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恋
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チェルシーはルーン王国のお姫様。ある日、彼女は伝説的な魔法使いの息子であるマルコに一目惚れをしてしまいましたが、お目付け役のレナードは「あり得ない」と怒り心頭の様子です。それでも彼女の思いは止まりません。だって彼……すごくかっこいいんだもの。
「わたし、マルコと結婚するわ!」
チェルシーは大声で叫びました。でも、この発言にレナードも、チェルシーの父も怒りは止まりません。結婚なんてまだ早いし、マルコなんて危険すぎる! と。
「なんなのよ……どうしてそんなこと言うの? あなたなんかただの雇われじゃない! それに何より、あの人は誰よりもかっこいいもの!」
チェルシーは喚きながら部屋を出て行きます。すると、廊下でテイラーに出くわしました。何かにやにやとした笑みを浮かべています。
「また怒られたみたいだね?」
「えっ…………どうせわたしのこと馬鹿にしてるんでしょっ!」
「いや、違うってば」
テイラーは彼女の頭をポンポンと撫でます。そして耳元で何かを囁くように言いました。
「へ…………?」
突然の言葉にチェルシーは思わずぽかんと口を開けてしまいました。それを見て、彼はさらにニヤッと笑って続けます。
「君がもう少し大きくなったら、その時に言えばいいさ。それまでは俺が代わりをしてやるから」
そう言って彼は去っていきました。
「ちょ、ちょっと待って! どういう意味よ!?」
チェルシーは慌てて彼のあとを追いかけようとしますが、今の彼女はドレス姿。走るわけにはいきません。それでもなんとか後を追うと、彼は廊下を曲がっていきます。その先にあるのは部屋が一つのみ。そしてそこに入った瞬間、チェルシーは目を丸くしました。
その部屋にはたくさんの植物が飾られていたのです。そしてその中にいた人物こそが、マルコでした。彼はチェルシーに気がつくと、優しく微笑んでくれました。
その瞬間、チェルシーは胸が高鳴りました。今までに感じたことのないほどの強い気持ちです。
しかし同時に疑問も浮かび上がりました。なぜ彼がここにいて、しかもこんなにたくさんの植物に囲まれているのか。そしてなぜ、こんなにも胸が高鳴るのか。
チェルシーは恐る恐る尋ねました。
すると彼は少し困ったような顔をして言いました。
それは彼が魔法使いだからです。彼は魔法を使って植物を育てることができるのです。
チェルシーは納得しました。だって彼女は彼のことをかっこいいと思ったからです! それから二人は毎日会うようになりました。チェルシーは彼のことがますます好きになっていきましたが、ある日突然会えなくなってしまいました。
心配になった彼女はレナードに尋ねました。すると彼は言いました。マルコはもうここには来られないのだと。
しかし、彼は最後にチェルシーに手紙を残していったのです。
それはとても短いものでした。でもそこには彼の気持ちが込められていました。そしてチェルシーはようやく理解しました。なぜ彼が突然いなくなってしまったのかを。
彼は魔法使いとして生きることを決めたのです。だからもうここに戻ってくることはできないのだと。
チェルシーは泣きました。でも同時に納得もしていました。だって彼は本当にかっこよかったから! それから数年後、彼女はレナードと結婚しました。そして子供にも恵まれましたとさ! -
「わたし、マルコと結婚するわ!」
チェルシーは大声で叫びました。でも、この発言にレナードも、チェルシーの父も怒りは止まりません。結婚なんてまだ早いし、マルコなんて危険すぎる! と。
「なんなのよ……どうしてそんなこと言うの? あなたなんかただの雇われじゃない! それに何より、あの人は誰よりもかっこいいもの!」
チェルシーは喚きながら部屋を出て行きます。すると、廊下でテイラーに出くわしました。何かにやにやとした笑みを浮かべています。
「また怒られたみたいだね?」
「えっ…………どうせわたしのこと馬鹿にしてるんでしょっ!」
「いや、違うってば」
テイラーは彼女の頭をポンポンと撫でます。そして耳元で何かを囁くように言いました。
「へ…………?」
突然の言葉にチェルシーは思わずぽかんと口を開けてしまいました。それを見て、彼はさらにニヤッと笑って続けます。
「君がもう少し大きくなったら、その時に言えばいいさ。それまでは俺が代わりをしてやるから」
そう言って彼は去っていきました。
「ちょ、ちょっと待って! どういう意味よ!?」
チェルシーは慌てて彼のあとを追いかけようとしますが、今の彼女はドレス姿。走るわけにはいきません。それでもなんとか後を追うと、彼は廊下を曲がっていきます。その先にあるのは部屋が一つのみ。そしてそこに入った瞬間、チェルシーは目を丸くしました。
その部屋にはたくさんの植物が飾られていたのです。そしてその中にいた人物こそが、マルコでした。彼はチェルシーに気がつくと、優しく微笑んでくれました。
その瞬間、チェルシーは胸が高鳴りました。今までに感じたことのないほどの強い気持ちです。
しかし同時に疑問も浮かび上がりました。なぜ彼がここにいて、しかもこんなにたくさんの植物に囲まれているのか。そしてなぜ、こんなにも胸が高鳴るのか。
チェルシーは恐る恐る尋ねました。
すると彼は少し困ったような顔をして言いました。
それは彼が魔法使いだからです。彼は魔法を使って植物を育てることができるのです。
チェルシーは納得しました。だって彼女は彼のことをかっこいいと思ったからです! それから二人は毎日会うようになりました。チェルシーは彼のことがますます好きになっていきましたが、ある日突然会えなくなってしまいました。
心配になった彼女はレナードに尋ねました。すると彼は言いました。マルコはもうここには来られないのだと。
しかし、彼は最後にチェルシーに手紙を残していったのです。
それはとても短いものでした。でもそこには彼の気持ちが込められていました。そしてチェルシーはようやく理解しました。なぜ彼が突然いなくなってしまったのかを。
彼は魔法使いとして生きることを決めたのです。だからもうここに戻ってくることはできないのだと。
チェルシーは泣きました。でも同時に納得もしていました。だって彼は本当にかっこよかったから! それから数年後、彼女はレナードと結婚しました。そして子供にも恵まれましたとさ! -
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