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不在の間 * 2
しおりを挟む「ごめん。苦しい?」
「大丈夫。続けて……」
彼女が彼の背中に手を回すと、彼はやはり眉を寄せて辛そうにしていたが、彼女と視線が交わるとそっとその額に口付けを落とした。
以前は、痛みに耐える彼女に配慮してすぐに交わりを解いた。
だけど今日は、もう少し彼女と繋がっていても構わないだろうか。彼はそう考えて、ゆっくりと以前、彼女が甘い声を出した場所を自身で擦った。
「あっ……」
甘い声が上がり、彼のものを強く締め付ける。
彼女の中は、恐ろしいほど気持ちが良かった。それは、彼が女を知らなかったゆえに感じる快楽なのか。それとも、相手が彼女だからなのか。
その両方かも知れないが、どちらにせよ熱い壁に絡め取られて、彼は直ぐに追い詰められた。
それでも、歯を食いしばり彼女と忙しなく口付けを交わして、彼女を甘く攻め立てる。
快い部分に押し当てると、彼女は身をよじり気持ちよさげに目を細めた。
まだまだ固い体は、中での快楽を追うのが難しい。快楽を感じてはいるようだが、上り詰めるには至らない。
彼は、彼女の秘芽をつまみ、彼女を快楽の終わりに連れていった。
「あぁっ……!」
甘い声で鳴いて、彼の愛おしい兎は快楽に震える。彼もまた、ぎゅうぎゅうと搾り取る彼女の中に逆らうように腰を動かし、彼女の快いところを突くと限界を迎えた。
互いに荒い息を吐き、それでも口付けは解かない。苦しいくらいなのに舌を絡め、互いを求め合う。ただただ、触れ合っていたかった。
やがてゆっくりと繋がりが解かれると、ぼんやりとする彼女の頬に口付けを落とし、彼が言う。
「眠っていていいよ。俺は早くにここを出なければならないけど、きみはゆっくり眠っていて。明日は休みだよね?」
ティナは微睡みながらうつらうつら頷いた。
彼女は、彼に自身の予定を伝えた覚えは無いのだが、彼は知っていて当然のように話した。
しかし、それに疑問を覚える前に、彼女は泥のように眠りに落ちてしまった。
彼女が深い眠りに落ちたのを見ると、彼は笑みを浮かべてくちびるに口付けを落とした。
そして、体を起こすと甲斐甲斐しく彼女の世話を焼く。湯を沸かし、濡れた体を手巾で拭いてやる。
シーツを取り替えれば、もう朝も近くなっていた。
彼にとって、公爵令嬢エレネディア・ディズアードが彼を訪ねてくるのは想定内だった。
彼女がβの集まりに向かった日、彼は酒場でかなり注目を集めた。
王子の動向を報告させている父王がその日中に報せを受けるほどだ。第二王子の妻という身分を求め、常に彼の身の回りを探っている彼女がその日のことを知るのは当然とも言えることだった。
そのため、父王に報告が入った時点で公爵令嬢が彼を訪ねてくるであろうことは彼の想定内だったし、あの騒ぎの中ティナを連れ出した時にこうなることは想定していた。
かなり強引に彼女の体を奪ってしまったのも、公爵令嬢の訪れで近いうちに彼の身分を彼女は知ることになるだろうと思ったからだ。
そして、彼の身分を知れば彼女は間違いなく躊躇するだろうと彼は考えた。
それならば、先に彼女の体を奪い、彼から離れるという選択肢を選べないようにしてしまいたかった。
初めての交わりで、ふたりの子が成されたかは分からないが、その可能性がある限り、彼女は彼を拒絶できないと彼は考えたのだ。
彼女にはとても言えない、腹黒い考えだ。
だけどもうずっと、彼は策略をもって彼女を縛ろうとしている。
彼女が初めて会ったと思い込んでいる酒場では彼女の酒に少し細工をし、彼女を夢の世界へと誘った。
βの集まりの時だって、彼女には近くに用事があったから、と話したがそんなものはない。ただ、彼女に近づく良からぬ男が現れはしないかと、一階の酒場に潜んでいただけだ。彼女がなかなか降りてこないので、確認がてら二階に行こうと思った矢先、幹事の男性が騒いでいるのを聞きつけた。
再会してからは彼女のことを詳細に調べあげている。彼女の交友関係から始まり、雑貨屋の出勤日、彼女の生い立ちも細かく調べさせ、部下に報告をさせていた。
だから彼は、彼女が彼に伝えていること以上に彼女のことを知っていた。
そのことを彼は、彼女に教えるつもりは無いが。
今回の仕事は突然のもので、つい先程必要性が発生したものだった。
βの集まりで、βを売り飛ばす商売をしていた男の仲間たちから連絡があったのだ。商売のための出港日が確定した、と。
既に味方が捕えられていることを知らない彼らは、ロベートたちが用意した偽の手紙に疑うことなくコンタクトを取った。
あとは、ロベート含む数人の暗殺部隊員と辺境騎士で残党を捕縛するだけだ。
彼の仕事は密輸入に携わる獣人の摘発だ。国が外国との交流を禁じ、規制をかけているとはいえ、上の目を盗んで利益を得ようとするものは少なくない。
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