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獣王国の未来
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トリニア平原での調印式が行われて以降、少しずつではあるものの確実に種族間の交流は増えていっていた。
特にヒト族と獣人族の関係性は一変し、これまでに起きていたことがまるで嘘であったかと思えてしまうほどであった。
両国の商人たちが互いの国を行き来するようになったことで貿易が盛んとなり、それはなにも物質的なことだけではなく、技術的なことや文化的なことも含まれていた。
そして、そんな二種族の関係性を発端にその他の種族の間でもそういったものが見られるようになった。
まさにドルニアスとレオニスが夢見たことが現実になろうとしていた ──────── 。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
種族間の交流が活発化してから五十年の時が経ち、そんな栄華を極めようかと邁進する獣王国ビステリアにさらなる幸福が訪れる。
「獣王様!産まれました!!」
「本当か!」
ダッ ─────── ダダダダダッ。
──────── ガチャッ。
「ザックス!!」
「!? ──── 獣王様!無事に産まれました」
「ハァ…ハァ…ハァ… ───── そうか…そうか…。それは何よりだ」
この年、獣王国最強の戦士である戦士長ザックスに待望の第一子が生まれた。
ザックスは宰相であり獣王の右腕とされるオウルックと並び獣王の左腕と称される人物である。
そんな腹心のもとに舞い降りた新たな命を前にしてレオニスは言葉にならない喜びを感じるのであった。
「なんとも精悍な顔立ちをした子だな」
「ザックス様の御子息ともなれば将来が楽しみですね」
「おいおい気が早すぎるだろ。まだ生まれたばかりだぞ」
戦術・指揮能力・剣術・体術・戦闘スキル、それら戦闘に関する実力と才能を欲しいままにしてきたザックス。
それは長い獣人族の歴史においても間違いなくトップクラスの実力の持ち主であった。
そんな彼の子供ともなれば獣人族であれば否が応でも期待したくなってしまう。
「名前はもう決めたのか?」
「はい。ゼリックと」
「ゼリックか、良き名だ。これからの獣王国のためにも強く大きな男になるんだぞゼリック!!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ゼリック誕生から五年後。
「獣王様~」
「おお、どうした?ゼリック」
「あの…王妃様はお元気ですか?」
「ああ、元気だよ。今は部屋で安静にしている」
「そっか、良かった~。早く生まれないかな~」
ゼリックが生まれてから五年後、レオニスの妻である王妃が懐妊。
王妃様初の御懐妊ということもあり、待望の吉報は瞬く間に獣王国中を駆け巡り大騒ぎとなった。
そんなお祭り騒ぎ状態になった国民たちに落ち着くようにと諭したのは他ならぬ獣王レオニスであった。
しかし、いくら表面上では冷静を装ってはいても初めて自身の子が生まれようとしていることに動揺しない者などいない。
それは獣王とて同じこと。
「ブランシュ、体調はどうだ?」
「ええ、問題ありませんよ」
「ブランシュ、何か食べたいものはないか?」
「ええ、今のところは大丈夫です」
「ブランシュ、何かしてほしいことはないか?」
「ええ、城の者たちも良くしてくれているので特にありませんよ」
「ブランシュ、─────── 」
「レオニス、少し落ち着きなさい!あなたはこの国の王なのよ。こんな事くらいで取り乱してどうするの」
「ああ…そうだな…面目ない・・・。君はどんな時でも強いな」
「そりゃ~私はこの国を治める獣王レオニスを隣で支えてる女ですからね!」
「「フフッ…アハハハハハハハハ ──────── 」」
それから数日後、獣王国中が待ち望んだ瞬間が訪れる。
そして、母親譲りの真っ白な姿で生まれた女の子はユニと名付けられた。
獣王レオニスの子『ユニ』。
戦士長ザックスの子『ゼリック』。
この時、この二人がこれからの獣王国を明るく照らす光となることを全ての獣人族が信じて疑わなかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ゼリック兄様、待って~」
「ユニ、そんなに急がなくたって置いて行きはしないよ」
「本当ですか?兄様はずっとユニのそばにいてくれますか?」
「ああ、もちろんだよ」
獣王の娘として、そして王の左腕である戦士長の息子として互いに生を享けた二人。
王宮にいる者の中で最も年齢が近く、さらに面倒見の良いゼリックに幼いユニが懐くのに時間は掛からなかった。
「ゼリック、いつもユニの面倒を見させて悪いな」
「問題ありませんよ獣王様、ユニは僕にとっても大切な妹みたいなものですから」
「ゼリック、ユニ様のことをしっかり守るんだぞ」
「分かっていますよ父上」
「ユニはね、ユニはね、将来ゼリック兄様と結婚するの」
「アハハハハ。そうかそうか。それでは娘のことを宜しく頼んだぞゼリック」
「えっ!?いや…」
「兄様は嫌なの?」
「いや、そういうわけじゃなくて・・・」
ジーーーーーッ ─────── 。
「嫌じゃないよ!もちろん嫌じゃない!!」
突然発せられたその言葉と目の前に並び立つ二人の父親から受けるプレッシャーに動揺を見せるゼリックであったが、幼いユニの純粋な瞳にジッと見つめられ断ることなど出来るはずもなく、その言葉を受け入れるしかなかった。
「おお~、今日はなんとめでたい日だ!」
「偉いわよユニ。ゼリックほどの良い男はなかなかいないわ。絶対に手放してはダメよ」
「はい。お母様」
「獣王様に王妃様まで、子供の言っていることですよ」
「なんだ?ザックスは不満でもあるのか?」
「ザックス様はユニがゼリック兄様と結婚するの嫌なの?」
「いえ…決してそのようなことは・・・」
自身の息子が敬愛する獣王の御息女と婚姻することに戸惑いを見せるザックスであったのだが、先ほどのゼリックと同様にユニからの純粋な問い掛けに首を横に振り従うことしか出来なかった。
「決まりね!ユニ、あなたは今日からゼリックの許嫁よ」
「いい…な…ずけ?」
「そう、許嫁。将来結婚することを約束した相手ってことよ」
「うん。ユニ今日からゼリック兄様の許嫁になる!!」
こうなってしまっては誰にも止めることは出来ない。
大いにはしゃぐ王妃とユニを前に抗うことを諦めたザックスとゼリック。
その様子を傍で見ていた獣王レオニスは満足そうに笑みを浮かべている。
こうして二人の婚約は両家にも認められ、二人が許嫁であるということは獣王国中で公認の関係となったのであった。
特にヒト族と獣人族の関係性は一変し、これまでに起きていたことがまるで嘘であったかと思えてしまうほどであった。
両国の商人たちが互いの国を行き来するようになったことで貿易が盛んとなり、それはなにも物質的なことだけではなく、技術的なことや文化的なことも含まれていた。
そして、そんな二種族の関係性を発端にその他の種族の間でもそういったものが見られるようになった。
まさにドルニアスとレオニスが夢見たことが現実になろうとしていた ──────── 。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
種族間の交流が活発化してから五十年の時が経ち、そんな栄華を極めようかと邁進する獣王国ビステリアにさらなる幸福が訪れる。
「獣王様!産まれました!!」
「本当か!」
ダッ ─────── ダダダダダッ。
──────── ガチャッ。
「ザックス!!」
「!? ──── 獣王様!無事に産まれました」
「ハァ…ハァ…ハァ… ───── そうか…そうか…。それは何よりだ」
この年、獣王国最強の戦士である戦士長ザックスに待望の第一子が生まれた。
ザックスは宰相であり獣王の右腕とされるオウルックと並び獣王の左腕と称される人物である。
そんな腹心のもとに舞い降りた新たな命を前にしてレオニスは言葉にならない喜びを感じるのであった。
「なんとも精悍な顔立ちをした子だな」
「ザックス様の御子息ともなれば将来が楽しみですね」
「おいおい気が早すぎるだろ。まだ生まれたばかりだぞ」
戦術・指揮能力・剣術・体術・戦闘スキル、それら戦闘に関する実力と才能を欲しいままにしてきたザックス。
それは長い獣人族の歴史においても間違いなくトップクラスの実力の持ち主であった。
そんな彼の子供ともなれば獣人族であれば否が応でも期待したくなってしまう。
「名前はもう決めたのか?」
「はい。ゼリックと」
「ゼリックか、良き名だ。これからの獣王国のためにも強く大きな男になるんだぞゼリック!!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ゼリック誕生から五年後。
「獣王様~」
「おお、どうした?ゼリック」
「あの…王妃様はお元気ですか?」
「ああ、元気だよ。今は部屋で安静にしている」
「そっか、良かった~。早く生まれないかな~」
ゼリックが生まれてから五年後、レオニスの妻である王妃が懐妊。
王妃様初の御懐妊ということもあり、待望の吉報は瞬く間に獣王国中を駆け巡り大騒ぎとなった。
そんなお祭り騒ぎ状態になった国民たちに落ち着くようにと諭したのは他ならぬ獣王レオニスであった。
しかし、いくら表面上では冷静を装ってはいても初めて自身の子が生まれようとしていることに動揺しない者などいない。
それは獣王とて同じこと。
「ブランシュ、体調はどうだ?」
「ええ、問題ありませんよ」
「ブランシュ、何か食べたいものはないか?」
「ええ、今のところは大丈夫です」
「ブランシュ、何かしてほしいことはないか?」
「ええ、城の者たちも良くしてくれているので特にありませんよ」
「ブランシュ、─────── 」
「レオニス、少し落ち着きなさい!あなたはこの国の王なのよ。こんな事くらいで取り乱してどうするの」
「ああ…そうだな…面目ない・・・。君はどんな時でも強いな」
「そりゃ~私はこの国を治める獣王レオニスを隣で支えてる女ですからね!」
「「フフッ…アハハハハハハハハ ──────── 」」
それから数日後、獣王国中が待ち望んだ瞬間が訪れる。
そして、母親譲りの真っ白な姿で生まれた女の子はユニと名付けられた。
獣王レオニスの子『ユニ』。
戦士長ザックスの子『ゼリック』。
この時、この二人がこれからの獣王国を明るく照らす光となることを全ての獣人族が信じて疑わなかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ゼリック兄様、待って~」
「ユニ、そんなに急がなくたって置いて行きはしないよ」
「本当ですか?兄様はずっとユニのそばにいてくれますか?」
「ああ、もちろんだよ」
獣王の娘として、そして王の左腕である戦士長の息子として互いに生を享けた二人。
王宮にいる者の中で最も年齢が近く、さらに面倒見の良いゼリックに幼いユニが懐くのに時間は掛からなかった。
「ゼリック、いつもユニの面倒を見させて悪いな」
「問題ありませんよ獣王様、ユニは僕にとっても大切な妹みたいなものですから」
「ゼリック、ユニ様のことをしっかり守るんだぞ」
「分かっていますよ父上」
「ユニはね、ユニはね、将来ゼリック兄様と結婚するの」
「アハハハハ。そうかそうか。それでは娘のことを宜しく頼んだぞゼリック」
「えっ!?いや…」
「兄様は嫌なの?」
「いや、そういうわけじゃなくて・・・」
ジーーーーーッ ─────── 。
「嫌じゃないよ!もちろん嫌じゃない!!」
突然発せられたその言葉と目の前に並び立つ二人の父親から受けるプレッシャーに動揺を見せるゼリックであったが、幼いユニの純粋な瞳にジッと見つめられ断ることなど出来るはずもなく、その言葉を受け入れるしかなかった。
「おお~、今日はなんとめでたい日だ!」
「偉いわよユニ。ゼリックほどの良い男はなかなかいないわ。絶対に手放してはダメよ」
「はい。お母様」
「獣王様に王妃様まで、子供の言っていることですよ」
「なんだ?ザックスは不満でもあるのか?」
「ザックス様はユニがゼリック兄様と結婚するの嫌なの?」
「いえ…決してそのようなことは・・・」
自身の息子が敬愛する獣王の御息女と婚姻することに戸惑いを見せるザックスであったのだが、先ほどのゼリックと同様にユニからの純粋な問い掛けに首を横に振り従うことしか出来なかった。
「決まりね!ユニ、あなたは今日からゼリックの許嫁よ」
「いい…な…ずけ?」
「そう、許嫁。将来結婚することを約束した相手ってことよ」
「うん。ユニ今日からゼリック兄様の許嫁になる!!」
こうなってしまっては誰にも止めることは出来ない。
大いにはしゃぐ王妃とユニを前に抗うことを諦めたザックスとゼリック。
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