死神さん、こっちです!

ボブえもん工房

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第4章 友情と愛情

屋上から聞こえる2人の声

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俺たちは朝早く起きて教室に向かった。
誰よりも早く教室に行き、宮島さんの机にラブレターを入れておこうと思ったからだ。
俺たちは不審者のように周りをキョロキョロしながら学校の中へと入り、無事に教室へとたどり着くことができた。
「よし、じゃーこれ入れるか。」
持ってきたラブレターを宮島さんの机の中に入れた。
「俺たちは屋上にでも潜んでようぜ。」
勇気はコクリと頷き、俺と一緒にそそくさと教室を出た。
屋上の扉は運がいいことに開いていた。
朝早くから来ている先生がいつもこうして開けているのだろう。
「上手くいったな!」
「バレるかと思って心臓バクバクだったよ。」
俺と勇気は笑いながら屋上へと寝転んだ。
「これから先もこんな事できるといいな。」
「どうしたんだよ急に。」
俺の突然の一言に勇気は驚いていた。
大丈夫だ、俺も驚いている。
むしろ俺が1番驚いている。
もう死んだんだから心残りが無いようにしようと思って、色々割り切って行動してたつもりが、やっぱり親友とこういうことするのは楽しいわけで。
割り切ってたはずの心を揺るがしてくる。
まさか俺の口からこんな言葉が出てくるなんて、俺でさえ驚きだった。
「なんか今青春してるって感じだわ。」
「昨日までもしてただろ。」
「でもこんな勇気と一緒にいたこともなかったし、朝早くからダルい学校に来ることもなかった。屋上なんて滅多に行ったことなかったし。」
俺は空を眺める。
「空が高いな。」
俺の一言に勇気は笑い出す。
「そんなの当たり前だろ、空は手には届かないくらいずっと高いところにあるんだ。」
「そう、そうなんだよ。当たり前なんだよこれが。」
俺も勇気と一緒に笑った。
当たり前のことが当たり前でなくなってしまった俺には、この当たり前が眩しすぎる。



どれくらい時間が経っただろうか。
他の学生の登校している声が聞こえる。
俺たちはその声に体を起こし、屋上から登校している学生を眺めた。
「俺たちもいつもこの時間から登校してたのか。」
「光太はもっと遅いだろ。」
「うるせぇな。」
勇気が俺に嫌味を言いながら笑うが全く腹が立たない。
俺たちはそれくらいの信頼関係にある。
「あ!あれヒロシじゃね?」
「本当だ!あっちはキングだ!」
登校している学生の中から同級生やら、学校1のヤンキーやらを見つけて2人で盛り上がる。
「キングってヤンキーなのにちゃんと時間通り登校してんだな。」
「案外ちゃんとしてる人なのかもね。」
上から見る景色は新しいものの発見に繋がった。
他に知り合いが居ないか見渡すと宮島さんの姿があった。
「あ!宮島さん!やっぱり可愛いなぁ。」
「本当だ。」
そんな話をしながら学生が登校し終わり門が閉まる所まで見届けた。
たまに時間に間に合わなかった奴が閉まった門によじ登っている姿もあった。
「なんか新鮮だったな。」
「うん、新しい発見があったね。」
「てか生徒指導の先生上から見てたら禿げてたな。」
「そうだね、見た感じ分からなかったけど、上から見てたらだいぶいってたな。」
また笑いながら話をする。
今クラスはどうなっているだろう。
俺が死んだ話をしているだろうか。
そして勇気が珍しく休みでクラスの皆も困惑してるだろうか。
気になる点は色々あったが、今はどうでもいい。
勇気には悪いが付き合ってもらうぞ。
また2人で屋上に寝転がり夢が膨らむような話をした。
もしも俺と宮島さんが両思いになった時の話、今度はちゃんとお泊まりしてゲームなんかもしようという話、先生が禿げてることは2人だけの内緒だという話。
もう死んでいるはずなのに出来もしない約束や、膨らむはずのない夢の話をした。



しばらく話した後勇気が起き上がった。
「ごめん、トイレ行ってくる。」
「おう!気づかれんなよ。」
「分かってる、今は授業中だしここから近くのトイレ使えば大丈夫。」
勇気は立ち上がり屋上を出ていった。
・・・・・・・・・。
何分経ったかは分からない。
でも勇気が帰ってくるのがとても遅く感じた。
実際はそんなに時間は経っていないのかもしれないが、俺ひとりだと時間があっという間に過ぎた気がする。
やっぱり勇気がいないと俺は駄目みたいだ。
「大便の方か・・・?まさか先生に見つかったとか。」
そんなふうに呟いていると屋上の扉が開いた。
勢い良く振り向くと勇気がいた。
「おせぇから先生に見つかったと思ったじゃねぇか。」
「そんなに時間経ってないから。」
勇気は俺の言葉に笑いながら答えた。
やっぱり時間はそんなに経っていないようだった。
「宮島さん手紙見つけたかなぁ。」
「どうかな。」
「放課後確認しに行こうぜ。」
「うん、そうだね。」
俺はまた空を眺めながら呟いた。
「俺やっぱり勇気いないと駄目だわ。」
「!?!?!?何言ってるんだよ!?」
「そんなに驚くなよ、お前いないと退屈なんだよ。」
「急にやめろよな、なんだよ死ぬのか?」
「死なねぇよ。」
俺は勇気の死ぬのかという言葉に少しだけ悲しい気持ちになった。
ごめん勇気、俺もう死んでるんだよ。
勇気、お前は俺が居なくても上手くやって行ける。
でも俺は無理なんだ。
お前がいないと何も出来ない。
「勇気、ありがとな。」
「・・・・・・、こちらこそありがとう。」
屋上が静かになった。
さっきまでの笑いのある屋上ではなく、風の音と体育をしている学生の声だけが聞こえる屋上。
当たり前の生活を手放した今では分かる。
「俺、幸せだったんだな。」
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