転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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「どうした?ルシル。」

「旦那様、私も強くなりたい。駄目だろうか?」

「どうして、強くなりたいんだ?」

「ここの所精霊界が不安定だ。何かが起こっている可能性がある、しかし今の私の力では行っても何も出来ない。」

「ふむ、そう言う事なら、力を貸しても良いぞ。」

「本当か?」

 ルシルが嬉しそうに目を輝かせている。犬だったら尻尾を振っているだろう。

「ブラスマイヤー、そう言う事なんだがお願い出来るか?」

「ん?構わんぞ。一人や二人増えても問題は無い。」

「じゃあ、明日の早朝から訓練に参加だな。」

 と言う事で、翌朝からルシルが稽古に参加する事になった。最初、僕とベルクロスの模擬戦を見たらビビってたけどね。

 ルシルは最初は基礎の体作りからだそうだ、それを聞いて安心していたが、修業が24時間続くとはまだ教えていない。

 ちなみにどこまで強くなりたいんだ?と言うブラスマイヤーの問いに、精霊王に勝てる位と答えていた。

 しかし、僕の周りはバトルジャンキーが多くて困るよ。

 修業を終えて外に出る。まだ2時間しか経って無いとルシルに教えたら吃驚していた。

「修業は楽しいが、腹が減るな。」

 ルシルはそんな事を言って厨房へ向かった。

 僕は慣れたので畑へ向かう。今日はコショウを収穫してストレージに仕舞った。後で加工しないとな。いや、乾燥させるだけならストレージで出来るかな。ミルはこの世界にもある。

 ちなみに今日収穫したのは一番ポピュラーな白コショウである。

 この世界でコショウが高いのは、流通量の少なさが原因である。コショウは野性に生えている物を冒険者が採取するのが主流となって居る。一攫千金を狙ってコショウを栽培した商会もあるが、収穫時期になると盗まれる可能性が非常に高い。対策として用心棒を雇うので結果、値段が高くなり、利益も少ないので栽培する者は少ない。よって絶対量が少なく高価になる。

 エイジはこのコショウの流通を変えようとプレイースで実験中だ。上手く行ったら他の領地でもやるつもりだ。塩と合わせて公爵ブランドで販売したら儲かりそうだ。

 一通り作業を終えて休んでいると、近所の農家の人がやって来て、お茶に誘ってくれた。この世界では庶民も紅茶を飲む。砂糖は入れないらしい。お茶菓子としてサツマイモを茹でた物が出て来た。なんか田舎の婆ちゃんを思い出すな。

 サツマイモは品種改良がなされていないので、大して甘くはないのだが、庶民には貴重な甘味らしい。こう言うのもスローライフっぽくて楽しいね。

 ありがたくお茶を楽しみ、お喋りをする。そう言えばイナゴの話って何処から聞いたの?そう聞くと、噂の発信源は旅商人らしい。なるほど、旅商人は情報が命だからね。

 この世界には旅商人と言う、店を持たない商人が結構な数居る。安い所で仕入れて高い所で売ると言う商売の基本を馬車を武器に実践している者達だ。彼らはその機動力と情報で王国の経済を支えている。

 特に王都は新製品の情報が手に入り易い為、常に5千~1万人の旅商人が集まっているらしい。

 普通の商人は行商時に冒険者を雇うが、旅商人は冒険者を雇わずに一人で旅する事が多い。これは通常の商人より身軽なので出来る事だ。

 実はプレイースにもかなりの数の旅商人が訪れている。これはプレイースで塩を安く販売しているからだ。プレイースでの塩の価格は銅貨2枚だ。王都の銅貨4枚の半値である。つまり、プレイースで仕入れて、地方に持って行けば、利ザヤが出るのである。また、干物も内陸部へ持って行けば高値で売れるので人気がある。そう言う事で塩を仕入れに来た旅商人が干物も買ってくれるので、プレイースは潤っている。

 現在プレイースは拡大中である、魔法で畑と住宅地を作りさらに北と南を統合する為に道幅を広げ、そこも住宅地にした。これにより、プレイースは2回り程大きくなった。人口は現在5万人に届きそうな所まで来ている。目標は10万人だ。

 プレイースは塩と漁業が盛んだが、それだけでは10万人の町は回らない。そこで農業を新しく追加した。米とコショウである。更に冒険者を使った輸送も加わると王都からの新製品を一早く取り入れる事が出来、非常に便利な町になる。

 そして、隣のロンダールとロンジームだこの2つの町を統合して15万人の都市にしようと構想中だ。併せて25万人の領主となれば、王国でもかなりの勢力として認められるだろう。更に人口が増えれば、仕事も増える。役人や兵士、日本で言うなら公務員だ。僕は東の町へも冒険者を使った輸送便を普及させるつもりだ。これにより、王都から東の町への大きな輸送革命が起こるのでは無いかと期待している。

 現在ルキナが動いているが、王都から人材を呼んでロンダールに着くまで1週間は掛かると見ている。僕の所に報告が来るのは多分、2週間後位だろう。それまでにこちらも数人の人材を確保しておきたいと思って居る。

 農家を辞し一旦家に帰る。執事のルーメンさんに新たにロンダールの町の領主館の執事を探して欲しいとお願いする。

「そう言えば人材を探すのって普通何処でするの?」

「一般の人材であれば商業ギルドですね。」

「例えば、軍師とか代官を探したい時は?」

「そうですねぇ、そう言った人材は貴族学院を頼ると良いですよ。」

「貴族学院?学校だよね?」

「ええ、貴族学院には基本貴族の子女が通います。しかし、全員が貴族になれる訳ではありません。次男以下の男子や女性は平民に落ちる者が大半です。そう言った者達の仕事の斡旋も貴族学院ではやっています。」

「貴族学院って15歳で卒業だよな?」

「そうです。12歳で入学して15歳で卒業します。4年間のカリキュラムで貴族の振る舞いや職務を学びます。また希望すれば領地経営も勉強できます。」

「ほう?しかし、僕が欲しい人材は出来れば実戦経験の有る奴なんだが。」

「そう言った人材も扱っていますよ。貴族学院を卒業後10年間は貴族学院が仕事を斡旋致します。」

「なるほど、卒業後10年って事は25歳までの人材なら探せるって事だな?」

「そうなりますね。」

「助かった。早速行って見るよ。」

 ルーメンに礼を言い、僕は貴族学院へ急いだ。貴族学院は貴族街の東にある。王都の北東に位置する。

 初めて目にしたが貴族学院はかなり大きな建物だ。まあ、貴族の数から行けば、この位の規模になるのだろう。

 王城に比べれば威圧感は少ないが、少し気後れしながらも正面から中へ入って行く。衛兵に止められたらどうしよう?等と考えたが、止められる事も無く受付まで辿り着いた。

 受付で人材を探している旨を伝えると、担当者を呼びますとの返事、どうやら僕と同じような用事で来る人はいる様だ。ホッとする。

 応接室に通され、しばし待つ。流石は貴族学院、応接室は貴族風だ。紅茶の味はイマイチだけどね。

 数分後眼鏡をかけたインテリ風の女性が現れる。まず、眼鏡がある事に驚いた。この世界で眼鏡を見たのは初めてだ。次に担当が女性と言う事に驚く。

「人材をお探しとの事ですが、どの様な方をご希望でしょうか?」

「私は現在2つの町を治めています。領地経営の補佐が出来る者、あるいは代官を任せられる人材を求めています。」

「ほう?かなり重要なポストですね。そうなるとあまり若年の者は向かないと?」

「そうは言いませんが、多少の経験はあった方が助かります。それから出来れば同じ年齢で2名用意して頂けるとありがたいですね。」

「2名ですか?」

「はい、競わせる事で効率を上げようと言う考えです。」

「なるほど、解りました。では、現状条件に当てはまる人材が4名居ますので、履歴書をお持ちします。ご検討ください。」

「ありがとうございます。」

 一旦席を離れた担当女性は5分ほどで戻って来た。

「こちらが4人の履歴書になります。」

 そう言って4枚の紙を渡された。羊皮紙では無い、写真も付いていないが履歴書らしい。

 4人全て19歳だ、この年は当たり年だったのか?僕はサッと目を通し2枚を選んで担当女性の前に出す。残りの2枚は伏せて返す。

「この2名でお願いします。」

「この2名を選んだ理由を聞いても宜しいですか?」

「強いて上げれば、2人は領地持ちの貴族の息子である事。それからクーデター事件に関係している事ですかね。」

「クーデター事件の事はマイナス要因だと思いますが?」

「そうですか?理由も分からず仕事が無い人間より、理由が解って居る方が確実だと思いますが?」

「なるほど、そう言う考え方もありますね。」

「では、この2人を1週間後にゼルマキア侯爵邸に寄越して下さい。午後が良いですね。」

「解りました。その様に手配します。」

「ちなみに料金は?」

「料金は頂いておりません。当学院は貴族の方々の寄付で成り立っていますので、こちらが紹介する人材も全て貴族の子女になります。ですので卒業後もアフターサービスの一環として人材斡旋を行っています。」

「なるほど、じゃあ、これは寄付と言う事で受け取ってくれ。」

 そう言って白金貨が5枚入った小袋を渡した。

「そう言う事でしたら、ありがたく受け取らせて頂きます。」

 眼鏡の担当女性はそう言って微笑んだ。
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