テイマーは死霊術師じゃありませんっ!

さんごさん

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1章

ドライアイのやつ!

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 この世界で唯一のもふもふとの別れ。

 私は切ない思いで手を振ってその背中を見送った。


「でも、逃がしちゃって良かったの?」

「居場所が分かる魔道具を付けておいた。森の周辺に繋いでおくよりは安全だろう」


 わお、GPS。

 魔道具でGPSの代わりまで作れちゃうのね。
 まあ、魔法を使える人は魔力を感じられるらしいから、それを利用すれば案外簡単なのかもしれない。

 魔力を発するようにしておけば良いだけだからね。

 私はまだ魔力を感じられないけど。

 身体の中に流れてる魔力は分かるけど、外に出ちゃうともうダメ。
 それを証明に、魔力感知のスキルはいまだに取れていない。

 だからGPSもどきの魔道具を使っても、私にはさっぱり分からないのだ。


「ただ魔力を発してるだけではないがな」


 違うの?

 魔力以外にも何か発してるの?

 逆?

 強い魔力を発すると魔物が寄ってきちゃう?

 魔物が好む魔力の性質を隠して、魔物が好まない魔力だけを強めてるの?

 ふうん、電波の周波帯みたいなもの?

 なんにせよ馬が襲われないならいいよ。
 借り物だしね。

 仕組みを詳しく聞いたってどうせ分かんないし。

 それじゃあ森の中に行こうか。
 でも、これどうやって入るの?
 なんか鬱蒼としすぎてない?

 森ってもっとこう、木漏れ日が差し込んでキラキラしてるイメージだったんだけど。

 これ、足の踏み場もないよね?
 人は全く踏み込んでない場所みたいだね。

 うん?
 どうしたの、しゃがみ込んで。

 おんぶ?
 馬を降りたら、今度は骸骨に乗るの?

 確かに私じゃこの森を歩くのは難しいだろうけどさ、おんぶとか、二十歳過ぎてやるものじゃないでしょ?

 酔っ払ってるわけでもないのに、恥ずかしいよ。

 誰も見てないけどね。

 乗らないとこの先には行けない?
 そうなんだけどね。
 うーん、まあ、仕方ないか。
 よいしょ、っと。

 重くない?
 大丈夫そうだね。
 そりゃそうだよね。

 クリスのステータスなら、きっとどんな巨漢でも軽々と運べると思うよ。

 私は重くないけどね。

 城では自堕落な生活をしているけれど、ダンジョンに潜ってるから運動不足ではないし。

 むしろ前世よりスタイル良くなってるんじゃないかな。

 おっぱいは大きくないけどね。

 おんぶされるのなんて何年ぶりだろう。
 クリスって、おんぶしてもらいやすいね。

 骨だから掴むところいっぱいある。
 骨なんて掴みたくないけどね。

 ゴツゴツしててちょっと痛いかもだし。
 それで、どうするの?


「うわっ!」


 跳んだっ!?
 すごい!
 跳んでる!
 私は風になったんだっ!

 じゃなくて、怖い!
 ちょっ、跳び過ぎじゃない!?
 これ、人間の跳躍力じゃないよ。
 人間じゃないけどっ!

 何で助走もほとんどなかったのに棒高跳びくらい飛べちゃうわけ!?
 ステータスの産物なんだろうけどさっ!

 怖い!
 落ちる!
 怖い!

 すとっ、と意外と衝撃なく着地するクリス。

 ってか枝の上に着地して飛び移るとか、どこの忍者か。

 すと、すと、すと。

 着地の衝撃はほとんどないんだけど、ずっと飛び移ってるからガックンガックン。

 うう、酔いそう……。
 ってか速い!
 速いよ!

 何で馬から骸骨に乗り換えて、骸骨の方が速いわけ!?

 森の中なのに!
 おかしいよ!
 おかしいよ、異世界!

 ガックンガックン。

 うう、気持ち悪い……。
 飛んで、飛んで、飛んで……。
 私の意識まで飛んでしまいそうだ。

 あ、今上手いこと言った。
 上手いこと言った、私っ!

 高速道路みたいなスピードで走り続けるクリス。
 遮るものが何もないので、ゴォゴォと吹き付ける風で目が乾く。

 目薬プリーズ!
 ドライアイのやつ!

 目が痛いから目を閉じる。
 目を閉じると何も見えないのに、風と振動で高速で移動していることだけが分かる。
 余計に怖い!


「たーすーけーてー!」


 叫んでみた。

 口の中にまで風が入り込んで来て、口が乾いた。
 口乾くと口臭酷くなるっていうよね。

 大丈夫かな?

 ぴた、とクリスが止まる。


「何か言ったか、主よ」


 私の叫びが聞こえたらしい。


「……………………」


 声を出そうとしたら出なかった。
 喉が乾いて張り付いたような痛みがある。

 み、水……。

 声は出ないけど言いたいことは分かったのか、クリスが魔法で水を出してくれる。

 ごくごく。


「あー、あー」


 声は出た。
 クリスに乗る時は水が不可欠だ。

 あとはドライアイをどうにかしてほしい。
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