転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
26 / 308

026

 ここの所、ルシルとの稽古と魔道具作りに忙しい。充実はしているが、何かが違う。僕の求めていたのはこう言う生活だったか?

 畑を耕し自給自足、たまに狩りをして魔物の素材を売って、美味い酒とか買って呑む。隣に美人の嫁さんが居れば言う事ないな。

 って、女っ気が無さすぎない?幼女とメイドは手を出したらアウトだよね?

 どうする?魔鉱石を王様に差し出して爵位を上げて貰うか?実質生活は豊かなんだから爵位は関係ないのかな?

 いや、僕が貴族だって事を知らない人が多すぎる気がする。流石に伯爵になれば隠して置けないだろう。

 悩みどころだ。魔道具で儲けてる現状。この生活で満足しても良いのでは無いかと言う自分と、変化が欲しいと言う自分が葛藤している。

 さんざん悩んだ挙句、王様に会いに行く事に決めた。あえてブラスマイヤーには相談しなかった。

 だって、理由が彼女が欲しいからって恥ずかしいっしょ?

 朝稽古の後、王城へ向かう。門番に短剣を見せ宰相に取り次いで貰う。

 10分ほど待つと近衛兵らしき人物に着いて来る様に言われたので付いて行く。

 宰相の執務室へ連れていかれた。

「今日は何の用だ、子爵。」

「用件の前に一つ聞きたいのですが、宜しいですか?」

「構わん申してみろ。」

「僕は他の貴族達と顔を合わせた事が無いのですが、これは普通の事なのでしょうか?」

「ふむ、それに関しては理由があってな、お主の年齢だ。お主が若すぎるのが原因だな。貴族社会には派閥と言う物があるのは知っているな?」

「はい、僕は公爵様に貴族にして貰ったわけですから、公爵派ですよね?」

「そこなんだがな。実は爵位に関しては王様の判断なのだ。公爵様は褒美を与えると言う約束しかしてないと思うが?」

「確かに爵位の話は出ませんでしたね。」

「うむ、そう言う面では国王派とも言える。まあ、国王派でも公爵派でも大した変わりは無いのだが、そう言う細かい所を突く貴族も居るのでな。そこがはっきりするまでは公に出来ないのだ。」

 なるほど、一応理由があったのね。僕はまた、3人が何か企んでいるのかと思ってました。申し訳ないっす。

「今日の要件ですが、魔鉱石を持ってまいりました。」

「ほう?誠か?ならば陛下にお目通り願おう。しばし待つが良い。」

 あ、例によってここに独りぼっちですか?

 宰相が部屋を出て行き、帰るまで12,3分一人でこの部屋で待たされた。この部屋何時も宰相一人なんですけど、宰相って孤独なの?

 てな事を考えているとノックの音がして、先程の近衛兵らしき人が現れた。

「国王陛下がお会いになるそうです。こちらへどうぞ。」

 お、急に態度が丁寧になった。

 例によって応接室へ連れて行かれる。ノックをすると入れと声が聞こえたのでドアを開けて中へ入る。

「久しぶりだな子爵。貴族の生活には慣れたかね。」

「お陰様で。本日はご依頼の魔鉱石をお持ちしました。」

「うむ、思ってたより早かったな。と言うか見つけて来るとは思わなかったよ。」

 あれ?無茶ぶりだったの?

「剣一振りと言うのがどの位か解らなかったので少し多めに持ってまいりました。何処に出せば宜しいでしょうか?」

「お主の目の前に出してくれ。後は家臣に運ばせる。」

 畏まりましたと言って、1立方メートルの魔鉱石を出す。

「結構重たいですけど、持てますかね?」

「こ、これが全部魔鉱石なのか?」

「はい、ご覧いただければ判ると思いますが、薄緑に発光しています。」

 多分、3トン位の重さがあるので家臣の1人や2人では持てないだろう。

 ついに焦れて王様が近づいて来た。

「おお、この緑色の輝き、まさしく魔鉱石じゃ。でかしたぞ。」

「それからですね、この鉱石を採掘中に変わった魔物に出会いまして。なんと魔鉱石を食べて育った魔物です。こちらも素材をお持ちしたのですが、必要でしたらお出ししますが?」

「ほう?それは興味深いな。ミスリルリザードの様に体の一部が魔鉱石なのか?」

「ご明察。亀の魔物なのですが、甲羅が魔鉱石になっています。」

 そう言ってロックタートルの甲羅を出す。こちらは2メートル以上あるが、甲羅だけなので、そこまで重くは無い。

「ほう?亀の魔物か?お主が言う通り甲羅が完全に魔鉱石になっておるな。」

「この亀の甲羅だけでも剣の一振り位は作れると思いますよ。」

「うむ、課題を見事にクリアしたな。約束通り伯爵に陞爵させよう。それから褒美も取らすぞ。」

「ありがたき幸せ。」

 頭を下げた後、ふと疑問が浮かんだ。

「そう言えば、オリハルコンのナイフはどうなりました?」

「ああ、あのナイフじゃが、研究者に調べさせたのだが、限りなくオリハルコンの性質に似ている物質とまでは判明した。」

「随分と曖昧ですね。鑑定の魔法では調べられなかったのですか?」

「何せ伝説上の金属だからな。誰も見た事が無い訳だ。」

「ちなみに魔鉱石は何に使うか聞いても良いですか?」

「王位継承の儀式と言うのがあってな。その儀式で魔鉱石の剣を使用する。だが、代々受け継がれて来た魔鉱石の剣が折れてしまってな。仕方なく新しい剣を用意する事になった。しかし、王家に魔鉱石が剣一振り分無くてな。最悪魔鉱石とミスリルを使った剣になる所だった。お主のお陰で新しい剣は全部魔鉱石を使って作れそうだ。」

「ちなみにその折れた剣は?」

「ああ、宝物庫にしまってあるが、あれは譲れんぞ?」

「いや、修理出来ますけど、どうします?」

「何?折れた魔鉱石の剣を修理出来るだと?それはありえん。」

「どうせ、新しい剣を作るつもりだったのでしょう?だったら僕に修理させてみませんか?」

 国王がなにやら思案の顔になる。

「確かに駄目で元々だな。出来れば宝剣が戻って来るわけだ。よし、宰相!宝物庫から魔鉱石の剣を持ってこさせろ。」

「御意!」

 宰相が近衛騎士に何やら命じている。それから20分位待たされたので、国王に僕の派閥の話を聞いてみた。

 どうやら、国王は自分の派閥に入れたいらしい。何をそこまで買ってくれたのだろう?

 近衛兵が大振りな箱を持って応接室へ入って来た。テーブルの上で大仰に開いて見せる。

 箱の中には見事に真ん中で折れた豪華な剣。宝剣と言うに相応しい美しい剣だ。

「どうだ?直せる物なら直してみよ。」

「解りました。」

 そう言って宝剣をストレージに入れ、装備から宝剣を選び、修理のボタンをタッチする。修理に使用する素材として魔鉱石を選択。それからおよそ10秒ほどで剣の修理が終わる。ストレージから修理が終わった剣を取り出す。

「どうでしょう?」

「どうでしょうって。1分も掛かっておらんぞ。お主何者じゃ?」

「何者って言われても、錬金魔術師ですかね?」

「まあいい、本当に直っているのだな?」

「ご自分で確かめてみて下さい。」

 国王が剣を振ったり鞘に入れたりと、色々点検している。

「こ奴本当に直しおった。」

 え?直しちゃ不味かったの?

「よし、宝剣の修理の褒美も取らせる。伯爵の爵位に魔鉱石の褒美。期待しておれ。」

「はい、ありがたき幸せ。」

「下がって良いぞ。後の事は宰相に任せる。」

 応接室を辞し宰相に着いて宰相の執務室へ向かう。

 相変わらず、この執務室は雑然としている。

「本日より、其方はエイジ・フォン・ゼルマキア伯爵を名乗るが良い。」

 そう言って新しい短剣をくれた。前の短剣より装飾が豪華だ。見た目で爵位が判る様になってるのかな?

「えっと、相変わらず貴族関係の事に疎いのですが、伯爵になったら家を新しくする必要がありますよね?」

「そうだな。お主の場合は、国王派として侯爵になって欲しい所だ。なので最低でも35人の使用人を雇え。家もそれに合わせた物を選ぶ様に。」

「解りました。もう、これ以上の課題は無いのですね?」

「今の所はな。」

 今の所はねぇ。まあ、良い。伯爵と言えば上級貴族だ。これ以上上は望んでいない。

 王城を辞し家に帰る。執事のルーメンさんに伯爵に陞爵した事を伝え。家の件を頼む。40人使用人を雇える屋敷を至急探して、使用人も最低35人雇う様に伝えた。

 ルーメンさんは非常に張り切っていた。

 そう言えばセレスティアさんの話は出なかったな。やっぱりあれは僕のやる気を出させる為の釣り餌だったんだろうな。

 まあ良い、暫くはのんびりしよう。伯爵になったら何か面白い事が起きれば良いな。

 そう言えば今回報酬について具体的な値段を言わずに楽しみにしていろって言ってたな。なんだろう?
感想 299

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。