未完のファンタジーワールド

拙糸

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彼女の思いは

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マジセカシリーズの第4作目に、こういう設定がある。

"主人公と共に冒険する女戦士。彼女は、ウカルダ領主の長女であるが、腹黒い父の政略結婚から逃げるために、主人公と共に冒険する。女性ながらも高魔力を保持しており、2つのスキルを使いこなすこともできる。"

この女戦士というのが、今僕が話しているサキという人の事をあらわすのであれば、どうやらこの世界は第4作の時代背景がベースであるということが分かる。

先刻の僕の質問に対して、彼女は小さくうなずいた。

どうやら、僕はこの国で片手で数えるほどしかいないものすごい魔法使いと出会ってしまったらしい。

「私ね、父が隣のサハウィン領の家と友好関係を結ぶためにそこの長男と無理矢理結婚させられようとしてたの。だけど、私は好きでもない人のところに嫁ぎたくなんかないし…だから、逃げて来ちゃったのよ。」

そういって自分の事を嘲るように笑う彼女の目は、相当疲れているのだろうか、光がやや失われかけているように思える。
相当大変な思いをしたのだろう。僕には、この世界の人々がどのような思いで生きているかなど考えたこともないし、考えることもできない。だから、今僕が彼女にできることは…

「逃げたって、いいと思いますよ。」
「え?」
「だって、自分の思いを行動に移せないっていうのは、おかしいと思いますし。だけど僕だったら、腰が引けてしまって、あなたのように逃げられないと思います。だから…だから、僕はあなたの行動力を、決断する力を…すごく尊敬しています。」

クスッ。

さっきまで、消えかけていた彼女の魂は、再び光を帯びた。突然ばったり出会った奴に、しかも身元も得体も知れぬ奴に、こんなこといわれちゃうなんてね、なんていう思いも彼女の中にあったのかもしれない。

「ありがとう。あなたって、優しいのね。」

僕は、とても嬉しかった。
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