貴一と凜  雅史の欲望

静華

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雅史と凜の事  最終章

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雅史と凜は、相変わらずのラブラブで、何度もトライしたがダメだった。雅史は、何も言わず凜を慰め続けていた。
「凜は、凜のままでいい。自分を責めるな。」と言い、凜を優しく抱きしめていた。

貴一は、京香が作ったものを、吐き出しそうになるのを、「頑張れ自分」と言いきかせながら、夕食を共にしていたが、寝る場所は、別々のままだった。京香は『何時になったら、凜さんの立場まで行けるんだろう。料理も不味い…かと言って夜のお忍びは、宜しくないし、洗濯物も今だ使いこなしてないし、料理教室は、何時まで続けるのだろう。鍋にこびりつかなくなるまで?夜のお供はまだ無理か…凜さんは、どうやって貴一さんを落としたのだろう。』と思いながら眠りにはついた。

京香を置いて出勤した貴一は、溜め息を落とす。「一体何時になったらまともな食事が出来るのだろう」と独り言を言いつつ駐車場に着く。「凜は、元気だろうか?雅史と上手くいっているだろうか」と自分の心配よりも凜の心配をしていた。
そんなことを考えながら歩いていると、背後に異変を感じ振り替えざまに脚を蹴り上げた先は、雅史だった。「おっとアブね」と屈む弟雅史の姿があった。「あっすまない」「何かあった?」「いや。まともな飯を食べてないからな」「え?!政略結婚して円満じゃないのか?!」「話は、長くなるから待たな」と言い残し車を出す。雅史は、リモート会議の資料まとめに会社に行った帰りだった。「兄貴大丈夫かな~」と心配しつつ5階へと向かう。貴一は、社の近くの喫茶店で、モーニングを食べていた。『あ~ぁいつまでこの生活が続くのだろう。いい加減まともな飯が食いたい。凜の煮物美味しかったなぁ。雅史が羨ましい』と心の中でぶつくさ言う。
京香が起きたのは午前8時過ぎ「あっ貴一さんのお食事を…寝過ごした!あ~ぁこんなんだから嫌われるのかしら」と独り言を言いながら一人焦げたパンを食べていた。「凜さんが羨ましい…」半べそをかきながら、食器の後片付けしていた。何気なく貴一の部屋を覗く。キチンと整えられた部屋。「貴一さん」と呟きながら貴一のベッドサイドへ向かい、貴一の香りに身を委ねる。「貴一さんは、私のことはビジネスだけの存在なのかしら?」と言いつつ、うたた寝をしていた。ハッと気が付くと貴一が帰宅する時間だった。
「いけない晩ご飯の準備をしなきゃ」と言いつつキッチンへと向かうと、ブーンブーンとマナーモードになっているスマホを見ると貴一からだった。「食事はいらない。先に寝てなさい」とのメッセージ。「はぁ、今日も一人か」と落胆していた。自分の料理が不味いのは分かっているけど…思わず泣いてしまった。自分の部屋へ向かいベッドに入ると玄関のドアが開く音がした!「貴一さん」と飛び出すと、貴一は、酔っていた!「貴一さん。大丈夫ですか?あっこういう時は水!」「京香。」と言いながら京香の服を破き、貴一の舌が京香を抱く。「うっんはぁダメです。」「何故だ。夫婦だろ?京香」貴一の甘い声に身を委ねる。「あっんはぁき、貴一さん。あっあー」「まはだまだだ」「き、貴一さん。あっんはぁんはぁダメです。あっあー」と京香は、あの日以来抱いて貰ったことが無い。直ぐにいってしまった!「はぁはぁ貴一さん?」「お前は俺の抱き人形だぁ」と倒れ込んだ。京香は、『それでもいい』と思った。「私の処に戻ってくれるだけでもいい」と言い貴一を引きずりながら、貴一のベッドルームへと向かう。お休みなさいのキスを落とし、自分の部屋へと向かい
貴一の余韻に浸っていた。
それを貴一は覚えていない。

京香は、出会いがどうであれ、貴一への想いは募る一方だ。『また、抱いてくれるだろうか』と毎夜毎夜思っていたが、あの晩以来、京香を抱くことはなかった。顔すら会わせようとしない貴一に、イライラいやムラムラしていた。京香が思い切って聞いてみたが「悪い。忘れてくれ」の一点張りだった。「そんなに、凜さんがいいのですか?!」「…」ふぅ~と息を吐く貴一を見て、居ても立っていられず、部屋を出て行った。「はぁ。いい加減にしてくれ。凜とは違うんだよ。どうすればいいんだ」貴一は、京香を追わずソファに身を委ねていた。

しばらくして、京香は頭を冷まし帰ってきた。代わりに貴一がいなくなっていた。「貴一さん」と呟きながら、はらりと涙がこぼれた。「帰ろう。もう駄目」父親に電話をし荷物をまとめて、貴一との部屋を後にした。

二人を挟んだ机の上には、「ありがとう。さよなら」のメモを残してドアを閉めた。
帰宅した貴一は、「やはりな」と溢し京香を追う事はしなかった。それが、彼女へのサヨナラの証だった。
    
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