共犯

ボブえもん工房

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第2章 残酷な時間

友達を探しに…

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「ねぇ、これからどうする?」
「ん~、高校の時の同級生がいるみたいだから探そうかな…。」
彼女は高校の同級生とLINEのやり取りをしている画面を開きながら呟く。
「え?同じ高校の子いたの?」
「うん、学部が違うから今まで会うこと無かったけど、在学してるのは知ってた。」
「じゃー私も探すよ。」
特にすることも無いし、私は千紘と一緒に行動することにした。
会場は広いのでどこかで待ち合わせをしたらどうかと提案したが、どうやらLINEが返って来ないらしい。
メッセージに気づいていないのかもしれない。
3階に行き少し歩くと、大きな扉があり、開くとそこはバーになっていた。
「あれ?千紘!」
そうやって呼び掛けたのは玲奈だ。
「やっほー、玲奈。」
玲奈は他にも3人のサークルの友達を連れて、お酒を飲んでいる様子だった。
バーテンダーが彼女達のお酒を用意している。
私を除いた女の子達は、全員千紘と同じサークルだった。
千紘はサークルの話をその子達としていて、私はその瞬間独りぼっちになった。
私の知らない話をして盛り上がる彼女達。
玲奈や他の子達は、私がいる事を迷惑に感じているのか、横目で嫌な視線を向けてくる。
千紘はそれに気づいていない。
私はその場に合わせて苦笑いをすることしかできなかった。
彼女達に馴染めずにいると扉が開き、他の誰かが3人入ってくるのが横目に見えた。
その場が気まずかった私は、何となくその人達に目をやると、その中に高校の時の同級生が混じっていた。
「あれ?恭子!?」
私が話し掛けると、恭子はチラッとこちらを見てそのままバーカウンターまで行った。
「え…?恭子だよね…?」
聞こえていないのかと思い、もう一度話し掛けると、彼女は私を見ずに「どなたでしょうか。」と答える。
その時に高校での関係はこれ程までに脆い物だったのかと察した。
恥ずかしくなり顔を伏せた私に、千紘は「友達じゃないの?」と聞いてきたが、首を横に振り「人違い…。」と答えた。

しばらく気まずい時間を過ごしていたが、千紘が思い出したように、「ごめん!そろそろ高校の友達探しに行くわ!」と言って、その場を離れた。
私はもちろん千紘に付いていく。
「LINE返ってきた?」
「いや…、まだだね。」
「本当にここには来てるんだよね?」
「そのはずだと思うんだよねぇ、LINEでもそうやって言ってたし。」
再びスマホに目線を移す千紘。
3階を歩き回ったが、それらしい子は見当たらない。
気づいたらまた同じバーの扉の前まで来ていた。
「しばらく休もう?」
私が言うと千紘は首を縦に振り、扉を開けた。
するとそこには先程の綺麗な部屋とは違い、お酒の瓶が大量に割られ、机や椅子がひっくり返っていた。
「え…、何これ…。皆はどこ?」
誰の姿も見えない。
私達は唖然と立ち尽くしていたが、嫌な気配を感じた。
「ねぇ、千紘ここ出ようよ!」
私が散らかった部屋から千紘に視線を移すと、彼女の後ろに瓶を振りかざそうとしている男がいた。
「千紘危ない!!!」
私は彼女を押し退け、男の瓶を交わした。
よく見るとそいつはバーテンダーだった。
彼女は驚き、立ち上がることができずにいる。
私はそのままバーテンダーの股間を蹴り、動けなくなったことを確認して千紘を起こした。
「逃げよう!!」
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