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 あれから2週間ほど経った。僕は聖獣様に教えを請い。エリクサーを5本程作成した。材料さえあれば意外に簡単だ。また、その内、神樹の葉を貰いに行こう。

 道場の建築は順調だ。既に形は出来上がっている。名前は『神聖流魔法道場』と名付けた。何事もハッタリは重要らしい。既に募集は掛け始めているが、まだ人は集まっていない。

 朝の稽古は相変わらず熾烈を極めている。ライザのドラゴンゴーレムは一旦封印したが、ライザは素手でもかなり強い。それに刺激されたのか、竜王の爺さんとベルクロスのドラゴン組がここの所腕を上げている。僕も自然とレベルが上がる。一体この集団は何処へ向かって居るのであろう?

 嫁たちは皆元気だ。妊娠組はゆっくりしてろと言って居るが、色々と忙しいのだそうだ。アリアナとセリーは育児にも忙しい。

 最近我が家ではケーキがブームだ。流石に毎日食べると太るので2日おきに出して貰っている。新人君が色々なバリエーションを出してくるので面白い。

 そう言えば栗があったのでモンブランを教えた。新人君はこの発想は無かったと悔しそうだった。

 今日は、朝稽古の後、久しぶりにアスアスラの家を訪ねた。

 出来たばかりのモンブランをルーラに食べさせたかったのだ。

 アスアスラの影響で木の実が好きになったルーラはモンブランに大喜びだった。

 その後ルーラとチャンバラをしたり、3人でお風呂に入ったり。久しぶりの親子ごっこを楽しんだ。

「今日は泊ってきますよね?」

「ああ、今日は大丈夫だ。」

 そう言うとアスアスラが凄く嬉しそうな顔をする。

 気合が入ったのか夕食が豪華で食べ切れなかった。

 夕食後眠くなったルーラにスリープをかけて、2人はじっくりと楽しんだ。

 翌朝5時に起き、家に転移する。メイドが起こしに来るのは6時前だ。

 何事も無かったかのように朝食を取り。稽古に行く。

 稽古後は帝国だ。道場の宣伝をしなければならない。一応人を雇ってチラシ配りをしているのだが、思った効果は上がらない。まだ、道場が未完成なのが原因か?

 こうなったら1日体験入学みたいなイベントをやってみるかな?

 あ、そう言えば、僕が来れない時に指導する師範が必要だな。だれか適当な人材が欲しい所だ。

 やる事はいっぱいあるのだが、なんと言うかうまく進まない。こう言う時もあるよね?まだ、期間は1か月ある、何とかしないと。

 とりあえず商業ギルドへ行って人材募集を掛けてみる。受付のお姉さんは魔法使いは少ないので難しいですよと言われた。

 まあ、居なければ居ないで育てれば良いだろう。

 その日は早めに家に帰り、セリーとエルと一緒に風呂に入った。最近では家族で入るのが当たり前になりつつある。

 夕食は帝国風シチューとフライドチキンにしてみた。そう言えば帝国でもあまり揚げ物って見ないな。今度、揚げ物の屋台でもやってみるか?

 夕食後は部屋でまったりとしていると、セリーがやって来た。セリーだけまだ妊娠していないので焦りが見える。僕は落ち着かせてから、ゆっくりと愛し合う。

 翌朝、稽古の後、帝国へ向かう。道場の前に数人の人が居た。

「何か御用でしょうか?」

「こちらの道場の方ですか?」

「はい、そうです。一応道場はそのチラシにも書いてありますが、10時から3時までとなっております。」

 と、女の子達が持っているチラシを指さした。

「あの、是非道場に入りたいのですが。」

「えっと君たちは、魔法学院の生徒さんじゃないの?さぼって大丈夫?」

 そこにいた4人の女の子はリリと同じ制服を着ていた。

「大丈夫です。あの私たちはいわゆる落ちこぼれなんです。リリルアーナさんの様な素質があれば、将来魔法使いとしてやって行けるのですが、今の私たちでは。」

「なるほど、ここの事はリリから聞いたのかな?」

「そうです。思い切って話しかけてみたら、ここを勧められて。」

「ふむ、月謝は月に大銅貨3枚。10時から3時までなら好きな時間に来て構わないよ。」

「入れて貰えるんですか?」

「うちは道場だからね、断る理由は無いでしょ?それより。自分で考えて頑張らないと魔法は上手くならないよ。その方法は教えるから、後は自分の努力だよ?」

「それは才能に関係なく頑張ればリリルアーナさんの様になれると言う事ですか?」

「そうだね。魔術学院に入れる能力があるのならば才能にそれ程の差は無いはずだ。」

「解りました。ありがとうございます。」

 こうして一挙に4人の弟子が出来た。リリに感謝だな。

「時間があるなら少し見て行くかい?それとも学院へ行く?」

「是非、見学を!」

 ぞろぞろと4人の女の子を従えて中へ入って行く。道行く人たちは何事かと見ている。

「まずは君たちの力を見てみたいな。一番自信のある魔法を一人ずつ撃ってみて。」

 そう言って武舞台に上がる。

「えっと何処に向かって撃てば良いのでしょう?」

「僕に向けて全力で撃ってくれる。魔物を退治するイメージで。」

「大丈夫なんですか?」

「君たちの魔法でどうにかなる様じゃ、道場主は務まらないでしょ?」

「確かに、言われてみれば。」

「って事で君から行こうか。」

 そう言って4人の子に魔法を撃たせる。もちろん当たる前に霧散させるけどね。

「ふむ、悪くは無いかな。基礎は出来ている様だ。ただ、3人が火で1人が水っていうのが問題だな。実際の魔物との戦闘では土や風の方が実践的だ。まず、属性魔法に捉われず、全ての魔法を自在に操れるようになることが先決だな。」

 僕はストレージから教科書を4冊取り出して皆に配る。

「最初は難しいかもしれないが、だんだんわかる様になってくる。その教科書を全部理解できるようになったら1人前の魔法使いだ。」

「ありがとうございます。」

「出来るなら毎日来いよ。週に何回来ても月謝は同じ額だ。」

「はい!」

 こうして道場最初の1日目は終わった。

 気分よく家に帰り。ルシルと風呂に入った。そう言えばルシルと風呂に入る機会は少ないな。

「どうだルシル。妊婦生活は?」

「不便だ。稽古がしたい。」

「まあ、もう少しの辛抱だな。」

 その後夕食を取り、部屋でゆっくりとしているとルシルが現れる。

「妊娠とは不便な物だな。」

「ルシルが望んだんだろう?」

「そうなのだが、欲望が抑えきれない。」

 そう言って強引に唇を奪われた。

 気のすむまでルシルの好きにさせてやった。

「落ち着いたか?」

「済まない。」

「謝る事は無い。誰でもそう言う時がある物だ。」

 翌朝、稽古が終わると帝国へ飛ぶ。弟子が出来たので道場をさぼる訳には行かない。

 さて、何から教えるかな?

 道場にはまだ彼女たちは来ていなかった。若干肩透かしを食らった気分だが、良く考えるとまだ10時になってない。来てなくて当たり前だ。

 彼女たちに何処からどう教えたら効率が良いかなと考えていたら、男たちが入って来た3人だ。初めは職人さんかな?とも思ったが、雰囲気が違う。

「おい、お前。師範は何処だ?」

 入門希望者?道場破り?

「えっと、師範はまだ決まっておりません。」

「そうか、じゃあ一番強い奴出せや。」

 ほう?この世界にも道場破りがあるのか?

「一番強いかどうかは解りませんが、僕がここの代表です。」

「お前みたいな餓鬼がか?」

 後ろの2人は嘲笑している、こちらを挑発する意図だろう。

「お話なら僕が聞きますよ。」

「話は簡単だ。看板を寄越せ。」

「それは勝負をして、そちらが勝ったらって話で良いのでしょうか?」

「お、話が早えじゃねぇか。そう言うこった。幾ら侯爵家が後ろ盾に着いていても勝負の結果は覆せねぇ。」

 ふむ、色々と調べてから来た様だな。しかし魔法の対決って勝敗はどう決めるんだ?

「話は分かりました。勝負の方法と勝敗の付け方を教えて下さい。」

「武舞台があるな。剣術と同じ方法で良いだろう。参ったと言うか戦闘不能になった方が負け、舞台から落ちても負けだ。どうだ?」

「良いでしょう。そちらは3人まとめて来ても良いですよ。」

「兄ちゃん。そう言う挑発は止めておきな。こっちも素人じゃ無いんでな。」

 ん?道場つぶしが仕事って事?って事はこの道場も誰かが彼らに頼んだと言う事か?

「もうすぐ門弟が来るのでさっさと終わりにしましょう。禁止事項とかありますか?」

「禁止事項は無い。逆に言えば魔法だけじゃ無くて武器を使っても良いって事だ。」

 なるほど、それってつまり魔法はあまり得意じゃないって言って無いか?

「解りました。良いですよ。じゃあ始めましょう。」

 まず、下っ端が出て来る。これは様子見だろう。下っ端が武舞台に立つと、兄貴分が始め!と声を掛けた。どうやら開始の合図らしい。

 下っ端はロックバレットを撃つと同時に短剣を投げて来た。不意打ちとしては悪く無い。が、両方とも防御魔法で弾いたら、驚いた顔をしていた。躱されると思って居なかったところが甘いな。

 僕はエアバレットを無詠唱で1発だけ最小限のパワーで撃った。男は何の前触れもなく倒れたように見えただろう。
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