転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 ブラスマイヤーの言葉を信じ、一旦屋敷に戻り自室に籠る。

「まずは何でも良いから身に着ける物を作れ。指輪やブレスレット、ネックレス等の常に身に着けていて不自然では無い物が良いな。」

 と言う事でストレージでネックレスを作る。トップにはドラゴンが飛んでいる意匠をあしらった。これなら王様が着けていてもおかしく無いだろうと思える程度に豪華に仕上げる。材質はミスリルにした。

「出来上がったら刻印魔法を使うぞ。まずは聖属性の結界。次に同じく聖属性の浄化を刻印する。そして最後に無属性の反射を刻印だ。」

「反射?」

「ああ、魔法反射では無いのでおそらく呪いも反射するはずだ。上手く行けば相手に呪いを返せるかもしれん。確実では無いが、術者に返れば術者が呪われる。それで犯人が解るかもしれん。」

「なるほど、魔法も組み合わせで色々出来るんだな。」

「そうだ。魔法の可能性は無限だ。同時に幾つの魔法を使えるかで命運を分ける時もある。並列思考を身に着けろ。」

 並列思考か、いわゆるマルチタスクって奴だよな?ブラスマイヤーの時代ってかなり進んでいたんだな。現代日本のコンピューター技術まで魔法に応用しているとは。

 3つの刻印魔法を刻んだネックレスが完成した。これを明日。王様に着けて貰おう。それで解決すれば良いのだが。

 しかし、何故国王に呪いを?クーデターを潰した今、国王を害する理由が解らない。こればっかりは犯人に直接聞かないと駄目だな。

 翌朝、何時もより早めの時間に稽古をしてから登城する。

 王様は元気だった。どうやら呪いの話も宰相から聞いている様だ。セリーと宰相がずっと傍らに着いていたらしい。

「おお、ゼルマキア卿。毎度毎度面倒に付き合わせて済まんな。」

「いえいえ、セリーの身内ですからね。放って置けませんよ。」

「で、解決法とやらは見つかったのか?」

「はい、これを。」

 そう言ってセリーにネックレスを渡し、陛下の首に付ける様に指示する。陛下は嬉しそうにセリーにネックレスを掛けて貰っている。

「そのネックレスには呪いを無効化する魔法を付与してあります。更に呪いを相手に返す魔法も付与しました。これからこの部屋の結界を解きます。この王都でこの後呪いに掛かった相手が陛下を呪った犯人です。」

「ほう、それは面白いな。ワシと同じ苦しみを味わう者が現れ、そ奴が犯人と言う訳だな。面白い趣向だ。宰相!お主のネットワークをフルに使って必ず犯人を捕らえろ。」

「はっ!畏まりました。」

 宰相が慌てて部屋を出て行く。僕はそのタイミングで結界を解いた。

「結界を解きましたが、体に異常はありませんか?」

「うむ、今の所特に変わった感じはせんな。」

「魔道具が正常に機能している様です。後は犯人が捕まるのを待つだけですね。」

「これでワシも自由に動けると言う事じゃな?」

「はい、一晩不自由を強いて申し訳ありません。」

「構わぬ。其方には大きな借りが出来たな。何か礼をせんといかんな。」

「でしたら、爵位を頂けませんか?将来の為に。」

「おお。そう言えば子供が出来たのだったな。解った。子爵位と男爵位を1つずつ与えよう。もし犯人が貴族だったらそ奴の爵位もくれてやる。」

「良いんですか?複数の爵位を一遍に貰っちゃって。」

「一つは今回の礼だ。一つはワシからのお祝いだ。最後の一つはまだ確実ではない。それに侯爵ならば幾つか爵位を持っていても不思議ではない。後で宰相を通して正式な書類を届けさせる。」

「ありがたき幸せ。」

「叔父様ありがとうございます。」

 セリーの言葉にデレっとなる王様。今までのシリアスが台無しだよ。

 王城を辞し、家に馬車で帰る。殆ど寝てないであろうセリーを無理やりベッドに押し込んで寝かしつける。

 何となく外へ出る気分では無いので応接室で紅茶を飲んで落ち着く。

「なあ、ブラスマイヤー。犯人が貴族って可能性は高いのかな?」

「ふむ、基本的に庶民は本を読まんからな。古代の本を解読するとなると資金も必要だ。貴族である可能性は高いとみて良いだろうな。」

「王様を恨んでいる貴族はクーデターで一掃したはずなんだけどな。」

「別に恨んでいないかもしれんぞ。」

「ん?恨んで無いのに呪うの?意味わかんないけど?」

「例えば、実験をする場合。効果が解り易い対象を選んだりせんか?」

「実験の為に、一国の王を狙ったと言うのか?」

「可能性の問題だが、研究者と言うのは手段を選ばん物だ。」

「研究者ねぇ。あ、そう言えば古書収集家のラーム・フォン・ルーゼリア子爵とか犯人じゃ無いよね?」

「ああ、あ奴が犯人だと色々厄介だな。お前も無関係では無いしな。」

 気になる言い方しやがって。でもルーゼリア子爵とは面識があるから、確かに彼が犯人だと僕は厄介な立場になりかねないな。

 無関係だと良いのだが、彼の会のメンバーなら古代の本を持っている可能性が高いんだよな。

 考えていても埒が明かないな。早く犯人捕まらないかな?

 実はこの時既に犯人は捕まっていたのだが、エイジがそれを知るのは翌日になる。

 翌日、朝の稽古を済ませ。農地へ向かおうとしていた時、王城からの知らせが来た。

「朝早く済みません。宰相様からの伝言です。犯人はタストンブルー伯爵。ネロカイン侯爵の派閥ですね。現在今回の事件と侯爵との関係を調査中です。」

「解った。知らせてくれて助かった。これで皆で酒でも飲んでくれ。」

 そう言って使者に金貨1枚を渡した。使者は喜んで帰って行った。

「タストンブルー伯爵か、知らない人で良かった。」

「貴方。タストンブルー伯爵と言えばプレイースの隣の領地の領主ですよ。」

 どうやらセリーが後ろで話を聞いていた様だ。気になって居たのだろう。

「え?そうなの?だったら王様の次は僕がターゲットになってたかもしれないね。」

「そう言う問題じゃありません。伯爵と言えば上級貴族です。その上級貴族が叔父様を狙ったと言うのが問題です。」

「えっと、どう言う事でしょう?」

「対応を間違えれば派閥間抗争に発展すると言う事です。もしネロカイン侯爵が絡んでいるのなら派閥ごと潰せますが、侯爵がそんなヘマをするとは考えられません。おそらく、証拠は出ないと思います。」

「派閥間抗争ねぇ。面倒なのは嫌いなんだけどなぁ。」

「貴方は叔父様の派閥のトップですよ。もし、他の侯爵が手を組んで叔父様から王位を剥奪するような事態になったら。生まれて来る子供たちの未来に関わりますよ。」

「それは困るなぁ。早く子供たちに爵位を譲って隠居生活をしようと企んでいたのに。」

「と言う事で頑張って下さいね。」

 え?何を頑張るんでしょう?

 セリーは言うだけ言って何処かへ行ってしまった。まあ、あまり興奮すると胎教に良くないしな。後は宰相にでも聞こう。

 その後、畑に行ってスローライフに勤しんだ。畑は良いぞ、嫌な事を忘れられる。夕方まで土いじりを楽しんだ。

 家に帰ると風呂に入る。食事をして部屋でのんびりしているとセリーが来た。

「貴方、大丈夫ですか?」

「何が?」

「いや、昼間ちょっとプレッシャーを掛け過ぎたかなと。」

「ああ、その事か、それなら心配要らないよ。どんなに難しい事でも子供の為なら頑張れる。」 

「貴方も叔父様の様な親バカになりそうですね。」

「あそこまで酷くは無いと思うぞ?」

 それに王様はセリーの父親では無いぞ。

「ところで、しないんですか?」

「え?」

「知らないんですか?妊婦でもあまり激しく無ければ出来るんですよ。」

 誰だ?そんな要らない知識を与えた奴は。

「この間、産婆さんに色々教えて貰いました。」

 あー、そう言えばアリアナの時にそんなアドバイスをした記憶が。

 と言う事で戦闘より気を遣う手加減を覚えた。

 それから5日程経って、再び宰相からの使者が来た。この間と同じ人だ。

「申し訳ありませんが、王城までお越し頂けませんでしょうか?」

「ん?話では書類を届けて貰えると言う事だったけど?」

「それが少々事情が変わりまして、宰相様が直に話をしたいと。」

「解った行くよ。」

 馬車に揺られて王城へ行く。宰相は執務室で待っていた。

「ゼルマキア卿、わざわざ呼び出して済まんな。」

「結局、ネロカイン侯爵の尻尾は掴めなかった様ですね。」

「うむ、証拠は何も出なかった。しかもタストンブルー伯爵本人が、全ては自分のやった事だと証言しているのでな。」

「伯爵は現在どうなってるのですか?」

「牢屋に閉じ込められ、日に1回状態回復魔法を受けて、なんとか生きている状態だ。」

「浄化魔法は掛けないんですか?」

「聖属性の浄化魔法が使えるのは、この国にお主位しかおらんぞ。」

 あれ?またやらかしたパターン?

「まあ、どうせ死罪になる予定だ。問題は無い。」

「で、僕が呼ばれた理由は?」

「まずは、爵位の譲渡だ。子爵位と男爵位、それから伯爵位の3つだな。」

 そう言って分厚い羊皮紙の書類を3枚渡された。国王の印がしっかり押されているのを確認した。

「確かに受け取りました。」

「そして、タストンブルー伯爵の領地なのだが、ゼルマキア卿、お主に与える事になった。これはプレイースから近いと言う事と、他の侯爵の領地と比べてプレイースが小さい事を考慮しての判断だ。」

 そう言ってもう一枚羊皮紙を渡された。

「今回の一件は、そこまで大きな事件なんですか?」

「うむ、ネロカイン侯爵は今回、自分の派閥から反逆者が出た事で、自身も嫌疑を掛けられた。私や陛下は限りなく黒だと思って居る。向こうもそう思われている事は承知しているだろう。ネロカイン侯爵は他の2人の侯爵とも仲が良い。3人の侯爵が組めば、国王派と十分対立出来るだけの力を持っている。なので、国王派としてはお主にもっと力を付けて貰いたい。」

「なるほど、そう言う事なら引き受けましょう。で、私はどう動けば宜しいですか?」

「お主は公爵家と縁が深い。公爵派は味方だが、その地盤を盤石にしたい。そう言う方向で動いて欲しい。」

「解りました。微力ですが、全力を尽くします。」

 要は公爵派の貴族に国王派に味方した方が得だと思わせれば良い訳だ。

 セリーの力を借りるかな?

 あれ?なんか大事な事を忘れている気がする、なんだろう?
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