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ごじゅーよん

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そしてーーー私の魔法技は『変化』。
と言っても、魔力量がそんなにないので長くは持たない。しかも、声までは上手く作れないという欠陥付き。使いこなせばそれなりになるのだろうが、中途半端な現状では下手に手を出したらお荷物間違いなし。

だけど………今の状況。
少しの目くらましくらいならきっとできる………!

貴族の娘が行くとなればロティア通り七番地だろう。
露天が多くある通りで貴族御用達の宝飾店も多数ある。
三番地から七番地までは少し遠いが…………走るしかないわね!

幸いにもここには誰もいない。変化して走ればだれも私とは気付かないだろう。
メゾネリアから離れ、少ししたところに木を見つける。随分と幹の深い大樹だ。ここの裏であれば変化しても気付かれないだろう。
私は裏に回ると、目を閉じて、深呼吸をした。まずは精神を落ち着けなければ。ゆっくりと息を吸って、吐く。
少ししたところで小さく私は呪文を唱えた。

「ロード・オブ・チャージ………!」

唱えると体内をかき乱されるような、熱い感覚がほとばしる。何回体験してもこの感覚は慣れない。
魔法技を使った時の感覚というのは人それぞれ違い、まさに十人十色。だけど私の場合は何か心臓をつかみ出されるような、胸を開かれるような嫌な感覚だった。
熱の渦が落ち着き目を開けると視界の端に黒い髪が揺れた。どうやら、変化は成功したらしい。そのことにほ、と安堵の息を吐きながら私は早速七番地を目指して走った。
だけど道道がわからない私は早速近くの人に七番地までの道を聞くことになったのだった。

「やっ…………と、七番地についた、けど………」

思った以上に暑い。猛暑だ。汗という汗があちこちから吹き出して、クラクラとしてくる。早いところ涼しい場所に避難したいが、その前にすることがある。まだ変化の魔法が解けていないことを確認して、私はすっと息を吸った。そして、はばかりなく叫ぶ。

「お嬢様ーー!」

正直視線が集まるのは恥ずかしいが、この際そうも言っていられない。私が叫ぶと、何人かの女性がこちらを向いた。おそらく彼女たちが貴族の娘なのだろう。振り向いた彼女たち一人一人を見ていく。茶髪、黒髪、茶髪、金髪………!でも違う、赤のネックレスはしてないわ。次第に興味を失って彼女達が視線を外す。まずい、見失う。そもそもあのフロックコートを着た男の言ってることが本当なのかどうか。それすらもわからないが、今は信じて探すしかない。
あちこちに視線を走らせていると、その時ふとちかりと陽に反射した何かがみえた。ちかちかと何かが光っている。
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