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念の為、地下牢等も確認してみるが、使用人も含め誰一人残って居ない。数百人を囮に、精鋭を1000人以上奪われた。中には元公爵の側近も含まれている。
実に鮮やかな手口だ。適当に集めた有象無象より、元公爵の配下の方が兵士としての練度が高い。これで、敵には戦闘部隊が出来、元公爵は戦力を大きく削がれた事になる。
「問題は、ネロフ男爵がこれから何をするつもりなのかって事になりますね。」
「私を潰しにかかるか、救済の箱舟を立て直すかのいずれかだろうな。」
元公爵が思ったより力強い声で答える。
「現状、ネロフ男爵に潜られたら居場所を見つけるのは難しいですね。」
「彼には一つ誤算がある。私の戦力を甘く見た事だな。」
「1000人が全てでは無いと?」
「ああ、私を見くびって貰っては困る、全勢力を集結すれば、まだ1万人以上の兵を集める事は可能だ。」
なるほど、今回は敵の規模に合わせて人数を絞って居たって事か。
「でも、下手を打つと、その1万人も敵の手に落ちますよ。」
「ふむ、確かに洗脳は厄介な能力だ。だが、1万人を同時に洗脳出来るだけの力があると思うか?」
「それは解りませんが、1万人を同時に洗脳する必要はありません。10人でも20人でも洗脳すれば同士討ちが始まります。元公爵の兵は味方に剣を向けられるでしょうか?」
そんな状態が各所で起これば元公爵の兵は、機能しなくなる。今回の相手は元公爵とは相性が悪い様だ。
「それでは私はどうすれば良いのかね?」
「そうですね。とにかく奴の居場所を掴んで下さい。戦闘は僕とクラ―ネルだけで行います。今回の敵は頭を叩けばそれで終わりです。敵の人数に惑わされず、ネロフ男爵だけにターゲットを絞りましょう。」
「君たちに頼りっぱなしと言うのは情けないな。」
「そんな事はありませんよ。救済の箱舟を復活させる訳には行きません。素早く諜報活動を行うにはやはりそれなりの人数が必要になります。それは僕らには出来ない事ですから。元公爵に頼る事になります。」
翌日はクラ―ネルを元公爵に付け、僕は治療院へと向かう。
洗脳にはリカバリーが効く。しかし、リカバリーはそれ程広範囲に作用する魔法では無い。何か、他の対策方法があれば良いのだが。
16時に治療院を閉め、中央治療院へ向かう。マリオンの姿はあったがケルビンの姿が無かった。少し待とうかとも考えたが、時間通りに勉強会を始めた。
ここで、少し洗脳の話をした。洗脳された患者が来る可能性を考えてだ。洗脳は状態異常なのでリカバリーが有効だと言う事を話した。
「もし、リカバリーを掛けて突然意識を失う様な患者が居たら、僕に知らせてくれ。その者は洗脳されていた可能性が高い。」
勉強会の後、元公爵邸に向かうが、目ぼしい情報は無い様だ。完全に潜られたら探すのは難しい。だが、奪われた1000人は何らかの情報があってもおかしく無いと思うんだがな?
1000人以上の人間をただ監禁しているだけとは思えない。何らかの用途があって連れ去ったのだとすれば、彼らは何かをさせられていると言う事になる。現状、救済の箱舟に余分な人材も戦力も無い。ならば、奪われた1000人は何をさせられているのだろう?
もちろん、こちらに気が付かれない様に細心の注意を払っては居るだろうが、それでも全く目撃証言が無いと言うのはおかしい気がする。
ひょっとして、王都の人間の多くが限定的な影響を受ける様な洗脳をされている?そんな洗脳があるのかな?
洗脳については判らない事が多い。そもそも古代の魔法書にも洗脳の魔法は載って居なかった。オリジナルの魔法なのかもしれない。
魔法はイメージだ。イメージさえ明確なら洗脳の魔法だって作れるのだろう。しかし、僕には洗脳のメカニズムがイマイチ明確でないので洗脳の魔法は使えない。
医学的に脳を弄る事は可能だ。だが、脳に干渉するには触れる必要があるし、脳の情報を書き換えるのは結構時間が掛かる。戦闘中に脳を弄って相手を操るのは難しいだろう。
となると、洗脳より催眠術に近いのだろうか?補助魔法の研究はあまり進んでいないので、まだまだ知らない魔法があるのかもしれない。
脳を麻痺させる魔法はある。混乱させる魔法も知っている。リカバリーが効くと言う事はこの辺にヒントがあるのかもしれない。
さて、翌日治療院で治療をしていたら。診察中に突然意識を失ったと言う患者が回って来た。回して来たのは中央治療院だ。
どうやらリカバリーを掛けた途端意識が無くなったとの事。これは洗脳の可能性が高い。
僕はその人物を転移で元公爵邸へ運んで、調べてくれと頼んで来た。
2時間ほどするとクラ―ネルが、僕の治療院へ転移して来た。
「エイジさんが連れて来た人ですが、元公爵とは関係が無い人だったらしいですよ。1時間程で目が覚めたので丁重に家に帰しました。」
どう言う事だ?全然関係ない人間が洗脳されて居た?
「クラ―ネル。その人の家ってどの辺だ?」
「王都の東地区ですね。」
ああ、男爵が演説をしていた場所の近くだな。その時に洗脳されたのかな?しかし、洗脳されたのに何で男爵について行かなかったんだ?
もしかして、洗脳が弱いとコントロールが効かないのか?
僕は翌日から全ての患者にリカバリーを掛ける事を皆に指示した。意識を失った患者は中央治療院へ運ぶ様に言う。クラ―ネルには中央治療院に常駐して、患者が来たら元公爵邸に運ぶ様に指示する。
本来なら東治療院にも指示を出したかったのだが、最近ケルビンは勉強会に顔を出していない。
そして、その指示は驚くべき結果を出した。なんと治療院の患者の20%が洗脳されて居たのだ。1つの治療院の患者は1日60人程。その20%は12人。中央と南、西で併せて36人。北は少し少なくて5人だった。全部で41人の患者が何かしらの洗脳を受けている。
しかし、彼らの態度は至って普通。何を洗脳されたのだろうか?
洗脳者特有の虚ろな目も無い。これはもしかしたら、何かのトリガーで発動するタイプの洗脳かもしれない。
僕は弟子たちに暫くは毎日患者全員にリカバリーを掛ける事を指示する。
予想よりも洗脳の範囲と効果が大きく無いか?もし、王都民の20%が洗脳されているとしたら。12万人の人間が洗脳されている事になる。
一人一人の力は弱くても数は力だ。12万人が一斉に王城に攻め込んだら、王城は持ち堪えられるだろうか?
まあ、そこまで強い洗脳では無さそうなので、ネロフ男爵の思惑は判らないが、少しでも数を減らして置きたい。
だが、道行く人々にリカバリーを掛けて回る訳にも行かない。どうすれば良いのだろう?
おそらく自殺や自爆テロの様な強い洗脳は掛かって居ない。だが、これだけの人数に男爵はどうやって洗脳を掛けたのだろう?
男爵の洗脳はおそらく顔あるいは目を見たり声を聴かないと掛ける事が出来ないはずだ。もしかして、この予想が外れている?
強い洗脳は会う必要があるが、弱い洗脳はある程度の距離でも発動できると言う可能性も出て来た。
洗脳と言う能力、思った以上に厄介だな。
ネロフ男爵を倒せば事は済むと考えていたのだが、もしかしたら、この考えも甘いのかもしれない。
そう言えば救済の箱舟にはネロフ男爵以外に3人の長老が残っている。この3人がネロフ男爵に力を貸している可能性は十分にあるだろう。
おそらく、残りの3人の長老も何らかの能力持ちだろう。この能力が、ネロフ男爵の能力を増幅する様な能力だとすると面倒だな。
もし、他の3人の長老に匿われている状態だとすると、男爵の元へ辿り着くのは非常に困難になる。
僕らが出来る事は男爵をおびき出して、叩くと言う事位だ。もし、このまま洗脳の能力を、救済の箱舟の再建に使われたら、それ程時間を掛けずにその機能を回復してしまうだろう。
そうなる前に、男爵を焦らせる何かを仕掛けないとならない。
時間との勝負でもあり、頭脳戦でもある。
実に鮮やかな手口だ。適当に集めた有象無象より、元公爵の配下の方が兵士としての練度が高い。これで、敵には戦闘部隊が出来、元公爵は戦力を大きく削がれた事になる。
「問題は、ネロフ男爵がこれから何をするつもりなのかって事になりますね。」
「私を潰しにかかるか、救済の箱舟を立て直すかのいずれかだろうな。」
元公爵が思ったより力強い声で答える。
「現状、ネロフ男爵に潜られたら居場所を見つけるのは難しいですね。」
「彼には一つ誤算がある。私の戦力を甘く見た事だな。」
「1000人が全てでは無いと?」
「ああ、私を見くびって貰っては困る、全勢力を集結すれば、まだ1万人以上の兵を集める事は可能だ。」
なるほど、今回は敵の規模に合わせて人数を絞って居たって事か。
「でも、下手を打つと、その1万人も敵の手に落ちますよ。」
「ふむ、確かに洗脳は厄介な能力だ。だが、1万人を同時に洗脳出来るだけの力があると思うか?」
「それは解りませんが、1万人を同時に洗脳する必要はありません。10人でも20人でも洗脳すれば同士討ちが始まります。元公爵の兵は味方に剣を向けられるでしょうか?」
そんな状態が各所で起これば元公爵の兵は、機能しなくなる。今回の相手は元公爵とは相性が悪い様だ。
「それでは私はどうすれば良いのかね?」
「そうですね。とにかく奴の居場所を掴んで下さい。戦闘は僕とクラ―ネルだけで行います。今回の敵は頭を叩けばそれで終わりです。敵の人数に惑わされず、ネロフ男爵だけにターゲットを絞りましょう。」
「君たちに頼りっぱなしと言うのは情けないな。」
「そんな事はありませんよ。救済の箱舟を復活させる訳には行きません。素早く諜報活動を行うにはやはりそれなりの人数が必要になります。それは僕らには出来ない事ですから。元公爵に頼る事になります。」
翌日はクラ―ネルを元公爵に付け、僕は治療院へと向かう。
洗脳にはリカバリーが効く。しかし、リカバリーはそれ程広範囲に作用する魔法では無い。何か、他の対策方法があれば良いのだが。
16時に治療院を閉め、中央治療院へ向かう。マリオンの姿はあったがケルビンの姿が無かった。少し待とうかとも考えたが、時間通りに勉強会を始めた。
ここで、少し洗脳の話をした。洗脳された患者が来る可能性を考えてだ。洗脳は状態異常なのでリカバリーが有効だと言う事を話した。
「もし、リカバリーを掛けて突然意識を失う様な患者が居たら、僕に知らせてくれ。その者は洗脳されていた可能性が高い。」
勉強会の後、元公爵邸に向かうが、目ぼしい情報は無い様だ。完全に潜られたら探すのは難しい。だが、奪われた1000人は何らかの情報があってもおかしく無いと思うんだがな?
1000人以上の人間をただ監禁しているだけとは思えない。何らかの用途があって連れ去ったのだとすれば、彼らは何かをさせられていると言う事になる。現状、救済の箱舟に余分な人材も戦力も無い。ならば、奪われた1000人は何をさせられているのだろう?
もちろん、こちらに気が付かれない様に細心の注意を払っては居るだろうが、それでも全く目撃証言が無いと言うのはおかしい気がする。
ひょっとして、王都の人間の多くが限定的な影響を受ける様な洗脳をされている?そんな洗脳があるのかな?
洗脳については判らない事が多い。そもそも古代の魔法書にも洗脳の魔法は載って居なかった。オリジナルの魔法なのかもしれない。
魔法はイメージだ。イメージさえ明確なら洗脳の魔法だって作れるのだろう。しかし、僕には洗脳のメカニズムがイマイチ明確でないので洗脳の魔法は使えない。
医学的に脳を弄る事は可能だ。だが、脳に干渉するには触れる必要があるし、脳の情報を書き換えるのは結構時間が掛かる。戦闘中に脳を弄って相手を操るのは難しいだろう。
となると、洗脳より催眠術に近いのだろうか?補助魔法の研究はあまり進んでいないので、まだまだ知らない魔法があるのかもしれない。
脳を麻痺させる魔法はある。混乱させる魔法も知っている。リカバリーが効くと言う事はこの辺にヒントがあるのかもしれない。
さて、翌日治療院で治療をしていたら。診察中に突然意識を失ったと言う患者が回って来た。回して来たのは中央治療院だ。
どうやらリカバリーを掛けた途端意識が無くなったとの事。これは洗脳の可能性が高い。
僕はその人物を転移で元公爵邸へ運んで、調べてくれと頼んで来た。
2時間ほどするとクラ―ネルが、僕の治療院へ転移して来た。
「エイジさんが連れて来た人ですが、元公爵とは関係が無い人だったらしいですよ。1時間程で目が覚めたので丁重に家に帰しました。」
どう言う事だ?全然関係ない人間が洗脳されて居た?
「クラ―ネル。その人の家ってどの辺だ?」
「王都の東地区ですね。」
ああ、男爵が演説をしていた場所の近くだな。その時に洗脳されたのかな?しかし、洗脳されたのに何で男爵について行かなかったんだ?
もしかして、洗脳が弱いとコントロールが効かないのか?
僕は翌日から全ての患者にリカバリーを掛ける事を皆に指示した。意識を失った患者は中央治療院へ運ぶ様に言う。クラ―ネルには中央治療院に常駐して、患者が来たら元公爵邸に運ぶ様に指示する。
本来なら東治療院にも指示を出したかったのだが、最近ケルビンは勉強会に顔を出していない。
そして、その指示は驚くべき結果を出した。なんと治療院の患者の20%が洗脳されて居たのだ。1つの治療院の患者は1日60人程。その20%は12人。中央と南、西で併せて36人。北は少し少なくて5人だった。全部で41人の患者が何かしらの洗脳を受けている。
しかし、彼らの態度は至って普通。何を洗脳されたのだろうか?
洗脳者特有の虚ろな目も無い。これはもしかしたら、何かのトリガーで発動するタイプの洗脳かもしれない。
僕は弟子たちに暫くは毎日患者全員にリカバリーを掛ける事を指示する。
予想よりも洗脳の範囲と効果が大きく無いか?もし、王都民の20%が洗脳されているとしたら。12万人の人間が洗脳されている事になる。
一人一人の力は弱くても数は力だ。12万人が一斉に王城に攻め込んだら、王城は持ち堪えられるだろうか?
まあ、そこまで強い洗脳では無さそうなので、ネロフ男爵の思惑は判らないが、少しでも数を減らして置きたい。
だが、道行く人々にリカバリーを掛けて回る訳にも行かない。どうすれば良いのだろう?
おそらく自殺や自爆テロの様な強い洗脳は掛かって居ない。だが、これだけの人数に男爵はどうやって洗脳を掛けたのだろう?
男爵の洗脳はおそらく顔あるいは目を見たり声を聴かないと掛ける事が出来ないはずだ。もしかして、この予想が外れている?
強い洗脳は会う必要があるが、弱い洗脳はある程度の距離でも発動できると言う可能性も出て来た。
洗脳と言う能力、思った以上に厄介だな。
ネロフ男爵を倒せば事は済むと考えていたのだが、もしかしたら、この考えも甘いのかもしれない。
そう言えば救済の箱舟にはネロフ男爵以外に3人の長老が残っている。この3人がネロフ男爵に力を貸している可能性は十分にあるだろう。
おそらく、残りの3人の長老も何らかの能力持ちだろう。この能力が、ネロフ男爵の能力を増幅する様な能力だとすると面倒だな。
もし、他の3人の長老に匿われている状態だとすると、男爵の元へ辿り着くのは非常に困難になる。
僕らが出来る事は男爵をおびき出して、叩くと言う事位だ。もし、このまま洗脳の能力を、救済の箱舟の再建に使われたら、それ程時間を掛けずにその機能を回復してしまうだろう。
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