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いち
しおりを挟む一回目は処刑され、二回目は毒殺された。
せめて三回目は人生を全うしたい。それが、私の望みだった。
目が覚めれば、朝日が入り込んでくる。
ああ、また戻ったのだと。時間が巻き戻ったのだと理解する。
私の名前はシャーロット・カエルム。
今年十八を迎える貴族の娘だ。公爵家の次女に生まれ、そして生まれながら王太子殿下の婚約者の席が用意されていた。
婚約者のことは、好きだった。いいえ、好きという言葉では言い表せないほどに、愛していた。
あの髪色に、あの瞳。優しそうな瞳は、思い出すだけで胸が踊るほどだった。
婚約者の名前はリルム・ラクリマ。ラクリマ王国の王太子である。
突然だが、私は既に二回人生を終えている。いや、終えているというのは正しくない。正しくは、無理矢理終了させられている。天寿を全うしたわけでも、病気で死んだ訳でもない。一回目は処刑台の上に立たされ、公開処刑。二回目は秘密裏に毒殺された。思い出すだけでもなんとも哀れな一生である。しかもそれが二回もあるのだから、いっそのこと笑えてくる。
つくづく私は酷い死に方をする。そういう運命の元に生まれてきたとしか思えない。
一度目はものすごく錯乱したが、二回目ともなれば逆に落ち着いていた。毒を入れた犯人もわかっている。どうして毒殺されたのかも。だけど気づいた時には既に肺は活動を鈍らせていて、口も回らなかった。ただ、口から零れ落ちる赤い色だけを覚えている。
カーテンから差し込む光を見ながら目を細める。
「………また、戻っちゃったか」
それが、私が抱いた感想だった。
そして、思う。
今度は殺されない。今度は自分の人生を歩んでみせる。
そう決めた私は、そうそうに今後のことを考え出した。そもそも今日は何月何日なのか。
前回戻った時は一年以上前だったか。今回も同じなのかしら。だとしたら、今日は確か。
その時、扉が叩かれた。どうやら起床の時間らしい。となると、この後かかる声も予想がつく。
「お目覚めでしょうか。シャーロット様」
「………おはよう、アメリア。起きてるわ」
いいながら、ベッドから降りる。
こうして、私……シャーロット・カエルムの3回目の人生が幕を上げた。今回こそは、殺されない。殺される前に、逃げてやる。
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