……殿?」
賢者アオヤギは、激しく燃え上がる拳大の火球をユカリ達に向け放つ。
だが、その火球に視線を奪われる勇者キンジョウ達と、フェルトやリフィーナも唖然となる。
「うぉっいっ!! アオヤギィィッ」
「……」
精一杯の力で放った表情をしていた賢者アオヤギもその火球を見て愕然としている中、怒りを見せる勇者キンジョウ。
「なんだ今のぉぉ。 ファイアボールじゃねぇっかァっ」
「……」
「あれがどデカいのかぁっ?」
拳大の火球は、フェルトの大盾に当たるが一瞬燃え上がった後直ぐに煙となって消える。
何の衝撃等何も無いフェルトは、呆気に囚われリフィーナとミミンは笑いを堪えている。
勇者キンジョウは、ものすごい剣幕で怒鳴り散らす。
崩れ落ちる賢者アオヤギは、膝と手をゆかに着き身体を震わせる。
顔を紅潮する勇者キンジョウにユカリが、聖剣クラウ・ソラスを突きつける。
「観念しなさいっ。 貴様達の非道はここで終わり」
「くそっがァァっ、どいつもこいつも。 おぉ、テメェらもアオヤギと同じようにしてやるよぉっ!!」
勇者キンジョウは、怒りのまま聖剣フラガラッハをユカリ達へ投げる。
鋭い切っ先で空を斬り加速する聖剣フラガラッハだが、フェルトの大盾と衝突。
ふらつくフェルトだが、持ち堪える。
聖剣フラガラッハも、空中で数回旋回し再び狙いをリフィーナに向け飛行する。
「モジャサ、オザール。 あの大盾行かせんな」
「へい」「はっ」
モジャサの剣がフェルト大盾に振り下ろされる。
弾き返すフェルトにオザールが、攻撃に入る。
ミミンの魔法でフェルトから離れるモジャサとオザールを、ユカリの斬撃が入る。
聖剣フラガラッハの追撃を弾き返すリフィーナだが、弾き返す度に聖剣フラガラッハは、襲いかかってくる。
――――あの猿顔の、冒険者ランク低かったと思ったが。ユカリ達と対等に戦えるとは。ダンジョンでの経験とは、凄いものなのだな。
ハルバードを回しながらゆっくり歩く俺と無愛想なペルセポネは、勇者キンジョウの前に立つ。
「なんだ、ててめぇぇらぁっ」
「勇者、キンジョウ。 地球に戻る気はあるか?」
「はぁぁっ? 無いわっ。 こんな勇者というだけで豪遊できる世界。 あんなクソすぎる世界に帰るわけ無いだろっ」
「うん、うん」
――――ペルセポネ、そこは同意するんだ。
俺はハルバードを勇者キンジョウに向け突きつける。
「だが、帰ってもらう。 魂だけでも」
「あっ、そういう事か。 そうか、お前らも地球人かっ」
「なんか、自己解釈しちゃっているけど」
「エウラロノースが言っていた事は、本当だったとはな」
――――何を言っているんだ?
困惑する俺の表情を見る勇者キンジョウは、ニヤつきながらも、項垂れる賢者アオヤギに声を張る。
「アオヤギぃっ。 魔法がつかえなからと言って身体能力は変わらないんだ。 あのエルフと戦えるだろぉっ」
武器を取り出し大声を上げながら、リフィーナに襲いかかる賢者アオヤギ。
そんな状況の中ペルセポネは、落ちている折れたユカリの剣の剣身を摘み上げ拾っている。
無言の俺に勇者キンジョウは、口を開く。
「知らん存ぜぬな顔しているが、いま魔界と異界の樹海で、この世界の人族を装った者達がいるんだとよ」
「魔界と異界の樹海……」
「そうだ。 そいつら人族の身体なのに、あの場所に居れるわけないんだとよぉっ。 不思議じゃねぇか、人族のレベルを超えているしか考えられないって言ってたからなぁ」
「それがどう、俺たちと結びつく」
険しい顔になる俺だが、それでも勇者キンジョウはニヤつきが収まらない。
折れたユカリの剣の剣身を摘んでいるペルセポネは、目の前にいる勇者キンジョウよりも天井を見渡し何かを探しているようだ。
「そりゃぁなぁっ。 まさか宝具の空間隔離から抜け出すし、勇者である俺を倒す力。 そりゃぁどう見ても、エウラロノースの話す奴らと関係性高いだろぉっ」
「貴様は、その鑑識眼で見ただろ?」
「あぁ、レベル十で魔王に勇者のスキル。 不可解な存在なんだよ。 貴様らが、そいつらだろ」
「だったらどうする?」
「その受け答え、まさに当たりだなっ」
勇者キンジョウは右手を上にあげ手を開くと、その手に吸い込まれるように戻ってくる聖剣フラガラッハを掴む。
「あの神エウラロノースを見た事あるか、あるのよなぁ?」
「だったらなんだ?」
「いい身体しているだろ」
「興味無い」
勇者キンジョウは、一瞬視線をペルセポネへ動かすが、直ぐに俺に戻し睨みつけてくる。
「あぁ、そうかい。 お前らを殺せばヤツとヤれるから……。 死んでくれ!!」
剣を構えるが、後ろへ飛び距離をとる勇者キンジョウ。
ハルバードを持つ俺は、少し肩幅に足を広げると、折れた剣を持つペルセポネは、それを渾身の力を込めて天井へ投げつける。
衝撃の轟音が部屋に響かせ、剣身が天井に突き刺さる。
その音に気を取られた俺やペルセポネ以外の全員は、戦いへ引き戻される。
勇者キンジョウも驚きを隠せていない。
「ビビらせやがって。何処に投げているんだ、ノーコンか?」
「殺すとか言っておいて、ギブアップ?」
「違ぇよぉっそのノーコン、ノーコンテニューの方じゃねぇ。 てめぇの投擲が方向音痴だと言っているんだよぉっ」
「この戦い無効にしたいってこと?」
「はぁぁっ!?」
目が左右に動きを悩む勇者キンジョウ。
ペルセポネの投げた剣身を見ている俺は、ペルセポネに尋ねている。
「ええ、また嫌な視線が……」
「あれか、ノーコンテストかっ? そうだろって……。 クソォォッ!! てめぇらの調子に合わせんぞ」
憤慨する勇者キンジョウの表情は、体からも溢れるほどに燃えたぎっている。
「どうする?」
「どうするも、戦意喪失させるしかない」
「そう……。 勇者の魔石も欲しかったけど」
「あの人族の神と会合出来れば、勇者という存在はこの世界で重要人物だからな」
「それまで勇者の魔石はお預けって事ね」
「そういう事だ」
声を荒らげ気合いを入れる勇者キンジョウ。
俺とペルセポネは、武器を持ち勇者キンジョウを迎え撃つ。
フェルトも大盾で牽制をし、二組が緊張の息を飲む。
「それにしても、あのまま殺してくれれば」
「そうと言いたいところですわ。 でも、賢者を殺したとなれば聖国が何を言うか、分かりませんわ」
「ムッ、アイツの魔法強い」
「魔石を抜かれて生きているなんて」
ユカリの言葉に、目を見開くフェルト達。
空間隔離とやらの宝具の力を抜け出した俺とペルセポネは、ユカリ達を挟んで少し離れた所に立っている。
「そりゃぁねぇ。 魔石入れて直ぐにエリクサー掛けたんだから」
リフィーナの視線が気になったのかペルセポネが呟く言葉にリフィーナもだが、フェルトとミミンは驚きを隠せない表情だ。
――――エリクサー、神薬や霊薬など言われる薬だが、簡単に使うとは。
「エエェ、エリクサーァァッ?」
「秘薬をまるでポーションのよう使うなんて……」
「むむっ、おねぇさま勿体ない」
三人の驚きに、戸惑っているユカリの表情。
「エリクサーなんて、使う事なんてほぼ無いからねぇ。 物は試しって」
呆れるリフィーナは、数回頭を横に振って真剣な目でフェルトに声をかける。
「エリクサーよりも前の敵」
「そそそうですわ。 あの金色の勇者を退けませんと」
「ムム、魔法を使うぅっ」
「エリクサーって? まぁいいかっ。 あの勇者と賢者には気を付けて」
臨戦態勢になるユカリ達に対し、勇者キンジョウ達も少しづつ間合いを詰めている。
「アオヤギィッ、一発かましてくれぇっ」
「ういっ、先輩いくッス」
モジャサが大盾を前に出し、どっしりと構える。賢者アオヤギは、腕を上げる。
「アオヤギ。 どうした? どデカいの一発放て」
「アオヤギさん?」
「アオヤギ殿?」
「……」
勇者キンジョウ達三人は、沈黙する賢者アオヤギに不可解な視線を送ると、当人賢者アオヤギの顔色が徐々に青ざめていく。
「どうした?」
「どうしたんすか? アオヤギさん」
「アオヤギ殿?」
「……」
何も起きない事に苛立ち始めた勇者キンジョウは、賢者アオヤギに睨みつける。
「なぁにぃしてぇるぅっ!! 遊びじゃぁねぇんだよォっ」
「使えねぇんッスよぉっ」
「はぁぁっ、つかえねぇっだど?」
広げていた手のひらを見つめ、慌てふためく賢者アオヤギの胸ぐらを掴み、勇者キンジョウは険しい顔をしながら怒鳴る。
「く、苦しいっす……。 先輩……」
「キンジョウさん」
「キンジョウ殿」
モジャサとオザールの声に我に返る勇者キンジョウは、払い除けるように賢者アオヤギの胸ぐらから手を離す。
「アオヤギ。 使える魔法だけでも使え」
「う、あっ、ハイっす」
小さく舌打ちをする勇者キンジョウは、その睨みつけていた目のまま、今度はユカリ達に向けられる。
「悪ぃなっ。 今度こそアイツらを倒す」
剣を握りしめ構える勇者キンジョウ。
対するユカリ達も、賢者アオヤギの状態の変化を感じている様子。
「もしかして、あの賢者……」
「魔法が使えなくなったかも、知れませんわ」
「ムムムッ。 そんな様子」
「あの男。 魔法なんて……」
ユカリの目が青く光り鑑識眼を用いて賢者アオヤギを見ていると、賢者アオヤギの手のひらに火球が、現れ徐々に大きくなっていく。
「ヨォッシィッ!! 女ども喰らえっ!!」
「なんだ、できる……じゃぁ……んかぁ」
「なんじゃぁっあれはっ」
「アオヤギ……殿?」
賢者アオヤギは、激しく燃え上がる拳大の火球をユカリ達に向け放つ。
だが、その火球に視線を奪われる勇者キンジョウ達と、フェルトやリフィーナも唖然となる。
「うぉっいっ!! アオヤギィィッ」
「……」
精一杯の力で放った表情をしていた賢者アオヤギもその火球を見て愕然としている中、怒りを見せる勇者キンジョウ。
「なんだ今のぉぉ。 ファイアボールじゃねぇっかァっ」
「……」
「あれがどデカいのかぁっ?」
拳大の火球は、フェルトの大盾に当たるが一瞬燃え上がった後直ぐに煙となって消える。
何の衝撃等何も無いフェルトは、呆気に囚われリフィーナとミミンは笑いを堪えている。
勇者キンジョウは、ものすごい剣幕で怒鳴り散らす。
崩れ落ちる賢者アオヤギは、膝と手をゆかに着き身体を震わせる。
顔を紅潮する勇者キンジョウにユカリが、聖剣クラウ・ソラスを突きつける。
「観念しなさいっ。 貴様達の非道はここで終わり」
「くそっがァァっ、どいつもこいつも。 おぉ、テメェらもアオヤギと同じようにしてやるよぉっ!!」
勇者キンジョウは、怒りのまま聖剣フラガラッハをユカリ達へ投げる。
鋭い切っ先で空を斬り加速する聖剣フラガラッハだが、フェルトの大盾と衝突。
ふらつくフェルトだが、持ち堪える。
聖剣フラガラッハも、空中で数回旋回し再び狙いをリフィーナに向け飛行する。
「モジャサ、オザール。 あの大盾行かせんな」
「へい」「はっ」
モジャサの剣がフェルト大盾に振り下ろされる。
弾き返すフェルトにオザールが、攻撃に入る。
ミミンの魔法でフェルトから離れるモジャサとオザールを、ユカリの斬撃が入る。
聖剣フラガラッハの追撃を弾き返すリフィーナだが、弾き返す度に聖剣フラガラッハは、襲いかかってくる。
――――あの猿顔の、冒険者ランク低かったと思ったが。ユカリ達と対等に戦えるとは。ダンジョンでの経験とは、凄いものなのだな。
ハルバードを回しながらゆっくり歩く俺と無愛想なペルセポネは、勇者キンジョウの前に立つ。
「なんだ、ててめぇぇらぁっ」
「勇者、キンジョウ。 地球に戻る気はあるか?」
「はぁぁっ? 無いわっ。 こんな勇者というだけで豪遊できる世界。 あんなクソすぎる世界に帰るわけ無いだろっ」
「うん、うん」
――――ペルセポネ、そこは同意するんだ。
俺はハルバードを勇者キンジョウに向け突きつける。
「だが、帰ってもらう。 魂だけでも」
「あっ、そういう事か。 そうか、お前らも地球人かっ」
「なんか、自己解釈しちゃっているけど」
「エウラロノースが言っていた事は、本当だったとはな」
――――何を言っているんだ?
困惑する俺の表情を見る勇者キンジョウは、ニヤつきながらも、項垂れる賢者アオヤギに声を張る。
「アオヤギぃっ。 魔法がつかえなからと言って身体能力は変わらないんだ。 あのエルフと戦えるだろぉっ」
武器を取り出し大声を上げながら、リフィーナに襲いかかる賢者アオヤギ。
そんな状況の中ペルセポネは、落ちている折れたユカリの剣の剣身を摘み上げ拾っている。
無言の俺に勇者キンジョウは、口を開く。
「知らん存ぜぬな顔しているが、いま魔界と異界の樹海で、この世界の人族を装った者達がいるんだとよ」
「魔界と異界の樹海……」
「そうだ。 そいつら人族の身体なのに、あの場所に居れるわけないんだとよぉっ。 不思議じゃねぇか、人族のレベルを超えているしか考えられないって言ってたからなぁ」
「それがどう、俺たちと結びつく」
険しい顔になる俺だが、それでも勇者キンジョウはニヤつきが収まらない。
折れたユカリの剣の剣身を摘んでいるペルセポネは、目の前にいる勇者キンジョウよりも天井を見渡し何かを探しているようだ。
「そりゃぁなぁっ。 まさか宝具の空間隔離から抜け出すし、勇者である俺を倒す力。 そりゃぁどう見ても、エウラロノースの話す奴らと関係性高いだろぉっ」
「貴様は、その鑑識眼で見ただろ?」
「あぁ、レベル十で魔王に勇者のスキル。 不可解な存在なんだよ。 貴様らが、そいつらだろ」
「だったらどうする?」
「その受け答え、まさに当たりだなっ」
勇者キンジョウは右手を上にあげ手を開くと、その手に吸い込まれるように戻ってくる聖剣フラガラッハを掴む。
「あの神エウラロノースを見た事あるか、あるのよなぁ?」
「だったらなんだ?」
「いい身体しているだろ」
「興味無い」
勇者キンジョウは、一瞬視線をペルセポネへ動かすが、直ぐに俺に戻し睨みつけてくる。
「あぁ、そうかい。 お前らを殺せばヤツとヤれるから……。 死んでくれ!!」
剣を構えるが、後ろへ飛び距離をとる勇者キンジョウ。
ハルバードを持つ俺は、少し肩幅に足を広げると、折れた剣を持つペルセポネは、それを渾身の力を込めて天井へ投げつける。
衝撃の轟音が部屋に響かせ、剣身が天井に突き刺さる。
その音に気を取られた俺やペルセポネ以外の全員は、戦いへ引き戻される。
勇者キンジョウも驚きを隠せていない。
「ビビらせやがって。何処に投げているんだ、ノーコンか?」
「殺すとか言っておいて、ギブアップ?」
「違ぇよぉっそのノーコン、ノーコンテニューの方じゃねぇ。 てめぇの投擲が方向音痴だと言っているんだよぉっ」
「この戦い無効にしたいってこと?」
「はぁぁっ!?」
目が左右に動きを悩む勇者キンジョウ。
ペルセポネの投げた剣身を見ている俺は、ペルセポネに尋ねている。
「ええ、また嫌な視線が……」
「あれか、ノーコンテストかっ? そうだろって……。 クソォォッ!! てめぇらの調子に合わせんぞ」
憤慨する勇者キンジョウの表情は、体からも溢れるほどに燃えたぎっている。
「どうする?」
「どうするも、戦意喪失させるしかない」
「そう……。 勇者の魔石も欲しかったけど」
「あの人族の神と会合出来れば、勇者という存在はこの世界で重要人物だからな」
「それまで勇者の魔石はお預けって事ね」
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