創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

文字の大きさ
6 / 151

第六話

しおりを挟む
 姉上の買い物から帰って、自分の部屋に入ったユーリは、また、やってしまった。と自責の念に駆られていた。いくら賢者の叡智が優れていても、ユーリ自身のうっかりが招く失敗は避けられない。

(今後の課題だな・・・)

 誰か相談できる相手が居れば良いのだろうが、現在ユーリが頼れるのは「賢者の叡智」と、創造神様位だ。その神様は好きにすれば良いと言っている。

(なんか自重してるの馬鹿らしくなってきたな・・・)

 呟いてみるが、元が慎重な性格なので、吹っ切る勇気は無い。こうなったら、誰にも知られない様に魔法を使うしかない。でも、それで文明レベルを上げられるのかな?そもそも、6歳でやる必要があるのだろうか?もう少し大人になってからでも遅くはないのでは?
 ユーリは葛藤で頭が痛くなってきたので、一時思考を中断し、昼寝をする事にした。

 夕飯の時間になったらしく、メイドのアイリーンに起こされた。
 今日のメニューはステーキとサラダ、スープに固いパン、だいたい三日に一度はこのメニューだ。流石に飽きてくるなぁ、特にパンとスープはほぼ毎日出る。パンが固いため、スープにつけて柔らかくしないと食べられないからだ。とりあえず、これだけでも何とか出来ないかな・・・そう食べながら思うユーリであった。

 夕飯の後自室でユーリは考えていた。この世界でやる事の優先順位だ。食事、娯楽、が特に乏しい、それに鏡だ。この世界にもガラスはある、しかし品質が極めて悪く、鏡を作るのには向かない。あと、紙もあるがこれも質が悪い。その為印刷技術が発達していない。当然家電も無いので現代人のユーリには極めて不自由な生活となっている。
 一方、魔法の発達により、現代日本より進んでいる部分もある。アイテムボックスや鑑定等は現代日本で持っていたら物凄い武器になるだろう。また、空間魔法は日本の様々な問題点を取り除いてくれる程便利だ。例えば、外はワンルームマンション中身は体育館なんて事も可能だし。転移魔法なら海外旅行も行き放題になるだろう。
 なんと言うか、文明の進化が歪な気がする。ユーリにとっては、やはり毎日の食事の問題が一番に問題になるだろう。この世界の平均寿命は50歳前後だ。これは医療の発達が遅れていて子供が死にやすいのもあるが、食事の問題が大きい。
 塩や砂糖は貴重品である。香辛料となると更に貴重で、まず、庶民の口には入らない。貴族でもパーティの時に使うくらいだろう。こんな食生活をしていたら生活習慣病になるのは目に見えている。寿命にも大きく関わっているだろう。この塩まみれの食事をなんとかするのが最優先だと、ユーリは考えた。

(となると、あの魔法を是非覚えないといけないな・・・)

 あの魔法とは物質実体化の魔法である。無属性魔法の一種で、イメージした物を現実化する魔法である。この魔法があれば、地球の物をこの世界で再現できる。
 賢者の叡智で計算してみたところ、魔力量一万程度で作成可能らしい。これは作るしかない。

「クリエイト!物質実体化!!」

 詠唱する必要は無いのだが、こう言うのは気分である。

 ユーリは最初のテストとして、キンキンに冷えたグラス一杯のコーラを作り出した。久しぶりに飲んだコーラは実に美味しかった。
 しかし、これがこの後重大事件を引き起こすことをこの時のユーリは知らなかった。

 翌朝、目が覚めると下(一階)が騒がしかった。
 ユーリは急いで着替えて下へ降りた。

「旦那様、ユーリ様が来られました。」

 食堂に入るとメイドのアイリーンに見つけられた。

「ユーリ、ちょっと聞きたいことがあるのだが。」

 父上は温和な性格で怒る事は滅多に無い。今も声が冷静なので怒られる訳ではなさそうだ。

「なんでしょう?父上。」

「このグラスなんだが、アイリーンが君の部屋で見つけたそうだが、どういう事か説明して貰えるか?」

 そう言って、昨日コーラを飲んだグラスをテーブルの上に置く。何故か他の家族や使用人もそれをじっと見ている。

「はい、昨日寝る前に喉が渇いたのでジュースを一杯頂きました。いけませんでしたか?」

「いや、そう言う事では無くて、このグラスを何処から持ってきたのかって、事なんだが。」

「グラスですか?」

 そう言えば、コーラと一緒にグラスも魔法で出したのを忘れていた。

「我が家に、いや、この世界にこんなに透き通った綺麗なグラスは無い。これをどうしたのかな?」

 ヤバい、またやらかしたらしい。でもこれは魔法が使える事をカミングアウトするチャンスかもしれない。

「あの、その、実は・・・魔法で出しました。」

「魔法だと?ユーリは魔法が使えるのか?」

「はい、こんな風に。」

 そう言って、無詠唱でキンキンに冷えたビールをグラスごと出し、テーブルの父上の前にそっと置く。

「これは、ユーリが?」

 周りの家族や使用人達も驚いている。父上は余程驚いたのか、グラスを手に取らず、周りを眺めている。

「冷えたエールです。飲んでみて下さい。昨日のジュースも同じように出しました。」

 そう言うと父上は恐る恐るグラスに手を伸ばす。

「冷たい。これは氷魔法で冷やしているのか?」

「飲んでみて下さい。」

 そう言うとやっとグラスに口をつけてくれた。

「美味い!なんだこのエールは。ただのエールとは違う!これは、何時でも出せるのか?」

「はい、飲み物程度ならいくらでも。」

 そう言って、姉上の目の前に、冷えたサイダーを、母上の前にも、冷えたフルーツ牛乳を出して見せる。

「飲んでみて下さい。」

 二人はやはり恐る恐る手を伸ばしグラスに口をつける。この世界では飲み物は常温と言うのが普通だ。氷魔法の使い手は少なく、また、氷魔法を飲み物を冷やす事に使う者はまず居ない。
 二人は一口飲んで驚き、その後勢い良く飲み物を飲み干した。

「こんなに美味しいジュースは初めて!冷えてるだけで美味しさが全然違う。それにこのシュワシュワとした飲み物は初めて飲む味だわ!」

 姉のシルビーが驚きの声を上げる。母上も同様の様で、首を縦に振って賛成している。周囲の使用人達も飲みたそうだ。

「飲み物もそうだが、素晴らしいのはこの器だ。ここまで透明度の高いグラスは王家でも使用していない。このグラスも何時でも出せるのか?」

 父上は、ビールを飲み終えた後グラスに見入っている。

「この程度のグラスで良ければ一回に50個は出せますよ。後は魔力量次第ですね。」

「一度に50個だと?本当か?」

 父上は今日何度目になるか判らない驚きの声を上げた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...