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(そうしたらどうすればいいの………)
まさか「頭の中に聞こえない声が聞こえるんです」なんて他人に聞かれれば一発アウト間違いない。即病院送り行きである。
加えてミレイユは公爵家の娘で、王太子の婚約者。醜聞もいいところである。お花の声が聞こえるのよ、うふふふという年頃も完全に過ぎ去っているし幼いときでさえミレイユはそんな夢発言はしなかった。つまり、これが頭の病気だと分かってしまえばミレイユにあとは無い。半ば祈るような気持ちでミレイユはこの日を迎えた。もし本物、と言うより現実の人間と紐ずいていればそれはすなわちユリウスが無表情デフォルトのむっつりということが公にされるも同じなのだが、自分の頭を心配していたミレイユはそこまで気が回らなかった。
「この前は大丈夫だった?ごめんね、送れなくて」
「い、いえ。大丈夫ですわ…………」
【本当はミレイユが心配で寮までついていったんだけどね。何も無くてよかった】
ミレイユは速攻後悔した。
聞きたくないことが脳にダイレクトで入ってくるのも考えものである。しかもこれが己の願望だとしたら本気で考えものである。ユリウスに対しても不敬である。寮までついてたったってそれはつまりストーカーしてたってことでいいんですか王太子殿下。そうとは聞けないミレイユである。
「そう言えば、来月夜会があるね」
「そうですわね…………」
「あなたには私のパートナーとして参加してもらう義務がある。ドレスはそちらで用意していいよ」
「あ、はい………」
前はその発言にいちいち義務ってなによ、とか、ドレスを用意してくれないの?とか思っていたが今は違った。怒涛のようにユリウスの言葉………と思われるそれが耳に入ってくるからである。
【僕が選ぶとどうしても趣味に偏るからね。ミレイユは背中が綺麗だからがっつり背中が空いてるのもいいと思うけどやっぱりほかの人には見せたくないし。前に一度ドレスを贈ろうとしたら露出が多いし肩掛けでほとんどドレスが見えないしで、散々だったからな…………あれはさすがにないと我ながら思ったけど】
(そんなご事情があったのね………)
思わず内心頷くミレイユ。そしてはっとする。
(そうよ、そうじゃないわ。これはわたくしの願望かもしれないのだもの………!)
仮にこれが願望だとしたらミレイユはかなり痛い女である。そして、ようやくその時はきた。ユリウスがこ紅茶に手を伸ばしたのである。ユリウスが甘いものが苦手なのは既に知っている。そして、今日の紅茶は茶色い色をしているにも関わらず蜂蜜を燻したかのようなねっとりする甘さのあるものなのである………!
まさか「頭の中に聞こえない声が聞こえるんです」なんて他人に聞かれれば一発アウト間違いない。即病院送り行きである。
加えてミレイユは公爵家の娘で、王太子の婚約者。醜聞もいいところである。お花の声が聞こえるのよ、うふふふという年頃も完全に過ぎ去っているし幼いときでさえミレイユはそんな夢発言はしなかった。つまり、これが頭の病気だと分かってしまえばミレイユにあとは無い。半ば祈るような気持ちでミレイユはこの日を迎えた。もし本物、と言うより現実の人間と紐ずいていればそれはすなわちユリウスが無表情デフォルトのむっつりということが公にされるも同じなのだが、自分の頭を心配していたミレイユはそこまで気が回らなかった。
「この前は大丈夫だった?ごめんね、送れなくて」
「い、いえ。大丈夫ですわ…………」
【本当はミレイユが心配で寮までついていったんだけどね。何も無くてよかった】
ミレイユは速攻後悔した。
聞きたくないことが脳にダイレクトで入ってくるのも考えものである。しかもこれが己の願望だとしたら本気で考えものである。ユリウスに対しても不敬である。寮までついてたったってそれはつまりストーカーしてたってことでいいんですか王太子殿下。そうとは聞けないミレイユである。
「そう言えば、来月夜会があるね」
「そうですわね…………」
「あなたには私のパートナーとして参加してもらう義務がある。ドレスはそちらで用意していいよ」
「あ、はい………」
前はその発言にいちいち義務ってなによ、とか、ドレスを用意してくれないの?とか思っていたが今は違った。怒涛のようにユリウスの言葉………と思われるそれが耳に入ってくるからである。
【僕が選ぶとどうしても趣味に偏るからね。ミレイユは背中が綺麗だからがっつり背中が空いてるのもいいと思うけどやっぱりほかの人には見せたくないし。前に一度ドレスを贈ろうとしたら露出が多いし肩掛けでほとんどドレスが見えないしで、散々だったからな…………あれはさすがにないと我ながら思ったけど】
(そんなご事情があったのね………)
思わず内心頷くミレイユ。そしてはっとする。
(そうよ、そうじゃないわ。これはわたくしの願望かもしれないのだもの………!)
仮にこれが願望だとしたらミレイユはかなり痛い女である。そして、ようやくその時はきた。ユリウスがこ紅茶に手を伸ばしたのである。ユリウスが甘いものが苦手なのは既に知っている。そして、今日の紅茶は茶色い色をしているにも関わらず蜂蜜を燻したかのようなねっとりする甘さのあるものなのである………!
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