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人族の神エウラロノースと聖女アルダー
冥王、出会いと真実2つ。
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被るフードの形が異様に違う二人とまともな一人。
ローブで姿が見えないようにしているが、歩くさいに見える脚などでわかってしまう。
俺は、心を無にしてハルバードを片手に、三人に近づく。
対峙する俺と三人に沈黙が走るとその時とんがり過ぎるフードの一人が口を開く。
「よう――――」
金属がぶつかり合う衝撃音が、辺りに轟く。
とんがり過ぎるフードの声がかき消される。
ユカリ達や魔族の中で耳を押さえる者もいる。
音の発生した所ではペルセポネと魔王インビンシブルが、ぶつかり合っていた。
大きな音はしなく、小刻みに金属音が届く。
息を吐くとんがり過ぎるフードが、口を開く。
「ようや――――」
更に上回る金属の衝撃音が放たれる言葉をかき消す。
とんがり過ぎるフードの腕が震えていたが、再び深呼吸をしてから、話そうとしていた言葉が聞こえる。
「――――ようやく――――」
言葉を止めペルセポネと魔王インビンシブルの戦いに視線を動かすとんがり過ぎるフード。
「な、鳴らない……か」
そう呟く、とんがり過ぎるフードに、痺れを切らしたのかまともなフードの一人が、地面を苛立ちを込めて踏む。
「もぅ、なにしているのっ。 私たちの登場シーンなのよ」
「そうだ。 周りの音など気にする必要ないと思うけどな」
異様なフードの一人もとんがり過ぎるフードへ注意するが、そのとんがり過ぎるフードは不貞腐れたのか少し早口になって言い返す。
「登場シーンだから、カッコ良くしろと言ったのはお前たちのだろうが。 こんなフード被る必要性無いなのに」
睨み合うフード三人。
呆れている俺。
「なぁ、何故ここに。 いやこの世界に来ている? オリシスにヘル、そしてアヌビスよ」
「なっ、ななななんでバレてるのよっ」
「完璧な変装なん……ですぞ」
「はぁ、お前ら……こんなフードでバレバレだ。 しかも他の魔族とはかなり異様な姿だし」
「すすす、すみません王よ」
ローブを脱ぎ捨てる三人。
併せてフードも取れ見せる顔は、目を閉じ少し申し訳なさそうな表情。
俺は、この異世界に来る前、冥界の神と名乗る管理者全員に俺の留守中に冥界の業務を任せていた。勿論目の前の三人にもだ。
――――それを放置して遊びに……いや原因の調査にくるとは。何かあったか?
すると、アヌビスが俺に目を合わせる。
「王よ。 我らの世界では、現に我らがいなくとも一柱さえ居れば冥界は滞りなく運営します」
俺は、その言葉に無表情のままでいる。
――――アヌビスめ、痛いとこついてくる。
――――そう、神が不在でも冥界は何も問題ない。
「我らも、あの世界……地球の中では考えに固執してしまう。 しかし、この異世界でもし新たな知識、知恵があれば――――植物の再生に何かみつかるかも」
――――オリシス。少しだけ願望が漏れてたぞ。
――――だが、魔法がある世界。その知識があれば、いいが。
「まぁ、異世界人は私たちの管理する者ではないから、殺しまくることできそうだし、楽しそうだしぃ」
「ヘルは、違う世界なら神の手で無作為に殺しでもしていいと?」
「王よ、無作為に殺しなど――――もう飽きましたわ。 命を奪う輩をなぶり殺すのがとても……いいわ」
――――こいつは、元から変だが……まぁ、道理はわかる。俺もこの世界の住人を殺すのを躊躇うことすら無いし。
「その雰囲気からして、王よ。 我らがきても何もお咎めないと感じられるのですが?」
「来た理由は、わかった。だが、ヘカテーがそんな理由で、お前たちにこの世界に合った依り代を渡すわけないが?」
「あっ、王よ。 いま王の依り代、レベルが上がらないとヘカテーが伝えて欲しいと」
「なんでもぉ、作成時にミスがあったらしくレベルが固定らしいと言っていたわ」
ヘルの言葉にアヌビスとオリシスは頷く。
俺は、その言葉に納得しつつも眉間に皺を寄せている。
「あぁ、知っている」
「さすが、王だ」
感心するオリシス。
すると、怒涛もない爆発音や破裂音が轟く。
俺たちは、その音に反応する。
魔王インビンシブルが放つ魔法。
それを難なく避けているペルセポネは、笑を浮かべ順々に放たれる魔法の隙を狙って魔王インビンシブルに攻撃を仕掛ける。
「ありゃ焦ってるよな。 魔族の大将……いや魔王ってヤツ」
「ペルセポネ。 楽しんでいるわね」
「ヘルどういう事だ?」
「えっ、王? そ、そうですわ――――体を動かしていい運動になって楽しそうじゃないですか」
「――――そうだな」
楽しそうなペルセポネを眺めている俺の視線には入らないが、ヘルは一息し胸を撫で下ろしている。
「この魔王インビンシブルに、抵抗できる奴がいるとはっ! しかも勇者でなく――――貴様何者!?」
「……」
「我が言葉に無視するとは。 それ程まで必死なのだっ――――がっ!!」
見下していた魔王インビンシブルは、突如吹き飛ばされ地面に背をつける。
その姿を見下ろすペルセポネは、にこやかに口を開く。
「斬撃、打撃とか物理攻撃は効かないにしてもそれに伴う衝撃、運動エネルギーというの、それは効くのね」
「ヌヌヌッ。 戦いで背をつけたのは不甲斐ないが、これは我が足を滑らせたからだ」
「足を?」
苦しい言い訳を苦しそうな表情に冷や汗を浮かべながら、立ち上がる魔王インビンシブル。
「もう、飽きたから魔石貰うわ」
「貴様の攻撃なんぞ、一切効かぬのによく言うぅっ」
魔王インビンシブルは、黒い禍々しいオーラを放つ。
距離をとるペルセポネの口角は少し上がっている。
――――楽しそうな姿をみせるペルセポネは、美しい。
愛する妻の優雅な剣舞を眺めていると、既に眠魔族の群れを全滅させていたユカリ達の方から悲痛の叫び声が轟く。
その声に、ここにいる全員その声の元へ視線を動かす。
「がっ、はっ……なぜ……だ……」
「なぁーに、ゆっくりやすんでいるのぉ? 目の前につかれきったぁ~。 貴女の標的がいるのにぃ」
勇者キンジョウが吐血している。
胴体を貫通し金色の鎧の胸部に女性の手が見え血が垂れている。
キンジョウの手から離れる聖剣エクスカリバー。
金髪で赤いドレスの女が、勇者キンジョウの背後で笑っている。
「い……てめぇ、なぜそれを」
「あら、私が言った言葉よ。 知っているに決まっているじゃない」
勇者キンジョウから手を抜き、地面へ投げ捨てる。
金髪で赤いドレスの女は、勇者キンジョウが落とした聖剣を手に取り、周囲を見渡しユカリ所で目が止まる。
微笑む金髪で赤いドレスの女。
ユカリの険しい顔。
金髪で赤いドレスの女は、聖剣エクスカリバーをユカリに目掛け振り下ろす。
激しく響く金属がぶつかり合う音。
「ちっ、おまえか」
「無抵抗の状態しかも、人族の為に戦った勇者を狙うとは」
ユカリに向け振り下ろされた聖剣エクスカリバーを、俺はハルバードの柄で防ぐ。
競り合う俺の金髪で赤いドレスの女。
ユカリ達は、すぐさま退避して離れている。
「そいつは不要な存在。 女勇者なんて……」
「貴様、何者だ?」
ハルバードで押し返す。
よろけながら離れる金髪で赤いドレスの女は、低い声で笑い徐々に姿を変える。
次第に変わる姿から、湧き上がってくる悪臭。
険しい顔をする魔王インビンシブルとペルセポネは、この女からさらに距離をとりかなり遠くへ離れていく。
――――まさか。この臭い……。
赤いドレスが白く。
顔が本人に。
少し細身へと変わる体躯。
そして、吹き荒れる悪臭が激臭へと変わる。
「エウラロノース様?」
「ええ、そうよ」
「なぜ、なぜです?」
「そうですわ。 なぜユカリをっ」
「むぅ!! なぜ?」
「簡単よ。 女勇者は必要ないのっ……呼び出してしまった私の失態。 ――――だからコイツを使って始末させようとしてたのに」
微笑みながら地面にうずくまり微かに息をする勇者キンジョウを足蹴し、その足を載せる。
エウラロノースは、そのまま口を開く。
「弱い魔物がでるランドベルクに移送したのよ。 神託で仲間も選んであげたのに」
微笑むエルラロノースは、うずくまる勇者キンジョウに聖剣エクスカリバーを突き刺す。
声にならない叫び声を上げた勇者キンジョウの頭が転げ落ちる。
「そういえば、あのカツオフィレの時は私が選んであげた――――残念な奴らなのに。 変わっているのね」
聖剣エクスカリバーを再び勇者キンジョウの胴体に突き刺し持ち上げると、もう一方の手で胴体を掴む。
勇者キンジョウの胴体が手に吸い込まれると唇を舐め回し「ふぅ、精を抜ききった男は乾き物よね」と呟き転がる頭部を踏み潰す。
ただ唖然とその光景、その行動を眺めているユカリ達。
「それにね。 失態は早く片付けたくて……折角、ブラックサーペントやら強い魔物置いてあげたのに――――はぁ~。 倒してしまうんですもの」
エウラロノースの視線はユカリに向けられる。
ただ黙っているしたかないユカリとその仲間。
「それにカツオフィレ王やその聖女に、貴女を始末しろと言っても……出来なかったのよ」
エウラロノースは、微笑みながら再びユカリ立ちに向けゆっくりと足を進める。
「諦めかけてきたのよね、魔王バスダトを倒した時――――でもねぇ。 突然貴女が何処にいるか分からなくなった時は喜んだわ」
微笑むエルラロノースの表情が次第に無表情になる。
「いた時は絶望したわ。 だからもう一人、勇者を召喚したの。 本来ならこの男だった……何故か――――」
睨みつけてくるエウラロノースは、険しい表情がへと変わる。
「――――本来、あの電車とらに飛び込むのはあの男!! 女であるお前は、突き飛ばされずにあの男から回避する筈だった!」
聖剣エクスカリバーを両手で握るエルラロノースは、その足が次第に加速する。
「女勇者は、女の勇者はっ――――」
駆けるエルラロノースの先にはユカリ。
――――速い!
振り上げられた聖剣エクスカリバーを空を斬りながら振り下ろされる。
ユカリやその周囲にいるユカリ達の間に入り、俺は再びハルバードの柄で受け止めようとする。
大気が静まる。
そして轟く金属音。
振り下ろした聖剣エクスカリバー。
――――まさか!!
ぱっくりと柄が割れるハルバード。
ニヤリと微笑むエルラロノース。
足から崩れ落ち、俺の視線から見える景色が静かに沈む。
ペルセポネとアヌビス達の声が聴こえるが何を叫んでいるか分からない。
俺を見下げるエルラロノースは不敵の笑み。
――――やられたな……これは誤算だ。この女いやこの神は……。
口元が緩む俺は、誰も伝わらない独り言を呟く。
「やはり……異世界――――面白いぞ」
ローブで姿が見えないようにしているが、歩くさいに見える脚などでわかってしまう。
俺は、心を無にしてハルバードを片手に、三人に近づく。
対峙する俺と三人に沈黙が走るとその時とんがり過ぎるフードの一人が口を開く。
「よう――――」
金属がぶつかり合う衝撃音が、辺りに轟く。
とんがり過ぎるフードの声がかき消される。
ユカリ達や魔族の中で耳を押さえる者もいる。
音の発生した所ではペルセポネと魔王インビンシブルが、ぶつかり合っていた。
大きな音はしなく、小刻みに金属音が届く。
息を吐くとんがり過ぎるフードが、口を開く。
「ようや――――」
更に上回る金属の衝撃音が放たれる言葉をかき消す。
とんがり過ぎるフードの腕が震えていたが、再び深呼吸をしてから、話そうとしていた言葉が聞こえる。
「――――ようやく――――」
言葉を止めペルセポネと魔王インビンシブルの戦いに視線を動かすとんがり過ぎるフード。
「な、鳴らない……か」
そう呟く、とんがり過ぎるフードに、痺れを切らしたのかまともなフードの一人が、地面を苛立ちを込めて踏む。
「もぅ、なにしているのっ。 私たちの登場シーンなのよ」
「そうだ。 周りの音など気にする必要ないと思うけどな」
異様なフードの一人もとんがり過ぎるフードへ注意するが、そのとんがり過ぎるフードは不貞腐れたのか少し早口になって言い返す。
「登場シーンだから、カッコ良くしろと言ったのはお前たちのだろうが。 こんなフード被る必要性無いなのに」
睨み合うフード三人。
呆れている俺。
「なぁ、何故ここに。 いやこの世界に来ている? オリシスにヘル、そしてアヌビスよ」
「なっ、ななななんでバレてるのよっ」
「完璧な変装なん……ですぞ」
「はぁ、お前ら……こんなフードでバレバレだ。 しかも他の魔族とはかなり異様な姿だし」
「すすす、すみません王よ」
ローブを脱ぎ捨てる三人。
併せてフードも取れ見せる顔は、目を閉じ少し申し訳なさそうな表情。
俺は、この異世界に来る前、冥界の神と名乗る管理者全員に俺の留守中に冥界の業務を任せていた。勿論目の前の三人にもだ。
――――それを放置して遊びに……いや原因の調査にくるとは。何かあったか?
すると、アヌビスが俺に目を合わせる。
「王よ。 我らの世界では、現に我らがいなくとも一柱さえ居れば冥界は滞りなく運営します」
俺は、その言葉に無表情のままでいる。
――――アヌビスめ、痛いとこついてくる。
――――そう、神が不在でも冥界は何も問題ない。
「我らも、あの世界……地球の中では考えに固執してしまう。 しかし、この異世界でもし新たな知識、知恵があれば――――植物の再生に何かみつかるかも」
――――オリシス。少しだけ願望が漏れてたぞ。
――――だが、魔法がある世界。その知識があれば、いいが。
「まぁ、異世界人は私たちの管理する者ではないから、殺しまくることできそうだし、楽しそうだしぃ」
「ヘルは、違う世界なら神の手で無作為に殺しでもしていいと?」
「王よ、無作為に殺しなど――――もう飽きましたわ。 命を奪う輩をなぶり殺すのがとても……いいわ」
――――こいつは、元から変だが……まぁ、道理はわかる。俺もこの世界の住人を殺すのを躊躇うことすら無いし。
「その雰囲気からして、王よ。 我らがきても何もお咎めないと感じられるのですが?」
「来た理由は、わかった。だが、ヘカテーがそんな理由で、お前たちにこの世界に合った依り代を渡すわけないが?」
「あっ、王よ。 いま王の依り代、レベルが上がらないとヘカテーが伝えて欲しいと」
「なんでもぉ、作成時にミスがあったらしくレベルが固定らしいと言っていたわ」
ヘルの言葉にアヌビスとオリシスは頷く。
俺は、その言葉に納得しつつも眉間に皺を寄せている。
「あぁ、知っている」
「さすが、王だ」
感心するオリシス。
すると、怒涛もない爆発音や破裂音が轟く。
俺たちは、その音に反応する。
魔王インビンシブルが放つ魔法。
それを難なく避けているペルセポネは、笑を浮かべ順々に放たれる魔法の隙を狙って魔王インビンシブルに攻撃を仕掛ける。
「ありゃ焦ってるよな。 魔族の大将……いや魔王ってヤツ」
「ペルセポネ。 楽しんでいるわね」
「ヘルどういう事だ?」
「えっ、王? そ、そうですわ――――体を動かしていい運動になって楽しそうじゃないですか」
「――――そうだな」
楽しそうなペルセポネを眺めている俺の視線には入らないが、ヘルは一息し胸を撫で下ろしている。
「この魔王インビンシブルに、抵抗できる奴がいるとはっ! しかも勇者でなく――――貴様何者!?」
「……」
「我が言葉に無視するとは。 それ程まで必死なのだっ――――がっ!!」
見下していた魔王インビンシブルは、突如吹き飛ばされ地面に背をつける。
その姿を見下ろすペルセポネは、にこやかに口を開く。
「斬撃、打撃とか物理攻撃は効かないにしてもそれに伴う衝撃、運動エネルギーというの、それは効くのね」
「ヌヌヌッ。 戦いで背をつけたのは不甲斐ないが、これは我が足を滑らせたからだ」
「足を?」
苦しい言い訳を苦しそうな表情に冷や汗を浮かべながら、立ち上がる魔王インビンシブル。
「もう、飽きたから魔石貰うわ」
「貴様の攻撃なんぞ、一切効かぬのによく言うぅっ」
魔王インビンシブルは、黒い禍々しいオーラを放つ。
距離をとるペルセポネの口角は少し上がっている。
――――楽しそうな姿をみせるペルセポネは、美しい。
愛する妻の優雅な剣舞を眺めていると、既に眠魔族の群れを全滅させていたユカリ達の方から悲痛の叫び声が轟く。
その声に、ここにいる全員その声の元へ視線を動かす。
「がっ、はっ……なぜ……だ……」
「なぁーに、ゆっくりやすんでいるのぉ? 目の前につかれきったぁ~。 貴女の標的がいるのにぃ」
勇者キンジョウが吐血している。
胴体を貫通し金色の鎧の胸部に女性の手が見え血が垂れている。
キンジョウの手から離れる聖剣エクスカリバー。
金髪で赤いドレスの女が、勇者キンジョウの背後で笑っている。
「い……てめぇ、なぜそれを」
「あら、私が言った言葉よ。 知っているに決まっているじゃない」
勇者キンジョウから手を抜き、地面へ投げ捨てる。
金髪で赤いドレスの女は、勇者キンジョウが落とした聖剣を手に取り、周囲を見渡しユカリ所で目が止まる。
微笑む金髪で赤いドレスの女。
ユカリの険しい顔。
金髪で赤いドレスの女は、聖剣エクスカリバーをユカリに目掛け振り下ろす。
激しく響く金属がぶつかり合う音。
「ちっ、おまえか」
「無抵抗の状態しかも、人族の為に戦った勇者を狙うとは」
ユカリに向け振り下ろされた聖剣エクスカリバーを、俺はハルバードの柄で防ぐ。
競り合う俺の金髪で赤いドレスの女。
ユカリ達は、すぐさま退避して離れている。
「そいつは不要な存在。 女勇者なんて……」
「貴様、何者だ?」
ハルバードで押し返す。
よろけながら離れる金髪で赤いドレスの女は、低い声で笑い徐々に姿を変える。
次第に変わる姿から、湧き上がってくる悪臭。
険しい顔をする魔王インビンシブルとペルセポネは、この女からさらに距離をとりかなり遠くへ離れていく。
――――まさか。この臭い……。
赤いドレスが白く。
顔が本人に。
少し細身へと変わる体躯。
そして、吹き荒れる悪臭が激臭へと変わる。
「エウラロノース様?」
「ええ、そうよ」
「なぜ、なぜです?」
「そうですわ。 なぜユカリをっ」
「むぅ!! なぜ?」
「簡単よ。 女勇者は必要ないのっ……呼び出してしまった私の失態。 ――――だからコイツを使って始末させようとしてたのに」
微笑みながら地面にうずくまり微かに息をする勇者キンジョウを足蹴し、その足を載せる。
エウラロノースは、そのまま口を開く。
「弱い魔物がでるランドベルクに移送したのよ。 神託で仲間も選んであげたのに」
微笑むエルラロノースは、うずくまる勇者キンジョウに聖剣エクスカリバーを突き刺す。
声にならない叫び声を上げた勇者キンジョウの頭が転げ落ちる。
「そういえば、あのカツオフィレの時は私が選んであげた――――残念な奴らなのに。 変わっているのね」
聖剣エクスカリバーを再び勇者キンジョウの胴体に突き刺し持ち上げると、もう一方の手で胴体を掴む。
勇者キンジョウの胴体が手に吸い込まれると唇を舐め回し「ふぅ、精を抜ききった男は乾き物よね」と呟き転がる頭部を踏み潰す。
ただ唖然とその光景、その行動を眺めているユカリ達。
「それにね。 失態は早く片付けたくて……折角、ブラックサーペントやら強い魔物置いてあげたのに――――はぁ~。 倒してしまうんですもの」
エウラロノースの視線はユカリに向けられる。
ただ黙っているしたかないユカリとその仲間。
「それにカツオフィレ王やその聖女に、貴女を始末しろと言っても……出来なかったのよ」
エウラロノースは、微笑みながら再びユカリ立ちに向けゆっくりと足を進める。
「諦めかけてきたのよね、魔王バスダトを倒した時――――でもねぇ。 突然貴女が何処にいるか分からなくなった時は喜んだわ」
微笑むエルラロノースの表情が次第に無表情になる。
「いた時は絶望したわ。 だからもう一人、勇者を召喚したの。 本来ならこの男だった……何故か――――」
睨みつけてくるエウラロノースは、険しい表情がへと変わる。
「――――本来、あの電車とらに飛び込むのはあの男!! 女であるお前は、突き飛ばされずにあの男から回避する筈だった!」
聖剣エクスカリバーを両手で握るエルラロノースは、その足が次第に加速する。
「女勇者は、女の勇者はっ――――」
駆けるエルラロノースの先にはユカリ。
――――速い!
振り上げられた聖剣エクスカリバーを空を斬りながら振り下ろされる。
ユカリやその周囲にいるユカリ達の間に入り、俺は再びハルバードの柄で受け止めようとする。
大気が静まる。
そして轟く金属音。
振り下ろした聖剣エクスカリバー。
――――まさか!!
ぱっくりと柄が割れるハルバード。
ニヤリと微笑むエルラロノース。
足から崩れ落ち、俺の視線から見える景色が静かに沈む。
ペルセポネとアヌビス達の声が聴こえるが何を叫んでいるか分からない。
俺を見下げるエルラロノースは不敵の笑み。
――――やられたな……これは誤算だ。この女いやこの神は……。
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「やはり……異世界――――面白いぞ」
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俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
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