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合同クエスト
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「はぁ~・・・き…緊張しますね」
「何ビビってんのよセスリー。周りの方がランクが上だからって同じ冒険者よ」
「そ…それはそうなんですけど。“宿り木”のみんな以外と行動するのが初めてなので・・・やっぱり心配です~」
セスリーが宿り木に加入して随分と経ったが、エルフの里では『忌み子』として扱われ、両親以外と関係を築くことが出来なかったため、加入当初はスズネたちともなかなか打ち解けられずにいた。
そして、今回は合同クエストということでもちろん他のクランやパーティも参加する。
しかも三組のクラン・パーティに加えSランクが一人。
そんな数の見知らぬ他人とクエストを行うことに三日も前から不安を抱え心配しているセスリーなのであった。
「大丈夫っすよ!ウチらも一緒なんすから、何かあったらすぐに助けるっすよ」
「本当に肝の小さなやつじゃのうセスリーは。よし!それなら、ナメられんよう挨拶がてらそやつらにわっちが特大の魔法をブチ込んでやるのじゃ」
「や…止めてください。クエストの前に他の方々と戦闘になっちゃいますよ」
「そうですよラーニャ。彼らは敵では無いんですから、そんなことをしたら冒険者資格を剥奪されかねません。今回はその辺りも考慮して魔法を放ってくださいよ」
「そのくらい分かっておるわい。マクスウェルのくせに生意気じゃぞ」
いつも共に戦っているメンバーではないため、その分パーティ間で連携をすることは難しくなる。
そのことを踏まえて注意喚起したつもりだったのだが、何故か年下の少女から生意気だと叱責を受けたマクスウェル。
なんとも理不尽なことではあるが、そんなやり取りはいつものこと。
そこに対していちいち何かを言う者は誰一人としていない。
「だ…大丈夫だよ…セスリー…。なんていったって…リーダーの私も…緊張してるんだからね」
グッ!!
そう口にしたスズネはガチガチに緊張した様子ながらも精一杯の引き攣った笑顔を作り、セスリーに向けて握った拳の親指だけを立て『グッドサイン』を送る。
「アンタが一番大丈夫そうじゃないわよ!ガッチガチじゃない。他のパーティにナメられないようにしっかりしてよ~スズネ」
「だ…大丈夫。みんな同じ冒険者なんだから、仲良くなれるよ…」
「スズネ、手と足が揃ってるっすよ」
「あっ、本当だ!?さっきから何か歩き難かったんだよね。エヘヘヘ」
「プッ、ウフフフフ ─────── あっ!?ごめんなさい」
セスリー以上に極度の緊張を見せるスズネ。
ミリアの言葉通りガチガチになっており、歩く際に手と足が揃うというベタ過ぎる行動に陥る始末。
そんな自分以上に緊張した様子のスズネの姿を見て思わず吹き出してしまうセスリーなのであった。
「アハハハハ。やっと笑ったっすね」
「スズネのド天然もたまには役立つわね」
「ミリアは、い…いったい何を…言ってるのかな~。メンバーの緊張を解すこともリーダーの役…役割なんだからね」
「はいはい。うちのリーダーは頼りになりますよ~。その調子でパーティ同士の挨拶もヨロシク~」
「あ~~~そうだった。挨拶~挨拶~。ミリアのせいでまた緊張してきたよ~~~」
「「「「「 アハハハハハハハハ 」」」」」
こんな調子でいつものように笑顔を見せるスズネたちは、初の合同クエストに臨むため集合場所である冒険者ギルドへと向かうのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
~ 冒険者ギルド モア支部 ~
ギルドへとやってきたスズネたちは、さっそく合同クエスト参加者用の部屋へと案内された。
そこには既に三組のパーティが集まっており、残りの参加者及びギルド職員の到着を待っていた。
「アレが他のパーティね。なかなか強そうじゃない」
「何度も言うようですが、今回の参加者の中で僕たちが一番低ランクなんですからね」
「分かってる、分かってる。まぁ~でも、ランクが高いからってアタシより強いとは限らないでしょ」
「何言ってんすか。実力があるからランクが高いんすよ。特にAランクなんて猛者しかいないっす」
「ク~~~~~ッ。一度手合わせしてみたいわ~」
猛者と聞いて腕試しがしたくて堪らない様子のミリア。
もちろんBランクの冒険者たちも今のスズネたちからするとかなりの強さを有しており、さらに連携面ひとつ取っても“宿り木”とは比べ物にならないほどである。
そして、自分たちよりもランクの高い者たちのそういった部分を実際に目にして学んでもらいたいという思いからパトリックは今回の合同クエストにスズネたちを誘ったのであった。
───────── ガチャッ。
突然ドアが開かれると、四組のパーティが集まった部屋に最後の参加者が到着する。
今回の合同クエストに参加するメンバーの中で最もランクの高いSランク冒険者“ジョーカー”その人である。
「あっ!?あの人 ────── 」
見覚えのあるその姿に思わず声を上げるスズネ。
すると、それに気づいたジョーカーがスズネに向かって近づいてきた。
「フフフフフッ。以前にお見かけしましたね、お嬢さん。あの時はお急ぎの様でしたので自己紹介がまだでしたね。申し遅れましたが、ワタクシ冒険者をしております“ジョーカー”と申します。以後、お見知りおきを」
「はっ…初めまして。冒険者パーティ“宿り木”のリーダーをしているスズネといいます。こちらこそ宜しくお願いします」
そう言うとスズネは深々と頭を下げた。
紫色のタキシードとシルクハット。
そして、何よりも目に付く白い仮面。
その姿はスズネだけでなくミリアたち他のメンバーの記憶にもしっかりと残されていた。
「これはこれはご丁寧に。ありがとうございます」
「最高ランクなのに凄く丁寧な方っすね」
「見た目は胡散臭いけどね」
「失礼ですよ!ミリア」
「フフフフフッ。お仲間の皆さんもお元気そうですね。今回のクエスト、お互いに頑張りましょう」
スズネたちへの挨拶を終えたジョーカーは、胸に手を当て一礼するとスタスタとその場を去って行き、他のパーティには一切見向きもせず、一人壁際で腕を組みその時が来るのを待つのだった。
こうして今回の合同クエストに参加する冒険者が全員集まったところで、資料を手にしたマリが部屋へと入ってきた。
「皆さん、この度は合同クエストに参加頂きありがとうございます。まず今回のクエストの詳細を説明する前に参加パーティの紹介をさせて頂きます。まず、Sランク冒険者“ジョーカー”。続いて、Aランククラン“モノリス”。次に、Bランクパーティ“フェアリー”と“土ノ民”。最後に、Cランクパーティ“宿り木”。以上が今回の合同クエストに参加するメンバーです」
マリから軽く参加パーティの紹介がされた後、全員に今回のクエストの詳細が書かれた資料が配られた。
その資料によると、今回のクエストは『グリーンアイランド』という島の探索がメインとなるようだ。
元々はグリーンアイランドという名の通り緑豊かな島であったのだが、それまで大人しかった島の中央にある火山が数年前より度々噴火を繰り返すようになり、それによって今では島全体が灰に覆われてしまったのだという。
よって今回のクエスト内容は、突如として頻発するようになった噴火の原因究明とその頃より凶暴化の傾向が見られている魔獣の討伐である。
マリから合同クエストの詳細が説明され、冒険者たちはこの後グリーンアイランドへの舟を出してくれるというプエルト村へと向かうこととなった。
そして、もちろん初の合同クエストに臨むスズネたち“宿り木”も気合十分なのであった。
「ヨッシャー!やってやるわよ」
「気合い入ってるねミリア」
「当っっったり前よ!謎解きに未知の魔獣との戦闘・・・最っっっ高だわ」
目を輝かせ遠くを見つめるミリア。
こうなってしまっては周囲の声も届かない。
まぁ~気負い過ぎるわけでも弱気になっているわけでもないので良しとしておこう。
そう自分たちに言い聞かせるスズネたちなのであった。
「君たちはまだ仲良し小好しをやっているのかい?」
!? !? !? !? !? !?
「ムッ!アンタは ─────── 」
意気揚々とクエストに臨もうとしていたスズネたちの元へ嫌味ったらしい声が届く。
スズネたちがその声の方へ視線を向けると視界に一人の男性の姿が飛び込んできた。
そして、その男の姿を目にした途端にミリアの表情が一気に憤激へと変わるのであった。
「何ビビってんのよセスリー。周りの方がランクが上だからって同じ冒険者よ」
「そ…それはそうなんですけど。“宿り木”のみんな以外と行動するのが初めてなので・・・やっぱり心配です~」
セスリーが宿り木に加入して随分と経ったが、エルフの里では『忌み子』として扱われ、両親以外と関係を築くことが出来なかったため、加入当初はスズネたちともなかなか打ち解けられずにいた。
そして、今回は合同クエストということでもちろん他のクランやパーティも参加する。
しかも三組のクラン・パーティに加えSランクが一人。
そんな数の見知らぬ他人とクエストを行うことに三日も前から不安を抱え心配しているセスリーなのであった。
「大丈夫っすよ!ウチらも一緒なんすから、何かあったらすぐに助けるっすよ」
「本当に肝の小さなやつじゃのうセスリーは。よし!それなら、ナメられんよう挨拶がてらそやつらにわっちが特大の魔法をブチ込んでやるのじゃ」
「や…止めてください。クエストの前に他の方々と戦闘になっちゃいますよ」
「そうですよラーニャ。彼らは敵では無いんですから、そんなことをしたら冒険者資格を剥奪されかねません。今回はその辺りも考慮して魔法を放ってくださいよ」
「そのくらい分かっておるわい。マクスウェルのくせに生意気じゃぞ」
いつも共に戦っているメンバーではないため、その分パーティ間で連携をすることは難しくなる。
そのことを踏まえて注意喚起したつもりだったのだが、何故か年下の少女から生意気だと叱責を受けたマクスウェル。
なんとも理不尽なことではあるが、そんなやり取りはいつものこと。
そこに対していちいち何かを言う者は誰一人としていない。
「だ…大丈夫だよ…セスリー…。なんていったって…リーダーの私も…緊張してるんだからね」
グッ!!
そう口にしたスズネはガチガチに緊張した様子ながらも精一杯の引き攣った笑顔を作り、セスリーに向けて握った拳の親指だけを立て『グッドサイン』を送る。
「アンタが一番大丈夫そうじゃないわよ!ガッチガチじゃない。他のパーティにナメられないようにしっかりしてよ~スズネ」
「だ…大丈夫。みんな同じ冒険者なんだから、仲良くなれるよ…」
「スズネ、手と足が揃ってるっすよ」
「あっ、本当だ!?さっきから何か歩き難かったんだよね。エヘヘヘ」
「プッ、ウフフフフ ─────── あっ!?ごめんなさい」
セスリー以上に極度の緊張を見せるスズネ。
ミリアの言葉通りガチガチになっており、歩く際に手と足が揃うというベタ過ぎる行動に陥る始末。
そんな自分以上に緊張した様子のスズネの姿を見て思わず吹き出してしまうセスリーなのであった。
「アハハハハ。やっと笑ったっすね」
「スズネのド天然もたまには役立つわね」
「ミリアは、い…いったい何を…言ってるのかな~。メンバーの緊張を解すこともリーダーの役…役割なんだからね」
「はいはい。うちのリーダーは頼りになりますよ~。その調子でパーティ同士の挨拶もヨロシク~」
「あ~~~そうだった。挨拶~挨拶~。ミリアのせいでまた緊張してきたよ~~~」
「「「「「 アハハハハハハハハ 」」」」」
こんな調子でいつものように笑顔を見せるスズネたちは、初の合同クエストに臨むため集合場所である冒険者ギルドへと向かうのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
~ 冒険者ギルド モア支部 ~
ギルドへとやってきたスズネたちは、さっそく合同クエスト参加者用の部屋へと案内された。
そこには既に三組のパーティが集まっており、残りの参加者及びギルド職員の到着を待っていた。
「アレが他のパーティね。なかなか強そうじゃない」
「何度も言うようですが、今回の参加者の中で僕たちが一番低ランクなんですからね」
「分かってる、分かってる。まぁ~でも、ランクが高いからってアタシより強いとは限らないでしょ」
「何言ってんすか。実力があるからランクが高いんすよ。特にAランクなんて猛者しかいないっす」
「ク~~~~~ッ。一度手合わせしてみたいわ~」
猛者と聞いて腕試しがしたくて堪らない様子のミリア。
もちろんBランクの冒険者たちも今のスズネたちからするとかなりの強さを有しており、さらに連携面ひとつ取っても“宿り木”とは比べ物にならないほどである。
そして、自分たちよりもランクの高い者たちのそういった部分を実際に目にして学んでもらいたいという思いからパトリックは今回の合同クエストにスズネたちを誘ったのであった。
───────── ガチャッ。
突然ドアが開かれると、四組のパーティが集まった部屋に最後の参加者が到着する。
今回の合同クエストに参加するメンバーの中で最もランクの高いSランク冒険者“ジョーカー”その人である。
「あっ!?あの人 ────── 」
見覚えのあるその姿に思わず声を上げるスズネ。
すると、それに気づいたジョーカーがスズネに向かって近づいてきた。
「フフフフフッ。以前にお見かけしましたね、お嬢さん。あの時はお急ぎの様でしたので自己紹介がまだでしたね。申し遅れましたが、ワタクシ冒険者をしております“ジョーカー”と申します。以後、お見知りおきを」
「はっ…初めまして。冒険者パーティ“宿り木”のリーダーをしているスズネといいます。こちらこそ宜しくお願いします」
そう言うとスズネは深々と頭を下げた。
紫色のタキシードとシルクハット。
そして、何よりも目に付く白い仮面。
その姿はスズネだけでなくミリアたち他のメンバーの記憶にもしっかりと残されていた。
「これはこれはご丁寧に。ありがとうございます」
「最高ランクなのに凄く丁寧な方っすね」
「見た目は胡散臭いけどね」
「失礼ですよ!ミリア」
「フフフフフッ。お仲間の皆さんもお元気そうですね。今回のクエスト、お互いに頑張りましょう」
スズネたちへの挨拶を終えたジョーカーは、胸に手を当て一礼するとスタスタとその場を去って行き、他のパーティには一切見向きもせず、一人壁際で腕を組みその時が来るのを待つのだった。
こうして今回の合同クエストに参加する冒険者が全員集まったところで、資料を手にしたマリが部屋へと入ってきた。
「皆さん、この度は合同クエストに参加頂きありがとうございます。まず今回のクエストの詳細を説明する前に参加パーティの紹介をさせて頂きます。まず、Sランク冒険者“ジョーカー”。続いて、Aランククラン“モノリス”。次に、Bランクパーティ“フェアリー”と“土ノ民”。最後に、Cランクパーティ“宿り木”。以上が今回の合同クエストに参加するメンバーです」
マリから軽く参加パーティの紹介がされた後、全員に今回のクエストの詳細が書かれた資料が配られた。
その資料によると、今回のクエストは『グリーンアイランド』という島の探索がメインとなるようだ。
元々はグリーンアイランドという名の通り緑豊かな島であったのだが、それまで大人しかった島の中央にある火山が数年前より度々噴火を繰り返すようになり、それによって今では島全体が灰に覆われてしまったのだという。
よって今回のクエスト内容は、突如として頻発するようになった噴火の原因究明とその頃より凶暴化の傾向が見られている魔獣の討伐である。
マリから合同クエストの詳細が説明され、冒険者たちはこの後グリーンアイランドへの舟を出してくれるというプエルト村へと向かうこととなった。
そして、もちろん初の合同クエストに臨むスズネたち“宿り木”も気合十分なのであった。
「ヨッシャー!やってやるわよ」
「気合い入ってるねミリア」
「当っっったり前よ!謎解きに未知の魔獣との戦闘・・・最っっっ高だわ」
目を輝かせ遠くを見つめるミリア。
こうなってしまっては周囲の声も届かない。
まぁ~気負い過ぎるわけでも弱気になっているわけでもないので良しとしておこう。
そう自分たちに言い聞かせるスズネたちなのであった。
「君たちはまだ仲良し小好しをやっているのかい?」
!? !? !? !? !? !?
「ムッ!アンタは ─────── 」
意気揚々とクエストに臨もうとしていたスズネたちの元へ嫌味ったらしい声が届く。
スズネたちがその声の方へ視線を向けると視界に一人の男性の姿が飛び込んできた。
そして、その男の姿を目にした途端にミリアの表情が一気に憤激へと変わるのであった。
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