【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね

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次の日の朝

いつもは寒くてベッドから出るのが大変なのだが、今日ばかりは違う。

全然、眠れなかったわ・・・。

しばらくすると扉をノックする音が聞こえ、サーシャが入って来たのだった。

「おはようございます。お嬢様。本日はすでに起きていらっしゃるのですね。
外は雲一つない良いお天気ですよ。
では早速、学園へ行く準備をさせていただいますね。」

「サーシャ、おはよう。お願いね」

元気がない事に気付いたサーシャは、ポットでお湯を沸かしながら口を開いたのだ。

「あまり、ご無理はダメですよ?
体調が優れなければ、すぐにおっしゃって下さいね」

ここ数年でサーシャとも随分打ち解けた。
口数が少なかった彼女だが、今では良く会話をする。
私も気取らず、素を見せられる様になったのでとても楽だ。

「体調は平気なんだけど、気分が優れないのよ。
ちなみに、お父様、お母様は何か言ってなかった?」

サーシャは首をかしげて特に変わった事はないと言う。

王宮からは特に何も無し、か。
・・・よかったわ。

支度が終わり、朝食を食べに移動していると、父とバッタリ会った。

「おはようございます。お父様」
「おはよう!・・・ん?
顔色が優れないんじゃないか?
大丈夫か?」

鋭い。家族の事を相変わらず良く見ている。

「少し、寝不足なのです。気にする程ではありませんわ」
「悩み事か?この父がいつでも聞くよ」
「ありがとうございます。どうしようもない時はお願いします」
「・・・そうか。じゃあ、食事室まで行こうか」

食事室には既に母と、兄がいた。
いつもの様にみんなで食事をし、学園へと出かける。


そうして学園へ到着したのだった。

私はウィルフォードと遭遇しない様に忍び足でクラスへ行き、影をひそめてやり過ごす。

『ふぅ』今のところ大丈夫そうね?
と言うか、気にし過ぎだったのかもしれないわ。

そして授業が終わり、お昼休憩になった。
メルティア、アグネスと庭園の温室へ向かおうとしたら、クラスの入り口が騒がしい。

なんだろう?

そして目をこららすと、そこにウィルフォードが現れたではないか。

!?

油断していたわ!
でも、私に用があるとは限らないわよね。
と現実逃避をしていると。
どんどんと此方へ近づいて来る。

逃げる?隠れる?一体どーする!?

考えがまとまらず、ワタワタしていたら、ウィルフォードが目の前に来て言ったのだ。

「フェアリエル、一緒にランチを食べないか?」

断罪されると思っていたので、全く頭が働かない。
無言の私を覗き込み再度口を開いた。

「大丈夫か?体調が優れないのなら、一緒に医務室へ行こうか?」

「へ?あ?ごきげんよう。ウィルフォード様。
体調は大丈夫です。ご心配には及びません。
ランチですが、お友達との約束がございまして。
それに、お弁当を持参しておりますので、本日は難しいですわ」

これで引き下がってくれるのではないか。と淡い期待をしていたら、思いもよらない所に伏兵ふくへいが居たのだ。

「王子殿下、失礼致します。わたくし達の事は大丈夫ですので、是非、フェアリエルとランチに行ってください。
フェアリエルのお弁当は私達でいただきますので」

そう言って、メルティアが私の持っていた弁当をと取っていった。

「ありがとう。
では、フェアリエルを借りるよ」

メールー!!

私の悲痛な心の叫びは、誰にも届かなかったのである。

それからクラスを出てウィルフォードと歩く。

これは、どうすればいいのかしら?

宣戦布告をされているのに、呑気のんきに一緒に食事なんて出来る訳がない。

「あんまり寝ていないのか?」
「うぇ?はい。寝不足気味です。」

考え事をしていたら、変な声が出ちゃったわ。
・・・それにしても、昨日から良く話すわね。

「あの、ウィルフォード様?今日は何故ランチに誘ってくださったのですか?」

「ああ、それは婚約者として、もっと一緒にいる機会を増やしていければと思っているんだ。お互いにあまり知らないだろう?」

・・・それ、貴方が言うんですか?
と、口に出そうになった。

散々な態度を取って来たくせに。
と、自分の仕出かした事を棚に上げて思ってしまう。

そう話している内に食堂が見えて来たのだった。 

実は、初めて来るので勝手が分からなかったりする。
入り口に立て看板が設置してあり、本日のメニューが掲示されていた。

A定食が肉料理、B定食が魚料理、C定食がカレー&パンセットだったのだ。

え!?この国にカレーがあるんだ!?

思わぬ収穫をしてしまった。
知っていたら、もっと早くに食べに来たのに。

ウィルフォードはA定食、私はもちろんC定食を頼んだ。

わーい!!カレー久しぶり過ぎて、気分が上がって来た!

そんな私を見てウィルフォードが尋ねて来たのだ。

「そんなにカレーが好きなのか?」
「はい。家では出ないのでとても楽しみです」

「それはよかった。
・・・それで、先ほどの続きだが、お互いをもっと知りたいと思うんだ。
それと、今までの事は本当にすまないと思っている。
私の態度は、君を傷つけていただろう?」

ウィルフォードが自身の手を握り、真剣に謝ってくれている。

私は、自分では平気だと。傷ついてはいないと、そう思い込んでいた。

でも、実際に謝ってもらえて、本当の私は傷ついていたのだと認める事ができたのだ。
小さい頃の頑張っていた私が、むくわれた気がする。

ほんの少し、泣きそうになってしまった。

心を落ち着かせる為に、深呼吸をし、気持ちを整える。

「確かに、私はウィルフォード様の態度に傷ついておりました。
でも、ウィルフォード様の事だけを責められません。
私も、酷い態度をとって来たと思います。
本当に申し訳ございませんでした」

「いいや、大丈夫だ。
元々、私の態度が原因だろう。
これからは、婚約者として、仲を深めたいと思っている。」

・・・え?
それはちょっと困るのだけれど。

和解出来たのは嬉しいが、婚約は解消してもらいたい。
ここでは婚約解消の話は出来ないので、場所を変えて話さないと。

「ウィルフォード様。婚約の件で色々とお話させて頂きたい事があります。
後日、お時間を頂けますか?」
「ん?ああ。では、次の休みはどうだろう?」
「はい。よろしくお願いします」

こうして、昼休憩の時間は終わった。
全然カレーが楽しめなかった事が心残りである。できれば今度リベンジしたい。

クラスに帰ると二人が色々聞いて来たのだが、授業が始まりそうだったのと気疲れした為、また今度話すと約束をし、午後の授業を受けたのであった。

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