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1章
えい、えい、おー!
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クリスがピアノを弾けるようになったおかげで、私は忙しかった。
忙しいって言っても、主に私の娯楽なんだけどね。
ソシャゲのイベントを周回しないとならないから忙しい、みたいな?
そんなこと考えてるとゲームやりたくなってきちゃうね。
とにかく、朝から晩までピアノをレコードで聴いてる。
クリスに弾いてもらった方が良いんだけど、クリスはクリスで忙しいからね。
それに、クリスの手が空いてる時はピアノを教えてもらっている。
せっかく毎日練習してたんだからね、ちゃんと弾けるようになりたいんだよ。
んで、毎日毎日、せっせとピアノの練習をしていた。
もう、忙しいのなんの。
楽しいのなんの。
今まで娯楽らしい娯楽がなかった反動かな。
楽しいのなんの。
そんな日々を過ごしてたら、あっという間に時間は過ぎてやって来た。
聖光教会が。
正確には、聖光教会の息が掛かったトーザンドラント王国の軍隊だ。
トーザンドラントだって。
長くて噛みそうな名前だよね。
せっかく楽しみが出来て忙しくしてたのに、間が悪い。
もうちょっと暇な時に来てくれないかな。
むしろ来るなって感じなんだけどね。
城の中も慌ただしく、戦闘の準備をしている。
来るのは分かってたから、ほとんど準備は出来てるらしいんだけどね。
戦争かぁ。
これに関しては私、役立たずだからね。
テイムのスキルは、人間には効かないって話だし。
今回の相手は人間だけだから、私の出番はなしだよね。
私が出るくらいなら、進化したスケルトンを一体二対増やした方がよっぽど戦力になるんだから。
「私、なんかやることある?」
出来ればがん無視して部屋に籠ってたいところだけど、勝敗によっては私の生活にも大きく関わるからね。
勝つ確率が少しでも上がるなら、出来ることくらいはするよ?
「では、出陣の挨拶を頼もう」
出陣の挨拶?
えい、えい、おー!
ってやつ?
それ、いるの?
みんなスケルトンだよね?
亡者とか、レイスもいるけどね。
何なら数だけなら亡者が一番多いし。
1200体だよ。
本当に、軍勢って感じがするよね。
亡者めちゃくちゃ弱いけどね。
レイスは500体で、スケルトンは進化、非進化を合わせても500に満たない。
数だけ見たら2000くらいいるのか。
軍勢っぽいけど、みんなアンデッドだから、感情らしい感情ってのは見られない。
えい、えい、おー!
ってのは士気を上げるためのものだから、アンデッド相手にはやっても意味ないんじゃない?
「主は自分が思っている以上に、配下に慕われているのだ」
そうなの?
全く自覚はないけど。
普段クリス以外の配下と接する機会とか、ほとんどないしね。
それに、アンデッドにも感情らしい感情があるんだね。
クリスみたいに、人間と変わらない人格があるなら分かるんだけどね。
やっぱりテイムの効果かな。
神様産のスキルだから、想像以上に効果が高いのかも?
人徳?
そうだったらいいねぇ。
じゃあ、挨拶に向かおう。
みんな集まってるの?
準備いいね。
城の大広間、軽く数千人は入れるその場所に、みんなが集まっていた。
五百体弱のスケルトンがきっちりと整列し、同数程度のレイスがあちこち浮遊している。
そして……。
なにあれ?
ローブを着こんだ千人ほどにも及ぶ人がいる。
顔が見えないくらいに深くフードを被って、微動だにせず立ち尽くしている。
おじいちゃんの肌着みたいな、薄茶色のローブだ。
裾のところに紋章みたいなのが入っていて、それなりにかっこいいのだけれど、全員おんなじローブで、個性がない。
まあ、このラインナップからしてあれらは亡者なんだろうけど、なんか不気味。
邪教の集団っぽい。
邪教の集団って、なんかちょっとかっこいいかもね。
実際には邪教どころかアンデッドなんだけど。
スケルトンは、盾とか剣とか持って、いつもより武装がちゃんとしている程度の印象なんだけど、亡者たちのあれはなんか怖いね。
ともかく、私はスピーチしないと。
あー、アンデッドで配下が相手とはいえ、二千人以上の注目を浴びてると緊張するな。
校長先生ってこんな感じなのかな。
「えー、聖光教会が攻めて来ましちゃ」
あ、噛んだ。
でも、気にしない。
「えー、聖光教会は、えー、アンデッドを滅ぼそうとしているそうです」
えー、が多くなっちゃうな。
何言うか考えとけば良かったよ。
スピーチする予定なんてなかったしな。
仕方ないか。
「だからそのー、えー……」
どうしよう、言うことがなくなっちゃったよ。
うーん、えっと……。
「やっつけるぞー!」
私は拳を突き上げた。
とりあえずそれっぽく終わらせておこう。
おー、って返ってくることを期待したのだけれど、ここには喋れるのがクリスしかいないので、おー、って返ってくることはなかった。
けど、スケルトンたちは私と同じように拳を突き上げてくれたし、レイスたちはなんだか嬉しそうにしている。
亡者だけは微動だにもしなかったけれど、まあ、うん、とりあえずこんなもので良いだろう。
ほんと、亡者って不気味だよね。
忙しいって言っても、主に私の娯楽なんだけどね。
ソシャゲのイベントを周回しないとならないから忙しい、みたいな?
そんなこと考えてるとゲームやりたくなってきちゃうね。
とにかく、朝から晩までピアノをレコードで聴いてる。
クリスに弾いてもらった方が良いんだけど、クリスはクリスで忙しいからね。
それに、クリスの手が空いてる時はピアノを教えてもらっている。
せっかく毎日練習してたんだからね、ちゃんと弾けるようになりたいんだよ。
んで、毎日毎日、せっせとピアノの練習をしていた。
もう、忙しいのなんの。
楽しいのなんの。
今まで娯楽らしい娯楽がなかった反動かな。
楽しいのなんの。
そんな日々を過ごしてたら、あっという間に時間は過ぎてやって来た。
聖光教会が。
正確には、聖光教会の息が掛かったトーザンドラント王国の軍隊だ。
トーザンドラントだって。
長くて噛みそうな名前だよね。
せっかく楽しみが出来て忙しくしてたのに、間が悪い。
もうちょっと暇な時に来てくれないかな。
むしろ来るなって感じなんだけどね。
城の中も慌ただしく、戦闘の準備をしている。
来るのは分かってたから、ほとんど準備は出来てるらしいんだけどね。
戦争かぁ。
これに関しては私、役立たずだからね。
テイムのスキルは、人間には効かないって話だし。
今回の相手は人間だけだから、私の出番はなしだよね。
私が出るくらいなら、進化したスケルトンを一体二対増やした方がよっぽど戦力になるんだから。
「私、なんかやることある?」
出来ればがん無視して部屋に籠ってたいところだけど、勝敗によっては私の生活にも大きく関わるからね。
勝つ確率が少しでも上がるなら、出来ることくらいはするよ?
「では、出陣の挨拶を頼もう」
出陣の挨拶?
えい、えい、おー!
ってやつ?
それ、いるの?
みんなスケルトンだよね?
亡者とか、レイスもいるけどね。
何なら数だけなら亡者が一番多いし。
1200体だよ。
本当に、軍勢って感じがするよね。
亡者めちゃくちゃ弱いけどね。
レイスは500体で、スケルトンは進化、非進化を合わせても500に満たない。
数だけ見たら2000くらいいるのか。
軍勢っぽいけど、みんなアンデッドだから、感情らしい感情ってのは見られない。
えい、えい、おー!
ってのは士気を上げるためのものだから、アンデッド相手にはやっても意味ないんじゃない?
「主は自分が思っている以上に、配下に慕われているのだ」
そうなの?
全く自覚はないけど。
普段クリス以外の配下と接する機会とか、ほとんどないしね。
それに、アンデッドにも感情らしい感情があるんだね。
クリスみたいに、人間と変わらない人格があるなら分かるんだけどね。
やっぱりテイムの効果かな。
神様産のスキルだから、想像以上に効果が高いのかも?
人徳?
そうだったらいいねぇ。
じゃあ、挨拶に向かおう。
みんな集まってるの?
準備いいね。
城の大広間、軽く数千人は入れるその場所に、みんなが集まっていた。
五百体弱のスケルトンがきっちりと整列し、同数程度のレイスがあちこち浮遊している。
そして……。
なにあれ?
ローブを着こんだ千人ほどにも及ぶ人がいる。
顔が見えないくらいに深くフードを被って、微動だにせず立ち尽くしている。
おじいちゃんの肌着みたいな、薄茶色のローブだ。
裾のところに紋章みたいなのが入っていて、それなりにかっこいいのだけれど、全員おんなじローブで、個性がない。
まあ、このラインナップからしてあれらは亡者なんだろうけど、なんか不気味。
邪教の集団っぽい。
邪教の集団って、なんかちょっとかっこいいかもね。
実際には邪教どころかアンデッドなんだけど。
スケルトンは、盾とか剣とか持って、いつもより武装がちゃんとしている程度の印象なんだけど、亡者たちのあれはなんか怖いね。
ともかく、私はスピーチしないと。
あー、アンデッドで配下が相手とはいえ、二千人以上の注目を浴びてると緊張するな。
校長先生ってこんな感じなのかな。
「えー、聖光教会が攻めて来ましちゃ」
あ、噛んだ。
でも、気にしない。
「えー、聖光教会は、えー、アンデッドを滅ぼそうとしているそうです」
えー、が多くなっちゃうな。
何言うか考えとけば良かったよ。
スピーチする予定なんてなかったしな。
仕方ないか。
「だからそのー、えー……」
どうしよう、言うことがなくなっちゃったよ。
うーん、えっと……。
「やっつけるぞー!」
私は拳を突き上げた。
とりあえずそれっぽく終わらせておこう。
おー、って返ってくることを期待したのだけれど、ここには喋れるのがクリスしかいないので、おー、って返ってくることはなかった。
けど、スケルトンたちは私と同じように拳を突き上げてくれたし、レイスたちはなんだか嬉しそうにしている。
亡者だけは微動だにもしなかったけれど、まあ、うん、とりあえずこんなもので良いだろう。
ほんと、亡者って不気味だよね。
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