〈完結〉離縁予定の王太子妃は初恋をやり直す

ごろごろみかん。

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ソフィア

真実を伝える日 4

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「ひとつだけ……言えるのは。二十五歳の貴方は、私の事なんて好きじゃないのよ」

「そんなわけっ……」

「そうよ。きっとそう。だって私、知ってるわ。ずっと近くで見てきたんだもの……」

あなたの熱の篭った視線がどこに向くか知っている。その手が誰に触れるか知っている。私とは一線を引いて、近寄らせない空気を私はずっと近くで感じ取っていた。

「………満月はもうすぐよ。私はあなたと魔女の関係を知らない。だけど、今のあなたの考えを尊重する。ねぇ、ロウディオ。貴方はどうしたい……?」

殿下、でもなく。ロロ、でもなく。
初めてあった日以来、初めて口にした本名にロウディオは僅かに目を見張る。
そして、奇妙な沈黙が続き──。

「なんてね、冗談よ。ごめんなさい。もうじきに満月が来るわ。早いところ終わらせてしまいましょう」

その空気を取り払うようにあっけからんとした声で言ったのはソフィアだ。触れたら何かが弾けそうな。そんか奇妙な空気は払拭されたが、どこか空回りしているような、そんな空気感は否めない。ソフィアはもう早く終わらせたかった。たった一度。一度きりの話だ。それでおしまい。
呪いが解けて二十五歳のロウディオに戻れば、つつがなく離縁は成立する。ずるずるここにいてもいいことなどない。問題を先延ばしにしても一向に解決しないということは、ソフィアは身をもって知っていた。

「………嫌だ」

「殿下?」

「嫌だ。僕は、今のソフィアとはしたくない」

「………え」

ぽかんとしたのはソフィアの方だ。
ソフィアとはしたくない……"今の"?静かに混乱するソフィアに、キッとロウディオは顔を上げた。まだ幼さの残るあどけない顔立ちだ。ロウディオははっきりとソフィアに言った。

「そんな表面上だけ取り繕ってする性行為に何の意味があるって言うんだ!するだけ無駄な……虚しいだけの行為なんて僕は嫌だ」

ロウディオは、ソフィア以上に高潔だった。
その真っ直ぐさにソフィアは絶句した。ソフィアがいつの間にか無くしてしまったもの。いつからか、ロウディオに無くなってしまったもの。彼はそれを、持っている──。

「…………」

「ソフィアが本当のことを言ってくれるまで、僕はしない。したくない」

「…………」

「どうする?ソフィア」

「それは……」

まさか無理やりするわけにもいかない。少年趣味がない上に、無理やりなどソフィアには到底無理だ。考えただけで気分が悪くなる。
ソフィアは固まってロウディオを見る。彼はそんなソフィアを見て、ふ、と柔らかい笑みを浮かべた。

「ソフィアは落ち着いて見えるけど、変わってないよ」

「………」

「ソフィアは突然のことに弱いよね。想定外のことが起きると、思考停止する」

「…………」

「選んで。ソフィア」

僕に全てを話すか──あるいは、十三歳の僕いまのぼくを見捨てるか。柔らかな少年の声で問われたソフィアは今度こそ言葉を失った。
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