転生先は王子の妃?

静華

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転生先は王子の妃? 3

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「リリーがいない?国王って何?一体ここはどこ?選ばれたって何?」
〔怖くはないよ。〕サッと後ろを見ると誰もいない。血の気が引く。「誰?!姿を見せなさいよ!」〔目の前のに居ますよ。クックック〕ハッとして、相手を壁まで押しやる。「貴方もしかして、リリーのお兄さん?!」〔…〕「そうなのね!どうしてここに居て、リリーから引き剥がしたの?!」〔貴方が欲しいからです〕「訳わからん。第一わたしは、誰の者でもない!」キーンッと頭を貫く鋭い痛み。頭を抱え込み頭を支えながらやっとの思いで立ち上がる。またしても、頭痛がする。
ハッとして周り見回すとリリーがいた。「リリー」と泣き叫んでしまった。『お帰りなさい。兄が失礼なことをしましたね』「リリー。何故私を宮殿へと運んだの?」『…』「なぜなにも言わないの?」『貴方が来てから兄が喜んで自分のモノ、手元に置いて置きたかったのだと思います。失礼しました。』「一体どういうこと?だってわたしは、何処にでもいる子だよ。なのにあっちの世界、こっちの世界と飛ばされる。目的は何?」〔貴方は特別なのですよ〕「特別って何?!何の事よ!」〔貴方は、糸が見えましたね?あの糸は普通では見えません。まして扉をすり抜けるとは…こちらが怖いくらいです。〕「どういうこと?」〔こちらの国に転生されてから力を発揮しているようです。〕「分かんない!どういうこと?リリーは?リリーは、どこ?」叫んでも彼女は姿を見せない。彼をキッと睨みつけ「どういうつもり?うっ」頭が痛い!またしても連れて行かれる!「嫌だー」と叫ぶや否やパーッと周りが光る。ザザーと風が吹き荒れる。ふわっと風がやみ光が落ち着くと、我に返った。姿が少し変わっていた。
「私どうしたの?」〔これは〕ハッと息を飲み〔なんて力だ!凄い!君は素晴らしい。〕「何の事よ。何なのよ!」私はその時、幼女から少女変わっていた。「かっ体が熱い。なっ何したのよ!」〔それが貴方の力です。が、目の当たりにするとさすがに素晴らしい。〕「うっあっ熱いなっ何かしたでしょ?」と声にならない声で訴えたが熱くなりすぎて眼までも紅くそまる。暫くすると暑さが引いたが服が破れてしまった。リリーの兄がリリーを呼んだ。「あっリリー、リリー」と呼び飛びついた!するとリリーとポツリと『今までと立場が違います』「なっ何の事?」またしても、目に見えない糸?で縫い急いで行く。「立場が違うって何?」『貴女は力があるのです。兄があなたを離したくないのは、その力を引き出すために試しているのです。少々難しい話になるので今は、少しだけ時間を下さい。さぁ出来ました。少しだけ大きめサイズにしました。』「あっありがとう。大きめサイズ?ぴったりだよ!凄いリリー」リリーが、くすりと笑ったかのように見えた。〔服は戻りましたか?〕『はい。出来上がりましたが、少しだけ彼女と話をさせてください』〔…分かった。少しだけだぞ。〕『ありがとうございます。』「なんか、よそよそしい兄妹だね」『私は妹ではありません。世話係です。』「でも、兄さんって呼んでいるから…」『私は、町娘です。私は、あの方に拾われました。そしてココにいます。兄として慕われてもらっています。貴女は自分の名前を失っていますよね?それは、兄がアナタの名前を持っています。ここではあまり、名前は使いません。私の名前、リリーは彼がつけました。』「彼がつけたって、リリーはこの国の人じゃないの?」と聞くと戸惑いながら頷く。「リリー貴女も私と同じなの?」『違います!私は孤児院で育ちました。そこで拾われました。』「ごめん。辛かったね」『大丈夫。心配しないで、平気だから』と言ってニッコリ笑ってみせた。〔もう、いいか?〕『はい。では私は町に帰ります』通りすがりにリリーが『気をつけて』とポツリと言い残し立ち去った。〔まだ、目が赤いね。君の力はそんなものではないだろう?もっと見せてくれ〕「私の力なぞ大したものではありません」〔これから分かるさ〕「なっ…」云い返す前に立ち去って行った。「私の力ってなんだろう」扉に手を置くと、スーッと通り抜けた。「え?これが私の力?」廊下を歩んでいくと、以前私が閉じ込められていた部屋の前にいた。〔何をしている?〕ハッとして振り返ると、リリーの兄がいた。「ベッ別に何も」〔また、扉を通り抜けましたね?〕「なっ何言っているの?」〔見張りの者の目を盗んで〕「知らないわよ!あまり監視しないで!そっとしておいてよ!あっリリーを呼んでよ。私の側に居て欲しいから」〔ふむ。分かりました明日使いを出しましょう〕「約束よ!」〔分かりました。〕ズイッと近づき〔目はまだまだ紅いですね。ホッとしました。このままでいてくださいね〕と言い残し立ち去って行った。「目が紅いと何かあるのかな?」と呟いていると、廊下をかけてくる女性がいる。「リリー?」息を弾ませ『やっと会えた』肩を抱きしめて顔を合わせ、「リリー?」『うん。うん。あの後が心配で、どうしているかと思うと夜も上手く眠れなくて』まだ意気が揚がっている。「大丈夫だよ。リリー」『部屋はどこ?』
「こっちよ。来て」私がふわりと浮き案内すると後方にいるリリーが『浮く事が出来るの?』と聞く「うんまぁたまにひっくり返るけど、とっとっと」それを見てリリーが、クスリと笑う。「ここだよ」と指をさす。スーッ入る私にリリーが、『わたし、入れないの』「あっごめんなさい」リリーの腕を掴んで中に入る。とリリーが『こんな事出来るの?』「ん?あぁまぁね。私も初めてだけどね。」リリーが食べるからねクスリと笑う。「そんなに面白い?」『まぁ。あなたの目が紅いからかな?』「それ関係ある?」ふふふと二人で笑い合う。
コンコンとノックの音が響く。「誰?」『兄です』「えっ?音だけで分かるの?」『何となく…』〔私だ〕「凄い!当たった。」『気をつけて下さい、別世界へ連れて行かれます』「どうするの?」『返事はしないでください!ワタシは姿を消しますが中に入れないで!お願いします』と言い残し、スーッと姿を消した。また、コンコンと響く。静かにしていると、立ち去る音がした。「リリー行ったよ」『良かったぁ、でも安心しないでね。』「分かったよ。気をつけるね。」『兄は、執念ぶかいから』「うん。うん。分かるよぉ」はははははは。と二人で笑いあった。

「で、この先どうする?」『ワタシが貴女のマネをします。ワタシは、別世界へ飛ばされしませんから』「それじゃあバレるじゃん」『大丈夫です』えっへんと言わんばかりのドヤ顔だった。笑いを殺しながら「わかった。分かったよ」と言いながら今後の策を練る。
まず、目が紅いものは、同じく目の紅い者とシンクロする。リリーの目は紅くない。どちらかというと茶色。幼い娘は飛ばされやすい。という事だ。ここで問題がある。目が紅くないリリーは、飛ばされない。そのうえ、幼くない。という2つの点。どうしたものかと、悩んでいるとリリーに付いている婆やが、ドアをノックした。リリーが、隠れるよう指示をする。少し扉を開けると、背の低い婆やがいた。リリーが驚いて『婆や!何しに来たの!』とヒソヒソ話をしている。ワタシが奥から少し覗くと目が合った!「ヤバイ」咄嗟に身を隠すと、いつの間にか目の前にいた。「あわわわ、リリー」と小声で問うと、リリーが『大丈夫よ。私に付いている婆やよ。そこを何とかしてほしいの』(ふむ。)悩むこと数時間…(ワシの媚薬を使うしかないかの~よっこいしょ)と立ち上がるとポケットから怪しげな媚薬?を出してきた。「うっ」鼻がモゲルような臭いのする、小瓶を出して、なにやらリリーと話している。リリーが頷き手に取り一気飲みをした。目を疑うような光景。ワタシが二人いる?リリーが『目の色も背も同じくらいでしょ?』とウィンクする。「確かにワタシだわ」と感心していると、(あの方がもうすぐ来ます。ワシはこの辺で)と言い残し姿を消した。暫くすると誰かかノックをする。リリーが早く隠れてと言い、私は姿を消した。
リリーと話をしているのはやはり兄はだった。

リリーとの話に聞き耳を立てていると、又しても頭が痛くなる。リリーは平気そうだった。話の内容よりも頭の痛さで苦しくなる。「うっクッソムカツク。負けるもんか。うっうー」痛さが増す。ガタンッと倒れ込んでしまった!「マズい。知られる。うっく!」と何かにつかまる。「リリーもうダメ」フッ痛みが消えた。ハッとして、「リリー」と呼ぶとリリーが横たわっていた。「リリーリリー」と何度か呼ぶと目を覚ました。失神していたらしい。『うっうん痛たたた。こんなに頭が痛いの?』どうやらリンクしていたらしい。「大丈夫?相当痛そうだね。私は毎回痛みが増すけど…」『ウソッ死んじゃうよ』「いや真面目な話だけど…」『今回は飛ばされなかったね』「うん。多分力を緩めたんじゃないかな~私は、もうすぐで、また…またうっ来る!様子を伺いに来る!かっ隠れてぇ…うっ」ウィーンと扉が開く。サッとリリーが隠れる。[やれやれあなた方は何をしているのですか?]キーンっ頭に響く「まただ。また飛ばされる!」[ほら。どうしたのですか?いつもの威勢は!私をあまりイライラさせないでください!]「アッアー痛い」シュンっと音がさすると「うっうんクッソ。うっ」唇をふさがれた。[私は、こんなにアナタが愛おしいのに…]「うっくっ離せ」「嫌です。誰も居ません。」「んっんコクン」と何かを飲まされた。「はぁあっ体が熱いん」[私のことを好きになりましたか?]「ん。いいえ」また飲まされる。「いやぁ」[私のことが好きと言え]コクンっと何度か口うつしで飲まされると最後の媚薬は自分のことを自由にさせるものだった。コクンッと飲まされた。[私のことが好きか?]「はぁあん。はい。」彼の胸に顔をうずめていた。そして、服を剥ぎ取られていたが、「何するの!」ともう一人の自分が叫んだ![クソ!私の世継ぎを産んでもらうためだ邪魔をする!]「無理矢理なんて卑怯よ」[うるさい黙れ!さぁ私の世継ぎを]「うっうん何?」[大丈夫だよ。問題ないから。さっ私に任せて]「うっうん。い痛い」[大丈夫だよ]「あっあっん痛い。離して」またしても、媚薬を飲まされる。「はぁあん痛い」[もう少しだよ]パーッと周りが明るくなる。[うっ眩しい。誰だ!邪魔をするな]【貴方は間違えています。】[誰だ!]【彼女は幼すぎます。】光が消え静けさが蘇る。[この娘ではない?いや間違いない!目覚める前に]「何してるの?!」[しまった]ぐっと抱き寄せ媚薬を飲ますが、目覚めた彼女は言う事を聴かない。

キーンっと音がする。
「飛ばされる。」
彼女はもういない。
「あー飛ばされる…次はどこ?」
誰も知る由もなかった。
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