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ソフィア
変わる日 2
「病める時も健やかなる時も、お前を愛するってここに誓う」
こんなことをしても、辛くなるのはソフィアだ。
解呪が終われば、ロウディオは二十五歳の彼になり、十三歳の時の記憶はなくなるだろう。
病める時も健やかなる時も、確かに二十五歳のロウディオはソフィアを愛したのかもしれない──ほかの娘にも同様の文句を口走っていた、と言うだけのこと。ソフィアはそっと目を伏せた。苦しくなったのだ。
ロウディオはソフィアへの言葉は迫らなかった。
その変わり、盛大に咲くかすみ草を一本取ると、その茎を折って彼女の指先へと巻き付けた──彼女が婚姻指輪をしていないほうに。
ソフィアが目を丸くする。ロウディオは真剣な表情でソフィアを見る。柔らかさの残る頬はふっくらしていて、彼がまだ年幼いのだと如実に伝えてくる。くるりと上向いたまつ毛も、きらきらと光るエメラルド色の宝石のような瞳も。癖毛な金色の髪も。少女めいた美貌は、二十五歳のロウディオには既にないものだ。
いや、二十五歳の彼もまた美しい顔立ちをしていた。その繊細な美は失われることはない。だけど少年特有のあどけなさ、毒気のなさが彼にはない。あるのは代わりに──女性を魅了する、妖しげな色気だ。
ロウディオはソフィアに言った。
「ソフィアには、忘れないでいてほしい」
「………私に、忘れるなと?」
震える声でソフィアが告げる。
「うん。……でもね、ソフィア。僕はきっと……」
ロウディオがそこまで言った時だった。
何者も入り込めない王族庭園に、他者の声が響き渡る。
「あらぁ!どこにいるのかと思ったら、こんなところに!」
「!」
驚いたのはソフィアだ。
ばっと振り返ると、いつの間にか黒のローブを羽織った女性がいる。紫色の髪に青い色の瞳をした娘。彼女はソフィアを見て、ロウディオに視線を移すと瞳を細めて笑った。
「魔女イゾルデ……!!」
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