冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

文字の大きさ
151 / 173
人族の神エウラロノースと聖女アルダー

冥王、この俺?を巡って修羅場と化す。

しおりを挟む
 見た目は全く変わらない魔王インビンシブルから発する威圧が伝わる。その魔王インビンシブルの口から『真魔王』と名乗り、何が面白いのか高笑いを上げている。

――――真魔王なんぞどうでもいい。

 何故こうなる?

 俺は顔色すら変えずに、ただ事の成り行きを見守ろうと決意。
 それは……今、俺に修羅場が、舞い込む。

――――何故、その眼差しで俺の手を握る?

 ユカリは聖剣を持つ俺の手をまるで包み込むように両手で握ってくる。そして、潤った上目遣いで頬を赤くする。
 そして、冷ややかな目がアヌビス達――――いや周りから突き刺さる。
 それよりもだ、ものすごい剣幕でやってくるペルセポネから放たれる威圧感は、真魔王インビンシブルの威圧をかき消している。
 ペルセポネの一歩一歩が、俺の中心にかなりの衝撃を受ける。

「あのー……ハーデスさん?」
「な、なななななんだ……ユカリ?」

 吃る俺についにやってくるペルセポネの怒号が。

「何しているのです。 こんな時に?」
「ハーデスさん……をいただきたい……」

 ペルセポネの怒号にユカリが気を退けている。
 しかし俺の手を先ほどより強く握り締めてくる。

「ちょっと、私の旦那よっ!! 早く手を離しなさいっ」
「離しませんっ。 私が相応しいと思ってます」
「はぁぁぁっ! 私は何年……何百年と共にいるのよ」

 ペルセポネの怒りが顔を紅潮させ目を血走らせるが、ユカリも負けじまいとペルセポネを睨む。

「時なんて、関係ありません!!」
「想いは私の方が上よっ。 なんてったって私、連れ去られたのだから!!」
「なら、今度は私が奪います」
「はぁぁぁっ? この小娘がぁぁっ!!」

 指を開けようとしてくるユカリ。

――――いがみ合う女同士の間が、こんなにもキツいとは。

 ゼウスの過去を思い出す俺、まさか自分にも同じ事が降り掛かってくるとは。

 その状況に、真魔王インビンシブルが高笑いをしやってくる。

「クックックックッ! 俺を恐怖し繁殖を優先したか?」
「「うるさいっ!!」」

 ペルセポネは、振り返り真魔王インビンシブルに向け斬撃を放つ。険しい顔のユカリも聖剣フラガラッハを差し向け奴を狙う。
 真魔王インビンシブルの両腕の付け根に突き刺さるフラガラッハ。そして崩れ落ちもがき苦しむ真魔王インビンシブルの足が切断され、地が赤く染める。

「――――何故だっ!! 何故ェェェッ。 このオレは、真魔王だそぉォォォォッ」

 その言葉を聞く俺だが、目の前のいがみ合う二人には届いて無い様子。
 アヌビス達やリフィーナ達は、少しだけ離れているのに気づき目を配るが、何故か全員目を背ける。

――――ユカリは何なんだ?何故その感情にいたる?

「邪魔が入りましたが、絶対に譲れません。 ペルセポネさんが狙おうと、本当にコレだけは絶対に譲れないです」
「旦那をコレ呼ばわりするとは……私たちをなんだと思っているの?」

 周りがソワソワしだす。リフィーナとフェルトは前に乗り出すようにこちらを眺めているし、ミミンは、ペルセポネを心配そうに――――いやうっとりと見つめている。

 ユカリは、この辺り響く程の大声を上げる。

「ペルセポネとハーデスさんの事よく分かってます――――」
「なら……その手を離し……」
「――――離しません。 私は勇者だからコレ、この……エクスカリバーが欲しいのですっ!!」

「……」
「…………」
「………………」

「へっ!?」

 修羅場に走っていた緊張が一瞬にして緩む。
 唖然とする周囲。ペルセポネも目を丸くしている。
 俺の手を包むように握るユカリは、真剣で力強い眼差しをペルセポネに向けつつ、俺の手を更に強く握りしめる。

――――痛みはないが、誤解が溶けて早く解放してくれ。
――――いや待て。解放したら聖剣エクスカリバーを振るうという俺の望みが消える?

「冥……ハーデスっ!! 早くユカリにその剣を渡して!」
「ハーデスさん、聖剣エクスカリバーはこの私――――勇者が持つべき、ですっ!!」

 ペルセポネとユカリ、二人の視線が俺に突き刺さしてくる。

――――渡せば楽なんだが。

 周囲特に、アヌビス達を眺めると俺との視線を外しこちらの状況を知らないふりをしているのが分かる。

――――諦める……か。

「……わかった……」

 俺は頭を掻き分け、聖剣エクスカリバーの柄から手を離す。俺の手を包んでいたユカリの手は、聖剣の柄を包むように掴んでいる。

「これで私は、もっと強く」
「はぁ、まぁ、それでユカリ。 早く魔王を、いや、真魔王を倒してきてくれないか」
「はいっ!!」

 慎重に真魔王インビンシブルに近づくユカリ。それに続くリフィーナ達。
 行先には腕でようやく身体を起こした真魔王インビンシブルが、俺たちを睨む。

「おっのぉっれぇぇぇっ!貴様らっ許さんぞっ」

 真魔王インビンシブルは、腕で身体を支えつつ少しだけ前進しているが怒りの表情は変わらず。

「魔王、足が無くとも魔王!! 警戒怠らないように」

 フェルトの声に頷くユカリ達。
 ユカリは、顎を引き視線をやや下にし真魔王インビンシブルをとらえ聖剣エクスカリバーに突き付ける。

「魔王! 私勇者ユカリがお前を倒す!!」
「倒すだと!? さっきまで縮こまっていた奴が……」
「縮こまっていないっうの! 回復すら出来ない真魔王って本当に魔王なの?」
「そう言われれば……そうですわね。 魔王なんだからもっと強く」
「むぅ、弱く感じるぅ」
「「……」」

 フィルとドナはかなり怯えているが、やはり技量、力量、異なる魔王だが、二回目の魔王と言うこともあってか立ち振る舞いが立派な四人。

「魔王インビンシブル!! 観念して私の刃の餌食になりなさいっ」
「ななななっななっ舐めるなっ!! 貴様らぁぁぁぁあぁっ」

 真魔王インビンシブルと激しくぶつかり合うユカリ達、その力は均衡している。
 ペルセポネの安堵と取れるため息。
 そして、目を逸らしていたアヌビス達が、何食わぬ顔で俺に声をかけてくる。

「王よ。 交渉相手逃げたが、どうする?」
「あの臭い女っ、あれほどの臭さを撒き散らすなんて、初めて知ったわ」
「ですが、王よ、向こうの警戒を解かなくては交渉できないですぞ」
「アヌビスとオリシスの言う通り。 こちらから会う事出来ない、人の生命を尊う事も無い奴だ。 親の顔を見てみたいものだ。 それにあの臭さ……」
「親の顔……ですか……」
「どこにいるか分からない親を探すより、あの臭い女の居場所を見つけた方が早いかも」
「そうです、王よ。 あの赤い空の下に降りた私達は、魔族の神すら見ていない」
「レベル上げにドラゴンやらゾンビやら、魔将とやを倒しまくってたけど、手応え無くてな。 あの魔王を見つけて魔神とやらとやり合いたかったけど……」
「会うことすらなかったわ」
「ここに来る間の違和感がある森。 もしかしたらソコにあるかも知れませんね」

――――レベル上げだと。アヌビス達も魔族の土地で苦労……いや楽しくしてたということか?

 ペルセポネが、真魔王と戦うユカリ達を眺めながら俺たちの会話に入る。

「森に確か、人や魔族と違う種族がいるわ」
「ペルセポネ。 違う種族……ならその種族に神がいると言うことか」
「さぁ、私も少しだけ寄っただけで、そんな話は聞いてないから――――わからないけど」
「寄った?」

 俺の言葉にペルセポネの目が泳ぐ。
 だが、その時ユカリ達の驚愕な叫び声と共に、大きな力の波動が俺たちの視線を集める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

処理中です...