テイマーは死霊術師じゃありませんっ!

さんごさん

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1章

人数の数えかた

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「それでは行ってくる」


 そう言ってクリスは私の配下たちを率いて聖光教会との戦いに向かった。

 私は双眼鏡を借りて、城のテラスから様子を伺うことにした。

 城の中にはスケルトンが何体か残っている。
 私の傍付きというやつだ。

 名前も付いてないし、日によって変わるのでこのスケルトンと会ったのが初めてなのか、すでに何度も会っているのかも分からない。

 骨だからね。
 見分けがつかないのだ。

 見分けようと思ったら、リボンか何か付けておかなければ難しいだろう。

 ステータス画面から、ステ値を見て個体識別することは不可能ではないけれど。

 喋るクリスや、ブラックスケルトンのアレン、ここにはいないけれど、ブラックスケルトンナイトのディノスくらい分かり易ければ見分けることも出来るんだけど。

 アレンとディノスは黒いからね。


 そういえば、ディノスはどうしてるんだろう?

 テイムしてから一回も会ってないんだよね。

 スノーリーフの町にいるってのは知ってるんだけど、今日のためにテイムしたはずなんだけど。

 あのモールス信号みたいな魔道具で呼んであるのかな?

 間に合ってないけどね。

 双眼鏡を覗いても、今のところディノスと、スケルトンナイト二十体は見当たらない。

 もうすでに墓地の外で、クリス率いる私の配下たちと、聖光教会の軍隊が布陣している。
 もう少ししたら開戦かな?

 人数は……こっちの方がちょっと多いかな?

 こっちは二千体くらいだから、相手は千人くらいかな?

 もっと多い?
 もっと少ない?

 うーん、千人単位になると数えるの大変だね。

 アニメとか小説とかで、『三千人の軍勢が!』みたいなのあるけど、どうやって数えてるんだろう?

 一、二、三……。

 数えてみようと思ったけど、永遠に終わりそうにないよね。
 動くし。

 え? 数え方分かるの?

 どうやら傍付きのスケルトンが知ってるらしい。

 今日はクリスいないから、誰も教えてくれないかと思ったけど、このスケルトンは頭が良いのかな?

 だからクリスも、私の傍付きとして残したのかもしれないね。
 私、よく質問するから。

 えぇっと、こうやって指で四角い枠を作るの?

 写真家とか、画家みたいだね。

 んで、この枠の中に何人いるか数えるの?

 ひぃ、ふぅ、みぃ……。

 五十人くらい?

 それで、この枠がいくつ分あるかを数えれば、おおよその数が分かる?

 へー。
 賢いね。

 今でもこうやって数えてるのかな?

 前世の話だけどね。

『デモ行進に三万人!』みたいなやつ。
 野鳥の会の人を呼んでるのかもしれないけど。

 えー、っと。

 枠が一個、枠が二個、枠が三個……。

 羊じゃないのになんか眠くなってきちゃったね。


 …………六十?

 ってことは三千人か。

 掛け算くらいは私にも出来るからね。

 あれ? でもそうなると私たちの軍勢より多くない?

 見るからに相手の方が少ないんだけど。
 もう一回数えてみよっか?

 枠が一個、枠が二個、枠が三個……ZZZ。
 っは!

 びっくりした。
 ヒレステーキが降って来たかと思ったよ。

 眠くなっちゃって駄目だね。

 ちょっと寝不足なのかもしれない。

 代わりに数えて?
 九百?

 何で九百が三千になっちゃうわけ?
 ほんとにこの数え方合ってるの?

 眠ってたから?

 あれ?
 最初の時も寝てた?

 うーん、自覚がない。

 まあともかく、九百人くらいの軍勢ってことなんだろうね。
 切り良く千くらいって思ってた方が良いのかもしれない。

 で、こっちは二千。

 わっはっは!
 圧倒的ではないか、我が軍は!

 もうこれ、勝っちゃったんじゃない?

 あ、動きだした。
 いよいよ開戦らしい。

 こっちの先鋒は亡者たちみたいだ。

 揃いのローブを着た千二百体の亡者たちが、ゆらゆらと敵の方へと歩いて行く。
 隊列は結構揃ってるから、練習したのかな?

 対する敵軍は盾を持った人たちが前線に張り付いて、後ろから弓や、杖を持った人たちが付いて行く。

 じりじりと両軍の先鋒が近づいて行き、距離が縮まったところで……。


 ドーーーン!


 魔法が、物凄い音を立てて着弾した。

 すっごい音。

 もうちょっと近かったら鼓膜破けてたんじゃないかな。

 結界も音は通すんだね。
 城が揺れたりってことはないみたいだけど。

 音波兵器的なの使われたらヤバいんじゃない?

 まあ、音で城に攻撃とか、普通に攻撃するのの何倍大変なのか分からないけど。

 それだったらどうにかして結界破った方が早いか。

 もくもくもく。

 双眼鏡の先では、魔法の着弾で土煙が舞っている。

 キノコ雲みたいにはならなかったけど、すごい土煙だ。

 ゆっくりと煙が晴れて行く。


 そこには、粉々に吹き飛ばされた千二百体の亡者たちがいた。
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