商人(あきんど)エルフは何処へ征く

拙糸

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プロローグ

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「遥か彼方の~………空を見上げる~……若人たちの~…羽ばたく翼よ~……っと。」

花壇に水をやりながら、そう口ずさむ。水を浴びた花たちは、元気にその花びらを開く。そんな花たちを背にし、日に向かって背伸びをする。…うーん、なんて気持ちがいいのだろう!
美しい空を見ると、自分の心も浄化されていく。何もかもがその青さに溶けて、消えて……

「商会長、来客です。」
「……いかないよなぁ。」
「………??」

疑問符を浮かべ、僕の顔を見る。来客の報を伝えに来てくれた彼、コール。その手に持つスケジュール帳はびっしりと、真っ黒だ。それを見るだけで少し憂鬱になるが…。腕を回し、肩を鳴らす。少し着崩していた服を軽く整え、帽子にバッジを付ける。
………そして、頬を軽くはたく。

「…………よし。」

さてと、そろそろ行きますかね。



来賓室。その扉を開けると、既に来客はソファーに腰かけ、休んでいた。
机の上の紅茶は……半分になっている、か。
来客の方に視線を移す。すると、相手は僕の姿を確認するや否や、ソファーから立ち上がった。

「おお……貴方が………。」

恰幅の良い男は、その口に蓄えた髭を揺らしながら僕の顔を見る。

「………お初にお目にかかります。アテレーゼ商会の取りまとめをしている、クラムです。」

深く頭を下げる。頭を上げると、男は僕をジロジロと見ていた。
一つ頷くと、胸に手を当て、軽くお辞儀する。

「私、エレッセにて貿易商を取り締まっております。ジャールと申します。それにしても……。」

男は、僕をまた珍しそうに見ていた。

「まさか、このような巨大な商会をまとめる長が、エルフの方だとは…。」

思わず、眉がヒクつく。しかし、すぐに笑顔に戻す。

「…おかしいですかね?」
「いや………珍しいと思いましてな。貴方様もご存知の通り、この業界には未だに異種族への差別観が残っておりますからな。この世界でよく生き残れたと、驚嘆しているのですよ。」
「それはどうも。」

ニコっと、笑いかける。

「それよりも、本題に入りましょう。」

男は、先程座っていたところへと戻る。僕も、彼の向かいのソファーに腰掛けた。



「ジャール・フーロン。フーロン商会の商会長にして、エレッセ王国の貿易を管理する元締め。エレッセ王家からの信頼は厚く、その関係は先代エレッセ王グルーウェル三世から続く……。」

ペラペラと紙をめくりながら、コールはそう呟く。僕は椅子に深くかけながら、それを聞いていた。

「そうだね。それにジャールは、その祖先をたどると、エレッセ王国の初代海軍大将の血筋に行き着く。由緒ある家系だね………。しかし、その本性は中々にえげつない。気に入らないヤツはとことん追い詰め、自分の思い通りにいかないと様々な手法を用いて消す。商売の方も中々にらしいし。同業者も皆、彼にやられたみたいだしなあ…。」

新聞を読みながら吞気にそう言うと、隣で静かに聞いていたコールは少し震えた声で口を開いた。

「………商会長。この男の評判は聞く限り最悪です。このようなヤツに会わずとも、商会経営は上手くいくのではないのでしょうか!」

まったく………馬鹿正直だなあ。こんなんじゃ、商人の基本の型も生かせないのに。
ま、最悪…というのは、一理あると思うけど。

「そうだね………。確かに、コーちゃんの言う通りだ。………だけど、会う必要がある。」

確か、あそこにあったっけ…。新聞をたたみ、机の引き出しから、地図を引っ張り出す。それをぴらぴらさせながら、馬鹿正直頭が固いな男に見せる。

「この地図。賢い君なら分かるでしょ?」

笑顔でそう問いかける。僕の意図は理解してくれた。しかし、彼の表情は曇ったままだった。

「………そんな顔しないでさ。別に取って食われるわけじゃない。ただ少し、交渉するだけだよ。それに………。」
「それに………?」

疑問符を浮かべる彼に、一枚の紙切れをひらひらさせながら、僕は最大限の笑みを見せる。

「僕って、意外と強いのよ。」



ソファーに互いに腰掛け、対峙する。成程、確かに油断も隙も無いようだ。

「………それで、私をここまで呼びつけた目的はなんでしょうか。」
「決まっています。………エレッセ王国交易における我々アテレーゼ商会の参入を、お許しいただきたいのです。」

僕の発言に、彼の目が微かに細くなる。
さしずめ彼の考えは、やはりこの話題か……といったところだろうか。
少し間をおいて、ジャールは口を開く。
………小さな、ため息とともに。

「…クラム殿。私共エレッセ王国が半年前に出した返答を、お忘れで?」
「まさか。“王国における交易は、既に複数の商会によって行われており、これ以上受け入れる必要はない”………でしたか。」
「それを分かっているならば、もう既に交渉の余地はないことは自明の理。この件に関しては、これにて幕切れです。」

コールが、ゴクリと唾を飲む。
………そう。頑なに拒否するんだ…。

「“穀物価格の高騰”………。」

この一言で、ヤツの顔色が一瞬にして変化した。
………やはりか。

「エレッセ王国側の主張が正しいならば、今現在、王国内における流通は滞りなく進んでいるはずです。しかし………。」

コールに目配せし、とある書類を持ってきてもらう。
…ありがとう。
そして、ジャールの目の前に紙を差し出すと、取って食うかの勢いで紙を取った。そして、その文章に目をやると、細い目をカッと見開いた。

「こ………これはっ………!!」
「こちらのデータ。ここに記されているのは、エレッセ王国におけるここ三年の穀物価格の推移です。ウィル大陸南西諸国における一俵あたりの平均価格は三〇〇〇マニー。しかし、このデータを見ると………あらビックリ。」

『エレッセ王国 穀物取引価格』
(一俵あたりの価格)
三年前 十月 三三〇〇マニー
    一月 二八〇〇マニー
二年前 四月 二九〇〇マニー
    七月 三三〇〇マニー
    十月 三五〇〇マニー
    一月 三一〇〇マニー
一年前 四月 三二〇〇マニー
    七月 三五〇〇マニー
    十月 三七〇〇マニー
    一月 三五〇〇マニー
今年  四月 四〇〇〇マニー
    七月 四一〇〇マニー
    十月 四三〇〇マニー ← 今月

「三年前と比較すると、一〇〇〇マニー以上も上昇しているんですよ。この急上昇が起きたのは、半年前の四月。……エレッセ王国からお返事を頂いた時期とちょうど被るんですね。取引仲介の商人が沢山いるとなれば、スムーズに市場に行きわたるはず………ですよね?」

パチッと紙をはじきながら、そう追求する。これでボロを出せば本望であるが………。

「…確かに、あなたが不自然に思われるのも訳ない。何を隠そう今年の四月は………不作だったのですよ。あなたもご存じのはずだ。………まさか、商売に関わる人間が知らないとは言わせませんよ。」

その言葉に、僕の後ろに立つコールが冷や汗をかいているのは、なんとなく感じられた。
…相手もバカじゃない。これまで何度もがあるツワモノだ。そんなジャールにとって、僕の追求は些細なものにすぎない。
小さな綻びを見つけてイキがっている………そう、見えているのだろう。
もしそうだとしたら………。

「そうですね。確かに、四月はエレッセ王国を中心とした大陸南西各国において、穀物を中心とした大規模な不作が起きた。それを引き金にして、市場価格は上昇。物価も不安定になりました。」

僕がそう言うのを聞きながら、彼は余裕綽々といって表情となる。しかし………。

「………商人は、それを黙って見ているでしょうか?」
「………何が言いたい?」

僕は立ち上がり、窓辺へと歩いていく。そして、わざとらしく慌ててみせる。

「あれっ………おかしいな………エレッセ王国には、物価高騰に困る商人はいないのか……? 顧客相手に、とても売りにくくなるのに………ああ、そうか。エレッセ王国の顧客は………。」

ジャールの方へと振り向く。

「………いないもんな。」



クラムさんは………本当に凄い。
言葉に表せなくなるほど、頭の回転が速いからだ。
自分が一見不利に見える状況からも、ひっくり返す力を持っている。
いや、むしろ………わざとその状況を作っているのかもしれない。
相手が油断した隙をついて、場を全てひっくり返す。

「今年の四月、確かに穀物価格は不作によって上昇した。しかし………商人にとって、それは一見有利のように見えて、とても困った事態だ。何故なら、顧客にとって物価上昇は、購買意欲の低下をも生み出すから。だから、物価が高騰した際には、所謂“大陸三大商会”を中心とし、広大なネットワークを駆使して、価格を下げに走る。」

クラムさんは壁に貼ってある巨大な商会分布図を、バンっと叩く。

「そして、エレッセ王国。我々の要求が受け入れられない程の商人が交易に関わっているのであれば、価格下げに走らないのはおかしいと思いませんか?」
「そ、それは………。」
「このエレッセ王国は、正に穀物交易によって成り立つ国。“大陸の畑”と呼ばれる程の肥沃な土壌で満ちている大陸南西部は、穀物取引で生計を立てている。そんな穀物が売れなくなってしまったら、一番困るのは………生産者である、あなたたちだ。……まさか、商売に関わる人間が知らないとは言わせませんよ。」

クラムさんは、先程ジャールが得意げに言った言葉を、自身に浴びせかける。ジャールの額に、大量の脂汗が噴き出しているのが、遠目からでも分かる。

「では、何故価格が高いままで困らないのか。何故、エレッセ王国の経済は困窮しなかったのか。何故、アテレーゼ商会の交易参入を受け入れなかったのか。………答えはただ一つ。」

ジャールの肩に、クラムさんがポンと手を置く。その表情は………。

「身内で、仲良しこよし。………中抜きしたんですよね?」

………満面の笑みであった。
そんな顔を向けられても、ジャールは黙ってはいなかった。

「そ、それは言いがかりだっ! アテレーゼ商会参入を認めなかった我々に対する、腹いせであろう!」
「うーん、僕たちだけなら良かったんだけど………。」

そう一言いうと、クラムさんは作業机の引き出しにしまってあった大量の紙を、大きな音を立ててジャールの目の前に置いた。

「これは、僕らと同じ………交易参入を拒否された商会の、一覧です。」
「こ、こんなもの………どこで………!」
、ガウル帝国の公式資料です。」

ジャールは、その単語に身震いした。

「ガウル帝国と関わりがある商会が、交易に参入するようなことがあったら、一体どんな手口でやってきたのかが日の下に晒されてしまう。中抜きは、れっきとした交易に関する条約違反ですからね。」
「ぐ、ぐうっ………!!」
「収穫された穀物の一部を中抜きしたことによって、実際の収穫量に齟齬が生まれてしまった。それを隠すために、取引価格をわざと高く維持した。購買意欲低下によって、穀物取引量が必然的に低下するから。それを口外しないための、交易参入の拒否………ですよね?」

最早、勝負は決していた。ジャールは、顔面蒼白であった。

「これが談合だったとしても、八百長だったとしても、結果は同じ。こう考えれば、エレッセ王国の態度と、取引価格の関係に辻褄が合いますからね。いやー、そりゃあ都合がいいはずだ。存在しない顧客相手なら、どんなことでもできますから。これをもしガウル帝国に垂れ込めば、一体どんな事態に陥るかなァ…。」

拳を握りしめ、わなわなと震えながら俯く。
…僕からは、後ろ姿しか見えない。
しかし、背が低いクラムさんの後ろ姿が、何倍も大きく見える………そんな気がした。

「………さて、ここからが本題です。一つ、あなたに提案が…。」

懐に折りたたんでしまってあった紙を丁寧に開き、ジャールの目の前に提示する。

「僕たちアテレーゼ商会は、ウィル大陸南西部の交易地盤が弱くてね。この機会に、是非とも力をつけておきたいのですよ。そこで………サインするだけで僕たちにその力が湧き、あなた方の罪が軽くなる文書があるとしたら………あなたはどうしますか?」

顔を上げたジャールは、怯えた目つきでクラムさんを見上げる。
クラムさんは、一瞬にして場をひっくり返した。先程まで追い詰められていた相手を手玉に取り、自分が絶対有利の立場になったのだ。
もし彼が提案を拒否するならば、クラムさんはこれをガウル帝国に報告する。そうすれば、否が応でもエレッセ王国は調査を受けることになり、それ自身を拒否しても、大陸各国からの批判は止まないだろう。今後、エレッセ王国の末路がどうなるか。言うまでもないだろう。
では、彼が提案を受け入れたら?
クラムさんがガウル帝国に報告する内容を少しいじるだけで、エレッセ王国にかかるダメージは最小限になる。それと引き換えに、アテレーゼ商会は大陸南西部における交易の覇権を手にすることができるのだ。更に、この契約はほぼ永久不滅といっても過言ではない。何故ならば、クラムさんはエレッセ王国が一体何をしたのか知っているから。エレッセ王国の首に、鈴をつけたのと同じだ。
報告をいじると言っても、必要最小限の報告さえすれば、それは交易に関する条約違反になることはない。条約を逆手に取った、中々グレーな方法ではある。
しかし、いずれの結末に至ったとしても、アテレーゼ商会は利益を得ることができる。

クラムさんは………この駆け引き戦いに勝ったのだ。

「き、貴様……………我々の命を、商売の天秤にかけるつもりかっ!? それでも貴様はっ…!!」
「………僕は、残念ながら騎士でも勇者でも神官でもない。」

帽子についている公商紋章トレーダークレストを外し、トスする。
………そして、一瞬にしてキャッチした。
静かに左手を開く。

「………商人、だからね。」

“商売の神マーチャント”は、そのオモテを示した。



「しかし商会長……中抜きなんて、よく気づかれましたね…。」

ジャールとの対談後、僕たちは商会本部の廊下を歩いていた。
そんな時、彼が僕に話しかけた。

「ああ、あれね……。」

僕は彼の二、三歩先へと進み、彼にニコッと微笑みかける。

「ハッタリだったんだ~。」
「ああ、ハッタリだったん……………ってええっ!? ということはもしかして、何の証拠もなしに言った…ということですか!?」
「……いや、何もなかった……わけではない。今回は君も知っての通り、実情を知るのは実際に交易に関わった一部の人間のみなんだ。だから、どうしても証拠が足りなかった。」
「なら、何故………。もう少し証拠が集まってからでも、遅くはなかったのでは………?」
「あそこが、勝負どころだった。」

そうポツリと呟くのを聞くと、後ろに聞こえていた足音が止んだ。

「……まあ、見ててよ。」

コールに再び、笑いかける。
すると、僕たちの方へとドタドタと大きな足音を立てて、一人の男が走ってきた。

「し、商会長!! 今日の号外に、こんなものがっ…!!」

彼の手に握られていたのは、今日の夕刊。日刊アスタルの一面には、こう記されていた。

“エレッセの王グルーウェル四世、崩御”

「こ、これは………!!」
「……ジャールたちは、中抜きした資金を利用して、次代の王を丸め込もうとしていたんだろうね。」

新聞を手に取り、コールは何か腑に落ちたような顔をしていた。体を少し、震わせて。

「もし………もし証拠が出揃うのを待っていたなら、次王とジャールたちによって、この事実はもみ消されていたかもしれない。それに、エレッセ王国はフーロン商会の傀儡政権になっていたかもしれない。商会長…………クラムさんは、全てを知って……!!」

コールが、バッと顔を上げる。

「……さーてね。そんなことより、早くしないと、次の商談が始まっちゃうんじゃない?」
「クラムさん………ずっと気になっていたのですが。」

急に改まって、どうしたのだろう。イジろうとしたが、彼の顔は真剣そのものであった。

「クラムさんの夢って……一体、何ですか?」

夢……ゆめ、か。そうだな……。

「一時間でも多く、寝ること!………………かな?」

僕はハッキリ答えたのに、コールは不満げだった。



大陸にいる商人は数多く。
それらが扱うものは、生活雑貨から国宝級の銘品まで、様々である。

そんな商人たちが、こぞって評価する男が一人。
彼はエルフでありながら、人々が席巻する商いの世界に大きな風を吹かした。

ある者は言う。その男は、命をも商売の道具にすると。
ある者はいう。その男は、神々とも取引をすると。
ある者はいう。その男は、世界を滅ぼす力を持っていると。

同業であれ、誰であれ、商売の邪魔をする者には老若男女、容赦しない。

容赦のない手腕と鮮やかな交渉術から、ついた二つ名は………“灰の商人”。

その名は………クラム・アテレーゼ。
彼曰く、しがない商人である。
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