うちの婆ちゃんが異世界で魔王をやっていた件

埼玉ポテチ

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011 アルコール

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 とりあえず固まって居ては話が進まない。俺はエルマーさんに味見をする様に促す。

「これは、かなり強いお酒ですね。ドワーフが作るお酒よりも強いかもしれません。」

 あれ?ラノベとかだとドワーフが作るお酒には火が付くとか書かれているが、違うのか?

 俺はコップにクラッシュアイスを入れて、グラスに少量の焼酎を注ぎ、水で割ってから、2人の前にグラスを出す。

「これは、本来はこうやって水で割って飲むお酒なんですよ。自分の好みの濃さで飲めるのが特徴ですね。」

「なるほど、確かに水で割ると飲みやすいですね。自分の好みの濃さで飲めると言うのも画期的です。」

 コートニーが一口飲んでからそう言った。どうやら、この焼酎の価値に気が付いた様だ。

「更にですね。好みの果実の果汁を加えると飲みやすさが増します。女性にも好まれるのでは無いでしょうか?」

「しかし、これだけの強いお酒は高いのでは?」

 エルマーさんが焼酎の水割りを味わいながら言う。

 俺は4リットルのペットボトルをテーブルにどんと置き。

「これ1本で大銅貨2枚が仕入れ値になります。氷と水が必須ですが、グラス1杯の値段はかなり安く抑えられると思いますが、どうでしょう?」

 エルマーさんもコートニーも頭の中で色々と計算している様だ。問題は氷だろうな。氷魔法が使える魔法使いがどの程度で雇えるかが重要になって来る。

「ドワーフの作る酒を基準に考えれば、この強さの酒がこの量で大銅貨2枚と言うのは驚異的な低価格です。問題は氷を幾らで仕入れられるかに掛かって来ますね。飲料水が無料で手に入るのであれば、恐らくグラス1杯の価格は銅貨5枚程度に収まるはずです。後は、提供する店の企業努力になりますね。」

 エルマーさんがそう言うとコートニーも頷いている。しかし、銅貨5枚か、ちと高いな。

「実は、こう言う商品もあります。今の酒を既に水で割って果汁を合わせて飲みやすくした物です。これなら、銅貨1枚で仕入れが可能です。」

 そう言って缶チューハイを1本クーラーボックスから取り出す。アルコール度数5%の物だ。

 缶を開けてグラスに注いで2人に飲んで貰う。味は定番のレモンにしてみた。

「確かに飲みやすいわ、でも、エールより強いので私にはキツイかも。」

「いや、これは酒が好きな人なら喜びますよ。確かに度数は高いが冷えているので飲みやすいし、この果実の酸味はエールと違って爽やかなので、杯が進みますね。それに、このお酒を販売する時の濃さの基準が解ると言うのも大きいですね。」

 コートニーはアルコールが苦手な様だな。まあ、今から酒飲みでは将来が心配だ。エルマーさんは流石に酒に詳しい様だ。濃さの基準は考えて居なかったな。

「これなら、氷を用意できない場所でも販売は可能ですが、やはり事前に冷やしておく必要はありますので、冷蔵の魔道具は必須になってしまいます。売る場所が限られてしまうのは商売上どうなのでしょうか?」

「それはあまり考えなくても良いと思うわよ。新製品と言うのは最初は売る場所が限定されるのは良くある事だし。売れるなら設備を整える店も出て来るわ。特に、こう言った日常的に消費される物は思った以上に早く普及する物よ。」

 商売の事になるとコートニーは積極的になる。

「私もそう思います。冷蔵の魔道具は食肉を扱っている店なら大抵設置されて居ます。価格も他の魔道具に比べて比較的安めの物も出回って居ますので、利益が見込めると判れば、新規に増やす店も多いと思いますよ。氷についても、売れると解れば扱う商会が現れるんじゃ無いでしょうか?」

 エルマーさんも後押しをしてくれている。これはイケそうだな。

「解りました。では、安くて度数の高いお酒と言うお題はクリアと言う事で、次は美味しいお酒と言う方に進みましょう。」

「え?」

 俺の言葉にコートニーが変な声を上げた。どうした?

「今、頂いたお酒も十分美味しかったですよ?」

 エルマーさんがコートニーの言いたい事を補足してくれた。

「でも、まだエルマーさんが飲んだと言う高級ワインには適いませんよね?」

「それはそうですが、あれは金額が金額ですからね。」

 まあ、1本5万円のワインに勝つのは難しそうだけど、この世界の酒造技術はあまり高くない。それにワインに使う葡萄の品種改良も進んで居ないんじゃないかと考えて居る。

 ならば、1本千円程度のワインでも十分戦えるんじゃ無いかな?

 俺は適当に購入して来た3種類のワインをテーブルに出した。どれも産地の違う赤ワインで値段は千円以下だ。

「この3本はどれも大銅貨1枚の仕入れになります。他にも同じ値段で仕入れられるワインが沢山あります。とりあえず味見をしてみて下さい。」

 3本のワインの蓋を開けて、3つのグラスに半分程度注いでテーブルに並べる。味見なので扱いは適当だ。一応グラスはワイングラスを用意したけどね。

「これもまた、見事なワインカップですね。」

 コートニーが早速グラスに注目している。こっちの世界ではワインはどんなグラスで飲んでいるんだ?

 そう尋ねたらエルマーさんが、ワインカップは金属製が普通だと言って居た。

 そのグラスも100円ショップで買った物なんだけどね。

 ちなみにワインは他のお酒程は冷やしていない。赤ワインは常温と言われるが、若干冷やして17度前後にするのが一番美味しいと聞いた事がある。あまり冷やし過ぎたり温度が高いと苦みや酸味が増すらしい。恐らく安くて不味いワインと言うのは温度管理がちゃんと出来ていないのでは無いだろうか?

「仕入れ値が大銅貨1枚ですか?一番安いワインでも販売価格でボトル1本大銅貨3枚はしますよ?」

「そうなんですね。ならば、これらのワインも同じ価格帯で売れるんじゃ無いでしょうか?とりあえず、飲んで感想を聞かせて下さい。」

 早くしないと温度が上がっちゃうよ。

 エルマーさんが左端のワインを持つとコートニーは逆の右端のワインを手に取り、2人が口にする。

 途端に驚いた顔になる2人。

「これは、私が飲んだ最高級のワインより美味しいです。貴族でもこれ程のワインはそうそう飲めないと思いますよ。」

 とエルマーさんが興奮している。

「私も、ワインはそれ程多く飲んだ事はありませんが、こんなに美味しいワインは初めてです。」

 コートニーの言葉を聞き俺の仮説が正しかったと確信する。

 2人は一口ずつ、3つのワインを試飲する。

「どれも、素晴らしいワインです。金貨1枚だと言われても安いと思いますよ。これを大銅貨3枚で売るのですか?」

 エルマーさんが試飲が終わってすぐに口を開いた。

「販売価格についてはコートニーと相談して決める事になると思います。」

 俺がそう言うと、コートニーが続く。

「これが、仕入れ値大銅貨1枚と言う事は、もっと高いワインもあると言う事ですよね?」

 まあ、フルボディのワインは高い物はめっちゃ高いが、俺が仕入れられるのは1万円位までかな?

「そう言う事になるけど、あまり高い値段のワインは仕入れるルートが無いな。精々銀貨1枚程度までなら、仕入れ可能だと思ってくれ。」

 通販で高いワインを取り寄せる事も可能だが、そもそも高いワインって扱いが難しいんだよね。

 まずは、その辺の知識を2人に教えないとね。

 さて、値段の事は一旦置いておいて、次の酒を出す。今度はビールだ。

 グラスに、缶の生ビールを注ぐと、コートニーが聞いて来る。

「これって、最初に飲んだ物とは違うの?」

「ああ、最初に出したのは仕入れ値銅貨1枚の安いお酒だ。これは仕入れ値銅貨2枚の美味い酒になる。試してみてくれ。」

 2人の前にグラスを出すとエルマーさんがまず口を付ける。

「これは確かに最初に飲んだ物とは全然違いますね。アルコール度数は同じ位ですが、コクとキレが全然違う。」

 流石にエルマーさんは酒を飲みなれている。一方のコートニーは苦いと顔を顰めている。

「これはエールと同じ様に麦から出来ていますが、製造過程が全然違います。その分値段が高くなりますが、売れるでしょうか?」

「そうですね。エールに不満がある人は多いので、これは値段次第では爆発的に売れる可能性があります。特にエール特有の酸味が苦手な人は多いですから、このお酒の様な辛口のお酒を欲している人は多いでしょうな。」

 なるほど、問題は値段か。仕入れが200円だからなぁ。流石にエールと同じ値段では出せないよな。これもコートニーと要相談だな。

「じゃあ、最後です。」

 そう言って俺はウイスキーをロックでエルマーさんの前に出す。

「本来はこれも水で薄めて飲むお酒なのですが、こう言う飲み方も出来ると言う例であえてお出ししました。非常に度数の高いお酒なので少しずつ飲んでみて下さい。」

 テーブルの上には4リットルのウイスキーのペットボトルを置く。アルコール度数は37度と書いてある。

「これは、琥珀色の綺麗なお酒ですね。匂いも良い。けど、かなり強いお酒の様です。コートニーさんは飲まない方が良いですよ。」

 そう言って舐める様に一口飲む。

「確かに非常に強いお酒ですが、美味しいです。」

 エルマーさんの顔が赤くなっている。今まで顔に出なかったのにね。

「このお酒は仕入れ値が大銅貨3枚から4枚程度します。それでも、1人分が少ないので十分元が取れると思うのですが、どうでしょう?」

「そうですね。恐らくこれ1本で50人分位にはなるでしょう。そうなると1杯の値段はかなり安く抑えられますね。1本銀貨3枚以上は取れるでしょう。」

 4千円が3万円になるなら大儲けだ。

 後はコートニーがどう判断するかに寄って変わって来る。エルマーさんは販売価格に寄っては自分も仕入れたいと言って居る。

 氷をどうするか、その辺がクリアできればかなり儲かりそうだ。

「じゃあ、今日はここまでにしよう。明日は砥石を持って来る。それまでに、どのお酒をどの位仕入れるか決めて置いてくれ。」

 コートニーにそう言って今日は帰る事にした。コートニーは解ったわと返事をして、その後もエルマーさんと何やら話をしている。

 仕入れ値は全部伝えてあるので後はコートニーが販売価格をどう設定するかに掛かって来る。

 あ、そう言えば缶詰を出すのを忘れてた。あの2人大丈夫だろうか?
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