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地の利
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第一軍がドランの武に圧倒されていたその時、他の戦闘地では王国軍が数の優位性を全面に押し出して奮闘していた。
「ウォォォォォ ──────── 」
キーーーン、カーーーン、キーーーン。
刃と刃がぶつかり合う音が山中に響き渡る。
何処で誰が戦っているのか定かではないが、王国軍の騎士たちも獣王国軍の戦士たちも目の前に現れた敵と手当たり次第に戦っているような状況であった。
「数ではこちらが圧倒的に勝っている。臆することなどない!突き進めーーー!!」
「「「「「 ウォォォォォ ──────── 」」」」」
視界不良が続く中、獣王国軍による度重なる奇襲を受けながらも勢いに乗る王国軍の歩みは止まらない。
その結果、じわりじわりと両者の距離は縮まっていくのだった。
そんな状況の中、当初予想されていたよりも獣王国軍の反撃が弱いことと自分たちのペースで戦いが進んでいることでさらに勢いを増す国王軍であったのだが、その攻勢も長くは続くことはなかった。
「さっさと雑兵を片付けさせろ」
「ランスロット様、そうは言ってもここは敵の領地。いくら我々聖騎士団といえど容易く攻略は出来ませんよ」
「はぁ~・・・。それでもガルディアが誇る第一聖騎士団の騎士なのか?ドノヴァン、全員下がらせろ。俺が出る」
「いや…ダメに決まってるでしょ…。いきなり団長が出て行ってどうするんですか」
「それならさっさと片付けさせろ!!」
自身の団の不甲斐無さに苛立ちを覚え、尚且つそれを隠そうともしないランスロット。
ガルディア王国における最強の騎士である十二の剣にその名を連ね、さらにそのトップである第一席にまで上りつめた実力は誰しもが知るところである。
しかし、それ故に自軍の仲間であっても容赦の無い成果を求める傾向にあり、他の騎士たちからも恐れられているのだった。
「ウッキッキッ。なかなかやるッキね~。やられちゃいそうッキーーー」
少しずつではあるが確実にその距離を詰めてくる王国軍に対して、言葉では焦っているように言いつつもサルザールの表情からは余りある余裕が伺える。
それは単なる強がりなのか、それともまだこの先に秘策を用意しているのか、はたまた自分たちの実力に余程の自信があるのか ──────── 。
そして、それはサルザールだけではなく他の十二支臣はもちろんのこと、獣王国の戦士たちも同様であった。
数に物を言わせて攻め込んでくる王国軍を相手に少しずつ少しずつ後退していく姿にも焦りの色は無い。
客観的に見れば明らかな誘導であったのだが、慣れない環境・獣人族から放たれる凄まじいほどの殺気・そして何より一刻も早く獣王国の城を落とさなければならないという状況が騎士たちの判断を鈍らせるのだった。
「どんどん兵を送り込め!」
「敵は後退を続けている。勢いは完全にこちらにあるぞ。怯むな!攻め続けろ!!」
「「「「「 オォォォォーーーーー!!!!! 」」」」」
各軍が勢いそのままにグングンと山の奥へと進行していく。
それぞれの団長たちも前線で指揮を執ってはいるものの、目の前に現れた敵国最大の脅威である十二支臣を仕留めるべく視界が悪い中でも前進を選ぶしかなかった。
そして、それらを束ねるアーサー・ランスロット・トリスタン・ケイの軍長たちもまた自軍の全容を把握することに苦労していた。
「トリスタン様、どうやら上空にいる鳥獣どもは囮のようです。攻撃をしてくる様子はなく、むしろ上に気を取られていることで第七聖騎士団が伏兵に狙われております」
「クッ…。ベディヴィアに周囲を警戒しつつ鳥獣たちを牽制するように、そしてグリフレットには速やかに眼前の敵を撃ち倒せと伝令を送れ」
「畏まりました」
「第二聖騎士団!出るぞ!!」
「「「「「 ハッ!!!!! 」」」」」
まさに第三軍を嘲笑うかのように上空を飛び回る鳥獣部隊。
そして、それを率いるバルドールもまた困惑した様子で進行を急ぐ敵の姿に笑みを溢すのであった。
「クワックワックワッ。急げ、急げ。死地はすぐそこだよん」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ウチとスネルを一つの団で相手しようだなんてバカだピョン」
「それだけ自信があるのか…、それともただの愚か者か…。まぁ~戦ってみれば分かることよ」
スネルとピヨンの部隊に対して第三聖騎士団のみで戦うことを決めたケイ。
その意思に呼応するように第三聖騎士団の騎士たちの士気は高く、立ちはだかる敵を次々と打ち倒していく。
そして、それは隣の戦場で戦うローズガーデンにも伝染し、第四軍は他のどの軍よりも早く敵軍を追い詰めたのだった。
「よし、敵の背後に岩壁を確認。奴らにこれ以上の後退はない!一気に攻めるぞ!!」
「「「「「 オォォォォォ!!!!! 」」」」」
完全に勢いに乗った騎士及び冒険者たちは後のない敵を前にして突撃を開始する。
「ケイ様、前線の部隊が敵を岩壁に追い詰めたとのことです。ここで一気に片付けましょう」
「承知しました。くれぐれも油断することの無いように」
「ハッ」
その時、それまで全くと言っていいほど風の無かった山中を微風が吹き抜ける。
それによって王国軍を困らせていた霧が微かに流れ、その隙間から僅かではあるが獣王国軍の姿を確認することが出来た。
何かがおかしい ──────── 。
僅かに見えた敵軍の姿にケイは違和感を覚えた。
追い詰めているのは確かであり、間違いなくこれは好機である。
しかし、数多くの戦場を渡り歩いてきたケイの頭の中の警報は鳴り止まない。
「この違和感の正体はいったい・・・」
「ケイ様?如何され ─────── 」
「ハッ!?急いで全隊を下げさせてください」
「えっ?しかし、今は絶好の好機ですよ」
「いいから早く!!」
《何故気づかなかったのです。こんな初歩的な罠に引っ掛かるなんて…。霧の隙間から見えた敵軍の数は明らかに少なかった。そして、追い詰めたと思っていた岩壁 ───── 霧で全容は確認出来ませんが、恐らくここは窪地。岩壁の上には敵が待ち構えているはず》
ケイの予想が当たっていれば第四軍はかなりのピンチである。
いくら数の上で倍近くの戦力差があるとはいえ、窪地に誘い込まれ奇襲を受けたならそのアドバンテージは一瞬の内に無と化す。
そして、外れてほしかったケイの予想は悲しくも現実のものとなる。
「ぐわぁぁぁぁーーー」
「奇襲!奇襲ーーー!!」
「いったい何処から攻撃が」
「総員、退避ーーー退避ーーーーー!」
戦闘中も相変わらず視界の悪い中、ようやく敵を追い詰めたと思い意気込んで攻め入った第四軍んを待っていたのは、獣王国軍による無数の矢の雨であった。
その強襲に面を食らった形となった騎士たちはたちまち混乱に陥り、それを嘲笑うかのような獣王国軍の攻撃を前に成す術なく討たれた。
そして、その光景は第二軍と第三軍の戦闘地でも見られ、同様の惨劇が繰り広げられたのだった。
「ウォォォォォ ──────── 」
キーーーン、カーーーン、キーーーン。
刃と刃がぶつかり合う音が山中に響き渡る。
何処で誰が戦っているのか定かではないが、王国軍の騎士たちも獣王国軍の戦士たちも目の前に現れた敵と手当たり次第に戦っているような状況であった。
「数ではこちらが圧倒的に勝っている。臆することなどない!突き進めーーー!!」
「「「「「 ウォォォォォ ──────── 」」」」」
視界不良が続く中、獣王国軍による度重なる奇襲を受けながらも勢いに乗る王国軍の歩みは止まらない。
その結果、じわりじわりと両者の距離は縮まっていくのだった。
そんな状況の中、当初予想されていたよりも獣王国軍の反撃が弱いことと自分たちのペースで戦いが進んでいることでさらに勢いを増す国王軍であったのだが、その攻勢も長くは続くことはなかった。
「さっさと雑兵を片付けさせろ」
「ランスロット様、そうは言ってもここは敵の領地。いくら我々聖騎士団といえど容易く攻略は出来ませんよ」
「はぁ~・・・。それでもガルディアが誇る第一聖騎士団の騎士なのか?ドノヴァン、全員下がらせろ。俺が出る」
「いや…ダメに決まってるでしょ…。いきなり団長が出て行ってどうするんですか」
「それならさっさと片付けさせろ!!」
自身の団の不甲斐無さに苛立ちを覚え、尚且つそれを隠そうともしないランスロット。
ガルディア王国における最強の騎士である十二の剣にその名を連ね、さらにそのトップである第一席にまで上りつめた実力は誰しもが知るところである。
しかし、それ故に自軍の仲間であっても容赦の無い成果を求める傾向にあり、他の騎士たちからも恐れられているのだった。
「ウッキッキッ。なかなかやるッキね~。やられちゃいそうッキーーー」
少しずつではあるが確実にその距離を詰めてくる王国軍に対して、言葉では焦っているように言いつつもサルザールの表情からは余りある余裕が伺える。
それは単なる強がりなのか、それともまだこの先に秘策を用意しているのか、はたまた自分たちの実力に余程の自信があるのか ──────── 。
そして、それはサルザールだけではなく他の十二支臣はもちろんのこと、獣王国の戦士たちも同様であった。
数に物を言わせて攻め込んでくる王国軍を相手に少しずつ少しずつ後退していく姿にも焦りの色は無い。
客観的に見れば明らかな誘導であったのだが、慣れない環境・獣人族から放たれる凄まじいほどの殺気・そして何より一刻も早く獣王国の城を落とさなければならないという状況が騎士たちの判断を鈍らせるのだった。
「どんどん兵を送り込め!」
「敵は後退を続けている。勢いは完全にこちらにあるぞ。怯むな!攻め続けろ!!」
「「「「「 オォォォォーーーーー!!!!! 」」」」」
各軍が勢いそのままにグングンと山の奥へと進行していく。
それぞれの団長たちも前線で指揮を執ってはいるものの、目の前に現れた敵国最大の脅威である十二支臣を仕留めるべく視界が悪い中でも前進を選ぶしかなかった。
そして、それらを束ねるアーサー・ランスロット・トリスタン・ケイの軍長たちもまた自軍の全容を把握することに苦労していた。
「トリスタン様、どうやら上空にいる鳥獣どもは囮のようです。攻撃をしてくる様子はなく、むしろ上に気を取られていることで第七聖騎士団が伏兵に狙われております」
「クッ…。ベディヴィアに周囲を警戒しつつ鳥獣たちを牽制するように、そしてグリフレットには速やかに眼前の敵を撃ち倒せと伝令を送れ」
「畏まりました」
「第二聖騎士団!出るぞ!!」
「「「「「 ハッ!!!!! 」」」」」
まさに第三軍を嘲笑うかのように上空を飛び回る鳥獣部隊。
そして、それを率いるバルドールもまた困惑した様子で進行を急ぐ敵の姿に笑みを溢すのであった。
「クワックワックワッ。急げ、急げ。死地はすぐそこだよん」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ウチとスネルを一つの団で相手しようだなんてバカだピョン」
「それだけ自信があるのか…、それともただの愚か者か…。まぁ~戦ってみれば分かることよ」
スネルとピヨンの部隊に対して第三聖騎士団のみで戦うことを決めたケイ。
その意思に呼応するように第三聖騎士団の騎士たちの士気は高く、立ちはだかる敵を次々と打ち倒していく。
そして、それは隣の戦場で戦うローズガーデンにも伝染し、第四軍は他のどの軍よりも早く敵軍を追い詰めたのだった。
「よし、敵の背後に岩壁を確認。奴らにこれ以上の後退はない!一気に攻めるぞ!!」
「「「「「 オォォォォォ!!!!! 」」」」」
完全に勢いに乗った騎士及び冒険者たちは後のない敵を前にして突撃を開始する。
「ケイ様、前線の部隊が敵を岩壁に追い詰めたとのことです。ここで一気に片付けましょう」
「承知しました。くれぐれも油断することの無いように」
「ハッ」
その時、それまで全くと言っていいほど風の無かった山中を微風が吹き抜ける。
それによって王国軍を困らせていた霧が微かに流れ、その隙間から僅かではあるが獣王国軍の姿を確認することが出来た。
何かがおかしい ──────── 。
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追い詰めているのは確かであり、間違いなくこれは好機である。
しかし、数多くの戦場を渡り歩いてきたケイの頭の中の警報は鳴り止まない。
「この違和感の正体はいったい・・・」
「ケイ様?如何され ─────── 」
「ハッ!?急いで全隊を下げさせてください」
「えっ?しかし、今は絶好の好機ですよ」
「いいから早く!!」
《何故気づかなかったのです。こんな初歩的な罠に引っ掛かるなんて…。霧の隙間から見えた敵軍の数は明らかに少なかった。そして、追い詰めたと思っていた岩壁 ───── 霧で全容は確認出来ませんが、恐らくここは窪地。岩壁の上には敵が待ち構えているはず》
ケイの予想が当たっていれば第四軍はかなりのピンチである。
いくら数の上で倍近くの戦力差があるとはいえ、窪地に誘い込まれ奇襲を受けたならそのアドバンテージは一瞬の内に無と化す。
そして、外れてほしかったケイの予想は悲しくも現実のものとなる。
「ぐわぁぁぁぁーーー」
「奇襲!奇襲ーーー!!」
「いったい何処から攻撃が」
「総員、退避ーーー退避ーーーーー!」
戦闘中も相変わらず視界の悪い中、ようやく敵を追い詰めたと思い意気込んで攻め入った第四軍んを待っていたのは、獣王国軍による無数の矢の雨であった。
その強襲に面を食らった形となった騎士たちはたちまち混乱に陥り、それを嘲笑うかのような獣王国軍の攻撃を前に成す術なく討たれた。
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