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お手紙
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それから三日後、シェリアが手紙を持って訪れた。
「外出から戻る時に渡されたのですが………宛名がなくて」
「宛名がない?」
「はい。ですが封筒に『日の出の刻に』ってあったのでもしかしたら、と」
ーーーなるほど、ルアヴィスからかと思ったのだろう。
私はシェリアから手紙を受け取ると、ペーパーナイフで封筒を切って中を見た。
予想通り、ルアヴィスからだったらしい。
宛名はないがそこにはただ一言、短く記されていた。
「◎ 日の入りについてわかったことがある R」
私はそれを見てため息をついた。
「なるほどね………」
安易すぎる手紙だが悪くない。
私は早速手紙を燃やすようシェリアに言うと、出かける準備を始めた。
◎は、20のこと。今日は12/20。例の件について分かったことがあるから三番通路の出口にこい、と。そういうことなのだろう。
名前が無いし暗号じみた手紙だし怪しいけれどしり込みしている時間もない。
私はちらりと時計を見る。午後1:00。
先に言って様子見しておくのもいいかもしれない。この3日間、私はどこにも出ていない。あまり頻繁に外出すると疑われるからだ。
その代わりシェリアに小瓶を持ってきてもらい、例の液体だけは保存しておいた。後は証人がいればいいのだけど……。
家柄、血筋両方問題なく証人として不足ない人………。
「まだまだ問題だらけね………」
セレベークと王太子の関係も不明瞭だ。王太子が信頼出来る人間かどうか。それも怪しい。私のイメージでは、セレベークは命令されてなくても勝手に王太子に付きまとっている。王太子はそれを少し煙たがっているような様子だった。王太子が何を考えてるか分からない以上、下手に動くわけには………。
とはいえ、突然王太子にコンタクトを取るなんて不可。下手したらセレベークが出張ってくるに違いない。
私は支度をすると、三番通路へと向かうことにした。シェリアを供にして散歩をしてくると邸宅を出る。以前打ち解けたように見える侍女たちはあれから私にあたりが柔らかくなった。
たった3日。されど3日。言葉遣いと仕草と言い方を気をつければこうも周りの人間は変わる。
最初は怪しまれるかと思ったがそれが続けばいずれ慣れる。
私は馬車に乗り込みながら外を見た。
しばらく馬車に揺られ、街の入口あたりで下ろしてもらう。この辺を散歩する、ということにして御者にここにそのままいてもらうよう言う。
そうして御者に怪しまれないよう私たちは三番通路へと向かった。
「外出から戻る時に渡されたのですが………宛名がなくて」
「宛名がない?」
「はい。ですが封筒に『日の出の刻に』ってあったのでもしかしたら、と」
ーーーなるほど、ルアヴィスからかと思ったのだろう。
私はシェリアから手紙を受け取ると、ペーパーナイフで封筒を切って中を見た。
予想通り、ルアヴィスからだったらしい。
宛名はないがそこにはただ一言、短く記されていた。
「◎ 日の入りについてわかったことがある R」
私はそれを見てため息をついた。
「なるほどね………」
安易すぎる手紙だが悪くない。
私は早速手紙を燃やすようシェリアに言うと、出かける準備を始めた。
◎は、20のこと。今日は12/20。例の件について分かったことがあるから三番通路の出口にこい、と。そういうことなのだろう。
名前が無いし暗号じみた手紙だし怪しいけれどしり込みしている時間もない。
私はちらりと時計を見る。午後1:00。
先に言って様子見しておくのもいいかもしれない。この3日間、私はどこにも出ていない。あまり頻繁に外出すると疑われるからだ。
その代わりシェリアに小瓶を持ってきてもらい、例の液体だけは保存しておいた。後は証人がいればいいのだけど……。
家柄、血筋両方問題なく証人として不足ない人………。
「まだまだ問題だらけね………」
セレベークと王太子の関係も不明瞭だ。王太子が信頼出来る人間かどうか。それも怪しい。私のイメージでは、セレベークは命令されてなくても勝手に王太子に付きまとっている。王太子はそれを少し煙たがっているような様子だった。王太子が何を考えてるか分からない以上、下手に動くわけには………。
とはいえ、突然王太子にコンタクトを取るなんて不可。下手したらセレベークが出張ってくるに違いない。
私は支度をすると、三番通路へと向かうことにした。シェリアを供にして散歩をしてくると邸宅を出る。以前打ち解けたように見える侍女たちはあれから私にあたりが柔らかくなった。
たった3日。されど3日。言葉遣いと仕草と言い方を気をつければこうも周りの人間は変わる。
最初は怪しまれるかと思ったがそれが続けばいずれ慣れる。
私は馬車に乗り込みながら外を見た。
しばらく馬車に揺られ、街の入口あたりで下ろしてもらう。この辺を散歩する、ということにして御者にここにそのままいてもらうよう言う。
そうして御者に怪しまれないよう私たちは三番通路へと向かった。
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あれれ、主人公不評ですね…
確かにスパイなら、殺されたのを裏切りって思うより「見つかった」って思うのかも。
私皆さんのコメント見るまで全く気づきませんでした😨
「ふむふむ、スパイなんだ〜(*꒪꒫꒪)ノ」って受け入れてました笑
小説って細かい所まで大変ですね😓
私は続き気になってるので読みます!
頑張って下さい💪🏻✨
なかなか見ない、意地悪ヒロイン!笑
王家の落胤で、しかもその印を宿してる男に童貞イジリ!
他家の庶子として冷遇されてるのを見たら、こづくりが命取りになることくらい元王女ならわかってるだろうに、わざわざそこをイジるなんて、すごいなー!日陰者の男性にとって、ここまで自尊心を傷つけるイジリもなかなか無いよね。
どこかで他人を自然に見下しちゃうタイプなのかな。
主人公は夫に裏切られているように感じているけど、そもそも主人公自身が信じて貰える立ち位置にいないよなぁ。(内通者になるよう人質とられてるし)
しかも、夫は自分の使命を全うしてるだけ。騎士団長なんだよね。王城で襲撃があったのなら、警護対象のもとに走るのも、まぁそうだよねって思うけどな。
主人公が悲しく思う気持ちは凄く分かる。配偶者にはいざというとき傍にいてほしいもの。けど、裏切られた!と怒るのは不思議。だって、王族を守る人であると知って嫁いできた訳だし。その場で妻を優先するような護衛を王家は許さないでしょ。
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避妊薬に関しても、使っているかは推測だし、そもそも内通者ってバレてるかもしれないんだし。