冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

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人族の神エウラロノースと聖女アルダー

冥王、気になる三名と第三の魔王の魔石を狙う妻。

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 武器を構えるユカリ達、睨みつける先に腕を組み黒いフルプレート、そしてタダならぬ覇気を出して不敵の笑みを浮かべる。
 そして、その者の後ろには銀色の髪と褐色肌の魔族が大勢ニヤつきながら、ユカリ達を見下げている。

「なに、こいつ……何した――――の?」
「現れたとおもったら突然」
「む、あの顔。 魔族!!」
「は、はやく回復を!」

 ユカリ達は、回復ポーションを飲み干す。
 黒いフルプレートの魔族が、口を開く。

「回復しろ。 着いてそうそう一瞬で倒してしまったらなぁ~、こいつらの楽しみ奪ってしまうからなぁ」

 大勢の魔族が、頷きほくそ笑む。更に黒いフルプレートの魔族が、辺りに目をやる。

「金色の鎧のぉ、まさか再び会えるとはなぁ」
「……」
「意気揚々と出てきて、そそくさと逃げたのを昨日のように覚えているぞっ――――その面ァ」
「――――ちっ」
「それに、あの魔法使い。貴様らが賢者とか言ってたヤツ。 アンデットに成り下がっているのは些か気になるが――――あれじゃ、話すことすら出来んか」

 黒いフルプレートの視線が動いた先、肉片が飛び散った跡があり、賢者アオヤギの持つ武器や服の破片が転がる。
 そして、黒いフルプレートの魔族が、俺の方へ顔を動かしニヤリと。

「……応援呼んだか。 まぁ、楽しみが増えていい」

 ユカリが、聖剣クラウソラスを黒いフルプレートの魔族に突きつける。

「私は、勇者っ!! 貴様を倒す――――いけフラガラッハッ」

 ユカリの号令で飛翔する聖剣フラガラッハは、黒いフルプレートの魔族に突っ込んでいく。
 ユカリもクラウソラスを握りしめフラガラッハと共に黒いフルプレートの魔族へ走る。

「ふぅ、甘いわっ!!」

 黒いフルプレートの魔族の唸るような低い声が、発するとユカリとフラガラッハが、弾き飛ばされ、地面を転がる。

「貴様は、バカなのか。 まだそこの金色の鎧の方が判断力は優れている」
「なっ」
「おい、ユカリ。 なぜ突っ込むんだ」
「お前に、名前で呼ばれたくない」
「話をそらすなっ。 なぜ鑑識眼で相手の情報を得ない?」
「う。 うるさいっ」

 勇者キンジョウの言葉を突っぱねるユカリ。

――――余程、キンジョウが嫌いなのだな。
――――あの、佇まいまさか。
――――それよりも、魔族の群衆にいるあの一帯。フード被っているがあの二人、とんがっているのと二つ山が出来ている奴。
――――まさか、な。来るわけが無い。業務を放置するわけも無い。

 俺の視線が魔族の中にいる三人を差す。
 フードを被っている為か、三人からの視線は感じられない。

――――むしろ、向こうが逸らしている?

「そうだ。 鑑識眼を使え、勇者よ――――貴様は、俺を魔族の一人と見ているようだが、それの認識を改めるだろ」

 群衆の魔族と共に黒いフルプレートの魔族は、目を見開き少し、顔が徐々に青ざめていく勇者の表情を眺めて、ニヤニヤと面白がっている。

「よぉ、わかったか」
「魔王……インビンシブル」
「それが俺の名だ。それによく見ろ、金色の鎧のは俺を見た途端逃げたんだからよぉ――――説明してやれよ」
「ちっ。 チート野郎」
「前にも言ってたなぁ。 そのチートって意味わからんが」
「お前ら、こいつ魔王インビンシブルは――――」

 勇者キンジョウは、苦虫を噛み潰したような顔でユカリが見た内容をリフィーナ達に吐く。

「――――物理攻撃無効オマケに魔法攻撃無効だっ」
「なっ」
「嘘ですわ」
「ムッ、ムムムムムムムムムムゥゥ」

 キンジョウのかけられた衝撃の言葉に、リフィーナを始めフェルトとミミンが、開いた口が塞がらない様子。
 黒いフルプレートの魔族、魔王インビンシブルが、人差し指を出し左右に振る。

「ちちち、魔法攻撃無効は言い過ぎだ。 我にも効く魔法があるぞ」
「何をでまかせにっ!!」
「ほう、女でまかせではない。 我に効くのは死霊系魔法だ」
「ちっ、そんなもんアンデット位しか使え……」

 勇者キンジョウは、ハッとして肉片と化したアオヤギに視線を振る。

「よくわかったな。 我の敵となるアンデットを真っ先に倒したのだよ――――くわっハッハッハ」

 魔族の笑い声が大きく広がる。

「どうするれば、いいの」
「回復してても相手を倒せないですわ」
「むぅ、混んだけ強いのに、なんで一時期撤退?」
「そうよ。 何かあるのよ」

 一瞬状況を打破できそうな表情を見せるリフィーナ達。
 すると、魔王インビンシブルが、笑みを浮かべる。

「撤退。 あの時はまさかあんな奴がいたとはな……忘れもせん剣聖エヴァン――――我を倒す術を持つとは」
「エヴァン!!」
「お父様の護衛で側近のですわ。 何故エヴァンが?」
「ムムム、確かに容姿変わらない」

 魔王インビンシブルは、人差し指をユカリ達に突きつける。

「エヴァンを倒し、人族を蹂躙するゥッ。 その手始めとして貴様ら勇者ァァァッ、お前たちの首を貰うぞォッ」

 魔王インビンシブルの怒号がほとばしる。
 魔族の群衆が、活気に溢れる。
 怯むユカリ達に勇者キンジョウ。
 しかし勇者キンジョウは、剣を構える。

「だが、今回は逃げる必要ない」
「ほぅ、金色の鎧のぉ。 その理由は?」
「この剣。 わかるかっ」
「聖剣か。 前にも持っていただろぅ、今はあの女が持っているがなぁ」
「これは、あれとは違うゾォォッ」

 駆ける勇者キンジョウは、魔王インビンシブルに勢いを乗せて聖剣を振り下ろす。
 激しい金属のぶつかり合う音が、辺りに響く。

「なっ!!」
「ふん。 我のスキル忘れたのかぁっ」

 弾き飛ばされる勇者キンジョウ。
 無傷の魔王インビンシブルは、転がる勇者キンジョウを睨みつける。

「聖剣エクスカリバー。 魔素を蹴散らし魔族に有効な剣――――使用者の能力を向上させる……か」
「聖剣エクスカリバーでもか」
「所詮、剣は物理攻撃だ。 物理攻撃無効の前では役には立たん」
「エヴァンがいないのであれば、貴様らに勝機は無い。 我の部下が貴様らの相手なってやろう」

 魔王インビンシブルは手を挙げ、ユカリ達に向け振り下ろすと魔族の群衆が、ゆっくりと進行する。
すると、後ろにいたフィルとドナが俺に声をかけてくる。

「ハーデスさん。 私たち……」
「助けにいく……わん」
「あぁ、そうしてやってくれ」
「はい」
「はい……わん」
「おい。ドナ」
「なに、わん」
「その……語尾無理やり付けなくても」
「――――話す度に慣れてきて、獣人って見た目以外特徴ないから……無理やりじゃないわん」
「そっそうか」

 駆け足でユカリ達の元に着くフィルとドナ。

――――見た目以外の特徴って、見た目だけで特徴あるだろ。

 俺はそう思いながら、馬車から少し顔を出すシャルルを見る。

「にゃん。 男は付けないにゃん。 女だけ……にゃん」

 そう言葉を残して馬車に隠れるシャルル。

――――小賢しいというか、語尾を付けるのはアピールの一環か。

 悩ませるシャルルの言葉だが、俺の横で震えるペルセポネ。

「ねぇ、あれ魔王なのよね。 魔石持っているのかなぁ」
「ん? 魔王バスダトだった持っていたのだ……持っているのではないか?」

 格好が似ていた魔王バスダトを思い出す。
 頷くペルセポネは、剣の柄を握りしめソワソワしだす。

「冥王さま、私行きますわっ。 あぁ魔王の魔石、絶対に綺麗な輝きをしているわ」
「魔王二体のも綺麗な輝きだったな」
「ですよね、ですよね。ならアイツも素敵な魔石を持っているの筈」
「でも、向こうにも強そうな奴が三人いるが」
「なぁ~にぃ――――あいつらは冥王さまがハッ倒せばいいのでしょう。 それに……どうしてここにいるのやら」
「そうだな。 それを聞かなくては……」
「どうせ職務放棄、職務怠慢。 冥王さまの怒りをぶつけて目を覚ましてやればいいのです」
「三対一。 キツいか」

 フードを被る三名を睨む。
 明らかに目をそらすよに顔を背ける三名。

――――洗脳されている訳ではないよな。なってたら俺やペルセポネも危険だぞ、魔王インビンシブル。

 魔族の群衆が雪崩のようにユカリ達に襲いかかる。
 フェルトの大盾で防ぎつつ、ユカリとリフィーナにドナの攻撃で迫る魔族を払い除け倒す。
 フィルの補助魔法で、ユカリ達の動きが更に良くなりミミンの攻撃魔法で、魔族の群衆を蹴散らす。
 聖剣エクスカリバーを振るい魔族を倒していく勇者キンジョウの近くで、俺とペルセポネを転移させた金髪で赤いドレスの女も逃げ惑っているようで、キンジョウの援護をしているようだ。

 魔王インビンシブルに一直線のペルセポネは、遮る魔族を一刀両断。
 俺もハルバードを持ち、戦禍へ足を進めると同時に三名が俺に近づいてくる。
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