11 / 17
何者かと聞かれても
幸運だと思ったり神を消滅させたりと物思いの激しい私ではあるが、それはそれとして私はじっとルアヴィスを見た。
ルアヴィスはどこか焦った様子で私の口を覆っていたが、不意に視線を合わせてきた。
ーーー?
「んんっ!」
無意味にじっと見つめてくるルアヴィスに訝しげな声を上げるがルアヴィスは答えない。それでも私がんーんー言ってると、ルアヴィスが単調な声で告げた。
「あんたは、ここで誰にも会わなかった。俺とも会ったことがないし面識がない。………いいな?」
「んー!?」
何それ!!
勝手に決めつけてくる男に私は抗議の声を上げる。ルアヴィスはその羨ましくなるほどの端正な、切れ長の瞳をそっと逸らした。
視線が外される。そしてルアヴィスは私の口から手を離した。
「んんっ……ぷは!ちょっと、何するのよ!!」
「は?いやなん、」
「突然口抑えて、しかも忘れろですって!?そう簡単にいくと思っているのかしら!?」
すっかり被った猫が消え失せた私はここぞとばかりにルアヴィスに言った。
ルアヴィスは私の声に最初目を見開いていたがやがてハッとしたように自分の口元に人差し指を立てた。
「あまり大声を出すな。人が来たらどうする」
どの口がそれを言っている!!
私はさらに言い返そうとしたが、しかしルアヴィスの瞳に困惑を見つけると口を噤んだ。………困惑してる?どうして……?どうやら演技では無さそうだ。
「あんた、正気か?」
「はぁ?」
険のある声が漏れた。
それにルアヴィスが少し口元をひきつらせながら「正気なんだな」と答える。
正気に決まってる。何よ、急に人を酔狂者扱いするわけ?
私は苛立ちをぶつけるようにルアヴィスを睨む。ルアヴィスは再度私を見た。ルアヴィスの瞳には濃い青色がふたつ折り重なったような模様が浮かんでいる。
確かにこれを隠すのは仮面でないと無理だろう。それにルアヴィスの瞳は色素の薄い空色だからこそ、青の刻印が目立ってしまう。こんなの仮面なしで歩いていればひと目で気づかれてしまうだろう。
彼が王家の血を引くものだということを。
ーーー彼が王族の落胤だということを
王家の紋章というのはそれが濃ければ濃いほど王族だという証明になる、と昼間ライラたちが話していた。だから瞳にくっきり紋章が浮かんでいる王太子は生まれながらの王族なのだとか。
だけどルアヴィスは…………濃いどころの話ではない。四角が、しかも二重に折り重なっている。これはどう言い繕っても王族の証である。
こんなに刻印が濃く出るということは間違いなく血が正統派なのだろう。つまり、ルアヴィスの父親はーーー
「これが効いてないのか」
ぽつりとルアヴィスが呟く。それに思わず私は聞き返していた。
「これ?」
「あんた、何者?俺の能力が効かなかったのは初めてだ。まさかあんた、俺に寄越された刺客?」
「はぁ?」
今度はこっちが聞き返す番だった。
勝手に色々勘違いしてくれちゃってるルアヴィスに、私はどう答えたものかと頭を悩ませた。
ルアヴィスはどこか焦った様子で私の口を覆っていたが、不意に視線を合わせてきた。
ーーー?
「んんっ!」
無意味にじっと見つめてくるルアヴィスに訝しげな声を上げるがルアヴィスは答えない。それでも私がんーんー言ってると、ルアヴィスが単調な声で告げた。
「あんたは、ここで誰にも会わなかった。俺とも会ったことがないし面識がない。………いいな?」
「んー!?」
何それ!!
勝手に決めつけてくる男に私は抗議の声を上げる。ルアヴィスはその羨ましくなるほどの端正な、切れ長の瞳をそっと逸らした。
視線が外される。そしてルアヴィスは私の口から手を離した。
「んんっ……ぷは!ちょっと、何するのよ!!」
「は?いやなん、」
「突然口抑えて、しかも忘れろですって!?そう簡単にいくと思っているのかしら!?」
すっかり被った猫が消え失せた私はここぞとばかりにルアヴィスに言った。
ルアヴィスは私の声に最初目を見開いていたがやがてハッとしたように自分の口元に人差し指を立てた。
「あまり大声を出すな。人が来たらどうする」
どの口がそれを言っている!!
私はさらに言い返そうとしたが、しかしルアヴィスの瞳に困惑を見つけると口を噤んだ。………困惑してる?どうして……?どうやら演技では無さそうだ。
「あんた、正気か?」
「はぁ?」
険のある声が漏れた。
それにルアヴィスが少し口元をひきつらせながら「正気なんだな」と答える。
正気に決まってる。何よ、急に人を酔狂者扱いするわけ?
私は苛立ちをぶつけるようにルアヴィスを睨む。ルアヴィスは再度私を見た。ルアヴィスの瞳には濃い青色がふたつ折り重なったような模様が浮かんでいる。
確かにこれを隠すのは仮面でないと無理だろう。それにルアヴィスの瞳は色素の薄い空色だからこそ、青の刻印が目立ってしまう。こんなの仮面なしで歩いていればひと目で気づかれてしまうだろう。
彼が王家の血を引くものだということを。
ーーー彼が王族の落胤だということを
王家の紋章というのはそれが濃ければ濃いほど王族だという証明になる、と昼間ライラたちが話していた。だから瞳にくっきり紋章が浮かんでいる王太子は生まれながらの王族なのだとか。
だけどルアヴィスは…………濃いどころの話ではない。四角が、しかも二重に折り重なっている。これはどう言い繕っても王族の証である。
こんなに刻印が濃く出るということは間違いなく血が正統派なのだろう。つまり、ルアヴィスの父親はーーー
「これが効いてないのか」
ぽつりとルアヴィスが呟く。それに思わず私は聞き返していた。
「これ?」
「あんた、何者?俺の能力が効かなかったのは初めてだ。まさかあんた、俺に寄越された刺客?」
「はぁ?」
今度はこっちが聞き返す番だった。
勝手に色々勘違いしてくれちゃってるルアヴィスに、私はどう答えたものかと頭を悩ませた。
あなたにおすすめの小説
【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。
木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。
「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」
シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。
妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。
でも、それなら側妃でいいのではありませんか?
どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?
真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
【完結】私の大好きな人は、親友と結婚しました
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
伯爵令嬢マリアンヌには物心ついた時からずっと大好きな人がいる。
その名は、伯爵令息のロベルト・バミール。
学園卒業を控え、成績優秀で隣国への留学を許可されたマリアンヌは、その報告のために
ロベルトの元をこっそり訪れると・・・。
そこでは、同じく幼馴染で、親友のオリビアとベットで抱き合う二人がいた。
傷ついたマリアンヌは、何も告げぬまま隣国へ留学するがーーー。
2年後、ロベルトが突然隣国を訪れてきて??
1話完結です
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。