9 / 22
第2章 残酷な時間
リップ
しおりを挟む
退院をした私は、お母さんと一緒に車で家に戻った。
パーティ会場を見に行きたいと伝えたが、許されなかった。
車に揺られながら、千紘を思い出していた。
彼女は誰からも好かれてて、人気者で、空気読めないけどいい子だ。
そんな子がもうこの世にはいない。
大学はと言うと、あの事件が起きてからしばらく休園をしているそうだ。
この事件を聞いた後輩達も、きっと怖い思いをしているだろう。
大学側も正しい判断をしたと思う。
私は家に着いてすぐ自分の部屋に行き、ベッドに座り込んだ。
私の走って傷ついた素足は、すっかり綺麗になっている。
それでも心の傷は中々癒えない。
すぐに涙が出てくる。
「グスっ…。何で私だけ生きてるんだろ…。」
こんな事を言ったらきっとお母さんに怒られるが、どうせなら皆と一緒に逝きたかった。
独りぼっちにしないで欲しかった。
私はいつもしているポニーテールを外し、髪の毛をぐちゃぐちゃにし、そのまま頭を抱えて涙を流す。
「片付けよ…。」
変わるはずのない気分を少しでも変えようと、私は立ち上がり片付けを始めた。
パーティに持っていったバッグの中身はそのまま。
警察が中身を見た後、綺麗に元に戻してくれたようだ。
バッグの表面にはバーテンダーが階段の上から落としたマッチの焦げ後が付着している。
ハンカチは洗濯機に放り投げ、真っ暗な画面のスマホを充電器に挿す。
化粧直しのために持っていったリップやファンデーションは、メイク道具を入れている棚に戻した。
その時に違和感を感じた。
「あれ…、リップって二つも持って行ったっけ?」
普段使っているリップだけを持って行ったつもりだったが、いつの間にかあまり使わないリップも入れていたようだ。
私がそのリップの蓋を開けると…、
「中身がない…。」
綺麗に中身が入っていなかった。
何となくリップを軽く振ると、乾燥した軽い音が聞こえた。
不思議に思い、ペンを使い中身を取り出すと、中から小さな紙が丸めて入っていた。
その紙を開くと中には、
「・薬 ・マッチ ・ライター ・細い糸 ・オイル(ガソリン)」
と書いてあった。
「何これ…、これってあの事件で使われた物だよね…?」
「マッチ」という文字だけで、あの日の事件を引き起こすための道具であることが分かってしまった。
私は怖くなり、その紙をゴミ箱に投げ捨てた。
「あー…、あの事件滑稽だったよね。」
パーティ会場を見に行きたいと伝えたが、許されなかった。
車に揺られながら、千紘を思い出していた。
彼女は誰からも好かれてて、人気者で、空気読めないけどいい子だ。
そんな子がもうこの世にはいない。
大学はと言うと、あの事件が起きてからしばらく休園をしているそうだ。
この事件を聞いた後輩達も、きっと怖い思いをしているだろう。
大学側も正しい判断をしたと思う。
私は家に着いてすぐ自分の部屋に行き、ベッドに座り込んだ。
私の走って傷ついた素足は、すっかり綺麗になっている。
それでも心の傷は中々癒えない。
すぐに涙が出てくる。
「グスっ…。何で私だけ生きてるんだろ…。」
こんな事を言ったらきっとお母さんに怒られるが、どうせなら皆と一緒に逝きたかった。
独りぼっちにしないで欲しかった。
私はいつもしているポニーテールを外し、髪の毛をぐちゃぐちゃにし、そのまま頭を抱えて涙を流す。
「片付けよ…。」
変わるはずのない気分を少しでも変えようと、私は立ち上がり片付けを始めた。
パーティに持っていったバッグの中身はそのまま。
警察が中身を見た後、綺麗に元に戻してくれたようだ。
バッグの表面にはバーテンダーが階段の上から落としたマッチの焦げ後が付着している。
ハンカチは洗濯機に放り投げ、真っ暗な画面のスマホを充電器に挿す。
化粧直しのために持っていったリップやファンデーションは、メイク道具を入れている棚に戻した。
その時に違和感を感じた。
「あれ…、リップって二つも持って行ったっけ?」
普段使っているリップだけを持って行ったつもりだったが、いつの間にかあまり使わないリップも入れていたようだ。
私がそのリップの蓋を開けると…、
「中身がない…。」
綺麗に中身が入っていなかった。
何となくリップを軽く振ると、乾燥した軽い音が聞こえた。
不思議に思い、ペンを使い中身を取り出すと、中から小さな紙が丸めて入っていた。
その紙を開くと中には、
「・薬 ・マッチ ・ライター ・細い糸 ・オイル(ガソリン)」
と書いてあった。
「何これ…、これってあの事件で使われた物だよね…?」
「マッチ」という文字だけで、あの日の事件を引き起こすための道具であることが分かってしまった。
私は怖くなり、その紙をゴミ箱に投げ捨てた。
「あー…、あの事件滑稽だったよね。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる