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三章
きっと今も昔も████ ※R18
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「ミュチュ……」
「力を抜いて。メリューエル。まだ始まったばかりだよ」
彼は私の胸元に口付けながら、片方の手をするすると伸ばした。辿り着いたのは太ももの間で、するりと指先を伸ばして彼はその部分を確かめた。見なくてもわかる。
そこは私自身自覚するほどに濡れていた。身動ぎする度にぴちゃりと淫らな音がして、それがますます私を追い立てる。
「すごい濡れてるね、わかる?メリューエル」
「ミュチュ……スカ、怖い。こわいの……なんだか、自分を見失いそうで……。分からなくなる」
戒められた手首のまま、手で顔を隠すようにしてすすり泣くと、手首に口付けを落とされた。ミュチュスカだ。彼は何度も手首や親指の付け根、指の間に触れるだけの口付けを落とすと、私の手首を掴んで顔から離させた。涙でぐちゃぐちゃな顔を、見られる。
「……俺は嬉しいよ。きみが何もかも分からなくなれば、きみには俺だけだ。きみが信じ、頼れるの俺だけになる。そうなれば、俺はきっと心から満たされる」
「……そうじゃ、なくて……」
噛み合っていない会話に、小声になりながらも言葉を重ねた。しかしミュチュスカは私の言葉はもうそれ以上聞かないとばかりに眦に口付けを落とし、首筋に吸い付いた。
僅かな痛みが走る。彼は数箇所そうやって吸い付いたあと、傷跡を舐めるかのようにぺろぺろと舐めた。彼が動く度に、長い金の髪が首筋をくすぐって、少し痒い。
彼の指先が私の秘部に触れ、そこを確かめるように指が動いた。緩やかに上下に触れたと思いきや、ゆっくりと指が沈んでくる。
「ぁッ、」
「大丈夫。落ち着いて。きみは覚えているはずだ。きみの体が。……ここは?きみが感じるところを知りたい」
そう言ってミュチュスカは私の耳を舐め、時には甘噛みしながらゆっくりと指を抜き差しした。これがとんでもない行為であることは理解しているのに、くったりと私の体は弛緩していて抵抗する気力は全くなかった。
彼の指は私を気遣うようだったが、時折的確に指の腹に力を込めた。その部分を擦られて、背が反った。
「アっ……!?」
「うん、ここだね。……覚えてるよ」
ぼそり、と彼が言った。
彼はそのままぐっ、ぐっ、と何度もそこを押し上げた。擦られても、押されても、お腹の奥が疼くような快楽が忍び寄り、私は悶え震えた。
身を捩りそうになるが、腰をしっかりと掴まれていてそれは叶わない。
もう無理だ、とだめだ、と首を横に振る度にぱさぱさと短い銀髪がシーツを打った。
「ひッ、ぁ、っ、ああ………!や、っ、だめ、……ね、だめ、なの。ミュチュス……ぁあ!」
びくびくと、体が震えて悶えてしまうのを抑えることが出来ない。ミュチュスカの胸元に顔を擦り付けて、ただひたすら快楽に耐えた。
ふと、香りがする。
柑橘系のシトラスに、ジンジャースパイスの混ざった大人の香りだ。その香りになにか、突き抜けるものがあったが、それを掴み取る前に嵐のような快楽が私を襲った。
ぐり、とミュチュスカの親指が秘所の敏感な蕾を押し上げた。高ぶっていた体はあっさりと崩され、がくがくと足先を震わせながら、声もなく私は達した。
「──ッ……!ひ、ッう、やぁっ……!」
ミュチュスカがぬるりと指先を抜く。
その僅かな刺激すら私を苦しめて、荒い呼吸を続けた。
私は目を閉じて、ひたすらミュチュスカを乞うた。
「ミュチュスカっ……ミュチュスカぁ……」
甘ったるい、女の声だ。
鼻にかかった、男に媚びる声。
聞くに絶えないいやらしい声なのに、止まらない。抑えられない。私の声を聞いて、ミュチュスカが私の眦に口付けた。まるで、安心させるように。大丈夫だ、とそういうように。
抱きしめたい。縋りたい。その思いで頭がいっぱいになった私は、ぐりぐりとミュチュスカの胸元に頭を押し付けて、彼に強請る。
「これ、解いて……。お願い、あなたをぎゅっとしたいの」
ミュチュスカは僅かな間の後、言った。
「……逃げない?」
「今更、そんなわけ」
ない。そういうつもりだったのに、それを言う前に紐が解かれた。涙を零しすぎたせいで、淑女らしくない鼻声だ。すんすん、と洟を啜る。
「破瓜は痛いと聞く。……でも、俺はメリューエルにその痛みを覚えていて欲しい。きみが、俺のものになったという証だから」
「ミュチュスカ……?」
「ごめんね。すまない。……きみに痛みを与えるというのに、俺はそれこそがきみを俺のものにしたという印なのだと思うと……止めることが出来ない。罵ってくれていい、腹が立つならきみの怒りを甘んじて受け入れよう」
でも、とミュチュスカは続けた。
彼の指先がふたたび、ぬかるみに触れた。
少し触れただけで、ぴちゃ、と粘着質な音がした。私の出したものだ。私が女であることを示すものだ。彼は液を指先にまとわせると、なかに指を沈めた。今度は二本。でも、痛みはない。
彼はぐるりと私の反応をつぶさに眺めながら奥をめざした。浅いところを擦られると、腰が動く。
「ぁっ……や、ひっ……ミュチュ、ミュチュスカぁっ……」
「きみに苦痛を与えようとも、きみが嫌がろうとも。俺は止めない。……止められないんだ。メリューエル。……愚かな|男(おれ)を赦してくれ。……いや、赦さなくていい。憎んでもいいから……きみが欲しい。きみは俺のものなのだと、実感させてくれ……」
ミュチュスカの指先はぐっぐっと奥をくすぐり、慣れない刺激──異物感に息を詰める私を慰めるように、手前の浅瀬をくすぐった。
そうすればあまりにも簡単に私の体は快楽に包まれる。
私はしっかりとミュチュスカの背に手を回し、彼の肩に顔を埋め、甘い快楽に浸っていた。
ねぇ、ミュチュスカ。
過去の私があなたをどう思っていたのか、今の私は知らない。
でも、私はわかる気がするの。
きっと、今の私と考えていることは変わらない。
ねえ、ミュチュスカ。
だから、もし記憶が戻っても私はこういうと思うのよ。
愛してる、って。
「力を抜いて。メリューエル。まだ始まったばかりだよ」
彼は私の胸元に口付けながら、片方の手をするすると伸ばした。辿り着いたのは太ももの間で、するりと指先を伸ばして彼はその部分を確かめた。見なくてもわかる。
そこは私自身自覚するほどに濡れていた。身動ぎする度にぴちゃりと淫らな音がして、それがますます私を追い立てる。
「すごい濡れてるね、わかる?メリューエル」
「ミュチュ……スカ、怖い。こわいの……なんだか、自分を見失いそうで……。分からなくなる」
戒められた手首のまま、手で顔を隠すようにしてすすり泣くと、手首に口付けを落とされた。ミュチュスカだ。彼は何度も手首や親指の付け根、指の間に触れるだけの口付けを落とすと、私の手首を掴んで顔から離させた。涙でぐちゃぐちゃな顔を、見られる。
「……俺は嬉しいよ。きみが何もかも分からなくなれば、きみには俺だけだ。きみが信じ、頼れるの俺だけになる。そうなれば、俺はきっと心から満たされる」
「……そうじゃ、なくて……」
噛み合っていない会話に、小声になりながらも言葉を重ねた。しかしミュチュスカは私の言葉はもうそれ以上聞かないとばかりに眦に口付けを落とし、首筋に吸い付いた。
僅かな痛みが走る。彼は数箇所そうやって吸い付いたあと、傷跡を舐めるかのようにぺろぺろと舐めた。彼が動く度に、長い金の髪が首筋をくすぐって、少し痒い。
彼の指先が私の秘部に触れ、そこを確かめるように指が動いた。緩やかに上下に触れたと思いきや、ゆっくりと指が沈んでくる。
「ぁッ、」
「大丈夫。落ち着いて。きみは覚えているはずだ。きみの体が。……ここは?きみが感じるところを知りたい」
そう言ってミュチュスカは私の耳を舐め、時には甘噛みしながらゆっくりと指を抜き差しした。これがとんでもない行為であることは理解しているのに、くったりと私の体は弛緩していて抵抗する気力は全くなかった。
彼の指は私を気遣うようだったが、時折的確に指の腹に力を込めた。その部分を擦られて、背が反った。
「アっ……!?」
「うん、ここだね。……覚えてるよ」
ぼそり、と彼が言った。
彼はそのままぐっ、ぐっ、と何度もそこを押し上げた。擦られても、押されても、お腹の奥が疼くような快楽が忍び寄り、私は悶え震えた。
身を捩りそうになるが、腰をしっかりと掴まれていてそれは叶わない。
もう無理だ、とだめだ、と首を横に振る度にぱさぱさと短い銀髪がシーツを打った。
「ひッ、ぁ、っ、ああ………!や、っ、だめ、……ね、だめ、なの。ミュチュス……ぁあ!」
びくびくと、体が震えて悶えてしまうのを抑えることが出来ない。ミュチュスカの胸元に顔を擦り付けて、ただひたすら快楽に耐えた。
ふと、香りがする。
柑橘系のシトラスに、ジンジャースパイスの混ざった大人の香りだ。その香りになにか、突き抜けるものがあったが、それを掴み取る前に嵐のような快楽が私を襲った。
ぐり、とミュチュスカの親指が秘所の敏感な蕾を押し上げた。高ぶっていた体はあっさりと崩され、がくがくと足先を震わせながら、声もなく私は達した。
「──ッ……!ひ、ッう、やぁっ……!」
ミュチュスカがぬるりと指先を抜く。
その僅かな刺激すら私を苦しめて、荒い呼吸を続けた。
私は目を閉じて、ひたすらミュチュスカを乞うた。
「ミュチュスカっ……ミュチュスカぁ……」
甘ったるい、女の声だ。
鼻にかかった、男に媚びる声。
聞くに絶えないいやらしい声なのに、止まらない。抑えられない。私の声を聞いて、ミュチュスカが私の眦に口付けた。まるで、安心させるように。大丈夫だ、とそういうように。
抱きしめたい。縋りたい。その思いで頭がいっぱいになった私は、ぐりぐりとミュチュスカの胸元に頭を押し付けて、彼に強請る。
「これ、解いて……。お願い、あなたをぎゅっとしたいの」
ミュチュスカは僅かな間の後、言った。
「……逃げない?」
「今更、そんなわけ」
ない。そういうつもりだったのに、それを言う前に紐が解かれた。涙を零しすぎたせいで、淑女らしくない鼻声だ。すんすん、と洟を啜る。
「破瓜は痛いと聞く。……でも、俺はメリューエルにその痛みを覚えていて欲しい。きみが、俺のものになったという証だから」
「ミュチュスカ……?」
「ごめんね。すまない。……きみに痛みを与えるというのに、俺はそれこそがきみを俺のものにしたという印なのだと思うと……止めることが出来ない。罵ってくれていい、腹が立つならきみの怒りを甘んじて受け入れよう」
でも、とミュチュスカは続けた。
彼の指先がふたたび、ぬかるみに触れた。
少し触れただけで、ぴちゃ、と粘着質な音がした。私の出したものだ。私が女であることを示すものだ。彼は液を指先にまとわせると、なかに指を沈めた。今度は二本。でも、痛みはない。
彼はぐるりと私の反応をつぶさに眺めながら奥をめざした。浅いところを擦られると、腰が動く。
「ぁっ……や、ひっ……ミュチュ、ミュチュスカぁっ……」
「きみに苦痛を与えようとも、きみが嫌がろうとも。俺は止めない。……止められないんだ。メリューエル。……愚かな|男(おれ)を赦してくれ。……いや、赦さなくていい。憎んでもいいから……きみが欲しい。きみは俺のものなのだと、実感させてくれ……」
ミュチュスカの指先はぐっぐっと奥をくすぐり、慣れない刺激──異物感に息を詰める私を慰めるように、手前の浅瀬をくすぐった。
そうすればあまりにも簡単に私の体は快楽に包まれる。
私はしっかりとミュチュスカの背に手を回し、彼の肩に顔を埋め、甘い快楽に浸っていた。
ねぇ、ミュチュスカ。
過去の私があなたをどう思っていたのか、今の私は知らない。
でも、私はわかる気がするの。
きっと、今の私と考えていることは変わらない。
ねえ、ミュチュスカ。
だから、もし記憶が戻っても私はこういうと思うのよ。
愛してる、って。
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