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最近は、よくウィルフォードと一緒にいる事が多くなった。
今日の放課後も、自然科学の図書室で待ち合わせをしている。
いつもの席に行くと、既にウィルフォードが居たのだ。
「ごめんないさい。遅くなりました」
「いや、大丈夫だ。では、早速始めようか」
そしてすごい事に、ウィルフォードは色々な事を知っている。
私なんて足元にも及ばない。
そうして今日も意見を出し合い、ノートに纏めていく事が、とても充実した時間だと感じているのだ。
そんなウィルフォードに、私はいつも協力して貰うばかりでは申し訳ないと思い、何かお返しがしたいと申し出たら、『ウィルと呼んでほしい』と、ポツリと言うではないか。
本当に呼んで良いのかと迷っていたら、小さい時のウィルフォードのようにソワソワとしていたので、思い切って呼んでみた。
すると、嬉しそうにはにかんで笑ったのだ。
その顔に心臓がドキッとして思わず胸に手を当ててしまった。
イケメンにそんな顔をされたら、誰だってドキドキしてしまう。
だから、これはきっと違う。そう思う事にした。
それに、ウィルフォードは私を好きな訳では無い。この政略結婚を成し遂げたいのだ。
・・・勘違いをしてはダメだ。
そして、それからの私達は、色々な話をする様になった。
私も畏まらず自然に話し、ウィルフォードも二人の時は俺と一人称が変わっていったのだった。
そんな日々が過ぎ、今日は学園が休みなので、王宮書庫へと来ている。
「ウィルは書庫に詳しいのね」
「あぁ。小さい頃から良く通っているからな。
・・・今だから言えるが、俺は君を魔女だと思っていたんだ」
えーっと、魔女とは?
思いもよらない話の展開に首を傾げて聞き返した。
「魔女?ですか?」
「そうだ。
・・・笑えるだろう?
君の前では思う様に話せなくて悩んでいた事があったんだ。
その時に見つけた本が、確かこの辺りに・・・これだ。
見てみるか?」
「ええ。ありがとう」
そう言って、微笑みを浮かべたウィルフォードから本を受け取り開いたのだ。
読み終えた後、最後のページを見たら、私にソックリなティーナの絵が描いてあった。
「もしかして、私にメガネを送ってくれたのも、この本の影響?」
「・・・そうだ。
5歳の俺は君の力を抑えるには、どうしたらいいのか、本気で考えていて毎日図書室へ通ったんだ。
・・・君と普通に話せる様になる為に。
・・・もちろん、今は魔女なんて思っていない」
「ふふっ、そうね。私は魔女じゃないわ。
それに、今は普通に話せているわよ」
思わぬ所でメガネの謎が解けた。
「俺は君と、こうして話ができる事をとても幸せに感じているよ」
「まぁ!大袈裟よ。私だって、貴方とこうして落ち着いて話ができるなんて、少し前なら思いもしなかったわ」
そうして笑顔で向き合う2人は、他人から見ると仲睦まじい恋人に見えてもおかしくはない。
そんな他愛もない話が出来るくらい、仲良くなっていた事に、フェアリエルは気付いていなかったのだ。
※ーーー※ーーー※ーーー※ーーー※ーーー※ーーー※
「最近のエルは少し変わったわね?大人になった気がするわ」
と放課後の庭園でメルティアが聞いて来たのだ。
「いつまでも、夢見る少女ではいられないと気付かされたのよ」
私が神妙な面持ちで答えると『なんか、意味ありげね』とメルティアも同じ表情で返してくれる。
「それに、もうすぐ2年になるし、少しは成長しないとね」
時間が経つのも早い物で、もうすぐ進級する時期だ。
そんな私達のやり取りを見ていたアグネスが躊躇いがちに話し始めたのである。
「そろそろ、長期休みに入るでしょう?
私は実家に帰ろうと思っているの。それで、もし良かったら、みんなも遊びに来ない?」
「行っても大丈夫?久々に家族と会えるのに邪魔じゃないかしら?」
気になったメルティアがアグネスへ問いかけた。
「大丈夫よ。日帰りだと大変だから、是非泊まって行って。
両親もみんなに会えるのを楽しみにしているわ」
笑顔で話すアグネスに、本当に行っても大丈夫なのだろうと思った私は『すごく嬉しい!誘ってくれてありがとう!』とお礼を言い、3人でお泊りの予定を立てるのであった。
このセントラルオーサム学園には、長期休みが進級する前の2週間しかない。
3年と言うタイトな時間の為、夏休み等がないのだ。
それに前世の日本に比べると、寒暖差が少ないと感じる。
暑すぎて死にそうって事も、寒すぎて雪で外に出られないって事もない。
と言うか、雪が降っているのを見た事がない事に、今気づいてしまった。
「そういえば、話は変わるけど、エルは最近、殿下と親しくしているわよね?」
とメルティア。
「まぁ、そうね。婚約者だけど、友達みたいな付き合いをしているわ」
「友達?どう見ても、エルの事が好きでしょ?」
メルティアは呆れる様に言い放ったのだ。
私はその言い方に少しムッとして『違うわよ。それに、ウィルには好きな人がいるんだから』とトップシークレットな内容を口にしてしまったのだった。
「そう?じゃあ誰なの?」
マズイと思ったのは束の間、メルティアは信じていない様で首を傾げて聞いて来る。
「・・・いや、それは言えないんだけど、今度本人に確認してみるわ。じゃあ2人とも、また明日ね」
そう言い残して、私は図書室へ向かったのだ。
その後ろ姿を見ていた二人は・・・
「エルは全く気付いていなさそうね」
「そうね。大人になったと思ったのだけれど、恋に関しては全然成長していなさそうだわ」
「・・・とにかく、見守りましょう」
そうアグネスとメルティアが話している事を、知る由もないフェアリエルだった。
私はみんなと別れた後、図書室でウィルフォードを待つ。
そろそろ試作品を作れる段階まで話が煮詰まってきたのだ。
「待たせてしまって、すまない」
「私も今来たところなので大丈夫よ。いつもありがとう。
それと、そろそろ試作品を作ろうと思っているの」
そう問いかけると、ウィルフォードは次の休みの日に作ろうと言う。
私としては嬉しいのだが、最近は私とばかり一緒に居る気がする。
そこで、先程メルティア達と話した事を聞いてみる、いい機会なのかもしれない。と思ったのだ。
「あの、ウィル?一つ聞いてもいいかしら?」
「なんだ?」
「私といる日が多くなってしまって、その、バンサム男爵令嬢は大丈夫?」
「・・・?
彼女がどうかしたのか?」
「いえ、お付き合いをしているのではなくて?」
笑顔で話を聞いていたウィルフォードの顔から、表情が抜け落ち、不機嫌そうなしかめ面をしたのである。
私はそれに(何だか久々に見るわね)なんて、どうでも良い事が頭を過ったのであった。
すると・・・。
「は?どこをどうしたらそうなるんだ?
婚約者がいるのに、他の女性と付き合う訳がないだろう。
・・・そんなに俺は信用がないのか?」
何事か!?
と思う程、感情を剥き出しにしたと思ったら、最後は痛々しい顔で聞いて来るウィルフォードを、傷付けてしまったと自覚した私は、即座に否定した。
「違う!
・・・そうじゃなくて。
以前、ウィルが楽しそうに一緒に歩いていたから、そうなのかと思ったのよ。
・・・だって、私達は政略だし。
私に遠慮しているのなら、悪いと思って聞いたの」
ウィルフォードは、しばし考えた後、思い当たる事があるのだろうか、ため息交じりに口を開いたのだ。
「はぁ・・・。
彼女は唯のクラスメイトだ。
それに・・・。
俺が好きなのは、君だよ」
!?
は?え?私?
と、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている私を見て、感心した様に告げて来たのだ。
「君はすごいな!あれだけ態度に出していたと言うのに全く気が付かないなんて。
・・・では、これからはもっと伝える事にするよ」
ニコリとキレイに笑ったウィルフォードの顔を見て、何故だか、狙われた小動物の気持ちが分かった様な気がした。
トキメキとは違う意味で鼓動が跳ねる。
「では愛しい婚約者様、次の休みの日に、また、お会いできる事を楽しみにしているよ」
そう言って、私の髪を一房掬い上げて、キスを落としたのであった。
今日の放課後も、自然科学の図書室で待ち合わせをしている。
いつもの席に行くと、既にウィルフォードが居たのだ。
「ごめんないさい。遅くなりました」
「いや、大丈夫だ。では、早速始めようか」
そしてすごい事に、ウィルフォードは色々な事を知っている。
私なんて足元にも及ばない。
そうして今日も意見を出し合い、ノートに纏めていく事が、とても充実した時間だと感じているのだ。
そんなウィルフォードに、私はいつも協力して貰うばかりでは申し訳ないと思い、何かお返しがしたいと申し出たら、『ウィルと呼んでほしい』と、ポツリと言うではないか。
本当に呼んで良いのかと迷っていたら、小さい時のウィルフォードのようにソワソワとしていたので、思い切って呼んでみた。
すると、嬉しそうにはにかんで笑ったのだ。
その顔に心臓がドキッとして思わず胸に手を当ててしまった。
イケメンにそんな顔をされたら、誰だってドキドキしてしまう。
だから、これはきっと違う。そう思う事にした。
それに、ウィルフォードは私を好きな訳では無い。この政略結婚を成し遂げたいのだ。
・・・勘違いをしてはダメだ。
そして、それからの私達は、色々な話をする様になった。
私も畏まらず自然に話し、ウィルフォードも二人の時は俺と一人称が変わっていったのだった。
そんな日々が過ぎ、今日は学園が休みなので、王宮書庫へと来ている。
「ウィルは書庫に詳しいのね」
「あぁ。小さい頃から良く通っているからな。
・・・今だから言えるが、俺は君を魔女だと思っていたんだ」
えーっと、魔女とは?
思いもよらない話の展開に首を傾げて聞き返した。
「魔女?ですか?」
「そうだ。
・・・笑えるだろう?
君の前では思う様に話せなくて悩んでいた事があったんだ。
その時に見つけた本が、確かこの辺りに・・・これだ。
見てみるか?」
「ええ。ありがとう」
そう言って、微笑みを浮かべたウィルフォードから本を受け取り開いたのだ。
読み終えた後、最後のページを見たら、私にソックリなティーナの絵が描いてあった。
「もしかして、私にメガネを送ってくれたのも、この本の影響?」
「・・・そうだ。
5歳の俺は君の力を抑えるには、どうしたらいいのか、本気で考えていて毎日図書室へ通ったんだ。
・・・君と普通に話せる様になる為に。
・・・もちろん、今は魔女なんて思っていない」
「ふふっ、そうね。私は魔女じゃないわ。
それに、今は普通に話せているわよ」
思わぬ所でメガネの謎が解けた。
「俺は君と、こうして話ができる事をとても幸せに感じているよ」
「まぁ!大袈裟よ。私だって、貴方とこうして落ち着いて話ができるなんて、少し前なら思いもしなかったわ」
そうして笑顔で向き合う2人は、他人から見ると仲睦まじい恋人に見えてもおかしくはない。
そんな他愛もない話が出来るくらい、仲良くなっていた事に、フェアリエルは気付いていなかったのだ。
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「最近のエルは少し変わったわね?大人になった気がするわ」
と放課後の庭園でメルティアが聞いて来たのだ。
「いつまでも、夢見る少女ではいられないと気付かされたのよ」
私が神妙な面持ちで答えると『なんか、意味ありげね』とメルティアも同じ表情で返してくれる。
「それに、もうすぐ2年になるし、少しは成長しないとね」
時間が経つのも早い物で、もうすぐ進級する時期だ。
そんな私達のやり取りを見ていたアグネスが躊躇いがちに話し始めたのである。
「そろそろ、長期休みに入るでしょう?
私は実家に帰ろうと思っているの。それで、もし良かったら、みんなも遊びに来ない?」
「行っても大丈夫?久々に家族と会えるのに邪魔じゃないかしら?」
気になったメルティアがアグネスへ問いかけた。
「大丈夫よ。日帰りだと大変だから、是非泊まって行って。
両親もみんなに会えるのを楽しみにしているわ」
笑顔で話すアグネスに、本当に行っても大丈夫なのだろうと思った私は『すごく嬉しい!誘ってくれてありがとう!』とお礼を言い、3人でお泊りの予定を立てるのであった。
このセントラルオーサム学園には、長期休みが進級する前の2週間しかない。
3年と言うタイトな時間の為、夏休み等がないのだ。
それに前世の日本に比べると、寒暖差が少ないと感じる。
暑すぎて死にそうって事も、寒すぎて雪で外に出られないって事もない。
と言うか、雪が降っているのを見た事がない事に、今気づいてしまった。
「そういえば、話は変わるけど、エルは最近、殿下と親しくしているわよね?」
とメルティア。
「まぁ、そうね。婚約者だけど、友達みたいな付き合いをしているわ」
「友達?どう見ても、エルの事が好きでしょ?」
メルティアは呆れる様に言い放ったのだ。
私はその言い方に少しムッとして『違うわよ。それに、ウィルには好きな人がいるんだから』とトップシークレットな内容を口にしてしまったのだった。
「そう?じゃあ誰なの?」
マズイと思ったのは束の間、メルティアは信じていない様で首を傾げて聞いて来る。
「・・・いや、それは言えないんだけど、今度本人に確認してみるわ。じゃあ2人とも、また明日ね」
そう言い残して、私は図書室へ向かったのだ。
その後ろ姿を見ていた二人は・・・
「エルは全く気付いていなさそうね」
「そうね。大人になったと思ったのだけれど、恋に関しては全然成長していなさそうだわ」
「・・・とにかく、見守りましょう」
そうアグネスとメルティアが話している事を、知る由もないフェアリエルだった。
私はみんなと別れた後、図書室でウィルフォードを待つ。
そろそろ試作品を作れる段階まで話が煮詰まってきたのだ。
「待たせてしまって、すまない」
「私も今来たところなので大丈夫よ。いつもありがとう。
それと、そろそろ試作品を作ろうと思っているの」
そう問いかけると、ウィルフォードは次の休みの日に作ろうと言う。
私としては嬉しいのだが、最近は私とばかり一緒に居る気がする。
そこで、先程メルティア達と話した事を聞いてみる、いい機会なのかもしれない。と思ったのだ。
「あの、ウィル?一つ聞いてもいいかしら?」
「なんだ?」
「私といる日が多くなってしまって、その、バンサム男爵令嬢は大丈夫?」
「・・・?
彼女がどうかしたのか?」
「いえ、お付き合いをしているのではなくて?」
笑顔で話を聞いていたウィルフォードの顔から、表情が抜け落ち、不機嫌そうなしかめ面をしたのである。
私はそれに(何だか久々に見るわね)なんて、どうでも良い事が頭を過ったのであった。
すると・・・。
「は?どこをどうしたらそうなるんだ?
婚約者がいるのに、他の女性と付き合う訳がないだろう。
・・・そんなに俺は信用がないのか?」
何事か!?
と思う程、感情を剥き出しにしたと思ったら、最後は痛々しい顔で聞いて来るウィルフォードを、傷付けてしまったと自覚した私は、即座に否定した。
「違う!
・・・そうじゃなくて。
以前、ウィルが楽しそうに一緒に歩いていたから、そうなのかと思ったのよ。
・・・だって、私達は政略だし。
私に遠慮しているのなら、悪いと思って聞いたの」
ウィルフォードは、しばし考えた後、思い当たる事があるのだろうか、ため息交じりに口を開いたのだ。
「はぁ・・・。
彼女は唯のクラスメイトだ。
それに・・・。
俺が好きなのは、君だよ」
!?
は?え?私?
と、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている私を見て、感心した様に告げて来たのだ。
「君はすごいな!あれだけ態度に出していたと言うのに全く気が付かないなんて。
・・・では、これからはもっと伝える事にするよ」
ニコリとキレイに笑ったウィルフォードの顔を見て、何故だか、狙われた小動物の気持ちが分かった様な気がした。
トキメキとは違う意味で鼓動が跳ねる。
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