12 / 17
日没の刻に
「私の名前はテレスティア・レベーゼ。あなたが何に追われてるかは存じ上げないけれど、あなたに用があるのは確かよ」
「は?俺に………?」
「あなた、私に協力して下さらない?」
ルアヴィスは王宮魔術師の中でも屈指の才を持つ一級魔術師の資格を持っている。彼がいれば心強いのは間違いないだろう。それに、ルアヴィスはたった今私にものすごい秘密を明かした。いや、偶然見てしまったのだけど。だけどちらにせよそれを使わない手はない。
「さっきのことだけど。私うっかりセレベーク様にあなたのこと、話してしまうかもしれないわ。だけどあなたが協力してくれるのなら忘れることにする」
「俺を脅してるつもり」
低い声でルアヴィスが言う。その通りだ。私は目的のためなら手段は選ばない。それでもまだ倫理に反することはしてないのだから逆に褒めて欲しい。私はにっこり笑って答えた。
「違うわ、これは約束よ」
「約束………ね」
「私は今から行きたい場所があるの。あなたはそこまで護衛してくれればいいわ。ああ、もちろん途中で合流するのよ。ここから一緒に行ったらそれこそ嫌な噂がたつわ」
私がつらつらと述べるとルアヴィスはしばし黙っていた。だけどようやく動き始めるとゆっくりと落ちた仮面を拾う。仮面に隠されるギリギリまで彼の空色の瞳を見ていたがやはり感情は読めなかった。
硬質な音がして、彼は仮面をつけた。
「テレスティア夫人、あなたは俺に何をさせたい?何をするつもり?」
「やだ、警戒しないで。ただ私は行きたい場所があるだけ。あなたは何もしなくていいわ。ただ私を守ってくれればいいの。外は何かと危ないでしょう?」
ルアヴィスがいれば百人力どころか千人力である。それほどまでに一級魔術師の力は強い。
「場所は?」
「待ち合わせ場所は………そうね。ルビーナ街の三番通路にしましょ。あそこならひと通りも多いから目立たないし、近くに裏路地があるからこっそり会うにはぴったり」
私は図書室で調べた本と地図の情報をもとに待ち合わせ場所を決めた。
「まるで逢い引きだな」
「周りに気づかれたら互いに合い挽き肉。上手いこと言うのね」
私は笑っていうがルアヴィスは答えなかった。そして、少ししてから彼は言った。
「……三番通路の出口の方だ。入口はあれで騎士も結構いる。俺はあんたの巻き添えで死ぬのはごめんだ」
つい先程私を巻き込んで不穏な気配と隣合わせになった人が言うセリフではない。そう思ったが、私は彼の仮面を見ながら答えた。
「いいわ。じゃあ、日没の刻に三番通路の出口で。待ってるわよ、協力者さん」
そう言うと、私は踵を返した。
そのまま迷った足取りで、しかししっかりと脳裏に刻み込んでいる道を歩く。もし誰かにあっても迷い込んだと言い訳ができるような仕草と歩きかたを心がけながら私はシェリアの元へと戻った。
ここまでは上手くいっている。だからこそ、気を引き締めなければならない。同じ轍は踏みたくない。
しっかり、慎重に、焦ってはいけない。だけど時間がないのも確か。考えて行動しなければ。
「は?俺に………?」
「あなた、私に協力して下さらない?」
ルアヴィスは王宮魔術師の中でも屈指の才を持つ一級魔術師の資格を持っている。彼がいれば心強いのは間違いないだろう。それに、ルアヴィスはたった今私にものすごい秘密を明かした。いや、偶然見てしまったのだけど。だけどちらにせよそれを使わない手はない。
「さっきのことだけど。私うっかりセレベーク様にあなたのこと、話してしまうかもしれないわ。だけどあなたが協力してくれるのなら忘れることにする」
「俺を脅してるつもり」
低い声でルアヴィスが言う。その通りだ。私は目的のためなら手段は選ばない。それでもまだ倫理に反することはしてないのだから逆に褒めて欲しい。私はにっこり笑って答えた。
「違うわ、これは約束よ」
「約束………ね」
「私は今から行きたい場所があるの。あなたはそこまで護衛してくれればいいわ。ああ、もちろん途中で合流するのよ。ここから一緒に行ったらそれこそ嫌な噂がたつわ」
私がつらつらと述べるとルアヴィスはしばし黙っていた。だけどようやく動き始めるとゆっくりと落ちた仮面を拾う。仮面に隠されるギリギリまで彼の空色の瞳を見ていたがやはり感情は読めなかった。
硬質な音がして、彼は仮面をつけた。
「テレスティア夫人、あなたは俺に何をさせたい?何をするつもり?」
「やだ、警戒しないで。ただ私は行きたい場所があるだけ。あなたは何もしなくていいわ。ただ私を守ってくれればいいの。外は何かと危ないでしょう?」
ルアヴィスがいれば百人力どころか千人力である。それほどまでに一級魔術師の力は強い。
「場所は?」
「待ち合わせ場所は………そうね。ルビーナ街の三番通路にしましょ。あそこならひと通りも多いから目立たないし、近くに裏路地があるからこっそり会うにはぴったり」
私は図書室で調べた本と地図の情報をもとに待ち合わせ場所を決めた。
「まるで逢い引きだな」
「周りに気づかれたら互いに合い挽き肉。上手いこと言うのね」
私は笑っていうがルアヴィスは答えなかった。そして、少ししてから彼は言った。
「……三番通路の出口の方だ。入口はあれで騎士も結構いる。俺はあんたの巻き添えで死ぬのはごめんだ」
つい先程私を巻き込んで不穏な気配と隣合わせになった人が言うセリフではない。そう思ったが、私は彼の仮面を見ながら答えた。
「いいわ。じゃあ、日没の刻に三番通路の出口で。待ってるわよ、協力者さん」
そう言うと、私は踵を返した。
そのまま迷った足取りで、しかししっかりと脳裏に刻み込んでいる道を歩く。もし誰かにあっても迷い込んだと言い訳ができるような仕草と歩きかたを心がけながら私はシェリアの元へと戻った。
ここまでは上手くいっている。だからこそ、気を引き締めなければならない。同じ轍は踏みたくない。
しっかり、慎重に、焦ってはいけない。だけど時間がないのも確か。考えて行動しなければ。
あなたにおすすめの小説
【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。
木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。
「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」
シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。
妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。
でも、それなら側妃でいいのではありませんか?
どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?
【完結】私の大好きな人は、親友と結婚しました
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
伯爵令嬢マリアンヌには物心ついた時からずっと大好きな人がいる。
その名は、伯爵令息のロベルト・バミール。
学園卒業を控え、成績優秀で隣国への留学を許可されたマリアンヌは、その報告のために
ロベルトの元をこっそり訪れると・・・。
そこでは、同じく幼馴染で、親友のオリビアとベットで抱き合う二人がいた。
傷ついたマリアンヌは、何も告げぬまま隣国へ留学するがーーー。
2年後、ロベルトが突然隣国を訪れてきて??
1話完結です
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。