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「今日はアレンのせいで、とんだ1日となったな」
ビルは、エールを片手に、つまみのソーセージを食べながら、ぼやいた。
もちろん入隊式は無事に終わり、今日から正式に王国所属の騎士となったのだ。
その後、お疲れ会として飲み屋に3人で来ている。
「悪かったって。ここは払うからさ!」
「お!まじか?じゃあ、たらふく飲んで食わないとな!」
「ああ、いいよ!その代わりと言っては何だけど、遅刻しそうな時は、また声を掛けてくれない?」
「・・・・・。
ただでは起きないその精神が、いっそ清々しくて何だか尊敬して来たわ」
呆れ気味に言ってはいるが、面倒見の良いビルは、きっと声を掛けてくれるのだろう。
そう思い『誉め言葉として受け取っておくよ』と笑みを浮かべて答えたのだ。
そして、そんなやり取りを、見ていたはずのゲイルが、エールをチビチビと飲みながら言ったのである。
「何の話、してたの?」
・・・え?
もう酔ってるのか?
思わずビルと目を合わすと、同じ事を思ったのだろう、ビルがゲイルに聞いた。
「今日の話だよ。まだ一杯目だろう?もう酔ったのか?」
そうなのだ。
まだ飲み始めて30分も経っていないのだが、ゲイルの薄茶色の瞳は既にトロンとしている。
そして、いきなり何かを思い出したかのように話し始めたのだ。
「あ!そう言えば見たんだよ。訓練場で。
遠目だったけど、間違いない。
あれは、ローレンス王子だったよ!」
いったい何の話だろう・・・。
王子が何の用もないのに、訓練場へわざわざ来るはずもない。
それに、私からしたら、雲の上の存在だ。
会った事さえないのだから。
・・・これは酔っぱらっているな。
「ゲイル?無理して飲む事はないよ。ほら、料理もいっぱいあるし好きなの頼んで」
そう言い、メニュー表を渡したのだった。
ゲイルはご機嫌なのか、鼻歌交じりに、あれこれ見ながら何を頼むのかを考えている。
まさか、こんなに弱いとは思わなかったけど、楽しそうだから、いっか。
「ゲイルは王子と会った事あるのか?」
ビルは気になったようで、酔っ払いに聞いている。
「ん?・・・まあ、にゃん回かね。貴族のあちゅまりで会ったかにゃ?」
呂律が回っていない。
・・・完全にアルコールに呑まれてしまった。
机に水が入った瓶があるので、コップに注ぎ渡してやると『ありがとう』と言いゴクゴク飲んでいる。
水が無くなったのか、無言でコップを差し出して来たから、水を注いでやる事3回。
アルコールを水で中和出来たようで、コトリと机にコップを置いて話し始めたのだった。
「伯爵家以上が参加する新年会で、何回か挨拶をさせてもらってるんだよ」
王国騎士団は貴族出身にしかなれない。
嫡男は爵位を継ぐが、次男以降は自分で生計を立てなくてはならないので、騎士とは報酬が良い花形の職業なのだ。
私達3人も貴族出身だが、ゲイルは伯爵家、ビルと私は子爵家なので高位貴族が招かれる会など、全くもって想像もつかないのである。
「今日、ローレンス王子を見たって、本当か?」
ビルは余程興味を持ったのだろう。4杯目のエールを頼みながら聞いている。
「うん。確かに見たんだ。
けど、すぐに何処かへ行かれてしまったよ」
ゲイルは頼むものが決まったのか、肉メインの料理を注文していた。
その後、二人は王子の話をしていたが、私は全く興味がないので、聞きながら飲みに徹する事にしたのだ。
そして、明日は休みだからとの事で、かなりの時間を過ごしてしまったのである。
・・・当然、お代も半端ない。
騎士が高給取りと言っても、貰えるのは来月だ。
・・・今月は節約しなきゃな、自炊で凌ごう。
二人を見ると、ビルは少し酔っているのか、ただでさえ、大きい声が、更に煩くなっている。
ゲイルは完全に酔いが覚めた様で、いつもの調子を取り戻していた。
まぁ、今日は楽しかったし、同僚との円滑な人間関係を築く為の必要経費と思う事にしよう。
そう前向きに思い、お代を支払ったのであった。
その後、みんなで寮へと戻り各部屋へと帰る。
部屋にはベッドとテーブルに椅子、クローゼットがある。
風呂、トイレ、キッチンは1階の共同スペースにあるので各自利用する事になっているのだ。
もう日付が替わってるし、お風呂入るの面倒くさいなぁ。
・・・でも、このままじゃ眠れないし、さくっと入るか。
眠たい身体に鞭を打ちながら、用意をして、1階の風呂へと向かう。
扉には空室の札が掛かっていたので、それをひっくり返し使用中へと替え、鍵を閉めた。
そのまま、脱衣所で服を脱ぎ風呂へと入る。
青い魔石に触れると、赤へと色が変化した。
水がお湯へと変わり浴槽に溜まっていくのだ。
やっぱり風呂に入ると酔いが抜けてくるなぁ。
・・・はぁ。
本当に、騎士になれたなんて夢みたいだ。
辛い訓練にも耐えた甲斐があったな。
・・・そうだ。
落ち着いたら家と師匠に手紙を書かないと。
そう思い身体も温まったので、そろそろ出る事にしたのだ。
そうして浴室から出る時、鏡に映った自分に目をやる。
そこには、絶対に知られてはいけない、私の秘密があった。
・・・また、胸が大きくなってきたかな?
私が女としていられるのなら、嬉しい事なんだが、今はいらない。
せめてあと4年は、騎士として勤めたいので、女だとバレる訳にはいかないのだ。
また明日から気を引き締めて頑張ろうと思い、就寝したのであった。
ビルは、エールを片手に、つまみのソーセージを食べながら、ぼやいた。
もちろん入隊式は無事に終わり、今日から正式に王国所属の騎士となったのだ。
その後、お疲れ会として飲み屋に3人で来ている。
「悪かったって。ここは払うからさ!」
「お!まじか?じゃあ、たらふく飲んで食わないとな!」
「ああ、いいよ!その代わりと言っては何だけど、遅刻しそうな時は、また声を掛けてくれない?」
「・・・・・。
ただでは起きないその精神が、いっそ清々しくて何だか尊敬して来たわ」
呆れ気味に言ってはいるが、面倒見の良いビルは、きっと声を掛けてくれるのだろう。
そう思い『誉め言葉として受け取っておくよ』と笑みを浮かべて答えたのだ。
そして、そんなやり取りを、見ていたはずのゲイルが、エールをチビチビと飲みながら言ったのである。
「何の話、してたの?」
・・・え?
もう酔ってるのか?
思わずビルと目を合わすと、同じ事を思ったのだろう、ビルがゲイルに聞いた。
「今日の話だよ。まだ一杯目だろう?もう酔ったのか?」
そうなのだ。
まだ飲み始めて30分も経っていないのだが、ゲイルの薄茶色の瞳は既にトロンとしている。
そして、いきなり何かを思い出したかのように話し始めたのだ。
「あ!そう言えば見たんだよ。訓練場で。
遠目だったけど、間違いない。
あれは、ローレンス王子だったよ!」
いったい何の話だろう・・・。
王子が何の用もないのに、訓練場へわざわざ来るはずもない。
それに、私からしたら、雲の上の存在だ。
会った事さえないのだから。
・・・これは酔っぱらっているな。
「ゲイル?無理して飲む事はないよ。ほら、料理もいっぱいあるし好きなの頼んで」
そう言い、メニュー表を渡したのだった。
ゲイルはご機嫌なのか、鼻歌交じりに、あれこれ見ながら何を頼むのかを考えている。
まさか、こんなに弱いとは思わなかったけど、楽しそうだから、いっか。
「ゲイルは王子と会った事あるのか?」
ビルは気になったようで、酔っ払いに聞いている。
「ん?・・・まあ、にゃん回かね。貴族のあちゅまりで会ったかにゃ?」
呂律が回っていない。
・・・完全にアルコールに呑まれてしまった。
机に水が入った瓶があるので、コップに注ぎ渡してやると『ありがとう』と言いゴクゴク飲んでいる。
水が無くなったのか、無言でコップを差し出して来たから、水を注いでやる事3回。
アルコールを水で中和出来たようで、コトリと机にコップを置いて話し始めたのだった。
「伯爵家以上が参加する新年会で、何回か挨拶をさせてもらってるんだよ」
王国騎士団は貴族出身にしかなれない。
嫡男は爵位を継ぐが、次男以降は自分で生計を立てなくてはならないので、騎士とは報酬が良い花形の職業なのだ。
私達3人も貴族出身だが、ゲイルは伯爵家、ビルと私は子爵家なので高位貴族が招かれる会など、全くもって想像もつかないのである。
「今日、ローレンス王子を見たって、本当か?」
ビルは余程興味を持ったのだろう。4杯目のエールを頼みながら聞いている。
「うん。確かに見たんだ。
けど、すぐに何処かへ行かれてしまったよ」
ゲイルは頼むものが決まったのか、肉メインの料理を注文していた。
その後、二人は王子の話をしていたが、私は全く興味がないので、聞きながら飲みに徹する事にしたのだ。
そして、明日は休みだからとの事で、かなりの時間を過ごしてしまったのである。
・・・当然、お代も半端ない。
騎士が高給取りと言っても、貰えるのは来月だ。
・・・今月は節約しなきゃな、自炊で凌ごう。
二人を見ると、ビルは少し酔っているのか、ただでさえ、大きい声が、更に煩くなっている。
ゲイルは完全に酔いが覚めた様で、いつもの調子を取り戻していた。
まぁ、今日は楽しかったし、同僚との円滑な人間関係を築く為の必要経費と思う事にしよう。
そう前向きに思い、お代を支払ったのであった。
その後、みんなで寮へと戻り各部屋へと帰る。
部屋にはベッドとテーブルに椅子、クローゼットがある。
風呂、トイレ、キッチンは1階の共同スペースにあるので各自利用する事になっているのだ。
もう日付が替わってるし、お風呂入るの面倒くさいなぁ。
・・・でも、このままじゃ眠れないし、さくっと入るか。
眠たい身体に鞭を打ちながら、用意をして、1階の風呂へと向かう。
扉には空室の札が掛かっていたので、それをひっくり返し使用中へと替え、鍵を閉めた。
そのまま、脱衣所で服を脱ぎ風呂へと入る。
青い魔石に触れると、赤へと色が変化した。
水がお湯へと変わり浴槽に溜まっていくのだ。
やっぱり風呂に入ると酔いが抜けてくるなぁ。
・・・はぁ。
本当に、騎士になれたなんて夢みたいだ。
辛い訓練にも耐えた甲斐があったな。
・・・そうだ。
落ち着いたら家と師匠に手紙を書かないと。
そう思い身体も温まったので、そろそろ出る事にしたのだ。
そうして浴室から出る時、鏡に映った自分に目をやる。
そこには、絶対に知られてはいけない、私の秘密があった。
・・・また、胸が大きくなってきたかな?
私が女としていられるのなら、嬉しい事なんだが、今はいらない。
せめてあと4年は、騎士として勤めたいので、女だとバレる訳にはいかないのだ。
また明日から気を引き締めて頑張ろうと思い、就寝したのであった。
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