冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

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人族の神エウラロノースと聖女アルダー

冥王、ポーカーフェイスで対処する。

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 金髪で赤いドレスの女によって、どこかの場所に転移をされた俺とペルセポネ。
 俺の頭の中で思考を中断、いや真っ白になっている最中の俺だが、目の前の光景を目の当たりにして無表情のまま止まる。

――――何を言っていいのか……。

「きゃぁぁぁっ!!」

 横にいるペルセポネが、叫び声あげ俺に抱き着き目を閉じている。
 その叫びに俺はペルセポネを守るように身構える。
 蒸し暑さがある部屋に、タオル一枚腰に巻き少し湯気が立ち込める丸いお腹を出した男、コベソが目を見開いて俺の姿を見ている。

「ここは、エメマセタか?」
「ってぇぇぇ、な、なんでいるんですぁぁぁっハーデスさん?」
「――――転移された様だ。 それにしてもコベソなぜその格好なんだ?」
「今、お風呂から上がった所……ってぇっ!! サラッと転移をしてとか、流して言ってませんでしたぁ?」
「あぁ、問題はそこでは無い」

 頭を抱えるコベソ。
 ペルセポネの怒鳴り声が響く。

「そんな会話いいのっ。 早く着なさいっ、ま――――コベソっ」

 その言葉に慌てふためくコベソは、すぐさま着替えに取り掛かる。
 しかしその叫び声に、駆けつけてきた女獣人のシャルルが、「大丈夫ですか会頭ぅぅうっ?」とコベソの姿を見て止まってしまう。
 そんなシャルルにペルセポネを任せ二人は、この脱衣場から出ていく。

 着替え終わったコベソが、咳払いをする。
 コベソの困惑した表情で、俺は今ここにいる経緯を説明をし、案内され向かった部屋に入ると既にペルセポネが、お茶を飲んでくつろいでいる。
 俺はペルセポネの隣に座り、コベソも表情変えずに椅子に座る。
 ペルセポネが持っていたコップを音を立て置く。

「全く~嫌なもの見てしまったわ」
「そんな事言われても突発的な事で、何にも対処出来ません」
「そうね、そうよね。 でももう少し大きなタオルを使って隠すと良いわ……何があるか分からなものよ」
「肝に銘じておきます――――それよりもっ転移って」
「あの勇者キンジョウが、グランウェスのダンジョンから転移して外に出たんだ。 転移など問題では無いはずだ」
「自分を転移なら……他者を転移って。 それに転移されたなら相手が、到着場所を決めてあると思ったのですが――――なぜあの場所……脱衣場なんです?」

 コベソは、何回か頭を掻きながら俺に尋ねてくる。
 コベソの問に俺も頭を悩ませる。

――――何故、あの場所なのか?そして何故コベソがあの姿した時なのか……。

「アレじゃない、もしかしたらあの女が転移先をこの街の何処か、もしくはあの場所に決めていたってこのじゃない」
「あの金髪で赤いドレスの女が、あの場所からこの建物に潜入しようとしていたとか考えられるな」

 俺の言葉にペルセポネが眉をひそめ、コベソは顔面蒼白になりつつある。
 俺は出された茶をゆっくりと味わう。

――――紅茶……アールグレイ、いい味わいだ。

 さらに蒼くなるコベソは、ほぼ目の前の俺とペルセポネに向け叫ぶ。

「そ、その前にユカリ嬢ちゃん達は大丈夫か!?」
「俺の見解だと、結構難しそうだな」
「ちょっとぉっ!! うるさいし、飛沫してるし」
「す、すいませんっ」
「でも、あの勇者本気でユカリ達を殺しにかかって来ているわ」
「ま……マズイじゃないですか。 早く助けに」
「ユカリは、勇者なんだぞ。 焦る必要もないだろ」
「いえ、相手が本気に来ているとなると。 もしかしたらエウラロノースが、何か力を貸しているやもしれない」

 コベソは、立ち上がり扉を開け誰かを読んでいるような何か叫んでいると、再び俺たちの所に戻ってくる。

「いやいや、ユカリ嬢ちゃん勇者として珍しいんです」
「珍しい?」
「今まで召喚された勇者は初代以外男性のみ。 女性の勇者が珍しい――――間違えて召喚してしまったと思われます」
「間違いってっ?」
「ええ、過去一人を除いて歴代の勇者は男性のみ」
「エウラロノースが意図的に男性を選んでいる?」
「ええ、男性では無くてはならない何かがある」

――――聞きたい事はそういう事ではなかったが。エウラロノース、色欲なのか?


 コベソが用意してくれた馬車で俺とペルセポネは、飛ばされた場所ユカリ達がいる元へ向かう。
 コベソが「そんな事より。早くユカリ嬢ちゃん達の所にっ」と丸裸で従業員を呼んだから大騒ぎになった。
 それに、猫獣人のシャルルが、笑顔で御者を務めエルフのフィルと犬獣人のドナも同行している。
 シャルルもだが二人も武装をし、深刻な表情。

「それにしても、リフィーナ様達は……大丈夫なのでしょうか」
「あの、キンジョウ。 何をするかわからない……わん」
「大丈夫じゃないですかぁ~。 ――――にゃん」

 語尾に決まり文句を付け忘れそうになる獣人二人。

――――人族がいるから付けなくてはならない風習……いらないのでは?

 その会話でペルセポネが、シャルルに声を掛ける。
「なんで?」
「ええ、街を出る時大量の回復薬、ポーションやらを会頭とトンドが渡してましたからぁ~にゃん」
「なるほど。 ならリフィーナ様も無事にいてくれる……」

 フィルとドナは、先程まで深刻な表情からすこし胸を撫で下ろした表情に変わっている。
 駆ける馬車は、更に加速をする。

――――ユカリ達と歩いていた時は、魔物が襲ってきたりとかしていたが、馬車ではこんなにも進行を阻まれることなく進めるなんてな。

「ねぇ、スムーズね」

 ペルセポネの一言にフィルとドナも頷くと、御者台のシャルルが嬉しそうに答える。

「まぁ、私のスキルです――――にゃん」
「へぇ、魔物避けとか?」
「魔物避けは魔法具。 スキルは認識阻害に千里眼っ――――にゃん」
「認識阻害――――気付かれないっていうスキル?」
「誰にも気付かれずに素通りできるみたいだ……にゃん」

――――なら、何故あのキンジョウの仲間二人に、さらに聖国の兵に?

「あれ!! いっ、いましたぁぁぁっ」

 シャルルの大声にフィルとドナが、馬車から乗り出し前方を眺める。
 二人から何も言葉を出さないし、身動きすら取らない。
 小声で「にゃん」と呟くシャルルも、今は無言のまま。
 馬車はゆっくりと止まる。
 ペルセポネが、頭を抱えながら馬車を降りる。
 俺も馬車を降りると、そこには地面に転がる数多くの小瓶。
 そして、苦痛の表情で耐えているユカリ達の目の前に腕を組んでユカリ達を見下げる者がいる。
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